もっと子どもにあうために(その5)
子どもがほうきで飛べる方法教えます!《byふつう学級》
こういう看板を出したのに、子どもがたたき落とされる日がある。
「定員が空いている」
「目の前に空いている席がある」
「他の席には、昨日まで隣に座っていた子たちがみんなで座っている」
だけど、「あなただけ、座ってはいけない」と払いのけられる。
空を飛ぶ前に、椅子からたたき落とされる。
それでもあきらめず、手をかける。
何度落とされても、一年かけてでも起き上がり、空いている席に手をかける。
その手を何度でも振り払う校長という人間がいる。
21世紀のいま、中学を卒業した子どもに、後期中等教育を保障するのが当然だから、「高校無償化」という法律ができた。(特別支援学校の高等部はすでに20世紀の内に希望者全入が実現している。)
なのに、2019年の今もまだ、定員が空いている定時制高校でさえ、子どもを捨てる校長がいる。
ちゃんと生きようとしている子どもの未来を閉ざす大人がいる。
1月24日、野田で小学生の女の子が、学校にも児相にも助けてもらえずに殺された。
2月25日、仕事も住む場所も失った青年が、誰でもよかったといい、かつての施設長を刺した。
3月の初め、私は7年前にホームを出ていった子をホームに泊めて、一緒に生活保護の申請に出かけた。
目の前の女性が、妊娠五カ月の彼女に、「一人で産んで、子どもを育てる覚悟が本当にあるのか」と問い詰める。隣の男性は、「DVなの?DVはないんでしょ」と問う。
親から虐待されいくつかの施設を経て、16から一人で働いてきた子が大人になり、妊娠5カ月で男が頼りにできないと知り、それでもちゃんと子どもを守って生きようとするとき、助けるどころか、屈辱と恥の感覚を押しつけようとする大人がいる。
ちゃんと生きようとする子どもや若者を、たたき落とす社会。
私の中に憎悪と殺意が湧くのを止められない。
そんなとき、ある言葉を思い出す。
子どもにとって最も恐ろしい体験は、自分の傷や痛みより、親の怯えた表情だったりする。
「子どもは大人の顔を読んで、危機やケガがどれだけ深刻なのかを判断する」。
だから、私は憎悪と殺意を呑みこみ声を上げ続ける。
たたき落とされることは、恥ずかしいことじゃない。恥ずかしいのは、ちゃんと生きようとする子どもたちを安全な場所からたたき落とし、自らを貶めている大人たちだ。
だから、子どもたちが自信をなくしたり、うつむいたりする必要はない。
そのために、私は堂々と顔をあげる。社会に届かなくても、ただ子どもたちに見えるように。ここにいる。
いることしか、できないけど。ここに、いる。
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