「人はみんないつか死ぬ」(2)

2022-09-30 06:55:13 | 「第三次世界大戦前夜」

             「人はみんないつか死ぬ」(2)

 

 学生の頃、大学病院の研究室に臨時職員として働いたことがあった。つま

り二部制の学校に通っていた。仕事の方はカルテや文献などの資料を探して

コピーする雑用のほかに、主に先生たちが犬を使って動物実験するための手

術の手伝いだった。話は逸れるが、かつて難病(軟骨肉腫)を患って顔の半分を

切除しなければならなくなった大島みち子さんという女性は、最後には完治

できずに亡くなられ、残された恋人との交換日記が「愛と死を見つめて」と

いう題で出版されベストセラーになり、またその本を映画化した吉永小百合

主演の映画も大ヒットしましたが、その映画の中で彼女が「実験に飼い置か

れし犬の声 病舎にひびきて夜寒身にしむ」と詠んでいたのを観て驚いた

が、まさにその「実験に飼い置かれし犬」の世話をずっと後のことではある

が任されていた。今では考えられないことだが、実験には輸血用の血液が大

量に必要な為に、ただその為だけに、動物の保護施設から運搬用のケージに

入れられて身動きできない犬に麻酔薬を注射して眠らせ、後ろ足の動脈にカ

テーテルの針を挿して脱血して血を集めた。もちろん犬は何も抵抗せずに絶

えた。そもそも術後の経過観察は目的ではないので、血液型とかは関係なか

ったのだと思う。術後の実験室の片隅には血を抜かれて殺された犬が投げ捨

てられていた。彼らのあっけない死に方を見ていて、私は、もしも、どうし

ても自栽しなければならなくなった時は、カテーテルを使っての脱血死が痛

みもなく徐々に意識が遠のいて行って穏やかに死ねると思った。たとえば、

リストカットによる死因も大量出血による出血性ショックである。しかし、

鶴見済氏の著書「完全自殺マニュアル」によれば、「動脈は皮膚下6~7

mmにあり見た目よりも少し深い。動脈を突き刺し、えぐるように切らなけ

ればならない。それだけ狙いを定めても、本気で切れば近くを通る正中神経

も切ってしまうので、かなり痛い。」

「かなり痛い」のだ!で、あれば、なおさら個人ができる最善の「安楽死」

の方法は、カテーテルを用いての出血死しかない。もしもカテーテルが無く

ても注射針さえあれば、注射針を動脈に刺したままの手首を湯を張った浴槽

に漬ければ出血は進む。ただ、注射針を動脈に刺せばそこから一機に血が噴

き出して辺りが血だらけになることを覚悟しなければならないが。

脱血という行為が異常なことのように思われるかもしれませんが、実は血液

の人工透析の治療を受けている多くの透析患者はダイアライザー(血液透析

器)という機械で透析を行なう為に脱血を繰り返しています。ちなみにイン

ターネットでの注射針の購入には何の規制もなく買うことができます。もち

ろん、まだ私は生きているので試したことはありませんが、ただ、私が「安

楽死」を認めるべきだと訴えるのは、すでにスイスでは厳格な審査の下で安

楽死の幇助が認められていて実施されていている。もはや回復の見込みない

重度の障害者や、延命処置によってただ生かされているだけの肉体に果たし

て、再び人間として尊厳を取り戻す可能性がどれほど残されているのだろう

か?もちろん、本人の意志が最優先されるべきだが、厳格な基準の下で安楽

死を認めてもいいのではないか。


「あほリズム」(903)

2022-09-24 15:05:01 | 「第三次世界大戦前夜」

 以下のニュースはこれからの世界がどこへ向かおうとしているのかを

暗示しているように思えてなりません。

 

    *        *       *

[フランクフルト/ミュンヘン 20日 ロイター] - ドイツのデュッセルドルフを拠点にトイレットペーパーを製造するハクレは1928年創業の老舗企業だ。それが今年夏のガス料金高騰で、あっさり倒産してしまった。ロシアが欧州への天然ガス供給を中止したことで、ハクレのようなエネルギー集約型産業は特に大打撃を被っている。

「あっという間の出来事だった。電気とガスの料金が爆発的に上昇し、とてもではないが顧客に転嫁するのが追い付かなかった」とハクレのマーケティング責任者、カレン・ユング氏はロイターに語った。

