地球は「温室」化の瀬戸際 人が住めなくなると警鐘
【8月7日 AFP】
2018年8月7日 13:16 発信地:タンパ/米国 [ 米国 北米 ヨーロッパ]
http://www.afpbb.com/articles/-/3185176?cx_part=latest
化石燃料による大気汚染がこのまま続けば、地球は危険な「温室」
状態が永続することになりかねない──。欧州などの研究者らが6日
、そう警告する論文を米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。
環境保護と経済成長を両立させるグリーン経済への転換を地球規模で
早急に実現する必要があると訴えている。
デンマークのコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)や
ドイツのポツダム気候影響研究所(Potsdam Institute for Climat-
e Impact Research)、オーストラリア国立大学(Australian Natio-
nal University)などの研究者がまとめた論文によると、このまま極
地の氷が解け、森林が伐採され、温室効果ガスの排出量が増え続けて
いくと、地球は転換点となるしきい値を超える。そうなれば気温は産
業革命前よりも4~5度上昇し、海面は現在よりも10~60メートル上昇
する。
21世紀末までに各河川は氾濫し、沿岸地域は暴風雨にさらされ、サ
ンゴ礁は消滅。地球の平均気温は過去120万年間のどの間氷期よりも
高温になるという。
「温室化した地球(Hothouse Earth)」が現実のものになれば、地
球は人が住める場所ではなくなってしまう」。論文の共同執筆者であ
るスウェーデンのストックホルム・レジリエンス・センタ(Stockho-
lm Resilience Centre)所長、ヨハン・ロックストローム(Johan R-
ockstrom)氏は危機感をあらわにする。
論文は、地球の気温が産業革命前比で2度上昇すると、この転換点
を迎える可能性があると指摘する。すでに1度上昇しており、10年間
に0.17度の割合で上がり続けている。
「平均気温が2度上昇すると重要な転換要素が活性化され、気温がさ
らに上昇する。これによって他の転換要素がドミノのように次々と活
性化されていき、地球全体がさらに高温になる」。研究チームはそう
予測する。
論文の共著者でポツダム気候影響研究所の所長を務めるハンス・ヨ
アヒム・シェルンフーバー(Hans Joachim Schellnhuber)氏は、こ
うした連鎖が起きるようになれば「地球というシステムの全体が新た
なモードに入ることになりそうだ」とみる。
論文の予測は、地球の転換点に関する先行研究を基にしている。ほ
かにも、二酸化炭素(CO2)濃度が現在と同じ400ppmだった500万
年前の鮮新世などの状況も参照した。
論文は、地球の世話役として人間は今すぐにでも生活スタイルを変
える必要があると強調。化石燃料を、最終的に廃棄物をゼロにする「
ゼロエミッション」のエネルギー源で置き換えていくことや、植林の
ようなCO2吸収に関する戦略をさらに考え出すことを提言している。
シェルンフーバー氏は「地球の気候が産業革命前から2度上昇のぎ
りぎり手前で安全にとどまっていられる保証はない」と警鐘を鳴らし
ている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN