燃えるフィジカルアセスメント

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胸の単純レントゲン写真を毎年撮っても肺がん死亡率は下げられない

2015-10-05 | 総合診療ニュース

がんで死なないためにはがんの早期発見、早期治療が原則ではあります。

 

 そのために住民検診や職場検診で胸のレントゲンを撮影する機会はあります。

 

 しかしながら、特に症状のない人に胸の単純レントゲン写真を毎年撮影しても肺がんの発症率・死亡率は共に変わらないという研究結果があります。

 

 米国の55~74歳の成人15万人あまりを対象に行われた研究で、約半数の人が毎年4年間にわたり胸の単純レントゲン写真の撮影を受け、残りの半分の人はそのような撮影を勧められませんでした。

 

 最大13年間にわたって調査は続けられましたが、結果として胸のレントゲンを4年間撮影しても肺がんの発症率は変わらず、死亡率も変えられないという結果になりました。

 

 今回の研究では検診自体は毎年×4年間という限定的なものですが、様々な計算から4年間で十分な差が出るはずだという仮説に基づいたものですので、長くやればきちんと差が出るに違いないということでもなさそうです。

 

 これまで「レントゲンが問題なかったのだから大丈夫」と思われていた肺がん検診ですが、今米国では高リスク群に対しての低線量胸部CT検診が勧められています。

 

しかしながらむしろ、肺がんについては、違った方法での予防医療のあり方を推奨すべきと思います。

 

それは、禁煙政策を徹底して実施するということです。これほどエビデンスの確立した予防医療はありません。

 

今回は以上です、しかし昨日は少し身体を動かせば汗ばむほどの陽気でしたが、今日はとても涼しいですね、最高気温も二十度前後だそうです、体調管理には充分お気をつけ下さい、では次回に。

 

ドクター徳田安春の養生訓―元気な100歳をめざせ
徳田安春
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