ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

スタッフコラム★☆コンポストで試行錯誤...コンポストの家からコンポストバックへ

2022年05月08日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

ゆいツールはロンボク島で、プラスチックごみを減らす一環として、コンポストづくり講習会を度々行っています。

これは、コンポストに入れる生ごみをまず分けて減らすことで、残ったプラスチックごみに注意がいく、という理由です。

さて、現地で普及しているコンポストに、高倉式コンポストというものがあります。(JICA九州タカクラ・メソッド

日本から派遣された、JICA青年海外協力隊員などが熱心に広めた甲斐もあり、インドネシアではわりと知られた方法になってきました。

とは言っても、一般の人にはまだまだ届いていません。

昨年度、ゆいツールはこの高倉式コンポストを、バックの中で作る「コンポストバック」を開発しました。

Yui-Tool telah mengembangkan tas kompos yang menggunakan Kompos Takakura, di Lombok.

おや、どこかで見たことがあるような?と思った人もいるかもしれません。

実は、日本で開発されたLSCコンポストを参考にさせてもらいました。

真似たのは、チャック付きのカバンの中でコンポストを作る、という点と、形や大きさです。

日本から見本を送らなかったので、インドネシアにあるもので作ってみました。

使用感はこんな感じです。

高倉式コンポストのスペシャリストと言っても過言ではない、クカイ・ブルスリごみ銀行のパイズルさんによると、バックで作ったコンポストは普通にたくさん作る高倉式コンポストと同程度か、むしろそれ以上の出来になる、ということでした。

去年の11月くらいからコンポストバック生活を始めた、ボランティアのコマンさんの家族は、もう何回か中身を半分取り出して熟成させ(2週間ほど放置)、肥料として使っているそうです。

(コマンさんの家族が育てる植物)

コマンさんは、ロンボク島のマタラム市で小さな宿を経営しているのですが、敷地内にこんなゴミ箱を設置しています。

これは、2年半前まで私がロンボク島に行っていた頃にはなかったもので、コマンさんがゆいツールの活動の中で色々と学ぶうちに、自分の宿をもっときれいにしよう、と思って設置したものです。

一方こちらは、中部ロンボクのランタン村(Bale Lantan)に設置した「コンポストの家」です。

去年の5月頃設置して、そのあと11月にバレ・ランタン(若者たちが運営する英語の無料塾)の子供たちが看板づくりをしました。

下の写真奥が、コンポストを作っている場所で、一番左はプラスチックごみをまとめているところです。

バレ・ランタンのコンポストの家の様子は、こちらのビデオに紹介しています。(ただしインドネシア語)

話はコンポストバックに戻ります。

日本でもそうですが、「生ごみをコンポストにしましょう」と言って普及活動をしても、興味を持つ人は一部で、なかなかみんながコンポストを作る、という状況になるのは難しいものです。

インドネシアも同じ。高倉式コンポストも、一般家庭には浸透していません。

そこで、家庭の生ごみを肥料にできるコンポストバック(高倉式コンポスト専用)を作ってみました。

写真左から、バックと中袋とコンポストの基材、そして投入する生ごみ⇒パイナップルの皮。(ちなみにこちらがコマンさん)

高倉式コンポストの基材は、パイズルさん(クカイ・ブルスリごみ銀行)から購入します。

このコンポストバックプログラムは、ゆいツールのボランティアが立ち上げた新団体「SAMALAS TRESNE GUMI(サマラス)」とマンディリ・スジャテラごみ銀行のインドラさんの協働プロジェクトとして位置づけています。

Program tas kompos ini adalah proyek kerjasama dengan SAMALAS dan Bank Sampah Mandiri Sejahtera di Lombok.

コンポストバックの名前は「Jalita Lombok Recycle(ジャリタ・ロンボク・リサイクル)タカクラ・コンポストバック」です。

Jalitaは、Jaga Lingkungan kita(僕たちの環境を守ろう)の頭文字を合わせた言葉。

これから、写真下のマデくんとコマンさんがマスコットになって、このコンポストバックの普及活動を進めていく予定です。(山)

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スタッフコラム★☆みんなでツールづくり!?~ツールづくりへの思い~

2022年04月24日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

昨年度末、ロンボク島で、ボランティアたちがマングローブ林環境教育プログラムのツールづくりに取り組みました。

(ボランティアの紹介はこちら

Relawan Yui-Tool telah membuat alat program pendidikan hutan Mangrove, di Lombok.

