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総論 総合診療医のための術前予防投与推奨例

2016-09-22 | 勉強会
総合診療医のための術前予防投与推奨例
 

 手術部位感染症surgical site infection (SSI)の予防として、 術前投与で推奨されている抗菌薬を表に示す。

 SSIの原因の多く がStaphylococcus aureus であるので、推奨薬もこれをカバーするレジメンとなっている。

 V CMを使用する状況は、 患者がペニシリンアレルギーであるかMRSA保菌者のときである 。

 下部消化管手術のときは、嫌気性菌とGNRカバー、 泌尿器系では腸球菌カバーが重要となる。
 
表:手術手技別術前予防投与推奨例
手術手技
目標菌種
推奨
代替
弁置換
Staphylococcus aureus
CEZ
VCM, CLDM
関節置換
Staphylococcus aureus
CEZ
VCM, CLDM
呼吸器系
Staphylococcus aureus
Streptococcus spp.
口腔内嫌気性菌
CEZ
VCM, CLDM
食道・胃・十二指腸
Staphylococcus aureus
Streptococcus spp.
口腔内嫌気性菌
CEZ
VCM, CLDM
大腸・直腸・虫垂・胆道系
腸管内GNR
嫌気性菌
CMZ
CLDM + AZT(GM)
尿路
Staphylococcus aureus
腸球菌
腸管内GNR
CEZ + GM
AZT
頭頸部
Staphylococcus aureus
CEZ
VCM, CLDM
骨盤内臓器
腸管内GNR
嫌気性菌
CMZ
CLDM + AZT(GM)
帝王切開
Staphylococcus aureus
CEZ
VCM, CLDM
脳神経
Staphylococcus aureus
CEZ
VCM, CLDM
 
 術前の入院期間が長いか、最近の抗菌薬曝露歴がある患者では、S PACE群(前述)とMRSAのカバーも考慮する。


 実際の投与手順を下表に示す。
 
表:SSI予防投与基準
 
1)執刀60分前に投与開始、執刀前に投与終了
2)術中は3~4時間毎に追加投与
3)術後24時間以内(心臓外科手術では48時間以内)に終了*
 *日本のガイドラインでは72時間以内
 

 また、SSIの予防では、下表のような全身管理も重要である。

表:SSIの予防のための全身管理
 
1)低酸素を避ける(>94%
2)低体温を避ける(>35℃)
3)高血糖を避ける(<200mg/dl
4)血管内容量低下を避ける

 

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