口さみしい人は、飲むことそのもので自分をなぐさめているのだ。食べている瞬間は、自分も他人もことさら意識しない幸せの瞬間でもある。口さみしいというのは、こうした満足感と安心感の持てない状態である。
愛情を喪失すると、代わりのものをどうしても体内にとりこもうとしてしまう。または自分を満たしてくれない対象を憎悪し、食べることを拒否する。
自分に悪いところがあるという感覚があると、それを癒そうとする。結局、癒そうとすれば自分の中に悪いものがあるという内的確信(思い込み)につながっていく。これは、深いところの自己信頼の低さからくる。現実と自分の想いのギャップに苦しむ。
この感覚を麻痺させようと酒におぼれる。何とかなるさと酔いにまかせてボーッとして、何の葛藤もせず、母親に抱かれているような一体感を味わっている。自分の願望がいつか現実になると信じている。
リアルティーがないのだ。
幼児のとき、自分が十分に与えられなかったと感じたとき、不満や憎悪を抑圧する。与えられるはずのものが自分をないがしろにして他人に与えられたと確信したとき、嫉妬の感情がおこる。こういう人は、相手を許すことができない。
安心して人を信ずるという二者関係が持ち難いため、そこに第三者が現れると嫉妬してしまう。つまり、三者関係に極端に弱く、容易に不安定になり混乱してしまうのである。この恐怖に裏打ちされた嫉妬心は見棄てられる不安から出発するのである。したがって、恐怖の救済ないし克服を人という対象に求めてしまうからにほかならない。