開発したプログラムについては、こちら(スタッフコラム)。

プログラム実施の様子はこちら。1回目(バゲッ・クンバール)2回目(南レンバール村)3回目(ギリ・ランプ)

ツールづくりは、ゆいツールの要(かなめ)です。

プログラムを開発するのには時間がかかりますが、ツールを製作することも甘く見てはいけません。

今回、ロンボクのボランティアたちに製作を指示したとき、「ただハサミでチョキチョキすればいいんでしょ」「ラミネートは印刷所の人がやってくれるんでしょ」という感じでした。

いいえ。基本的に、自分たちで作るんです。

(↑ 最初の試作品を作っている様子。左ふたりは印刷所のスタッフ)

なぜ自分たちでツールづくりをするのか。それは、ツールに愛着を持ってもらうため。そして、壊れたときにすぐに直せるように。

作り方を他の人に教えられるように。

(ミナミトビハゼのフリップを持つオパン)

インドネシアの人は、物事を簡単に考える傾向があります。ポジティブと言えば、ポジティブ。

「あー、そんなこと簡単だよ。やっておくよ」「任せて!大丈夫だよ」

そして、案外難しいことに気づいてほったらかす。後回しにする。面倒になっていなくなる。

最終的にはネガティブな結果になることがしばしば。

(左から、ツールを作るティウィ、ルス、トゥリスナ)

2021年度は、現地での活動をすべてボランティアに任せて実施しましたが、1年が経つ頃には少なくとも年のいったふたり(パティとコマン)は、ゆいツールの活動は「簡単ではない」ということに気がついたようでした。

村での環境教育活動も、大人へのワークショップ実施も、新しいプログラムの習得も、ツールを製作することも、決して簡単なことではありません。簡単だと思っているとしたら、それはうわべだけでやろうとしているから。

ゆいツールの活動の成果は、プログラム実施やワークショップ開催の写真を撮ることではありません。

(ラミネートの準備をするマデ)

プログラム参加者の意識を変えること。日常生活の中で環境に負荷を与えない暮らしについて考え、行動を起こす人を育てること。

振り返って見ると、2020年からコロナ禍で日本からインドネシアへ渡航できなくなり、不安を抱えながら新しいプロジェクトの構想を練り、2021年度は予算を確保して新プロジェクトがスタートし、まだ十分に育て切れていない現地ボランティアに活動を任せることになりました。

ボランティアたちも、活動を通して成長してきた1年だったな、と思います。

そうそう。今までのブログで紹介する機会のなかった「高倉式コンポストポスター」をお披露目します。

Poster mengenai Kompos Takakura oleh Yui-Tool.

これは、ボランティアのトゥリスナがデザインしたもので、私とボランティアのパティが監修しました。

製作に約3か月かかりました。

トゥリスナには、マングローブ林環境教育プログラムの中の「デトリタスってなんだ?」絵本のデザインもしてもらいました。

     

環境教育というのは、難しい一次情報をかみ砕いて誰にでもわかるような表現で2次情報に変える、という作業の繰り返しなのかもしれません。

私たちの目的をもう一度書きます。

プログラム参加者の意識を変えること。日常生活の中で環境に負荷を与えない暮らしについて考え、行動を起こす人を育てること。

そのために難しい一次情報を、やさしい2次情報に変えて、参加者に届けること。そのひとつが、ツール開発&ツールづくりです。

(山)

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スタッフコラム★☆環境教育プログラムツールができるまで

2022年03月08日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

今年度、ゆいツールは「マングローブ林環境教育プログラム」ツールを開発してきました。

Yui-Tool mengenbangkan alat program pendiikan hutan mangrove dalam satu tahun ini.

(↑ これは、プログラムの中の一部。絵本「デトリタスってなんだ?」の表紙です)

本来であれば最初に目的を決めて、プログラムの全体像を作ってから、細部のアクティビティを開発していくのですが、今回私は目的を決めたあと、いきなり細部のアクティビティのためのツールづくりを始めました。

それは、インスピレーションを得るために行こうと思っていた沖縄の調査になかなか出かけられなかったためでした。

現地に行く代わりに、私は1冊の本を購入しました。

「マングローブ生態系探検図鑑」(偕成社)

この本を元に、マングローブの生態系をどうやって学んだらいいか考え始めました。

同時に、プログラムを監修してくれる専門家を探しました。

そしてなんと、この本を監修されている馬場繁幸先生(国際マングローブ生態系協会理事長、琉球大学名誉教授)と連絡をとることができ、ご協力いただけることになりました。

私は、ロンボク側でデザインを担当するパティに、マングローブの木々のイラストを描き始めるように指示しました。

(↑ パティの描いたイラスト)

それから、「マングローブや生きものとデトリタスの関係図」をカードゲームにすることを思いつき、関係図を読み解くことに夢中になりました。

先ほどの本の44ページに載っているイラスト(「マングローブや生きものとデトリタスの関係図」)をゲームにしようと思ったときから、私にとっては「デトリタス」がプログラムの中心になりました。

(↑ 最初に描いてみた関係図)

デトリタスとは、生きものの排泄物や生きものの死骸などの有機物が細かくなったもののことで、それらが微生物に分解されて水に溶けた栄養素になって再び植物に吸収されたり、デトリタスのまま他の生きものに食べられたりします。要は生きものが豊富にいるとデトリタスが豊富になり、マングローブの森がより豊かになるということ、それがまた生きものの多様性を呼び海を豊かにする、ということに繋がります。

