「世界内存在」(2)の続き

2022-09-13 05:34:39 | 「第三次世界大戦前夜」

     「世界内存在」(2)の続き

 

 ハイデガーは、人間が科学技術によって世界を資料・材料にして人間中心

に作り変えることを「存在忘却」、或いは「始原喪失」と言って批判した。

たとえば、今日では録音、録画の技術は科学の進歩によって様々なバーチャ

ル・リアリティ(VR:仮想現実)の世界を再生させることが可能になり、すで

に多くの子どもたちがビデオゲームの中の悪人と闘ったり、怪獣を滅ぼした

りして楽しんでいる。しかし、そこには本来の現実の世界は存在しない。ま

た、アメリカMLBのロサンゼルス・エンゼルスで活躍する大谷翔平選手の

衛星中継で送られてくる映像とは実際は画面上を電気によって動く画素の集

積画像にすぎない。そこには実際の大谷翔平選手も観衆も存在しない。こう

して我々は、実際の存在、つまり事実存在としての大谷翔平には一度も会っ

たこともないのにメディアよって理想(イデア)化された大谷翔平選手の活躍

に感動する。まさしく「存在忘却」である。


「人はみんないつか死ぬ」(2)

2022-09-11 23:22:13 | 「第三次世界大戦前夜」

    「人はみんないつか死ぬ」(2)      

 

 

 同居する要介護4の老人が、

「もう死にたい」と言った。

私はその想いが痛いほどわかった。だから、

「社会秩序や法律なんかよりも、いつでもあんたの意志を優先してやる」と

応えた。そして、

「本当に死にたいと思うのなら、いつでもおれが楽にしてやる」と言うと、

安心したのか静かに眠った。私はそう言いながら、かつてベルナール・

ビュッフェという著名な画家が、パーキンソン病に侵されて絵筆が持てなく

なると、最後はビニール袋を被って自殺したことを思い出したので、部屋中

のゴミ箱に入ってるゴミ袋を取って回った。

 命とは、生か死かの二択ではなく、その間には病という無数の苦しみが横

たわっていた。


「世界内存在」(2)

2022-09-11 15:34:01 | 「第三次世界大戦前夜」

              「世界内存在」(2)

 

哲学者ハイデガーは近代科学に対して否定的であった。彼はドイツ南西部のバ

ーデンヴュルテンベルク州にある西と南をライン渓谷に囲まれたシュヴァルツ

ヴァルト(ドイツ語:黒い森)の標高1000mの高地にあるトートナウベルク

に山荘を建てて暮らし、ラジオ放送でも「我々はなぜ田舎に留まるか」とい

う講演まで行っている。


「人はみんないつか死ぬ」の続き のつづきの追加

2022-09-10 13:33:26 | 「第三次世界大戦前夜」

      「人はみんないつか死ぬ」の続き のつづきの追加

 

1993年7月に出版され当時ベストセラーにもなった鶴見済氏の本

「完全自殺マニュアル(太田出版)によれば、その本は様々な自殺の時の痛さや

苦しさについて語られているが、西部 邁氏が選んだ入水自殺については、

「入水自殺は基本的に窒息死だ。何秒かの呼吸困難・窒息状態を味わわなけ

ればならないので、安楽自殺というわけにはいかない。」

とあり、やはり苦しいようだ。ただ、西部 邁氏が入水自殺を選んだ理由は以

下の記事にあるようにまた別にあったのかもしれない。

「西部 邁氏の自殺に影響を与えたかもしれない、ある女性の死」

 

 


「人はみんないつか死ぬ」の続き のつづき

2022-09-05 18:06:43 | 「第三次世界大戦前夜」

   「人はみんないつか死ぬ」の続き のつづき    

 

 

  スイスのように医師の幇助を受けて安楽死を選ぶ以外にも、ただ

 死ぬだけなら、方法は幾らでもある。にもかかわらず驚かされたのは、

評論家の西部 邁 氏が入水自殺を選んだことだ。彼は以前から自栽を公言

していて、その為に短銃を入手しようとしたが、手に入らなかったらしい。

たぶん、短銃ならそれほど苦しまずに意識を失うのかもしれないが、しかし

入水自殺は呼吸困難に陥って相当苦しまなければならないのではない

かと思ってしまう。以前、川岸に流れ着いた土左衛門を見たことがあった

が、水膨れでパンパンになった体は決して穏やか様子ではなかった。ただ、

博学である西部氏が何故入水自殺を選んだのかわからない。入水自殺って苦

しくないの?