今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

シーサーの日

2008-04-03 | 記念日
今日(4月3日)は、「シーサーの日」。「シー(4)サー(3)」の語呂合せからとか。
沖縄県などでみられるシーサーは中国からわたってきた魔よけの獅子(ライオン)像であり、もともとはグスク(城)や寺社の門前、王陵、集落の入り口などに設置されそこに住む人、村に災いをもたらす悪霊を追い払う魔除け、災難避けの意味を持つ「村落獅子」と呼ばれる石造の獅子であったものが、19世紀後半ごろから、民家にも赤瓦(以下参考に記載の「りゅうきゅうねしあ 」の沖縄の赤瓦参照)の使用が許されると、民家の屋根にも据え付けられるようになったようだ。 どうして、屋根の上に据えられるようになったのかはよく判らないようだが、首里城の正殿隅棟(すみむね)中央あたりの前面と背面に1対ずつ「獅子面」の鬼瓦があり、これが「屋根獅子」の始まりと言われているそうだ。
獅子像の源流は古代オリエントのライオンで、シーサーの名前は「獅子(しし)」を琉球語沖縄方言で発音したものだそうである。八重山諸島ではシーシーともいうそうだ。
ライオンの強大な力は人々の憧れや畏怖の的であり、いつしかその威風堂々とした容貌から最強のものを象徴する「百獣の王」と称され、その本種は古来より紋章や文様に用いられている。古代エジプトでは人の顔、ライオンの体、鷲の翼を持つスフィンクスとして神格化されていたが、古代オリエントからシルクロードを通ってくるうちに、街道沿いの国々の様々な文化や生活様式などに影響されながら、現実のライオンからは離れた“獅子”へと変容して中国経由で伝わってきたものと考えられる。
それが、日本本土では中国大陸から直接わたってきたのが唐獅子、朝鮮半島を経てきたのが狛犬、中国から沖縄に伝わったものがシーサーとよばれる獅子像となったといわれており、沖縄のシーサーは、日本本土に伝わった「唐獅子」や「狛犬」とそのルーツは同じではないかとされているのだが、・・・。そして、シーサーは、元々は単体で設置されていたものだが、仏教思想の影響からか、阿吽像一対で置かれることが多くなったという。
「阿(あ)吽(うん)」・・懐かしい言葉である。
「コマイヌサン  ア  コマイヌサン ウン」
私達の年代・・つまり、戦前生まれの昭和10年代の者が、・・・小学校に入学して、1年生ではじめて習った国語の教科書「ヨミカタ」の中に出てくる言葉である。
「コマイヌサン」は「狛犬」のことであり、当時私は地元の神戸への空襲がひどくなり、徳島の方へ疎開し、そこで小学校に入学したが、その当時よく遊びまわった近くの神社には一対の「狛犬」さんが設置されており、その上によじ登ったりして神主さんに怒られたことがある。しかし、当時、これは、昔、日本にやってきた「朝鮮(高麗・コマ)の犬」を神社の守護する像として作られたものだときかされて、どう見ても犬には見えないが子供心に「ふうん・・・朝鮮にはそんな恐い顔をした犬がいるのか」・・と納得しないまま、何時しか、狛犬のことなど忘れてしまっていた。
一対の「狛犬」の1つは、口を開いており、他のものは口をつぐんでいる。これが、「ア(阿)」と「ウン(吽)」であるが、この阿吽(アウン、Skt:A - hum)は仏教の呪文真言)の1つ。悉曇文字(梵字)に於いて、阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であり、そこから、それぞれを宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされたという。この「阿吽」形式は、恐らく寺の山門を守る仁王像(金剛力士像)の阿吽などを取り入れたものと思われる。
仁王も狛犬も、神(君主)を守護するという役割は同じだということからだろう。
私の家にもある(上記写真向かって右:唐獅子)が日本の床の間などに良く飾られている「唐獅子」が中国(唐、とう/から)からきた獅子をかたどったものであることは、理解できるが、狛犬はどうなのだろう?。
狛犬のことを研究している人は多く、諸説が発表されているようだ。曰く、・狛犬と獅子は別物である。・狛犬と獅子は同じ物である。・狛犬は犬である・・・とする説など。
先ず、狛犬は犬派の代表とも言える、以下参考に記載の「日本ペット学会ホームページ」の”狛犬と狆の渡来”では、”狆の祖先犬である短吻種犬(鼻のつまった犬)が天平四年(732年)、聖武天皇の時代に現在のチベット方面から大陸を渡って、日本に渡来した。”このの祖先犬が、狛犬の始まりとしている。