「マングローブや生きものとデトリタスの関係図」を、ベース絵と生きものカードに分け、カードの裏面を読んでほかの生き物との関係性を学びながらベース絵にカードを置いていくゲームにしようと思い、ベース絵のデザインと生きものカードのイラストも、デザイナーのパティに頼みました。

↑ こちらは、ベース絵です。

黄色いところに、生き物カードを置きます。茶色い矢印は、排泄物や死骸を表し、青い矢印は食べられることを表しています。

赤い矢印は植物へ吸収されることを表しています。

生き物カードは、こんな感じです。

 

デトリタスについては、絵本を作りました。(冒頭の写真が表紙)

(↑ 1ページ目)

絵本をデザインしたのは、ボランティアのトゥリスナです。

子供向けに、親しみやすさを出した絵柄にしています。

プログラムづくりをする時、デザイナーはただ機械的にデザインをするわけではありません。

内容をよく理解し、プログラム製作者と何度もすりあわせをし、何度も修正を繰り返す必要があります。

ゆいツールが開発する環境教育プログラムツールは、使いながら修正を繰り返すことを前提としています。

そのため、デザイナーは外部ではなく仲間である必要があります。

ちなみに、昨年10月にやっと沖縄に行って、プログラムの全体像もそこで組み立て直しました。

2月末にロンボクでプログラムツールを試作し、子供たちへ実施しました。

そこでまた修正点がわかり、現在手直し中です。

現在、ロンボクの団体や政府関係者から、ゆいツールが開発したプログラムツール(ごみについて考えるプログラムも)について「学校巡回などで使いたい」、ゆいツールと「カリキュラムづくりを一緒にしたい」など、いくつか声をいただいています。

ゆいツールは今、ロンボク島に自然学校を作って、環境教育プログラムのカリキュラムづくりやツール開発、人の育成をしていきたいなぁと夢想しています。

思えば、マングローブ林環境教育プログラムもはじめは夢想から始まったのです。(2019年5月のブログ

夢想をプロジェクトにして、プロポーザル(企画書)を書き、予算を取る(多くは助成金を申請する)。と言うのが、NPOの活動の仕方です。

今回は、「環境教育プログラムツールができるまで」を少しご紹介しました。(山)

実際に試行したときの様子はこちら↓↓↓

西ロンボク バゲッ・クンバールで内陸の村の子供たち向けに実施(2022年2月)

西ロンボク 南レンバール村の子供たちに実施(2022年3月)

東ロンボク ギリ・ランプの子供たちに実施(2022年3月)

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スタッフコラム★☆2021年を振り返って(ちょっとした裏話とこれからの展望)

2022年01月10日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

2022年。寒中お見舞い申し上げます。

(写真は、昨年10月に沖縄へ飛んだときのものです)

新しい年になったので、昨年を振り返って見たいと思います。(参考:スタッフコラム2020年さようなら

2021年は、4月からゆいツールの活動に予算がついて、忙しく過ごしていました。

しかし、ロンボクではちょっと困ったことも起こっていました。

今年度、このブログで「ドゥルカディ・チーム」という名称を使わなくなったことに、気がついた人がいたでしょうか。

2019年3月に結成されたドゥルカディ・チームは、2021年は姿を消していました。(ドゥルカディ・チームの紹介

正確には、キャプテンが半年ほど消えていました。

インドネシア人、突然姿を消す、というのがよくあります。

私はスマトラ島の活動で、協働団体のスタッフにこれをされてとても困ったことがあります。

それで、キャプテンが姿をくらまし(連絡がとれなくなり)、私は慌てました。

なぜなら、彼はゆいツールの現地アシスタントでもあったからです。(ただ2020年度は予算がなかったため、ミーティングとマングローブ林調査以外は特に仕事はありませんでしたが)

昨年2月、マングローブ林環境教育プログラム開発の事業に予算がつくとわかり、私はドゥルカディ・チームメンバーに声かけました。

「キャプテンを探して。」

でも、彼らは尻込みをしました。インドネシア人は、人のプライベートに首を突っ込むことをわりと嫌がります。(日本人もまあそうでしょうか)

若者たち(4人のうちの3人。ひとりは脱退)は「キャプテンが自分から連絡をしてくるのを待とう」と言いました。

私は、現地アシスタントを代えることにして、それとは別にドゥルカディ・チームの問題を解決しようとしました。

「チームキャプテンがいなくなった今、チームは解散するのか?キャプテンを新しく代えるのか?」と若者たちに迫ると、彼らは「チームの問題なんかない。キャプテンがいないんなら、自分たちはゆいツールボランティアとして活動すればいい」と言いました。

