パップのライブラリー・・・

趣味の野鳥撮影を中心に季節の風景や心象を、徒然に・・・心の赴くまま・・・写真と言の葉遊びで・・・

都市部のオオタカとカラスについての考察

2020-08-04 13:37:01 | ネイチャー
今シーズン、私の知る2か所のオオタカのフィールドでは繁殖失敗に終わりました。その原因はカラスの襲撃によるショッキングな出来事でした。
個人的にもここ数年カラスの数が増大し、より攻撃的になっているような印象があり、オオタカ以外にもツミやコアジサシの卵やヒナが襲われるケースが散聞されるようで・・・自分なりに可能な限りその勢力図を調べてみることにしました。

A .カラスの生息数の推移

てっきりカラスの個体数は増えていると思ったら、年々多少の凹凸はあるものの減少傾向にあります。特にH13(2001)の36,400羽から見れば激減です。
ただし、3年ほどの下げ止まりからR1(2019)増加に転じた点が気になります(赤丸部分)。R2(2020)は新型コロナの影響で更なる増加が予測されます。
このカラスの個体数減の背景には
①トラップ(罠)によるカラスの捕獲作戦
②家庭ごみの分別・減量化と対策。※①②とも行政の努力の賜物といえる。
③データには表れないが、カラスの天敵であるオオタカの都市部への進出。(私の推論)

B.カラスの捕獲数の推移

このグラフから都内のカラスの捕獲数はH15(2003)をピークに下降傾向でR1(2019)にはピーク時の約1/4に減少しています。
私見では、「体重当たりの脳の重さ」は人間=1.8%に対し、カラス=1.4%とカラスは大変高く、鳥の中でもダントツだそうです。
記憶力や学習能力の高いカラスは年々トラップに引っかからなくなったのではないでしょうか?また、トラップにかかるカラスは幼鳥や生殖能力のまだない若鳥が多く、世慣れた成鳥はかからないようです。では何故、カラスの捕獲数が減少ながら、個体数も減っているのか?という疑問ですが・・・以下、私の勝手な考察です。

C.オオタカの推定個体数の推移(全国)

S59(1984)では全国で約400羽だったオオタカは、その後の「絶滅危惧種(レッドリスト)」としての保護政策が功奏してH20(2008)には約9,000羽、関東周辺でも約5,800羽(いずれも最大値)に増えています。
残念ながらここまでのデータしか見つけられませんでしたが、H29(2017)オオタカが「希少野生動植物」から解除されたことから、その後も増加傾向は変わっていないと判断されます。もともと丘陵森林部に生息していたオオタカは、個体数の増加とともに都市部へと移行し、都市部においても年々数を増やし続けているといえると思います。
このオオタカの都市部進出がカラスの数を減らす一要因であると、私は思います。

D.オオタカの食性について

このグラフはオオタカの食性を調査したものですが・・・カケスやクロツグミなどがあるように、明らかにこれは山間部の森林地帯の調査です。
それでも赤線にあるようにカラスの捕食率が高まっており、カラスとの接触率の高い都市部においてはなおさらだと思います。
今や低地森林地帯の食物連鎖の頂点に立つオオタカにとってはカラスは日常の獲物となっていてもおかしくない思います。

E.オオタカ幼鳥がカラスを襲う!

これは、昨年私が撮ったオオタカのカラスを襲撃するシーンです。
結果的には、詰めが甘かったか?オオタカはカラスを取り逃がしてしまいました。

F.結論
上記のことをまとめると・・・
①都市部ではカラスの数は減っている。
②オオタカの数は増えている。
③1対1ではオオタカが強く、カラスを捕食することがある。
④カラスは頭がよく、団体行動をする。

自分が観察してきたオオタカ幼鳥がカラスにやられたとなると、何ともやるせない気持ちになりますが・・・
冷静に客観的にみると、同じ生活圏にいるオオタカとカラスではいつバトルが展開されてもおかしくありません。1対1では力が勝るオオタカですが、集団ともなるとカラスが勝ることもあるでしょう!これも「自然の摂理」と割り切るしかないと思います。
よく自然の「生態系の破壊」などという言葉を見聞きしますが、私は自然界の生き物のなかでは「生態系の破壊」はないと思っています。一時的に自然界のバランスが崩れることはあっても、もう少し長いタームで見れば自然界の生き物たちはまた新しいバランスを築くものだと・・・
「生態系の破壊」は人間がもたらすものです。環境破壊、乱獲、密猟など・・・オオタカの数が減ったのもこうしたことが原因です。
もし、人間もオオタカやカラスと同じような「自然界の生き物」とすれば、人間が一番罪深い生き物かもしれませんね!
コメント (2)
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さくら

2013-03-25 19:31:43 | ネイチャー
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満開の桜を見て、美しいと思う。日本に生まれてよかった!と思う。

そう思いつつ・・・何かいつも、素直にそう思えないことがある。

武士道・・・軍国主義・・・

晴れやかに咲いて、潔く散ってゆく桜に例えられ、美化され、欺かれて散っていった若い命。

華やかな桜の花はその裏側に、たくさんの悲しみを秘めているようで・・・

コメント
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