特別な存在ではなく“一つの個性”
2020年1月23日 沖縄タイムス
【共に学ぶ高校 障がいがあっても】(2)
大阪市大正区にある府立高校。知的障がいを伴う自閉症の男子生徒(18)は、普通科3年のクラスに在籍している。いつもお気に入りの青いタオルを肩に掛け、男女30人ほどの級友と一緒に学ぶ。
学ぶ姿勢、ほかの生徒にも影響
14日の5時間目は化学の授業だった。実験室で、湿布など日常生活で使う医薬品を合成する実験に取り組む内容。男子生徒も、隣に座る学習支援員とほかの生徒2人と共に、一つの机を囲んで参加した。
実験中は、試験管にサリチル酸などの化学物質を入れたり、お湯をビーカーにつぎ足したり。熱湯を用意する際は女子生徒がさりげなく手助けし、板書のタイミングでは支援員が鉛筆を持つようにこやかに促した。
長時間座るのが苦手な男子生徒は、授業中にふと立ち上がり、教室を歩き始めた。気付いた支援員が生徒のそばに行き、背中をさすりながら一緒に机まで戻った。教員もほかの生徒も気にする様子はない。クラスや学校にとって、彼は「特別な存在ではなく、一つの個性」。教頭がこう代弁する。
全ての子どもに学ぶ機会を保障
話すことでのコミュニケーションは難しいが、読み書きは得意だ。黒板と同じレイアウトで、時々内容を口にしながら、板書を丁寧にノートやプリントに書き写す。教頭は「勉強に意欲的で、学ぶ姿勢はほかの生徒にも影響を与えている」と話す。
大阪府は、障がいの有無や日本国籍かどうかにかかわらず、進学を希望する全ての子どもに高校で学ぶ機会を保障する方針を打ち出している。障がいが入試の合否判定に影響することはなく、定員に空きがあればどの生徒も受け入れる。
「高校生活はどう?」。男子生徒に尋ねると、和やかな表情で答えが返ってきた。「勉強好き。国語好き。辞書好き」。
府内の公立高校では2019年度、障がいを含む配慮が必要な生徒約3千人が学んでいる。
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