確かに、ドゥルカディ・チームは単なるチーム(言ってみれば有志の集まり)で、チームの理念やら目標やらを確認したこともありませんでした。

私は、若者たちの意見を尊重して、動ける3人をゆいツールボランティアと位置づけることにしました。

そんな中3月に、ロンボクの友人(パティ)が「かおり、元気?」と声をかけてきました。彼は、以前ゆいツールの活動を度々手伝ってくれていました。

「そうだ!彼に頼もう」

私は、彼に事情を話して、ドゥルカディ・チームのキャプテン(コマンさん)に会いに行ってもらいました。

(写真は、昨年10月沖縄で)

何度か訪問を重ねて、やっとコマンさんが活動に参加するようになったのが5月末。

そしてその頃には、もう一つの事業、持続可能な観光開発と人材育成もスタートしていました。

6月7月・・・。活動に参加して若者らと顔を合わせても、まだコマンさんの顔はこわばっていました。

7月には、ボランティアは7人になりました。(ゆいツールボランティアの紹介

8月9月10月・・・。時々連絡が取れなくなってはパティが探しに行く、ということを繰り返しながら、活動を重ねました。

だんだんと、パティや私とのミーティングで、コマンさんはやりたいことを積極的に口にするようになりました。

11月12月・・・。「ゆいツールが現地で活動をする上で、ロンボク側できちんと団体を登録した方がいいのではないか」と急に言い出したコマンさん。

「それはもちろん理想的だけど、団体設立できるの?」半信半疑の私。

そして、ゆいツールボランティア7名は話し合いを重ね、団体を設立しよう!ということになりました。

代表はコマンさん。(ここまで来るのに、私とパティがどれだけ苦労したか・・・。思わずお互い労をねぎらい合いました)

今回は単なるチームではありません。

ゆいツールのように、地元の自治体に登録をして、団体の理念や目標をきちんと決めるのです。

ゆいツールの現地事務所ではありません。7人のゆいツールボランティアが団体の運営に責任を負います。

当面は、ゆいツールがロンボクで行う活動を実施していく主体として動きます。

インドネシア人と長年付き合ってきて私が思うことは、組織のマネージメント力が弱い、ということです。

そして私は、チームで仕事をするのが大好きな人間です。

人とぶつかること、人と調整すること、計画を立てそれを仲間にシェアしてひとりひとりの特技を生かして同じ目標に向かってチームの力を高めながら進んでいくこと、失敗から学び常にチームにフィードバックしながらひとりひとりの意見をよく聞き前向きでいること。

環境教育活動であろうと、団体運営であろうと、ごくありふれた仕事であろうと、大切なのはそういうことではないか、と思っています。

と言うことで、2021年の問題は新たな希望に昇華しました。

これで物語は終わり。みんなが幸せに暮らしましたとさ。とはなりません。

間違いなく問題は起こり、怒ったり呆れたり諦めたりするはずです。失敗もするでしょう。

それでいいのです。色々な出来事から、学んでいけばいいのです。

そして次の挑戦で、もっとよいものを作っていけばよいのです。

さて、2022年へ続く。

(山)

(沖縄、恩納村の海)

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スタッフコラム★☆来年度の準備中♪♪それから最近の活動について

2021年02月18日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

梅が咲いています。花粉も飛んでいます。春がやってきます。

(2021年2月4日,東京の梅)

日本の新型コロナウイルスの感染者数は、2月17日現在42万1138万人(死者7236人)に達しました。

インドネシアは123万3959人(死者3万3596人)です。

(バリ島は約3万人、ロンボク島のある西ヌサトゥンガラ州は8千人を超えたところです)

ただ、世界の新規感染者数が1月から半減した、といううれしいニュースもあります。

さて年度末ですが、ゆいツールは今年度はほとんど動きがなかったので、活動のまとめ作業に追われる代わりに、次の年度の準備をしています。

予算のめどが少したったので、ウキウキと作業をしています。(残りの助成金の申請書を書いたり、現地の若者たちに相談したり)

先週、若者たちとミーティングしたときに、3月に村の子供たちに環境教育プログラムをやりたい、とオパンくん(写真下、左上)から提案がありました。

オパンくんは、現在家で小学生たちに無料で英語教室を開設していて、その子たちにプログラムをやりたい、と思ったそうです。

(2月10日のミーティングの様子)

オパンくんは、子供たちを集めてプログラムをする際に、賞品(文房具類)を用意して子供たちのやる気を起こさせたい、とのことだったので、ゆいツールからは資金を提供する代わりにいくつか条件を示しました。

例えば、子供たちは全員マスクを着用すること。(なければ提供した資金を使って購入すること)

プログラムは2つ行い、子供たちのグループを二つに分けて実施すること。(密を避けて欲しい)

など。インドネシアでも、公共の場所でのマスク着用などは義務づけられていますが、村などではあまり徹底されていないようです。

(オパンくんの家での英語教室の様子)

そうそう。オパンくんの家の庭は、朝日がのぼる田園風景を見渡せる素敵なエコガーデンです。(2020年2月の様子)

3月のプログラムは若者たちに任せるとして、ゆいツールは来年度の活動を準備します。

いよいよ、マングローブ林環境教育プログラム作りが始動です。

(ロンボク島東ロンボク県のマングローブ)