8月以降、同社のように債務超過に陥る企業が急増し、欧州一の経済大国ドイツを倒産の大波が襲うのではないかとの恐れが広がっている。

ガス料金の高騰、数十年ぶりのインフレ、リセッション(景気後退)の恐れ、冬の燃料不足といったリスクから国民を守ろうと尽力するショルツ政権に、企業倒産という重圧が加わった格好だ。

ドイツの8月のエネルギー価格は前年同月比139%上昇した。

ハーベック副首相兼経済・気候保護相は今月のテレビインタビューで、生活に苦しむ顧客が商品を買わなくなったからといって企業が必ずしも倒産するわけではない、と発言して炎上した。

 

        *        *          *

 

 つまり、世界では地球温暖化をもたらす化石燃料の使用は制限されて高騰

し、ところが、温暖化問題よりも経済を優先するロシアのような国が世界が

自粛して改善した環境へ遠慮することなく温室効果ガスを排出する天然ガス

を売りまくて稼ぐ。こうして、温暖化物質の排出は減ることなく、そして覇

権主義を掲げるロシアは「漁夫の利」を得て、やがて「悪貨が良貨を駆逐す

る」。つまり、地球環境を守るための規制のネットは全ての国を覆わなけれ

ば意味がないのだ。


「人はみんないつか死ぬ」(3)

2022-09-14 22:42:21 | 「第三次世界大戦前夜」

         「人はみんないつか死ぬ」(3)

 

 

ゴダール監督は「自殺ほう助」で死去と仏紙 | 共同通信  

【パリ共同】フランス紙リベラシオンは13日、映画監督ジャンリュック・ゴダールさんは、スイスで認められている「自殺ほう助」により亡くなっと報じた。

Jean-Luc Godard at the Cannes Film Festival in 2004 フランス映画界の「ヌーヴェルヴァーグ(仏語:新しい波)」の旗手として

代表作「勝手にしやがれ」などで知られる映画監督の彼は、自ら「安楽死」

を希望して、スイスでは法的に認められている安楽死を幇助する団体の下で

安楽死した。91歳だった。

 何度も言うが、私は高齢化社会の日本は、もちろん本人に迷いのないこと

が大前提だが、「安楽死」を認めてもいいのではないかと思う。「ピンピン

コロリ」が終末医療の理想であるとすれば、もはや「ピンピン」

を取り戻せることが不可能であれば、苦痛に苛まれた延命治療よりも、自ら

が死を望む「コロリ」を選択することがあっても許されるのではないかと思

う。だって死刑は認めているのだから

 

 


「世界内存在」(2)の続き

2022-09-13 05:34:39 | 「第三次世界大戦前夜」

     「世界内存在」(2)の続き

 

 ハイデガーは、人間が科学技術によって世界を資料・材料にして人間中心

に作り変えることを「存在忘却」、或いは「始原喪失」と言って批判した。

たとえば、今日では録音、録画の技術は科学の進歩によって様々なバーチャ

ル・リアリティ(VR:仮想現実)の世界を再生させることが可能になり、すで

に多くの子どもたちがビデオゲームの中の悪人と闘ったり、怪獣を滅ぼした

りして楽しんでいる。しかし、そこには本来の現実の世界は存在しない。ま

た、アメリカMLBのロサンゼルス・エンゼルスで活躍する大谷翔平選手の

衛星中継で送られてくる映像とは実際は画面上を電気によって動く画素の集

積画像にすぎない。そこには実際の大谷翔平選手も観衆も存在しない。こう

して我々は、実際の存在、つまり事実存在としての大谷翔平には一度も会っ

たこともないのにメディアよって理想(イデア)化された大谷翔平選手の活躍

に感動する。まさしく「存在忘却」である。


「人はみんないつか死ぬ」(2)

2022-09-11 23:22:13 | 「第三次世界大戦前夜」

    「人はみんないつか死ぬ」(2)      

 

 

 同居する要介護4の老人が、

「もう死にたい」と言った。

私はその想いが痛いほどわかった。だから、

「社会秩序や法律なんかよりも、いつでもあんたの意志を優先してやる」と

応えた。そして、

「本当に死にたいと思うのなら、いつでもおれが楽にしてやる」と言うと、

安心したのか静かに眠った。私はそう言いながら、かつてベルナール・

ビュッフェという著名な画家が、パーキンソン病に侵されて絵筆が持てなく

なると、最後はビニール袋を被って自殺したことを思い出したので、部屋中

のゴミ箱に入ってるゴミ袋を取って回った。

 命とは、生か死かの二択ではなく、その間には病という無数の苦しみが横

たわっていた。