ワニなつノート

川崎の就学裁判


川崎の就学裁判



昨日の、東京高裁の報告(・。・)


裁判って、いつ行っても、「何やってんだかちっとも分からない」ことが多い。

でも、昨日は、分かりやすかった。

意見書のことばも分かりやすかった。

意見書のはじめに、こう書かれている。


『私たちが特に強く主張したい点は、障害のある子どもも、合理的配慮を受けることにより、地域の小学校に就学できるということです。

言い換えれば、合理的配慮が尽くされさえすれば、地域の小学校に就学できないケースというのはおよそあり得ません。』


これって、ようするに、【《ふ》「ふつう」は無理と思う子に一人も出会ったことがない】っていうことだよね。


今度、裁判長に、「就学相談いろはカルタ」をプレゼントしようかな(*'▽')

で、意見書の途中のスライド上映で、あつぼんにも会えたし(^^)v


次の公判は、5月25日(火)14時半~だよ。


     ◆    ◆    ◆    ◆



【意見陳述要旨】


今回、私たちが特に強く主張したい点は、障害のある子どもも、合理的配慮を受けることにより、地域の小学校に就学できるということです。言い換えれば、合理的配慮が尽くされさえすれば、地域の小学校に就学できないケースというのはおよそあり得ません。
ところで、川崎市は、私たちの主張は、突き詰めれば、特別支援学校の存在それ自体が違憲、違法であるとの主張に行きつく、と述べます。


しかし、私たちは、特別支援学校それ自体が憲法や法律に反するといっているのではありません。保護者や子どもが特別支援学校への就学を希望する場合、その意思は尊重されるべきです。

私たちがいいたいのは、障害のある児童の学びの場所は特別支援学校だけだと決めつけることは許されない、ということです。

川崎市教育委員会は、和希くんについて、人工呼吸器を着けていること等を理由に、最初から、特別支援学校に行くのがよいと決めつけ、地域の小学校へ行くためにどのような合理的配慮をできるのか、全く検討しませんでした。

川崎市教育委員会が合理的配慮を検討しなかったことは、つまり、本来すべきであった仕事をしなかったということであり、このことがこの事件の大きな問題の一つです。


和希くんも、看護師がいれば、川崎市の小学校へ行くことはできました。そして、和希くんが就学相談をしていたとき、川崎市が地域の小学校に看護師を置くことはできたはずです。第一審の横浜地方裁判所も、川崎市が地域の小学校に看護師を置くことは、財政的にも問題がなかったはずだと判断しています。


       □


実際にも、和希くんは、今、世田谷区の小学校へ通っています。

神奈川県は、世田谷区で和希くんが小学校へ通えるからといって川崎市も地域の小学校に和希くんを受け入れる教育体制を整備できたとは言い難い、世田谷区はある意味先進的に取り組んでいる自治体である、各自治体において医療的ケアの体制整備は過渡期であって、地域により受け入れ体制に差があることはやむを得ない、と言っています。


しかし、神奈川県のいう「教育体制」や「受け入れ体制」というのはどのようなものをいうのでしょうか。

「合理的配慮」とは、それぞれの障害のある人に対し、その状況に応じて個別に実施される措置です。言い換えれば、それぞれの人に対し、それぞれの場に応じて工夫することです。

「合理的配慮」とまちがいやすいのは「環境の整備」ということばです。「環境の整備」は、不特定多数の障害者を対象とする事前的改善措置といわれます。平たくいえば、それぞれの人に応じた工夫をするのではなく、あらかじめ、このような障害をもつ人たちには、このような設備や制度が必要だろうと考えて用意しておくことです。川崎市には、和希くんが就学相談をしていたとき、医療的ケアを必要とする児童のために学校へ看護師を派遣する事業がありました。このような事業を用意していることは、「環境の整備」に当たるといえます。


一方で、川崎市がこのような事業を用意していることだけで、和希くんに対して「合理的配慮」をしているわけではありません。

その事業を使って和希くんのために小学校へ看護師を置くことにより、初めて、和希くんへの「合理的配慮」をしたということができます。

また、逆に、仮に川崎市にこのような事業がなかったとしても、つまり、「環境の整備」がされていなかったとしても、川崎市が和希くんに対して「合理的配慮」をしなくてよいわけではありません。川崎市は、看護師を和希くんが通う小学校に置くために色々な方法を考えて実行しなければならないのです。

このように、「合理的配慮」と「環境の整備」は、まったく違います。


神奈川県のいう「教育体制」や「受入れ体制」というのは、もしかすると、川崎市全体の医療的ケア児のための体制整備を意味しているのかもしれません。そうであるとすれば、それは「環境の整備」であって、「合理的配慮」ではありません。

和希くんが地域の小学校へ行くためには、川崎市全体の「教育体制」や「受入れ体制」の整備が求められていたわけではありません。和希くんが入学を希望する東生田小学校に看護師を置くことが求められていたのです。それが「合理的配慮」です。



       □


世田谷区だけでなく、全国各地の他の自治体でも、和希くんと同じように人工呼吸器を着けながら、地域の小学校や中学校へ就学している子どもたちはたくさんいます。神奈川県の言葉を借りれば、そのような自治体はすべて「先進的」なのでしょうか。

「先進的」な自治体とそうでない自治体との間には、どのような違いがあるのでしょうか。

世田谷区が特別「先進的」なのではありません。その他の自治体も「先進的」なのではありません。


人工呼吸器を着けた児童には特別支援学校が学びの場所としてふさわしいという決めつけをすることなく、その児童を地域の小学校に就学させるためには、どのような「合理的配慮」が必要なのかをまじめに考えれば、どの自治体であっても、地域の小学校に就学させることは可能なのです。


これから、川崎市ではない他の自治体で、人工呼吸器を着けた児童が地域の学校でどのような合理的配慮を受けているか、どのように成長しているかがよく分かるスライドを上映します。大阪府大東市と広島の事例です。


(スライド上映)


これらのスライドを見れば、人工呼吸器を着けた児童の学びの場所は特別支援学校だけではないこと、合理的配慮を受けることにより地域の学校で教育を受けられることははっきりとしています。


裁判所におかれては、障害のある子どもも、合理的配慮を受けることにより、地域の小学校に就学できること、合理的配慮が尽くされさえすれば、地域の小学校に就学できないケースというのはおよそあり得ないということをよくご理解いただき、実態に即した判断をされることを求めます。

   以上
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