PHP:松下幸之助 [一日一話]の今日の題目は、「時を待つ心 」について、語られている。短い文なので先ずは読んでみてください。
「PHP:まつした幸之助 [一日一話] 」 http://www.php.co.jp/fun/matsushita/?02-26
「時(とき)」と言う言葉は、広辞苑にもあるように、「時の流れ」などのように、過去から未来へと流れ行く月日の移りゆきや”時間”・”時候”・”季節”を表すのに使われるほか、「時のなりゆき」「時に合う」「時を得る」などのように”時世”の意味や「時が解決してくれる」などのように”時分”や”時期”の意味にも使われる。、また、「国家存亡の時」、「時に望む」と言えば、特に大切な時期や重大な時期に使われるし「時が来るまで待つ」と言う場合には”良い機会””好機”が来るのを待つ場合に使われることが多い。そのようなことから、松下幸之助[一日一話]」の今日の題目の「時を待つ」・・では、時機を待つ。好機が来るのを待つという意味で使われている。要するに、何事を成すにも「時」というものがあり、この時というものは、人の力ではどうにもならない天の力によるものであるから、時機を待つしかない。人の一生、良いときもあれば悪いときもある。悪い時は天が与えた試練の時と認識し、 悪あがきせずに時機のくるのを待ち、その時のために今出来ること、なすべきことをきっちりとして力を蓄えておきなさい。そういう試練を耐え偲んで人も会社も成長する・・・と言うことだろうと、理解はしているのだが・・・。しかし、言うは易し行いは難し・・・というべきか・・・・。
儒教の経書・四書の一つ『孟子』の巻第十二 告子章句下15章で、民間人から古代の君主で聖王と呼ばれるまでになった舜(しゅん)や、道路工事の人夫から武丁を補佐し衰えた殷(いん)を復興させた殷の賢相・傅説(ふえつ)などの成功者の例を引き、「天が地上の人に大任を下そうとするときには、必ずまずはその人の心を苦しめるものなのだ。肉体を苦労させ、餓えに苦しませ、しようとすることをしくじらせる。こうやってその人の心をゆさぶって忍耐強い性根を築かせ、それまでできなかったことまでもできるように力をつけさせるのだ。」としている。(当孟子の言葉の解説は、以下参考の※:孟子を読む〔鈴本仁:『孟子』の原文と訳〕を引用させてもらっている)。要するに、今までにできなかったこともできるようにするための試練が与えられているということだろう。仏教には「四苦八苦」と言う言葉がある。釈迦は、この世はすべて苦の世界(一切皆苦)であると説いており、人生は何をするにもすべて苦しみとの闘いであり、四苦に耐え八苦を忍んで生きるところにこそ、人生の意義と価値がある・・・・と説いているのである。
人生における苦しみや悩み。「苦」はすべての人生の根本問題であり、苦を知り体験することによって、人間の生(生命。即ち、生きる事や生きている状態、存在する状態。対義語は死。仏教で四苦の一つ)がより深く明らかになる。この苦の問題に正面から取り組むのが宗教であるともいえる。先にも書いたように「仏教では、この世は『苦』であると説く」と聞くと、日本語の"苦"を思い浮かべてしまうだろうが、釈迦の説く「苦」は、現代語の「苦」とは別物である。苦には、肉体的な苦痛と、精神的な苦痛とがあるが、仏教で説く「苦」とは「思うようにならない苦しみ」という程の意であり、ここでは、精神的な苦痛を、哲学的意味をもった「苦」として表現している。つまり、仏教は迷いの存在、あるいは人間のもつ自己矛盾・自己否定のあり方を、苦の根底に据えているのであって、悟り(さとり。覚りとも書く)を得たからといって、病気や肉体的な苦痛が無くなる訳ではない。
「苦痛」というのが肉体的感覚であるのに対して、人間の生存そのものが苦であるという意味では精神的苦痛は、生を受けた人間に与えられた「試練」と受け止めるべきなのだが、この「試練」というものは、本人が、それをどうとらえるかといった認識(考え方)の問題である。現実の日常生活は「苦痛」に満ちたものだが、それをただ「苦痛」としてのみ受け止め、もがき苦しむか、それとも、それを天から与えられた「試練」と受け止め、それを乗り越え、克服することによって、自分の価値を高めようとするかは、本人の意思次第・・・と言うことになる。
昔から、『楽は苦の種、苦は楽の種』と言う諺もあるが、これは、「苦は楽を、楽は苦をそれぞれそのうちに含み持っている」ということであり、楽もそれが崩れた後には苦を味あわなくてはならず、苦はそれを忍べば後で楽ができる。今の苦労は、将来の楽に繋(つな)がるものなのだから耐え忍ばなければいけない。
