真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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アメリカのプロパガンダをより深く、より広く

2023年07月26日 | 国際・政治

 2023年7月19日の朝日新聞に、「ウクライナ戦争の先は」と題した、米ハーバード大学ウクライナ研究所長、セルヒー・プロヒー教授へのインタビュー記事が掲載されました。
 朝日新聞はその冒頭に、”…ウクライナとロシアは、これからどこに向かうのか。ウクライナ研究の第一人者として知られるセルヒー・プロヒーさんを、研究のため滞在中の北海道大学に訪ねた”と書いていました。
ウクライナ研究の第一人者として知られる”などと、異論を封じようとするかのような書き出しのこのインタビューは、以前取り上げた論説委員の国末憲人氏が担当したようですが、私は、アメリカのプロパガンダをより深く、より広く定着させるための、かなり意図的な記事のように感じました。
 なぜなら、ウクライナ研究の第一人者と持ち上げているにもかかわらず、彼の主張にはウクライナ戦争の背景や経緯、およびアメリカの具体的な関与がほとんど取り上げられておらず、逆に
侵攻の目的は、単にウウライナを支配するためです。NATOうんぬんはプーチン政権のプロパガンダに過ぎず、言ったプーチン氏自身さえ信じていません。ロシアにとってNATOよりずっと大きな脅威と映ったのは『オレンジ革命』でした
 などと、プーチン大統領の心の内がわかる神様であるかようなことを、平気で言っているからです。
 こうしたものの言い方は、客観性を大事にする学者や研究者のものの言い方ではないと思います。だから私は、セルヒー・プロヒーと言う人は、若い時にリクルートされたCIAのエージェントだろうと疑います。
 また、セルヒー・プロヒー教授は、ロシアの「特別軍事作戦」(ウクライナ侵攻)開始前の、プーチン大統領の演説内容なども無視し、ほとんど考慮していないからです。 彼は、”ロシアにとってNATOよりずっと大きな脅威と映ったのは『オレンジ革命』でした”などと根拠を示すことなく、決めつけていますが、プーチン大統領は演説で、NATOを主導するアメリカの現実的脅威や犯罪的越権行為について具体的に語っているのです。

 思い返せば、NHKは、2023年1月1日”混迷の世紀「世界は平和と秩序を取り戻せるか」”と題して、ウクライナ出身のジャーナリストでノーベル平和賞作家、スベトラーナ・アレクシェビッチ氏のインタビューを放映しました。
 さらに、朝日新聞も1月1日朝刊トップで、スベトラーナ・アレクシェビッチ氏の大きな写真とともに、根元晃氏のインタビュー内容を掲載しました。
 それらは、著名人をうまく利用して異論を封じ、停戦ではなく、ロシアを敗北させようとするアメリカの戦略を支える意味が込められていたのだ、と私は思います。
 そして、 日本の主要メディアは、著名人をうまく利用して異論を封じ、ロシアを敗北させようとするアメリカの戦略を支える取り組みを、その後もくり返しており、今回はセルヒー・プロヒー教授だったのだと思います。

 下記は、「CIAとアメリカ 世界最大のスパイ組織の行方」矢部武(廣済堂出版)から「(四)国務省の表外交とCIAの裏外交」を抜萃したものですが、アメリカの対外政策・外交政策の中心は、「国務省の表外交」ではなく、むしろ「CIAの裏外交」であることを踏まえないと、日本の主権は失われ、日本の利益は止め処なく流出していくことになると思います。
 先日、ウクライナのシュミハリ首相は、世界銀行から15億ドルの融資を受けると発表しました。驚くのは、債務負担を約束するのが、日本政府だということです。
 また、日米合同委員会で、米海兵隊のオスプレイが、沖縄をのぞく山岳地帯を、高度60メートルで飛ぶことに合意したとの報道もありました。
 でも「航空法」では、航空機は、離陸又は着陸を行う場合、また業務上の理由により国土交通大臣の許可を受けて飛行を行う場合を除き、 150m以上の高度で飛行することとされているのです。だから、航空機の安全を確保するため、航空法において150m以上の高度における無人航空機の飛行は原則禁止されているのです。それなのに、なぜ、オスプレイが、日本の航空法を守らず、高度60メートルで飛べるようにするのか。私は、日本が属国であることを宣言しているに等しいのではないかと思います。日本の現実の数々が、アメリカ国務省の表外交の外にあることを物語っているのではないかと思います。 
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                    (四)国務省の表外交とCIAの裏外交


元CIA長官が暗殺された!?
 特定の国に対するCIAの秘密工作活動を決定するのは米国大統領だが、それを大統領に推薦するのはNSC(国家安全保障会議)である。大統領の外交頭脳集団であるNSCは、通常の外交手段では対応が難しい、でも軍事行動に訴えることはできないと判断した場合、精鋭を使って秘密工作活動のオプションを大統領に進言する。そうすることによって、米国は相手国に知られることなく秘密裏に計画を実行し、外交上の目的を達成することができる。CIAは76年に制定された情報活動監視法に基づいて、秘密工作活動の内容を議会(情報活動監視委員会)に報告しなければならないことになっている。しかし、「秘密工作活動の内容を事前に公表しすぎると、敵国に作戦を見破られて失敗に終わる恐れがある」とか言って、核心部分についてはほとんど報告していないのが現状だ。
 ウィリアム・コルビー元CIA長官によると。CIAの秘密工作活動の成功例は失敗例をはるかに上回っているという。それでは、なぜこれらの成功例がマスコミに報じられないのか? 1950年代から70年代にかけてCIAの秘密工作活動が全盛をきわめていた頃に、サイゴン支局長(59年─62年)、アジア総局長(63年─67年)などを務めた。コルビー氏はこう説明する。
「もし成功例を公表すれば、もはや新たな成功を収めることはできなくなるだろう。敵国が成功例を分析してCIAのやり方を知り、成功を失敗に変えられるからだ。(ブライアン・フリーマントル著『CI』新潮社)。
 実際、コルビーの言うとうり、CIAの秘密工作活動の成功例は公表されているよりはるかに多いのかもしれない。しかし、問題は秘密工作活動の名のもとで、一体どれだけの不法行為が行われてきたかである。
 秘密工作活動はある面で麻薬常用者の心理と似ている。素早い効果を約束するが、その後で長くてつらい落ち込みや禁断症状に襲われる。つまり秘密工作活動は一時的に成功したように見えても、後で必ずと言っていいほど代償を払うことになるということだ。
 代償と言えば、96年4月、ワシントンのポトマック川でカヌーを漕いでいる最中に溺死したはずのコルビー氏に”暗殺説”が浮上している。元CIA長官ともなれば、殺したいほど憎んでいる人はたくさんいるということか。
 コルビーはサイゴン支局長やアジア総局長を務めていた頃、フェニックス作戦を実行した(ベトナム人共産主義者のリストを作成して現地の軍部に提供し、これによって約2万人が殺されたと推定される)。『ニューズウィーク』誌(96年5月13日)は「コルビー氏の死とフェニックス作戦に対する”復讐”の可能性」を指摘している。  

 


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