続日本紀』では天平4年(732年)聖武天皇 の御代に、狗(いぬ)が送られたことが書かれており、『日本書紀』(720年)にも天武天皇(672年)の章に、新羅から駱駝、馬、狗など動物が献上されたとあり、『日本紀略』や。『類聚国史』ににも、「天長元年(824年)四月」に狗二頭が献上さている記録があるといい、天武ないし天平期からこのころまでの前後100年余の間に、「蜀狗」と呼ばれた短吻種犬が何度か渡来し、これらの犬が狆の祖先となったと考えられている。 なお、「高麗犬(こまいぬ)」という言葉は、本来は朝鮮を経由して移入されたこのような短吻種犬の呼称であったのかも知れず、当時、顔の長い日本犬しか知らなかった天皇には、毛がふさふさした短吻種犬は珍かっただろうし、それを可愛いと思って大事にしたことは想像できる。その可愛い犬がなくなり、後に天皇は清涼殿の御帳の間(中央南の御昼の間は清涼殿時代に昼の御座で別称御帳の間以下参考に記載の「内裏図面」清涼殿昼御座参照)の帳帷(いちよう)の鎮子(ちんし)(調度品の一。軸物の風鎮のように、敷物・帷帳などが風にあおられるのを防ぐために使うおもし。ちんす。)として狛犬を置き、天皇、皇后の魔除け、お守りとしたというのも、それはそれなりにうなづけるところである。
『枕草子』(八四段)"めでたきもの"には、「后の晝の行啓。御うぶや。みやはじめの作法。獅子、狛犬、大床子などもてまゐりて、御帳の前にしつらひすゑ、内膳、御竃わたしたてまつりなどしたる。」とある。以下参考に記載の「源氏物語: 御帳台」にはその獅子と狛犬が置かれている画像があるので参照されたい。そこに置れている向かって左の獣像には頭に角があり、向かって右の獣象には角が無い。・・・それでは、どちらが獅子でどちらが狛犬???。その回答は、平安時代後期頃に編纂されたもので、宮中や摂関家で行われた儀式の時の宴席の様子や家具調度とその鋪設、装束などについて記録した4巻からなる有職故実(ゆうそく・こじつ)書『類聚雑要抄』(るいじゅうざつようしょう)にあった。その本文には「左師子於色黄、開口 、右胡摩犬於白色不開口、在角」「天皇、皇后の御帳臺(御簾)の前にしつらひ、・・・」と記されているといい(以下参考に記載の「[PDF] 備中狛犬探検隊」参照)。「獅子形を立てる時は、帳前の南方の帷の端に、向かい合わせに立てる」。ということは、天皇のいる北の方から見て南だから、向かって、右が「口をあけている獅子」、左が「角のある狛犬」と言うことになる・・・が???。
兎に角、この当時では、獅子と狛犬は別の動物と考えていたのである。それが次代の推移と共に、狛犬も獅子化して左右同じようになってきたようであるが、にもかかわらず、呼び方は一対を「狛犬」というようになっている。そうなると、「狛犬も唐獅子も同じではないか?」という疑問も感じられるわけであるが、
もともと「狛犬」は獅子ではない別の動物として生まれたものが、時代を経るに従って形の上では獅子の方が主流となり、呼び方は「狛犬」が定着したのだという説もある。(以下参考に記載の「狛犬ネット 」の●第三章● 狛犬の研究ο狛犬とは何か?参照)
王座を守る獅子像のルーツは、先にも述べたように、古代オリエントの時代にすでに見られ、獅子の姿を椅子や城門につけることにより守護される思想が生じ、エジプトのツタンカーメンの椅子やスフィンクスなどにその例を見ることができる。 これがインドに伝わり、釈迦が説法する場所を「獅子座」(仏の座る場所)と呼んで重視仏の座となる(以下参考に記載の「栗田貿易/木彫仏像/文殊菩薩座像飛天光背獅子座」参照)。また、中国に入り皇帝を守る霊獣となり我が国の宮中儀式の調度となった。さらに伎楽に入り今日の獅子舞の祖となった。
狛犬は高麗犬とも書くので朝鮮半島から伝来したとの説があるが、狛犬の「狛(こま)」は、中国の中華思想(中国が世界の中心だとする思想)では「周辺の野蛮な地」を指し、従って、「中国の外(野蛮な異国の地)に棲む正体不明の怪しい犬」という意味で、想像上の霊獣であった。ケモノ扁がついているのもそんな意味がある。中国では、龍や麒麟など、様々な霊獣を生み出し、獅子も羽をつけたり角を生やしたりしてどんどん空想上の生き物に変質した。
現在の中国獅子と日本の狛犬は似てしまっているが狛犬は獅子とは異なる霊獣と考え、中国の思想上の動物である一角獣の字(獬豸=かいち)などを当て、日本独自で生み出されたものだろうともいわれている。
私などには、どれが本当のことかなど判定できないが、今同じ獅子のような1対の狛犬が本当は、頭に角の映えた日本f独自の創造の獣「狛犬」とライオンを租とする「獅子」とが一対であったことだけは確かなことだろう。ただ「狛犬」が元は何であったか・・・まだ、よく判らないな~。
最後に、以下参考に記載の「シーサーの起源とその諸説」に面白いことが書いてある。”世界最古の神話文書メソポタミア神話の中に、ギルガメッシュとエンキドゥの「フンババ」退治のエピソードが在るが、ギルガメッシュは半神半人の英雄とされ、エンキドゥは粘土より生まれた獰猛な神とあり、おそらくこのエンキドゥは「道具」「武器」を象徴しており、武器を携えた英雄ギルガメッシュは神(シャマシュ)の智を得てフンババに勝利する。勝利したギルガメッシュはレバノン杉の大木を伐採し、筏を組んでユーフラテス川に流し富を得る。この森の番人(自然の番人)フンババこそがシーサーの起源である古代インドライオンの象徴でありこのエピソードは、人間が文明文化を築くために森を伐採し自然を征服し野生動物の住処を奪い追い行く様を神話として書き記したものではないかというのである。・・・シーサーの話を遡ってゆくと、『旧約聖書』のノアの箱舟の世界にまで辿り着くのだから面白いね~。 興味のある人は以下参考に記載の頭に※印をつけた「ギルガメッシュの叙事詩」関連を読むとよくわかるよ。
