きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「スノーピアサー」

2014年02月11日 | 映画
地球温暖化抑制のため蒔かれた化学物質により
地球が雪に覆われることになった。
極寒の地で生き残っているのは
地球を1年かけて1周する列車「スノーピアサー」の乗客のみ。
列車の中には、家畜の飼育設備、植物工場、
雪を原料とした給水施設等が有り、
停まることなく動き続けても
乗客の生命は維持される。

乗車時の状況等により、
列車内での階級が決まって十数年。
最下層である列車最後部の乗客は反乱を
上層部が住む前方部を目指す。


すっごく面白かった!
ツッコミは多々あれど、
(ほんと、たくさん!あるけど)
アイデア一本で持ってく話は大好きだよ。
小出しに真実がわかるパターンではあるけど、
「ここ」と「ここ」は、の「点」はわかるけど、
繋がり方が予想外だった。

そしてハリウッド映画じゃないので
予定調和はなく、
容赦なくいろいろ発生する。
彼の告白は、
なんとなくそうじゃないかと思っていたけど
言葉にされると重い。
彼を責められる人はいないだろう。

後半で明らかになる、とある人物の行動も
正反対のことのようであるけれど
その2面を持つのが「人」なのかもね。

元はフランスの漫画らしいです。
それをハリウッドの役者を使い、
韓国人の監督が映画化。
韓国映画について
いろいろ思う人はいるかもしれないけれど
日本の監督であの役者陣を
こうも上手く使える人は皆無だと思う。
それだけ適材適所。
素晴らしい。

あのイヤなおばさんがティルダだったのか。
驚きだ。
他のキャストも良かったよ。
ソン・ガンホもジェレミーも。

時々聞こえる日本語も
不自然ではなかった。

オチは、どうなのかな。
あれでいいと思うけど。
明るい未来が来るといいね。
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「ラッシュ/プライドと友情 」

2014年02月11日 | 映画
F1とF2の違いとか、
レースでは何周走れば良いのかとか、
その辺が謎のままでも面白かった。

正反対の性格のライバル、
というよりも、
スター希望とレーサー希望がライバルだったのかな。

天才肌のハンサムなジェームス・ハント役はクリヘム。
大きい身体で子犬の目のクリヘムは
女が放っておけないのが納得。
緊張のあまりレース前に嘔吐し
記者会見中でもライターをいじられずにはいられない。
自由奔放の中の繊細さがすごく良く出ていた。
富士のレースは「頑張れ!」って
応援しながら見てました。
結果はなんとなくわかっているけど
それでも、肩に力が入っちゃいました。

対するニキ役はダニエル・ブリュール。
何度も「ネズミ似」と言われて気の毒だった。
充分、可愛いと思うよ。
理論的に考え、マシンを改造し、
自分の売り込みも理性的。
結婚しても「幸せは敵」だと言い、
レースに賭ける人生は実にストイックだった。

好対照の人生だった。
実際もこんなかんじなのかな。

「富士山麓が豪雨でごめん」と
つい思っちゃうね。
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「小さいおうち」

2014年02月11日 | 映画
独身で無くなった大叔母の遺品の中に
書きかけの自伝があった。
その中に書かれていたのは・・・


良かった。
戦前の山手の小さいおうちでの出来事。
は暗くて貧しい世界ではなく、
戦争もすぐに終わると考えられていた時代の、密やかな恋。

タキちゃんがずっと抱えていた秘密は
どれだけ彼女の心の重みになっていたかと思うと涙ボロボロ。

私の母は昭和10年生まれの船橋育ちですが
話を聞く限り戦争中も惨めでひもじいというほどではなかったみたい。
(盲腸の手術を軍医さんにやってもらったそうです)
だから妻夫木君演じる、大叔母の兄弟の孫(姪孫というらしいですね)が
戦前は暗くて貧しい、国民は騙されて戦争に向かった、
国民は戦争を反対していたはず、という断定には
おいおい違うよ、ばあちゃんは嘘なんかついていないよ、と思うけど
戦前・戦中生まれの人が近くにいない若い人には
彼が言うことの方が真実に思うんだろうな。

あの時代を直接知っているわけじゃないけど
すべてが懐かしい風景だった。
「小さいおうち」の内装がとても素敵。

人件費が安かった当時は、女中は女性のれっきとした職業だし
中流より上程度の家庭でも女中がいるのが普通だった。
今の基準で断じちゃダメなんだよね。

黒木華ちゃんは、芝居がすごく巧いわけでは無いけど
(発声が少々頼りないけど)
「田舎から出てきた若い女中さん」が実にハマっていた。
太い黒い眉毛にりんごほっぺ。
着物の着こなしとか、
ちょっとした仕草(袖を括るとか)が
すごく自然な動きだった。

松たか子はそんなに好きというわけじゃないんだけど、
昭和のほんのちょとだけ良いところの若奥様の雰囲気が
ドンピシャ過ぎだった。
お姫様ではないんだけど、人を使うことには慣れている。
帯を締める場面等、ときどき生々しい「女」の部分が露出していて
やっぱりすごいなあ、と思う。

片岡孝太郎くんも昭和顔だよね。
蛍ちゃんは凛々しいけど、顎が小さすぎるんだろうな。

姦通罪があった時代だけど、
不倫が皆無だったというわけではなく
きっとあんなこともあったんだろうなあ、
と思わせる雰囲気がありました。


この先、ねたばれ。


タキちゃんが好きだったのは
板倉さんより奥様だったと思う。
レズビアン的な愛情もあったかもしれないけれど
憧れの大人の女性に対する情愛の方が近いかな。
奥様に悪い噂がたたないように、と考えたから
「手紙を」と言ったのでは?
渡さなかったのは、ほんのりとした嫉妬。
正しいことをしている、
奥様のためになることをしている、
と考えたんだよね。

板倉さんが来なかったときの奥様の絶望感は
どれほど深かったことだろうか。

それをタキちゃんは見ていたはず。
それでも自分の行いを正当化しようとしてたけど
空襲でご主人夫婦は二人っきりで亡くなる。
それを知ったタキちゃんは、
なぜあのとき、奥様の希望を叶えなかったんだろう、と
後悔したんだろうな。

自分の兄弟の子供やその孫が
あんなに慕っているんだから
その後の彼女の人生は、
決して悪いものではなかったと思う。
それでも忘れ得ぬ後悔は心の中に重くとどまり
自分だけ生き残ってしまった苦しさは
ずっと持ち続けていたんだろうな。

こういう、なんとういうのかな。
人の業の深さがうかがえるのに、
「小さいおうち」というメルヘンチックな環境が
なんともいえずマッチしていたのが良かったです。
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