《集会の準備、その9》
前川喜平さんの本を読みました。
前川喜平さん。元文部事務次官。
加計学園の問題で、「あったものを、なかったことにはできない」と、国会で証言した人です。
前川さんがどんな人かはまったく知らず、ただ元文部事務次官、になるような人は、「敵」だと思っていました。
私の間違いでした。
加計学園の話ではありません。高校の希望者全入の話です。
『これからの日本、これから教育』から紹介します。
◇
《高校無償化と学習権の保障》
前川: 高校の授業料無償化は、民主党政権の目玉政策でした。これが実現できたのは、民主党政権の一つの成果だと思います。もし、自公政権がずっと続いていたなら、無償化は実現できなかったはずです。…
寺脇:そのとき前川さんは、どういう立場だったの?
前川:このとき私は初等中等教育局の審議官で、実質的には私が高校無償化の制度を作る中心となっていました。…
寺脇:高校授業料無償化がどれほど画期的なことだったか、教育界にいる人なら誰もがそう思う。戦後、新制高校ができてから、その授業料を無償化するのは到底無理なことだとされてきた。生涯学習で「いつでも、どこでも、誰でも学べる社会」を「唱え続けてきた私でさえ、そんなことができるとは夢想だにしていませんでした。
前川:高校無償化というのは、十五歳から十八歳までの、すべての若者に学習機会を保障しますよという、学習権保障の思想なんですね。
「無償で学ぶ権利があります」と言うからには、入学を希望するすべての若者が学校に行けるようにならないと、おかしい。
つまり、論理必然的に、希望者全入が実現しなければならないわけです。
その先には、義務教育化という課題が控えています。
もちろん、子どもが学校に行きたくなければ不登校でも全然かまわないわけですが、それでも、何らかの場所で学べるよう、多様な学習の場を大人が用意し、そうした場で子どもが学ぶ。
親がそれを妨げたりせず、サポートしていく。
それができるようにしていくことが大事です。
ですから、私は、無償化の先には希望者全入、さらには義務教育化というステップがあるはずだとおもっているんですね。
(『これからの日本、これから教育』 前川喜平・寺脇研
ちくま新書 2017年11月)より
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