黄鶴楼
崔顥(さいこう)
半切
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これも教科書でお馴染みの詩。
七言律詩です。
高校時代から、この詩は、とても好きでした。
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黄鶴楼
昔人已乗黄鶴去
此地空余黄鶴楼
黄鶴一去不復返
白雲千載空悠悠
晴川歴歴漢陽樹
芳草萋萋鸚鵡洲
日暮郷関何処是
煙波江上使人愁
【書き下し文】
昔人(せきじん) 已(すで)に黄鶴(こうかく)に乗りて去り
此(こ)の地 空しく余す 黄鶴楼(こうかくろう)
黄鶴(こうかく) 一たび去って復(ま)た返らず
白雲(はくうん) 千載(せんざい) 空しく悠悠(ゆうゆう)
晴川歴歴(せいせんれきれき)たり 漢陽(かんよう)の樹(じゅ)
芳草萋萋(ほうそうせいせい)たり 鸚鵡洲(おうむしゅう)
日暮(じつぼ) 郷関(きょうかん) 何(いず)れの処(ところ)か是(ぜ)なる
煙波(えんぱ) 江上(こうじょう) 人をして愁(うれ)えしむ
【口語訳】
伝説上の仙人はすでに黄色い鶴に乗って飛び去ってしまった。
そしえ、この地にはただ黄鶴楼だけが空しく残っている。
あの黄色い鶴は飛び去ったきり、二度と戻ってはこない。
ただ白い雲が、千年を隔てた今もどこまでも遠く漂っている。
晴れ渡った長江の向こうには、漢陽の木々がはっきりと見える。
中州の鸚鵡洲にはかぐわしい春の草が生い茂っている。
日が暮れてきた。故郷はどっちの方向だろう。
もやに煙る川波が旅人の憂いをかきたてる。