総合診療医のための術前予防投与推奨例
手術部位感染症surgical site infection (SSI)の予防として、 術前投与で推奨されている抗菌薬を表に示す。
SSIの原因の多く がStaphylococcus aureus であるので、推奨薬もこれをカバーするレジメンとなっている。
V CMを使用する状況は、 患者がペニシリンアレルギーであるかMRSA保菌者のときである 。
下部消化管手術のときは、嫌気性菌とGNRカバー、 泌尿器系では腸球菌カバーが重要となる。
表:手術手技別術前予防投与推奨例
手術手技
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目標菌種
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推奨
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代替
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弁置換
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Staphylococcus aureus
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CEZ
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VCM, CLDM
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関節置換
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Staphylococcus aureus
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CEZ
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VCM, CLDM
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呼吸器系
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Staphylococcus aureus
Streptococcus spp.
口腔内嫌気性菌
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CEZ
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VCM, CLDM
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食道・胃・十二指腸
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Staphylococcus aureus
Streptococcus spp.
口腔内嫌気性菌
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CEZ
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VCM, CLDM
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大腸・直腸・虫垂・胆道系
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腸管内GNR
嫌気性菌
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CMZ
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CLDM + AZT(GM)
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尿路
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Staphylococcus aureus
腸球菌
腸管内GNR
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CEZ + GM
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AZT
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頭頸部
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Staphylococcus aureus
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CEZ
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VCM, CLDM
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骨盤内臓器
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腸管内GNR
嫌気性菌
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CMZ
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CLDM + AZT(GM)
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帝王切開
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Staphylococcus aureus
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CEZ
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VCM, CLDM
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脳神経
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Staphylococcus aureus
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CEZ
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VCM, CLDM
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術前の入院期間が長いか、最近の抗菌薬曝露歴がある患者では、S PACE群(前述)とMRSAのカバーも考慮する。
実際の投与手順を下表に示す。
表:SSI予防投与基準
1)執刀60分前に投与開始、執刀前に投与終了
2)術中は3~4時間毎に追加投与
3)術後24時間以内(心臓外科手術では48時間以内)に終了*
*日本のガイドラインでは72時間以内
また、SSIの予防では、下表のような全身管理も重要である。
表:SSIの予防のための全身管理
1)低酸素を避ける(>94%)
2)低体温を避ける(>35℃)
3)高血糖を避ける(<200mg/dl)
4)血管内容量低下を避ける
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