昔は、子供の教育でも「可愛い子には旅をさせろ」とよく言っていたものだ。これは何も、一人で旅行をさせろということではない。昔は、今とは違って旅行は非常に危険なものであった。そんな旅行を経験させろと言うことは、本当に子供を愛しているのであれば、甘やかさないで、今の内に少しは辛いことや苦労を経験させた方が本人のために良い・・・と言うことであり、大店(おおだな)のぼんぼん(上流家庭や金持ちの子供をこう呼んだ)でも自分の店には置かず、他所の店で、丁稚の仕事から体験させて、ある程度の経験を積まなければ自分の店に入れなかったものだ。だから、どんな財産がある大店のぼんぼんでも、お金の値打ちやその大切さ、また、働いている貧乏な人達の苦労や悩みも知っている。だから、自分が店の跡を継いで大勢の人を使い、商いもしっかり出来たのだろう。だから2世だからといってぼんやりとした人はいなかった。しかし、戦後は、第二次世界大戦での敗戦による惨めさを経験してきた世代は、逆に、自分の子には、自分が味わったと同じ苦労をさせたくないと甘やかしに甘やかして育ててきた人が多いようだ。だから、ちょっとした苦も耐えられない人が多く育ったようだ。
今の時代は、戦中、戦後世代が、どん底の生活から抜け出したいがために必死に休みも取らず、働きに働き続けて、近年の経済成長を支えてきたのは良いのだが、それも、いつしか、バブルに翻弄され、物事の正しい判断が出来なくなり、戦後の誤った思想を持った教育者や親たちにより、子供たちへのまともな教育もしてこなかったことなどが、今の歪んだ社会を作り出してきているようにも思われる。政治も経済の世界も、2世3世がはびこり、そんな2世3世が、かっての大店の子の様な下積の苦労もせずに、とんとんと、おぼんぼんのままで親の跡を継ぐ、世襲社会を作りだしている様に思われる。そして、そんな世襲議員が、今、日本の政治も動かしている。ハトポッポのような苦労知らずの世襲議員が、今、一国の首相となっているが、その人の金銭感覚では親からの毎月の数千万円の相続も全く知らなかったそうだ。お金を腐るほど持っている人の金銭感覚がどのようなものか庶民には分るよしもないが、そんな金銭感覚のない人が、毎日の食時を作るのにスーパーのチラシを見て、野菜が何十円安いからとあちこち駆けずり回っている庶民の願いごとなど判るはずもなかろう。いずれにしても、これからの日本の社会は、暫くは、渾沌とした時代が続くだろう。ここのところは、暫く、「時を待つ・・・」より、仕方がないかもしれない。その時の為に、ここは、じっと耐え忍び、その時の為に、じっくりと力を蓄えておくようにしなくてはならないだろうね~。
最後に、一言。今の時代、かっての謙虚な日本人とは違って、物欲や我欲が深く、人のことよりも己の我を通すことばかり考えている人達が非常に増えている様に思われる。仏教は、根本的には生きていること自体が苦であるという形而上学的な考え方をもととして、人間の「自分が・・・自分が・・・」という「我執こそが苦の根本」であるとしていることを承知しておいた方が良いだろうね~。
(画像は、孟子。Wikipediaより)
参考:
※:PHP:まつした幸之助 [一日一話] 2月26日
http://www.php.co.jp/fun/matsushita/?02-26
※:孟子を読む〔鈴本仁:『孟子』の原文と訳〕
http://suzumoto.s217.xrea.com/website/mencius/mencius.html
中国史関連書籍解説【Kouta!sHP】
http://homepage2.nifty.com/kouta_idx/CB_index_Init.htm
苦-Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E8%8B%A6/
聖書研究 用語の解説 >用語(苦、苦難)
http://homepage3.nifty.com/IUCC/kuru.html
人生の格言
http://kuroneko22.cool.ne.jp/one's-life.htm
松下幸之助 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%B8%8B%E5%B9%B8%E4%B9%8B%E5%8A%A9
孟子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%9F%E5%AD%90
一切皆苦 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%88%87%E7%9A%86%E8%8B%A6
世襲 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E8%A5%B2
バブル経済 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB%E7%B5%8C%E6%B8%88
教育 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2
丁稚 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%81%E7%A8%9A
