燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医徳田安春の最新医学情報集。問診、フィジカル、医療安全、EBM、臨床研究に強くなれます。

POS(Problem-Oriented System)とは

2016-06-06 | 勉強会

 

3          POS(Problem-Oriented System)とは

 

POSとは、患者のもっている医療上の問題に焦点を合わせ、その問題を持つ患

者の最高の扱い方(best patient care)を目指して努力する一連の作業ジステムであ

る。このシステムは、単に新しい方法での診療記録を作ることではなく、作成

したものを監査し、患者の完全な科学的診療記録として修正して患者のケアに

役立てる仕組みを提供するものである。_

POSは次の三段階によって構成される。

第1段階:Problem Oriented Medical Record(POMR:問題志向型診療記録)

の作成

第2段階:POMRの監査(記録中の欠陥を発見する方法)

第3段階:記録の修正(欠陥を修正して完全な記録を仕上げる方法)

 

1段階一Problem Oriented Medical Record (POMR:問題志向型診療記録)

1.基礎データData Base

患者の生活像(patient profile)、病歴、診察所見、検査データ

2.問題リストProblem List

病名(診断)、診断やケアに役立つ問題としての症状なり所見、社会的問題、

精神的問題

3.初期計画1nitialPlan

問題リストの一つ一つに対して計画を立てる。

a.診断上、また、患者ケア上に必要な諸作業計画Diagnostic Plan

b.治療上の計画Therapeutic Plan

c.教育的計画Educational Plan

4.経過記録Progress Notes

a叙述的経過ノート(Narrative Notes) S,0,A,P

S;Subjective or Symptomatic

患者が直接提供する主観的情報

O;Objective

医師や看護婦が取り出す客観的情報

A;Assessment

医師や看護婦の判断

P;Plan

患者の診断、治療指針、患者への教育

b経過一覧表(Flow sheets)

5.退院時要約Discharge Summary

 

2段階一POMRの監査(Audit)

1.患者のケアの記録作成が適正であるかないかを明確にさせる。

1)基礎データとして、どういうものが明確にもちこまれているか

2)どのように問題点がとりあげられ、整理されているか

3)計画の中の3つの項目(診断、治療、教育)について、何が見いだ

されるか

4)経過ノートの中の4つの項目について、何が見いだされるか

2.1.にあげた医療行為が

1)徹底して(thoroughly)

2)信頼のおけるように(reliably)

3)能率的に(efficiently)

になされているかどうかを監査する。

3.記録の中の欠陥を確認し、修正する。

 

3段階_記録の修正

POMRの監査によって、POMRの欠陥が発見される。この欠陥の修正は非

常に教育的であり、患者のケアに大きな利点をもたらすものとなる。

 

POMRのチェックリスト

 

Data base :

Data baseは十分であるか?problemを解決するに当たり、全ての情報がそろっているか?そのdataは患者の年齢、性に合致しているか?

そのdata baseは信頼に値するか?病歴や身体所見は正しくとられているか?インターンの先生とレジデントの先生の所見に食い違いはないか?

Work-upを仕上げるための時間は無駄に長くないか?

 

Problem list :

全てのabnormal dataはproblemとして記録され、系統だって述べられているか?

Problem listは推測や印象またはrule-outにとらわれていないか?

Problemはactiveな問題とinactiveな問題とに分けられているか?

関連したproblemは一つにまとめられているか?

適度な時間でそのproblem listは解決できるか?

Problem listは日々更新しているか?

 

Initial plan:

各problemにplanが立てられているか?

Rule-outすべきものに優先事項をつけ各々の可能性を解決する明確なplanが立てられているか?

各problemに明確で包括的な目標が設定されているか?

各problemに正確な秩序立った解決方法があるか?

各種検査や画像のオーダーは適当かどうか?

 

Progress Note:

各problemの経過をカバーしているか?

Planの経過はfollowされているか?

新たな情報や修正されたplanにより論理的な解決が導かれているか?

最初に、適切なproblemが調べられているか?

 

こんなとき、フィジカル2 超実践的! 身体診察のアプローチ
徳田安春
金原出版

 

科学的根拠に基づく最新医学情報とグローバル・スケールでの先端医学のホットな話題を提供し、わかりやすく解説します。メルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」こちらいかがでしょうか。

 

臨床推論の総論とピットフォールをマンガでサクッと1時間以内に習得できます。エキスパート診断医への一歩を踏み出すことができます。「マンガ臨床推論~めざせスーパージェネラリスト~」こちらも合わせていかがでしょうか。

 

テレビや新聞より早いグローバルな情報や科学的に正確なエビデンスに基づき、サプリなどの宣伝なしの信頼性の高い中立な情報をお届けします。キンドル版「知っておくと役に立つ最新医学2016(ノンフィクション)」こちらもいかがでしょうか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 緊急告知 第14回水戸医学生... | トップ | EBMについて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

勉強会」カテゴリの最新記事