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ハイデガーが私淑したニーチェは著書『ツァラトゥストラはこう語った』の
中で「永劫回帰説」を提唱したが、その根拠となる思考は「無限の時間の中
で有限の存在が流転を繰り返すとすれば、同じものが永遠に回帰する」とい
うものである。それでは今日の我々が置かれた状況が過去にも同じようなこ
とが起こったことがあったのかと振り返れば、およそ百年前にはスペイン風
邪のパンデミック(1918年~1920年)が起こり、そして間もなくして
関東大震災(1923年)が発生、さらに新興国アメリカから起こった世界恐慌
(1923年~1930年)、そして遂には第二次世界大戦(1939年~19
45年)へと繋がっていった。それでは今日の我々が置かれた状況はと言え
ば、出来事の年代順は無視して拾い出せば、東日本大震災(2011年3月1
1日)、中国湖北省武漢から蔓延したコロナウィルスのパンデミック(2019
年~)、ロシア軍によるウクライナ侵攻(2022年2月24日~)、このよう
にあたかも同じことが繰り返されているのではないかと感じているのは私だ
けなのだろうか?ただ、世界恐慌と世界大戦はまだ起こっていないが、しか
し地球温暖化をもたらす化石燃料の高騰によってスタグフレ―ション、つま
り景気が後退していく中でのインフレーション(物価上昇)が同時進行する
現象はすでに世界中で起こり始めようとしている。そして、もしも世界恐慌
になれば貨幣価値が暴落して経済秩序が崩壊し、実際百年前がそうであった
うに、食糧需給が滞り飢饉が拡がり多くの社会的弱者が餓死した。否、すで
に地球温暖化がもたらす異常気象から世界的な食糧需給のひっ迫が予測され
ている。すると恐らく政治家は国内不安から国民の目を逸らせようとして敵
対国への対立を煽って戦争已む無しを正当化しようとする。かつて太平洋戦
争に至る支那事変はまさにわが国が仕掛けた軍事侵攻に違いなかった。おそ
らく次の世界大戦は「地と大地」に基づく民族・国家主義対立とは異なる、
ロシア・ウクライナ戦争に見られるようなイデオロギー戦争へと向かう
のだろう。
(つづく)
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