「PHP:まつした幸之助 [一日一話] 」 http://www.php.co.jp/fun/matsushita/?02-26
「時(とき)」と言う言葉は、広辞苑にもあるように、「時の流れ」などのように、過去から未来へと流れ行く月日の移りゆきや”時間”・”時候”・”季節”を表すのに使われるほか、「時のなりゆき」「時に合う」「時を得る」などのように”時世”の意味や「時が解決してくれる」などのように”時分”や”時期”の意味にも使われる。、また、「国家存亡の時」、「時に望む」と言えば、特に大切な時期や重大な時期に使われるし「時が来るまで待つ」と言う場合には”良い機会””好機”が来るのを待つ場合に使われることが多い。そのようなことから、松下幸之助[一日一話]」の今日の題目の「時を待つ」・・では、時機を待つ。好機が来るのを待つという意味で使われている。要するに、何事を成すにも「時」というものがあり、この時というものは、人の力ではどうにもならない天の力によるものであるから、時機を待つしかない。人の一生、良いときもあれば悪いときもある。悪い時は天が与えた試練の時と認識し、 悪あがきせずに時機のくるのを待ち、その時のために今出来ること、なすべきことをきっちりとして力を蓄えておきなさい。そういう試練を耐え偲んで人も会社も成長する・・・と言うことだろうと、理解はしているのだが・・・。しかし、言うは易し行いは難し・・・というべきか・・・・。
儒教の経書・四書の一つ『孟子』の巻第十二 告子章句下15章で、民間人から古代の君主で聖王と呼ばれるまでになった舜(しゅん)や、道路工事の人夫から武丁を補佐し衰えた殷(いん)を復興させた殷の賢相・傅説(ふえつ)などの成功者の例を引き、「天が地上の人に大任を下そうとするときには、必ずまずはその人の心を苦しめるものなのだ。肉体を苦労させ、餓えに苦しませ、しようとすることをしくじらせる。こうやってその人の心をゆさぶって忍耐強い性根を築かせ、それまでできなかったことまでもできるように力をつけさせるのだ。」としている。(当孟子の言葉の解説は、以下参考の※:孟子を読む〔鈴本仁:『孟子』の原文と訳〕を引用させてもらっている)。要するに、今までにできなかったこともできるようにするための試練が与えられているということだろう。仏教には「四苦八苦」と言う言葉がある。釈迦は、この世はすべて苦の世界(一切皆苦)であると説いており、人生は何をするにもすべて苦しみとの闘いであり、四苦に耐え八苦を忍んで生きるところにこそ、人生の意義と価値がある・・・・と説いているのである。
人生における苦しみや悩み。「苦」はすべての人生の根本問題であり、苦を知り体験することによって、人間の生(生命。即ち、生きる事や生きている状態、存在する状態。対義語は死。仏教で四苦の一つ)がより深く明らかになる。この苦の問題に正面から取り組むのが宗教であるともいえる。先にも書いたように「仏教では、この世は『苦』であると説く」と聞くと、日本語の"苦"を思い浮かべてしまうだろうが、釈迦の説く「苦」は、現代語の「苦」とは別物である。苦には、肉体的な苦痛と、精神的な苦痛とがあるが、仏教で説く「苦」とは「思うようにならない苦しみ」という程の意であり、ここでは、精神的な苦痛を、哲学的意味をもった「苦」として表現している。つまり、仏教は迷いの存在、あるいは人間のもつ自己矛盾・自己否定のあり方を、苦の根底に据えているのであって、悟り(さとり。覚りとも書く)を得たからといって、病気や肉体的な苦痛が無くなる訳ではない。
「苦痛」というのが肉体的感覚であるのに対して、人間の生存そのものが苦であるという意味では精神的苦痛は、生を受けた人間に与えられた「試練」と受け止めるべきなのだが、この「試練」というものは、本人が、それをどうとらえるかといった認識(考え方)の問題である。現実の日常生活は「苦痛」に満ちたものだが、それをただ「苦痛」としてのみ受け止め、もがき苦しむか、それとも、それを天から与えられた「試練」と受け止め、それを乗り越え、克服することによって、自分の価値を高めようとするかは、本人の意思次第・・・と言うことになる。
昔から、『楽は苦の種、苦は楽の種』と言う諺もあるが、これは、「苦は楽を、楽は苦をそれぞれそのうちに含み持っている」ということであり、楽もそれが崩れた後には苦を味あわなくてはならず、苦はそれを忍べば後で楽ができる。今の苦労は、将来の楽に繋(つな)がるものなのだから耐え忍ばなければいけない。