あ、それから。忘れていました。

今月、ジャカルタにある私立の学校「インドネシア自然学校」の高校生11人に、環境プログラム(テーマはごみ問題)を実施します。

もちろん、インターネットを通して。

サポート役は、オパンくんと同じ村のティウィとトゥリスナ(姉妹)です。

今まで何度も村に日本の学生さんを受け入れる手伝いをしてくれて、その成果をアピールして海外留学を実現しました。

(もうひとりの姉妹、タンティもポーランドに留学中です)

ティウィとトゥリスナは現在マレーシアの大学に留学中ですが、オンライン授業のおかげで3点で繋がって授業を行うことができます。

授業の様子は、またこのブログで報告します。(報告はこちら

これからだんだん暖かくなっていきますが、今年の桜の開花予想(東京)が1ヶ月後の3月17日、と出ていました。

本当の春が、コロナに怯えず生活できる日が、早く早くやってきて欲しいです。

(山)

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(2021年2月18日,東京の梅)


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スタッフコラム★☆2020年さようなら…ついでに考察。ソーシャル活動を広げるためには?

2020年12月31日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

2020年も、今日で終わりです。

例年、この時期はいつもロンボク島で活動真っ最中だったのですが…。

(写真は、クリスマスの夜の東京・日比谷の様子)

今年の1月半ばにロンボク島から帰国して、そこからまさか1年も現地に戻れないとは考えもしませんでした。

今年度はたまたま予算も取れなかったため、活動はほぼ休止状態になりました。

しかし、コロナ禍でよかった点もありました。映像編集の腕を磨けたことです。

年が明けたら、ゆいツール10周年記念ビデオ(活動写真のスライドショー)をアップする予定です。(アップしました!こちら

ゆいツールの活動を、従来の「ゆいツールブログ」「Facebook」に加えて「YouTube」で紹介していくことで、ロンボク島のことや環境教育について知ってもらう機会が増えるとよいな、と思っています。

また、次年度以降の活動(マングローブ林環境教育プログラム開発と観光開発プログラム)について、じっくり考えることもできました。

最近、ゆいツールの育てている若者グループ「ドゥルカディ・チーム」(主にキャプテン)と、インドネシアでのソーシャル活動の難しさについて、ミーティングで議論しています。

キャプテンが言うには、キーワードは「人」「資金」「政府(行政)」だそうです。

ソーシャル活動を率先して行う人材、見返りがあれば手伝う人、無頓着な人。いろいろな人がいます。

特にインドネシアでは、余裕のある生活をしている人は多くないため、「金になるか、ならないか」というのは大切な行動指標です。

「人を動かすのは金」だから、「資金」が必要。と言うのは間違いではない、けど。

(写真は、冬の花壇。日比谷にて)

インドネシア政府も、まったく無策なわけではないのです。

問題は、公的な資金が必要な末端に届かない、ということなのです。

ほとんどそれは、インドネシア人ひとりひとりのモラルの問題ではないか、と思うほど、ざるに入れた水のごとくお金はどんどん漏れてしまう。

だから私は、「ソーシャル活動に熱心に取り組む人」がいて、「政府(行政)」が「資金」を準備すれば、ソーシャル活動が活発になる、と単純には考えられません。

だからと言って、人々のモラルに訴える活動をするのがゆいツールやドゥルカディ・チームの活動ではないので、私たちは、公的なお金がきちんと活用されるよい事例を作っていくしかないのかな、と思います。

ディスカッションのポイントは、「政府が資金を準備したら、そこから一緒にやっていけばいい」というキャプテンの意見と、「政府が資金を準備する動機付けとなる活動を先にしておく必要がある」ということと「資金が準備されたときに、一緒にやりましょう、と行政から誘われるためにも実績を作っておく必要がある」という私の意見の相違の確認です。

インドネシア人としては、ゆいツールの活動は「教育」で、多くの人を動かす資金がないことが頼りなく映るわけです。

「ソーシャル活動をする人材」を育てた!でも、運転資金は?(活動する人は)どうやって生活すればいいの?

(写真は、日比谷の空)

考えてみれば、日本での問題も結局同じなのかな、とも思います。

欧米などでは、寄付文化が浸透していて、自分が行えないソーシャル活動を担ってくれている団体に寄付をすることはある意味当たり前のようです。日本では、「お金を払ったら、何か見返りがあるの?」と考える人がまだまだ多いように思います。

見返りというのは、本当の意味では、ソーシャル活動を行う団体が結果を出して、社会が少しでもよくなることだと思うのですが、直接的な見返りがないのにお金を寄付するなんて、どう使われるかもわからないのに嫌だな、と感じる人が圧倒的に多いから、寄付文化が育たないのだろう、と私は考えています。そして、残念なことに、そもそもソーシャル団体の活動の中身に興味を持つ人が少ない・・・。

