半紙
遠ざかるほど匂う少女たちの夢
●
ぼくが20代のころ書いた詩の一部です。
横浜港まつりの、国際仮装行列での
少女たちの鼓笛隊とバトントワリングの印象を書いたもの。
港まつりは、よく雨が降ったものです。
ぼくの家の前を行列が通るのですが
いつもあんまり面白くてなくて退屈でした。
でも、少女たちの鼓笛隊や、バトントワリング
そして、アメリカ海兵隊のブラスバンドは
素晴らしかった。
この詩は
拙い表現ですが、どこか清潔なエロチシズムが感じられていいと
勝手に思っていて
自分では気に入っているもののひとつ。
全文は以下のとおりです。
●
雨のパレード
雨のしぶき光に濡れる
まっ白なブーツのつま先が
黒光りするアスファルトにそり返る
柔らかいわきの下の外側で
激しく収縮する筋肉と
灰色の空
小太鼓の連打つづき
少女のふくらんだ胸に
まき散らされる金のビブラート!
紅潮した頬を
つめたく截る銀のフルート!
雨のしぶき髪に濡れる空に
いっせいに蹴りあげられる
百の若い脚
遠ざかるほど匂う少女たちの夢
●
自分の言葉を書くべきか
それとも、有名な詩人や作家の言葉を書くべきかという議論も
書の世界にはあるようですが
ぼくは、どちらも魅力的だと思っています。
今は、詩をまったく書きませんが
昔書いたものを、書にするのもいいかもしれないと、ちょっと思っています。
今回は、そういう意味での試作です。