高校要望書2022
今年の要望書提出の直前に、新しい法律が成立しました。
その条文のいくつかを読んでいるうちに、昔からの疑問がわき上がりました。
もともと知的障害者の受検を想定せずに始めた「高校入試」の選抜制度そのものが、「いかさま」であり、「差別」であるという感覚です。
そうはいっても、入試を受けなければ、入学できない。だから、さまざまな受検の配慮を認めさせながら、入学をつないできた。
でも、法律が「全ての障害者が、社会を構成する一員として・・・あらゆる分野の活動に参加するためには、必要とする情報を十分に取得し、円滑に意思疎通を図れることが極めて重要」と認めているのです。
今こそ、99%が進学する、無償の、後期中等教育の学校で、「定員」が空いているのに、学べない障害児がいることはあり得ないと、表現したいのだけど。。。。
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《視覚障害のある受験生に「見る」試験を課すことや聴覚障害のある受験生に「聞く」試験を課すことはありません。しかし、知的障害のある生徒で文字を書かず言葉でのコミュニケーションに障害のある受検生に対しては、通常の「作文」「面接」を課してきました。
その上で「コミュニケーションができない」という理由で定員内不合格にされるケースが繰り返されてきました。》
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2022年6月14日
千葉県教育委員会教育長 冨塚昌子様
千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会
要望書
貴職におかれましては千葉県のインクルーシブ教育の推進への御尽力に心より敬意を表します。
令和4年度の入学者選抜においては、定時制高校の二次募集と追加募集において定員内不合格者0という結果でした。障害児の高校進学について33年話し合いを重ねてきて初めての経験でした。定時制高校が中学卒業生にとって教育のセーフティーネットとしてあることに心からの安心と喜びを実感しました。ただ全体では未だ43名の定員内不合格があり、障害のある生徒も含まれている現実があります。また例年認められてきた「特別配慮申請」の一部が認められなかった事例や、入学後、障害に対する合理的配慮や意思疎通支援の理解が足りず、進級が認められない事例がありました。
萩生田文部科学大臣は、令和2年2月18日の衆議院予算委員会で、重度知的障害者の普通高校入学について、「障害を理由に入学を拒否されることは絶対にあってはならない」と述べました。また、令和4年5月22日に成立した、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」では、「全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化などあらゆる分野の活動に参加するためには、必要とする情報を十分に取得し、円滑に意思疎通を図れることが極めて重要」とされています。そこで障害のあるすべての生徒の後期中等教育を受ける権利が保障されるよう、以下について要望いたします。
なお回答は「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立に伴い文書にて7月末日までにお願いいたします。
記
① 高校進学を希望するすべての中学卒業生に、後期中等教育の機会を保障するため、千葉県公立高等学校における「定員内不合格」0への施策を継続、実現して下さい。
② 「令和4年度千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」には、「やむを得ず定員内不合格者を出した学校については、後日ヒアリングを実施する。」とあります。
高校校長が、特別配慮申請書を提出している受検生を「定員内不合格」と判断しようとする場合、障害を理由に入学を拒否されることがないよう、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮・評価の確認のため、県教育長との「事前協議」を実施して下さい。
③ 「令和4年度千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」には、「受検者数が当該選抜で募集した人員以下の場合においては、特段の理由がない限り入学許可候補者とし、定員を確保すること」とともに、「入学許可候補者の決定に当たっては、校長は県民に対し、選抜・評価方法に関する説明責任を果たせるよう、適切に対応すること。」とあります。
そこで「定員確保」ができない制度上の「特段の理由」等について、「隣接県協定(学区の特例)」に起因するケース、受検放棄等により受検が成立しなかったケース等、過去にどのような事例があったかを、説明可能な範囲で公開してください。
④ 受検上の特別配慮申請について。本人保護者が中学の担任校長や県教育委員会等と確認し提出した特別配慮申請が入試直前に不許可となることは、配慮が実施されないだけでなく、入試までに長い期間をかけて本人と「意思疎通」してきた内容が反故にされることであり、障害による不利益そのものです。本人保護者が申請した配慮を高校校長が不要と考えた場合、県教育長、中学校、高校、本人保護者の4者で再調整する機会を設けて下さい。
⑤ 合理的配慮の申請にも関わらず十分な配慮や意思疎通支援が得られず単位修得が認められないことのないよう、『障害のある生徒の指導連絡協議会』の案内を全高校に周知してください。また、合理的配慮を必要とする生徒の進級・卒業についての相談窓口を千葉県教育委員会内に設けて下さい。
⑥ 千葉県公立高等学校へのエレベーター設置計画を作成して下さい。現行の入学後の設置では約2年半の期間がかかり、学校生活の大半を障害による不利益を抱えたままで送らなければなりません。小中学校のエレベーター設置率が上昇している中、多くの生徒にとって高校で初めてエレベーターのない不自由な学校生活に直面することになります。そのため学校見学の際に、あえて「エレベーターがない」ことを説明されることも、本人の志望校の決定の「不利な条件」となります。合格の後に設置する方針を転換し、長寿命化などの計画に合わせて公立高校へのエレベーター設置計画を進めて下さい。
⑦ 知的障害のある生徒に「作文」「面接」試験を課す際の合理的配慮、意思疎通支援について。
高等学校の入学者選抜においては、視覚障害のある受験生に「見る」試験を課すことや聴覚障害のある受験生に「聞く」試験を課すことはありません。しかし、知的障害のある生徒で文字を書かず言葉でのコミュニケーションに障害のある受検生に対しては、通常の「作文」「面接」を課してきました。その上で「コミュニケーションができない」という理由で定員内不合格にされるケースが繰り返されてきました。障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法第1条(目的)では「全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化などあらゆる分野の活動に参加するためには、必要とする情報を十分に取得し、円滑に意思疎通を図れることが極めて重要」と説明され、相互に尊重し合う共生社会の実現に向けて、「障害者の情報の取得、利用、意思疎通に関する施策を総合的に推進する」と明記されています。そこで令和5年度公立高等学校入学者選抜において、知的障害のある生徒の「作文」「面接」試験における意思疎通支援の在り方や評価について、新法の目的に沿う改革を実現してください。
以上
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