最近「余命局」というのが幅を利かしているらしく、知人との話の中にもちょくちょくと出てくるようになった。
この「余命局」どういったものかというと、個人の健康診断の結果も含むありとあらゆる情報と占いや超能力までも駆使して、各人の余命計算をしているのだそうだ。そして、余命いくばくもなくなってくるとご丁寧に「あんた、もうすぐ死ぬよ。あと○○時間ね♪」と連絡をしてくるのだという。おそらく先日亡くなった元レポーターさんの所なんかにも数時間から数日前に連絡が行っていたことだろう。
まったく大きなお世話だ。こんなことに我々の血税を注いでくれるなって感じだ。自分の人生と死に時は自分で決めるとまでは言わないが、ある程度の想像はついているつもりだし、友人たちについても正確な時間までは分らなくとも「そろそろだ。」とか「なんか嫌な感じがする…」程度の事は言われなくてもわかる。
しかしよく考えてみると、この「余命局」っていうのは公営の死神みたいなものだ。望む望まざるに関係なく、死期が近付いてくるとひたひたと忍び寄ってくる。公務員独特のダークスーツに身を包んでいるのだろうから、黒尽くめなのはあんまり変わらないのだろう。昔話と違うのは大きな鎌を担いでいないくらいか。
何年後に死神からの連絡を受けるのか分らないけど、俺はうろたえたりしないね。さっきも言ったけど、自分の事は自分が一番わかっているつもりだからね。
おっと、もうこんな時間だ。お勘定してくれるかい。そろそろ帰らねぇと、それこそお迎えが来ちまうぜ。
え、電話?
なんで携帯じゃなくて店の電話になんか…
そうか、そういえばこの店いつも「圏外」だったよな。だけど、俺がここに居るのを知っているのはマスター、あんたぐらいだぜ(笑)いったい誰が電話なんか…
もしも~し。 おぅ、よっぱは俺だけど、あんたは?
えっ、余命局? 間に合って良かっただと!? なんで…?
は? あと5分!? 何を言ってんだあんた! からかうのもいい加減にしやがれ!
えっ? いや、あの ちょっと…
嫌になっちまうよな。とんだいたずら電話だぜ。言うだけ言って切りやがって…
お勘定はここへ置くからな。 じゃ、マスターお休み。また明日。
おいっ、マスター 何するん… なんだ?そのでっかい鎌は?
俺に何の恨みが…?
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