一葉一味
半切
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水墨画教室の姚先生に教えていただいた言葉と文字。
「一葉一味」という四字熟語は、日本ではほとんど知られていないようですが
「一枚の葉には、その葉の味がある」というような意味だそうです。
つまり、それぞれの人間は、みな独自な存在だということでしょう。
大きな木に群がってついている葉は
みな同じに見えるけれど
実は、それぞれ違った「味」がある。
大都会の群衆もまた
大きな木についた葉のようなもの。
でも、それぞれに違った、かけがえのない人生がある。
なかなか味わい深い言葉です。
孜孜(しし)
半紙
自作藁筆
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この「一日一書」も、何を書いたらいいのか
見当がつかない日があります。
で、そういう時は、自分のエッセイの題名を書いてみることにしました。
今回は、「孜孜(しし)」。
意味は、このエッセイを読むと分かります。
孟郊「登科後」(全文)
半紙
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登科後
昔日齷齪不足誇 昔日 齷齪(あくせく)として 誇るに足らず
今朝放蕩思無涯 今朝 放蕩(ほうとう)として 思い涯(はて)無し
春風得意馬蹄疾 春風 意を得て 馬蹄(ばてい)疾(はや)く
一日看尽長安花 一日に看(み)尽くす 長安の花
【口語訳】一海知義
かつての日々、それは受験勉強と合否の心配のために、いらいらこせこせとした、まこと自慢にもならぬ味気ない日々であった。
しかし合格の知らせを聞いた今日、しんから解放されて、希望は果てしなく胸に広がってゆく。
春風を全身にうけて得意この上なく、疾風のごとく馬を走らせて、
みやこ長安の名所の花を、一日ですべて見つくしてしまった。
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詩人孟郊は、科挙に、46歳で初めて合格したそうで、その時の喜びを歌った詩だそうです。
「受験」のことは、思い出したくないけど、
また挑戦の皆さんには、ほんと、頑張ってほしいです。