もし頭やお腹が痛くなって医師にかかった場合、問診や診察、検査によって、たとえば片頭痛、胃腸炎など、「診断名」が付き、治療が行われます。このように、体調の変化はひとつの病気で説明できると考えられがちです。
ところが、お年寄りでは、そう話は単純ではありません。
ある日、84歳女性のAさんがお嫁さんに連れられて私たちの診療所にやってきました。お嫁さんによると、「最近夜中トイレが間に合わなくなったようだ。そのことも覚えていないので、認知症になったのではないか?精密検査をしてほしい」とのことでした。私たちが、お二人から詳細な病歴をとり、慎重に診察をしたところ、以下のことがわかりました。
Aさんはもともと糖尿病と高血圧である病院の内科にかかっており、また近くの整形外科医院で膝の治療をうけ、また眼科医院で白内障の手術をすすめられていたとのことでした。そして最近、内科で利尿剤が追加されていたのでした。そのうえ、Aさんの自室からトイレまでの廊下が暗いこともわかりました。
整理するとこういうことです。Aさんはこのところ膝が悪くて、トイレにいくのに時間がかかるようになっており、特に夜は白内障で足元が不安になっていた。さらに利尿剤によって尿量が増えて、ついに間に合わなくなってしまったということでした。以前にもらった睡眠導入剤もこっそりのんでいたようです。その薬の影響でとくにふらふらしていたのでした。いくつか問題が累積して、今回の事態が生じたのです。認知症スケールでの評価で、Aさんに認知機能障害はありませんでした。
お年寄りに何か健康問題が生じた場合、ひとつの病気をみつけることが解決につながることは、約50%程度といわれています。多くの問題が複雑にからみ合って問題が生じていることが多いのです。お年寄りに気になることがあったら、まず様々な視点から患者さんを診ることができる。総合系医療機関でまず相談してみるということを考えてもいいのではないでしょうか。
今回はここまでです、しかし、錦織選手やってくれましたね、米国はワシントンD.C.でおこなわれた、シティオープンで優勝しました、これで世界ランクも上がって四位です、決勝の相手と一緒の写真を見ましたが、大人と子どものような体格差でした、それでも勝ったのですからすごいですね、全米オープンも頑張って! では次回に。
こんなとき、フィジカル: 超実践的! 身体診察のアプローチ | |
徳田安春 | |
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