(画像はコレクションの向かって左:沖縄土産の泡盛のシーサーの酒器、右:唐獅子)
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シーサーの日:参考

2008-04-03 | 記念日
参考:
シーサー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC
MITSUOシーサー美術館
http://homepage2.nifty.com/mitsuo-m/
沖縄シーサー紀行
http://www.wonder-okinawa.jp/011/index.html
月刊 京都史跡散策会
http://www.pauch.com/kss/
斎宮歴史博物館
http://www.pref.mie.jp/SAIKU/HP/index.htm
源氏物語: 御帳台
http://heian.cocolog-nifty.com/genji/2008/03/post_aacd.html
枕草子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%95%E8%8D%89%E5%AD%90
日本ペット学会ホームページ
http://www5a.biglobe.ne.jp/~nobon/
狆 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%86
J-TEXTS 日本文学電子図書館(◎日本書紀◎続日本紀◎日本後紀他)
http://www.j-texts.com/
日本古典文学テキスト
http://www2s.biglobe.ne.jp/~Taiju/classic.htm#hist1
京都御所 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BE%A1%E6%89%80
内裏図面
http://tukineko.pekori.jp/heian/dairizu/dairi.html#dairizu
斎宮歴史博物館/斎宮百話 /第75話[獅子と狛犬]
http://www.pref.mie.jp/SAIKU/HP/hyakuwa/0075/hyakuwa-75-20060315.htm
源氏物語: 御帳台
http://heian.cocolog-nifty.com/genji/2008/03/post_aacd.html
原文『枕草子』全巻
http://www.geocities.jp/rikwhi/nyumon/az/makuranosousi_zen.html
こまけん
http://enjoo.com/komaken/index.html
狛犬ネット (狛犬・こま犬・こまいぬNET!)
http://komainu.net/
[PDF] 備中狛犬探検隊
http://www.geocities.jp/komainu1195/003-komainu-siryou/20090125-takahasigawa-gennkou.pdf
シーサーの起源とその諸説
http://taiken-jp.net/ryukyu/shop/2007/02/post_8.html
気づくとそこにはシーサー
http://green-sanctuary.tea-nifty.com/begreen/cat5632513/index.html
りゅうきゅうねしあ
http://www.urban.ne.jp/home/ngsek/index_001.htm
中華思想 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%80%9D%E6%83%B3
神社様式
http://www.mitene.or.jp/~hayamine/file/jinjakentiku.html
栗田貿易/木彫仏像/文殊菩薩座像飛天光背獅子座
http://store.shopping.yahoo.co.jp/kurita/8674.html
獬豸(カイチ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%81
メソポタミア神話 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BD%E3%83%9D%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%82%A2%E7%A5%9E%E8%A9%B1
※シーサーの起源とその諸説
http://taiken-jp.net/ryukyu/shop/2007/02/post_8.html
※ギルガメッシュの叙事詩
http://www.geocities.jp/kyoketu/8156.html
※大英博物館とルーブル美術館に、ギルガメシュを探す旅
http://homepage1.nifty.com/endow/all%20gilgamesh/all%20gilgamesh%20htmls/00th_1_mokuji.html
※ギルガメシュ神話と21世紀の農業哲学
http://www.st.rim.or.jp/~success/no_sisaku06.html