今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

まんかい(万回)の日

2010-02-17 | 記念日
日本記念日協会で、今日・2月17日の記念日を見ると、「まんかい(万回)の日」と言うのがあった。
記念日の由来を見ると、“1993(平成5)年の今日、TBSラジオ「秋山ちえ子の談話室」が1万回目を迎えたことに由来する。放送開始は、1957(昭和32)年。折々の話題を35年以上も続け、満開の花のごとく人々に愛されていることの意味も記念日名にはある。現在も放送中。”・・・とあった。
日本の暮らしを女性の肉声で語り続けて半世紀以上。秋山ちえ子の声が戦後初めて電波に乗ったのは、終戦の日 から、3年ほどしか経過しておらず、日本は、まだGHQの占領下にあり、検閲が厳しかった1948(年昭和23)年、NHKラジオの「婦人の時間」であった。1950(昭和25)年からは、「私の見たこと、聞いたこと」を担当、全国を駆け巡るルポ(ルポルタージュ)を7年間、テレビでも活躍し、1961(昭和36)年には、「ゆく年くる年」の司会役も勤めた。
「秋山ちえ子の談話室」は、かって、TBSがKR(ラジオ東京)の名称だった時代に、1957(昭和32)年9月2日、週5回の「昼の話題」として放送を開始。1970年に『秋山ちえ子の談話室』(TBSラジオ月曜~金曜)に改称。1993(平成5)年2月17日に1万回を数えたというので、今日の記念日が設定されたわけであるが、その後も日々同一番組としての長寿記録を更新してきた。2002(平成14)年10月4日放送を終了・放送回数は実に計12,512回に及んだ。同一人物が同一番組を45年間にも渡って送り続けたのは世界的にも稀有な例である。2002(平成14)年に帯番組終了後も、週1回(日曜日)続編「秋山ちえ子の日曜談話室」として続いていたが、それも、2005(平成17)年10月2日をもって終了。57年間のラジオの仕事に区切りをつけた。こののラジオ番組の回想録「風の流れに添って(ラジオ生活57年)」が2005(平成17)年10月2日の放送最終日に講談社より出版されている(以下参考の※:asahi.com BOOK参照)。
戦後初期からの1975(昭和50)年の女性評論家個人の暮らしの視座から世界の動きを見極め、放送を通して耳から聴いて分る平易な言葉を通して、明快な事実とそこにこめられた人間の思いを語り伝えてきた。
1948(年昭和23)年に、NHKラジオのリポーターになり、女性放送ジャーナリストの草分けとして、国内外を駆け回り、外国では必ず公園や市場へ行き、片言の英語で家族連れに話しかけ、仲良くなったという。「それでわかったことは、国が違っても、普通の人々の暮らしは何も変わらないということ。ブツブツ文句を言いながら働いて、休日やお祭りにはうれしくなって楽しんで、それが終わればまた働いて……。戦争で死んでいくのは、そういう普通の人々」・・であることに気づき、戦争の悲惨さを伝えること。障害者など「取り残される人」がいない社会を目指すこと。この二つをライフワークと定め、地道な活動を続けてきた・・・のだ。・・・と彼女はいう(以下参考の※:YOMIURI ONLINE:「お 肉」 秋山ちえ子さん参照)。
秋山ちえ子の談話室では、普段テレビや新聞などの大メディアでは埋もれてしまいがちな疑問・怒り・話題を主婦、そして女性の視点で聴取者に送り続け、電波を用いたジャーナリズムを貫き通した。この番組での功績が認められ、1991年に菊池寛賞を受賞している。
彼女は、1970(昭和45)年よりから2002(平成14)年の32年に渡り、毎年終戦記念日の8月15日に、戦時下に餓死させられた『かわいそうなぞう』の話(土家由岐雄作ノンフィクション童話)を紹介・朗読し続けてきた。実話に基づくこの童話は、戦争の悲惨さと「二度と戦争をしてはいけない」というメッセージ、憲法九条の大切さを訴えている。
この『かわいそうなぞう』の話は、童話集の『愛の学校・二年生』(1951年東洋書館)に収録・発表された後、1970(昭和45)年8月、金の星社より「おはなしノンフィクション絵本」として出版されたものであるが。彼女により、広く紹介され、番組終了後は『大沢悠里のゆうゆうワイド』に移り放送されているという。この童話は世間に広く知らしめられたことになり、1998(平成10)年には100万部発行。2005(平成17)年までの発行部数は220万部を超えるという。又、アニメ化され、英訳化されたこの話は世界中の子供たちが戦争と平和を学ぶ手がかりともなった。
当時は、55年体制化でもあり、平和を語ることはイデオロギーで色分けされやすい時代であったが、彼女の語り口は誰をも納得させるものであった。そのような時代を含めて、彼女は、長期間にわたる息の長い仕事の中で、「継続は力なり」を実践している。
(画像は、1977年夏、この年の8月15日にも「かわいそうな象の話」を読んだ。TBSスタジオ「秋山ちえ子の談話室」スタジオでの秋山ちえ子。アサヒクロニクル「週間20世紀」女性の100年より)
参考:
※:YOMIURI ONLINE:「お 肉」 秋山ちえ子さん
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/food/shinagaki/20060206gr09.htm
※:asahi.com BOOK: 風の流れに添って―ラジオ生活五十七年 [著]秋山ちえ子
http://book.asahi.com/review/TKY200511290264.html
継続は力なり
http://homepage2.nifty.com/keizoku_ha_chikara/index.htm
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
秋山ちえ子の談話室 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E3%81%A1%E3%81%88%E5%AD%90%E3%81%AE%E8%AB%87%E8%A9%B1%E5%AE%A4
ルポルタージュ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A5
国際女性デー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%A9%A6%E4%BA%BA%E3%83%87%E3%83%BC
万 - ウィクショナリー日本語版
http://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%B8%87