アドバンテージ (その1)
知りたいこと。
私が持っているアドバンテージに気づくこと。
自分が持っているアドバンテージに気づかないまま、不利な立場を強いられた人に対して、自分が優越していると勘違いしないために。
◇
自分が気づいていないこと。
自分が気づかないで、守られているもの。
守られているが故に、自分(この私)でいられるのは、私のなかのどこからどこまで、なんだろう。
一人でできる。自分でできると思ってきたもののうち、本当に、「自分ひとり」で掴み取ってきたもの、気づいてきたものは、いったいどこからどこまでだったのか。
自分は自分のままでいいと思えている。
自分は自分だ、と思えている。
いまの自分をすきでいられる。
この自分でよかったと、この人生でよかったと思える、人との関係は、「私のちから」で手に入れてきたのだったろうか?
自分は生まれてきてよかったと、信じることができるためには、
私が生まれたことをいのちの底から喜んでくれた人がいたこと。
私との出会いを織りなしてきたすべての人との関係を、わたしは覚えていない。
でも、偶然会って、一緒に遊んで、一緒に話して、そのとき、その場所に一緒にいた人たち。
生まれてきてくれてありがとう…などと意識することはなく、でも出会いとはその積み重ねだったと、五十年以上生きて、残り時間を数える時になって、ようやく気づく。
傷つけた人もかぞえきれずいる。
私のせいで、保育園、小学校に行けなくなった子も何人もいた、らしい。
嫌いな人も、嫌われた人もいっぱいいる。
ケンカ友だちもいっぱいいた。
出会いと関係のすべて、お互いにあなたがいてくれてよかったと思いあえて、それが変わらずにいつもそこにある、その世界に、私がいる、と迷わずに信じ、思えていること。
それが、何によって、私は確かなことと受けとめることができているのか。
自分が、ここで、当たり前に適応して上手くやっていける「能力」があると思ってきたけれど、
環境が、私の能力に「適応」してくれるようにあらかじめできていたと、今までに学んできたことのすべてが、その結論にたどりつく。
その「アドバンテージ」を、私は生まれる前から持っていた。
でも、私はそのアドバンテージの巨大さをまだ知らない。
◇
癌になって一年以上たって、確かに気づいたことの一つは、そのことでした。
それを知るために、もう少し生きたいとようやく思えるようになりました。
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