それでは、お金にならない(儲からない)ソーシャルな活動に、どこからお金が出るのか。

日本では、例えば環境活動に勤しむ民間の団体の活動に、助成金という形で国や企業のお金が使われています。

それはとてもありがたいことです。

企画書を書いて、お金の使途を明らかにして、活動をして、きちんと報告をする。

助成金の場合、だいたいその道の専門家の人たちが委員となる委員会というものが、審査をして申請してきた団体に助成金を出すかどうか判断をします。だから、ばらまきではない。

報告も必ずしなければならないもので、適当なお金の使い方をすれば、そのお金は助成元へ返されなければいけません。

私の知る限り、環境NGO(NPO)は「企画を立てる」「予算書を作る」「活動を実行する」「報告をする」などという点において、とても訓練されていると思います。

でも、助成金はとてもありがたいものですが必ずとれるとは限りません。

そうなると、団体の運転資金はどうなるのか、という話になります。

まず、その団体を支えている会員のみなさんの会費があります。それから、寄付金。(あれば、です)

ベーシックインカム、という考え方があります。国民に対して政府が最低限の生活を送る為に必要な額の現金を定期的に支給する政策、と説明されています。

私は、ソーシャル活動を行う民間の団体にも、そういう類の資金があったらどんなにありがたいか、と思います。

団体によっては、そのお金を「事務所の家賃」や「従業員への手当」に使うところもあるかもしれないし、「活動費(旅費や借用費、資材の購入など)」に使うところもあるでしょう。

あるいは、自分の団体の活動を上手にPRして寄付金を募る、という方法もあります。イベントなどを実施するときには、企業などに対して協賛金をお願いするときもあります。

まあ、結論として、日本でもソーシャル活動をする人はどうやって生活したらいいの?というのは同じかな、と思います。

一般的な言い方をすれば、お金にはならないけど社会のためになる活動をしている団体の認知度が高まり、そういった団体を応援する普通の人たち(と、ある程度豊かな人たちはもちろん)がもっともっともっともっと増えていくことが、ソーシャル活動が広がる下敷きになるのだと思います。

ということで、2020年、さようなら。厳しかったけど、学びもあった1年でした。

(山)

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自分とは違った背景を持つ人と関わること/多様性を認めるということ~宗教・文化・言語の違いから見る~

2020年09月02日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

今日は、ゆいツールの活動の中で、メインではないけれど、気にしていること・大事に思っていることとして、多様性を認めるということについて書きたいと思います。

人と人の違い、という話です。

ゆいツールが活動しているインドネシア・ロンボク島には、国籍がインドネシアの人たちが暮らしています。

でも、民族は、ササック人(ロンボク土着の民族)、バリ人(ヒンドゥー教徒)、ジャワ人または別の島出身の人、中国人(中華系インドネシア人)と分かれます。

(ササックの伝統楽団。村の結婚式などで登場する。プロは大人たちだが、子供たちの楽団もある)

ササックの人たちには、独自の言語があります。

バリやジャワ、他の島の人たちも、基本的には民族の言葉を持っています。

宗教としては、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、キリスト教(プロテスタントとカトリック)があります。

私は、2002年からインドネシアに通っていますが、いつもインドネシアの人たちがすごいなぁと思うのは、その「コミュニケーション能力の高さ」です。さっき出会ったばかりの人とも、ぽんぽんと会話が弾み、違う民族の人と話すときは言葉をたくみに使い分けます。あるいは、夜訪れた村で複数の人たちと、お酒もないのに楽しくいつまでも話すことができます。

一方日本には、お酒を飲む文化があります。今でこそ、一気飲みのあおりの禁止、飲めない人への強要の禁止などが一般化していますが、伝統的に、酒を酌み交わして仲良くなる、という文化があり、お酒を飲めないと言って断ると場をしらけさせることになり、お酒を飲む交流の場に参加できなければ仲間と認めてもらえない、という風習があります。

イスラムの人たちはアルコール飲料を飲みません。でも、甘いコーヒーや紅茶を飲みながら、楽しくいつまでも話すことができます。

さて、ゆいツールが現地で育てている若者たち(一部若くない人を含む)には、ササック人とバリ人がいます。

ササック人(イスラム教徒)の中には、わりと厳格なイスラム教徒もいて(中には偏見に満ちた人もいて)、バリ人(中国人)の家に呼ばれても決して中には入らないとか、出された料理や飲み物にも口をつけない、ということがあります。

バリ人(や中国人)の家には犬が飼われていることが多く、イスラム教徒は犬が嫌いで(宗教的に犬は汚いもの、という認識)犬の唾液に触ったり犬の糞を踏んだりしないため、犬には近づきません。また、イスラム教徒以外は(日本人もそうですが)、豚肉を好んで食べます。豚肉を調理した台所で料理した食べ物や、飲み物を口にするのが嫌なのです。

イソップ童話に、「狐と鶴のご馳走」という話がありますが、自分にとってはご馳走でも、相手にとってはそうではない、ということを、インドネシアにいると日常的に感じます。