昔は、子供の教育でも「可愛い子には旅をさせろ」とよく言っていたものだ。これは何も、一人で旅行をさせろということではない。昔は、今とは違って旅行は非常に危険なものであった。そんな旅行を経験させろと言うことは、本当に子供を愛しているのであれば、甘やかさないで、今の内に少しは辛いことや苦労を経験させた方が本人のために良い・・・と言うことであり、大店(おおだな)のぼんぼん(上流家庭や金持ちの子供をこう呼んだ)でも自分の店には置かず、他所の店で、丁稚の仕事から体験させて、ある程度の経験を積まなければ自分の店に入れなかったものだ。だから、どんな財産がある大店のぼんぼんでも、お金の値打ちやその大切さ、また、働いている貧乏な人達の苦労や悩みも知っている。だから、自分が店の跡を継いで大勢の人を使い、商いもしっかり出来たのだろう。だから2世だからといってぼんやりとした人はいなかった。しかし、戦後は、第二次世界大戦での敗戦による惨めさを経験してきた世代は、逆に、自分の子には、自分が味わったと同じ苦労をさせたくないと甘やかしに甘やかして育ててきた人が多いようだ。だから、ちょっとした苦も耐えられない人が多く育ったようだ。
今の時代は、戦中、戦後世代が、どん底の生活から抜け出したいがために必死に休みも取らず、働きに働き続けて、近年の経済成長を支えてきたのは良いのだが、それも、いつしか、バブルに翻弄され、物事の正しい判断が出来なくなり、戦後の誤った思想を持った教育者や親たちにより、子供たちへのまともな教育もしてこなかったことなどが、今の歪んだ社会を作り出してきているようにも思われる。政治も経済の世界も、2世3世がはびこり、そんな2世3世が、かっての大店の子の様な下積の苦労もせずに、とんとんと、おぼんぼんのままで親の跡を継ぐ、世襲社会を作りだしている様に思われる。そして、そんな世襲議員が、今、日本の政治も動かしている。ハトポッポのような苦労知らずの世襲議員が、今、一国の首相となっているが、その人の金銭感覚では親からの毎月の数千万円の相続も全く知らなかったそうだ。お金を腐るほど持っている人の金銭感覚がどのようなものか庶民には分るよしもないが、そんな金銭感覚のない人が、毎日の食時を作るのにスーパーのチラシを見て、野菜が何十円安いからとあちこち駆けずり回っている庶民の願いごとなど判るはずもなかろう。いずれにしても、これからの日本の社会は、暫くは、渾沌とした時代が続くだろう。ここのところは、暫く、「時を待つ・・・」より、仕方がないかもしれない。その時の為に、ここは、じっと耐え忍び、その時の為に、じっくりと力を蓄えておくようにしなくてはならないだろうね~。
最後に、一言。今の時代、かっての謙虚な日本人とは違って、物欲や我欲が深く、人のことよりも己の我を通すことばかり考えている人達が非常に増えている様に思われる。仏教は、根本的には生きていること自体が苦であるという形而上学的な考え方をもととして、人間の「自分が・・・自分が・・・」という「我執こそが苦の根本」であるとしていることを承知しておいた方が良いだろうね~。
(画像は、孟子。Wikipediaより)
参考:
※:PHP:まつした幸之助 [一日一話] 2月26日
http://www.php.co.jp/fun/matsushita/?02-26
※:孟子を読む〔鈴本仁:『孟子』の原文と訳〕
http://suzumoto.s217.xrea.com/website/mencius/mencius.html
中国史関連書籍解説【Kouta!sHP】
http://homepage2.nifty.com/kouta_idx/CB_index_Init.htm
苦-Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E8%8B%A6/
聖書研究 用語の解説 >用語(苦、苦難)
http://homepage3.nifty.com/IUCC/kuru.html
人生の格言
http://kuroneko22.cool.ne.jp/one's-life.htm
松下幸之助 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%B8%8B%E5%B9%B8%E4%B9%8B%E5%8A%A9
孟子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%9F%E5%AD%90
一切皆苦 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%88%87%E7%9A%86%E8%8B%A6
世襲 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E8%A5%B2
バブル経済 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB%E7%B5%8C%E6%B8%88
教育 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2
丁稚 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%81%E7%A8%9A