伊東静雄「八月の石にすがりて」
(半切二分の一)
現在開催中の、「第53回 現日春季書展」に出品している作品です。(3月4日まで)
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八月の石にすがりて
さち多き蝶ぞ、今、息たゆる。
わが運命(さだめ)を知りしのち、
たれかよくこの烈しき
夏の陽光のなかに生きむ。
運命(さだめ)? さなり、
あゝわれら自(みづか)ら孤寂(こせき)なる発光体なり!
白き外部世界なり。
見よや、太陽はかしこに
わづかにおのれがためにこそ
深く、美しき木蔭をつくれ。
われも亦、
雪原(せつげん)に倒れふし、飢ゑにかげりて
青みし狼の目を、
しばし夢みむ。
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「伊東静雄詩集」は、高校生時代からの愛読書。
この詩を書いてみようと思ったのは、去年の八月。
猛烈な暑さのなか、まさに「八月の石にすがりて、息たゆる」といった心境のときでした。
しかし、この寒さの中での発表となってしまい、
季節はずれもはなはだしいことになりました。
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今日、飾られている自分の作品と対面してきましたが
自分なりに満足のいく出来となっていると感じました。
お時間がありましたら、ぜひ六本木の国立新美術館へお出かけください。
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今日は「一日二書」となってしまいました。
明日はおやすみです。