ロンボクの若者をバリに連れて行くときには、休憩場所・食事場所・宿泊場所(ホテルであれば問題なし)に気を遣います。

中にはあまり気にしない人もいますが、それでも一般的なイスラム教徒にとって「食べ物に豚が入っていないこと」「お祈りの場所に犬が侵入してこないこと」などはとても大切なポイントです。

ゆいツールが一緒に活動しているドゥルカディ・チームのキャプテンはバリ人で、キャプテンが今年の1月に「俺のうちに飯を食べに来い」と仲間を誘ったときに、私は一瞬、大丈夫かな?と心配しました。

キャプテンに確認すると、食べ物は買ってくる(ご飯は家で炊く)、ということだったので安心しました。

(夕食会の様子。エコツアーに参加していた日本人学生も一緒に)

以前、エコツアーで日本人参加者の中に別の島のインドネシア人(イスラム教徒)が混じっていたとき、バリ人の経営する宿に宿泊してもらったら、(やっぱりお祈りのこともあって)犬がいるのが気になった、とアンケートに記入がありました。

バリ人にとって(日本人にとってもですが)、犬は友達・家族。でも、宗教上そうではない人たちがいるということを、私たちは知る必要があります。

私たち日本人は、実は人は多様である、ということを忘れがちです。

日本人は、同質性をとても重んじます。目に見えないけど、辺りに漂う空気、というものにも敏感です。

でも、世界を見てみれば、宗教が違う、人種が違う、文化が違う、言語が違うことは当たり前です。

違う人たちとは別々に暮らそう、という考え方もあるかもしれませんが、別々に暮らしたところで、このグローバル社会の中で、協力・協働しなければ、経済を発展させることも平和を維持することもできません。

自分と違う人たちと交流することは、ある人にとってはストレスになるかもしれませんが、人生を豊かにすることにも繋がると思います。

ただ、口で「多様性を認めよう」と言うのと、実際にその努力をするのは、別物です。

バリ人とイスラム教徒と日本人が一緒にいるときに、またはイスラム教徒とビーガン(完全菜食主義者)の人と日本人が一緒にいて、食事をしようとお店を探すときなど、まさに「誰も不快な思いをしない着地点はどこ?」と頭をひねることが、多様性を認め合うことなのだろうと思います。

ロンボクにいると、マジョリティはイスラム教なので、「豚を食べるバリ人(中国人)は汚い」というのが常識です。

だからもちろん日本人だって汚い、ということになります。

それからイスラム教徒は、LGBTなどは決して認めません。男は男、女は女。心が男で、体は女とか、その逆とか、全く理解しようとしません。

同性愛もしかり。その点で言うと、偏見に満ちている、と考えられなくもありません。

でも、イスラム教とは豚を食べない(犬が嫌い)・LGBTを認めない宗教で、そのイスラム教徒が大半を占める国では、その常識を覆すのはほぼ不可能。個人レベルで議論したり、他の国のことを紹介したりして、他のものの見方を伝える中で、違う視点を持ってもらうことができれば十分なのです。

逆に私たち日本人も、イスラム教徒はそういう面もあるのか、と知ることで、相手を理解できるようになります。

最後に言語について。

日本でも、自分と同じ地方の言葉を話す人と別の地域で出会ったりすると、(全く知らない人でも)妙な親近感を覚えるものですが、インドネシア人の場合も、自分と同じ民族の言葉を話す人はより近しい関係に感じます。

同じインドネシア人でも、ロンボク島出身(ササック人)、スマトラ島中部出身(マレー人・ミナンカバウ人など)、ジャワ島出身(さまざまな民族有り)、他にもバリ島、スラウェシ島、ボルネオ島などなど、同じ民族の人同士の方が、同じインドネシア人という以上に繋がりが強くなります。

インドネシアの場合、日本の方言などと違い、民族毎に言葉は全く違うので、その地域の人と今まで接したことがなければ、話が全く理解できません。それでも、共通語はインドネシア語で、民族の言葉も部分的に、または家庭内や身近な人(同じ地方の人)との会話などに限定して使われることが多く、公共の場で、あるいは他の地域の出身者などにはインドネシア語で話してもらえるので、問題はありません。

逆に、同じ場所にいても、聞かれたくない相手の知らない言語で密やかに会話をする、という手法を使えます。

この会話の切り替えを、インドネシア人はとても巧みに行うので、私はいつも感心してしまいます。

日本にいると、知らない言語で話している人には近づきがたく感じてしまうものですが、外国の人と接することに慣れてくると、理解できない言葉を話されても、お互いに知っている言語で相手と意思疎通をはかろう、という人類共通の思いを共有できれば、肌の色の違い、言葉の違い、文化の違い、宗教の違い等を超えていけると思います。

ということで、「多様性を認める」というお話でした。(山)

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かみしばい「スーパーしろくま物語」との再会~10年の時を経て~

2020年08月07日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

先日学童で、とある環境プログラムを行うにあたって、JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)の貸し出し教材を借りました。

それは、「スーパーしろくま物語」という紙芝居と、「地球が病気!?」というプログラムです。

Materi pendidikan lingkungan hidup yang pernah dikembangkan sendiri 10 tahun lalu lebih..

