ワニなつノート

21世紀の定員内不合格(№05)



21世紀の定員内不合格(№05)


《上村君の命日に「定員内不合格」にされた子どもの数》



2月20日の前期試験の発表で、千葉県の全日制高校11校で49人が定員内不合格。

定時制高校で8校で20人が定員内不合格


       ◇


《千葉県の定時制高校の「定員内不合格」》


今年も千葉県では、「定員内不合格」によって、白昼堂々と15歳の子どもたちが学校から切り捨てられていく。

千葉県の入試は、前期、後期、二次募集、追加募集(定時制のみ)の4回の受検機会がある。

それでも、最初から「定時制高校」を受検せざるを得ない子どもには、それぞれの事情がある。

中3まで昼間の学校しか知らない子が、夜の学校を選ばざるを得ないのには、それなりの事情がある。

だが、千葉県の定時制高校は、一人ひとりの子どもの置かれた事情など、まったく興味も関心もないようだ。


県教育委員会が、「定員の確保に努めること」「定員の遵守に努めること」と通知を出しても、校長はまったく聞く耳を持たない。


2月20日の前期試験の発表で、全日制高校で11校で49人が定員内不合格。

定時制高校で8校で20人が定員内不合格。

(速報値なので、受検当日の欠席等の事情は不明。)


        ◇


「15才」という年齢は、この国の「行政機関」が、その子の存在を把握できる「最後の機会」である。

「義務教育」を終了してしまったら、子どもが家を出てしまったら、その後は「居所不明」であろうと「無国籍」であろうと、誰もその子に必要な社会的支援を提供する機会を持たない。


いま、この国は、社会は、大人は、「子どもの貧困」や「障害者差別解消」のために、国会で法律を作って「社会的支援」を届けようとしている。

それなのに、社会の手が確実に届く、最後の年齢である15歳の中から、0.数パーセントの子を、切り捨てる。

高校に行きたいという意思を示して、高校受験を前期、後期、二次募集、追加募集と4回の受験に挑戦し続けても、その学校に空いている席がたくさんあるのに、「お前は座らせない」と拒否する。


公立高校の定員内不合格とは、そういうことです。

定時制高校の定員内不合格とは、そういうことです。


この国は、「子どもの貧困」を、なくすために法律を作ったのではなかったか。

この国は、「障害による不利益」をなくすために、法律を作ったのではなかったか。


定時制高校を「定員内不合格」にされるような子は、貧困だろうが、障害だろうが、関係ない、ということなんだろうか。

そんな15才の子は、孤立しようが、無力だと感じようが、自業自得だと、この社会は見放し続けるのか。

そして「透明」にして、いないことのように扱い、忘れる。


昨日は、中学1年生の上村くんが殺されて2年目の命日だった。

あの事件の少年たちは被害者も加害者も、社会が孤立させ、無力にさせ、透明にさせている子どもたちではなかったのか。

事件が起こると、それまで「透明」だった子どもが、社会に現れる。
そうすると、加害者に厳罰をという声だけが大きくなる。

殺された子は、ただ「不運」なだけで終わらせられる。

それは、またそうした環境に置かれた子どもたちを、また透明にして終わりということを繰り返すことでもある。


本当にこの社会は、15才から19才までの子どもを、守らない。とことん守らない。守ろうとしない。


親のいない子どもを育てているはずの養護施設や児童相談所でさえ、15才で高校に行けない子どもを、社会に「自立」させようとする。


この社会は、15才の1%の子どもを見捨てて、「透明」にしてしまうことにあまりに鈍感だ。
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