これらの教材は、かつて「ストップおんだん館」で開発し貸し出しをしていたもので、今でもJCCCA(ジャッカ)で貸し出しを行っています。

ゆいツールを立ち上げたメンバーがJCCCAを離れた後も、残ったスタッフによってメンテナンス/データの更新等がされています。

私は、特にこの紙芝居に思い入れがあります。

なぜなら、自分で開発したからです。絵を描けるスタッフと一緒に作りました。

ストーリーや会話をシンプルにして、現実に起こっている出来事を、子供たちにわかるように表現する工夫をしました。

先日、この紙芝居を、1年生から4年生の子供たちに実施してみて、久しぶりに子供たちの反応を見ることができました。

どうして北極の氷が溶けたり、海の水が増えて島が沈みそうになったり、珊瑚礁が死んでしまったりするのかなぁと聞くと、3-4年の男子が、「地球温暖化!」「二酸化炭素!」などと叫ぶのも、1-2年生が「太陽が熱くなったから」「夏が暑いから」などと答えるのも、10年前と変わらない光景でした。二酸化炭素がどうしたの?と聞けば、実は詳しいことはわからない、というところも。

今回は、地球温暖化の原因について詳しく伝えられませんでしたが、環境の問題について知る手始めとして「世界のあちこちで変なことが起こっていて、それはもしかしたら人間のせいかもしれないよ」という入り口の話しをしました。

「地球が病気!?」のプログラムの、写真パネルも何枚か合わせて使いました。

「集中豪雨」や「巨大台風」が増えているのも、人間の(活動の)せいかもしれない、と話しながら、このプログラムを作った時は、何年かに一回だった豪雨災害が、最近は毎年、そして年に数回起こるようになっているなぁ、と思いました。

これは、貸し出し物が入っているパッケージ(特別仕様)です。

何度も配達できるように、しっかりした造りになっています。

「ストップおんだん館」を運営していたスタッフが立ち上げた「ゆいツール」は、今年の10月で10周年を迎えます。

10周年を迎えるというのに、今年は活動がほぼ休止状態で、おやおや困ったな、という状況です。

思い返すと、ゆいツールを立ち上げた翌年、NPO法人の認証を受けた2011年は東日本大震災がありました。

あの時も、福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の問題があって、環境教育の現場は影響を受けました。

今年は、新型コロナウイルスの蔓延。

「予期せぬこと」は、人生につきものだ、と思いながら、この先の展開を注視していきます。

ひとつ、「スーパーしろくま物語」の紙芝居を読んでいて気づいたこと。

小学2年生の「ひろ」が、「テレビゲームとチョコレートアイスクリームが大好きな」と自己紹介をする部分。

多分、今は「オンラインゲームが大好きな」とか「ユーチューバーになりたい」小学2年生とか言った方が、時代にマッチするかも、と思いました。10年経って、子供たちを取り巻く環境も変わったのかもしれません。

(山)

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活動する上で大事なこと・・・決めるのは地元の人、それから人づくり

2020年04月10日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

新型コロナウイルスに阻まれ、しばらく現場(ロンボク島)に行くことができないゆいツールですが、毎年この時期は「ふりかえりと計画づくり」をしています。

「ふりかえりと計画づくり」については、以前のブログ(2017年05月01日)に書きました。

2019年度にやりたかったこと、やれなかったこと、達成できたこと、2020年度も続けていきたいこと、新たにやりたいこと・・・。

いつも思うことは、予算を取るために具体的な計画を立てるのですが、細かな道筋をびっしりと決めすぎて進むよりも、大まかな方向性と到達点を決めて、細かなことは現場で決めていけるようにするのがよいなぁということです。

なぜなら、本当は決めるのはロンボクの人だから。

(バリで。2019年12月撮影)

世界には、よい事例がたくさんあります。例えば、自然エネルギー(太陽光利用や小水力発電など)について。例えば、バリのグリーンスクールのようなエコ教育について。

そういう成功事例を、木の苗木のように持ってきて、地元の人の意見も聞かずに勝手に植えつける、という活動方法があるかもしれません。

立派な花が咲いて、大きな実がなるかもしれません。うまくいけば。

でも、よそ者が持ち込んで、地元の人たちが参加していない活動は、それは持続可能ではないのではないか、と私は考えます。

(ロンボクの場合は、たいてい妬まれて根こそぎ掘り起こされて枯れる、と末路を迎えます。これは、たとえ地元の人が持ち込んだものであっても、根回しをしていないとたいてい同じ結果になります)

私は本当は、計画の段階から、地元の人たちと一緒に作っていきたい。

でも、短い滞在期間で、適切な人たちを集めてワークショップなどを開いて、計画を作っていく、というのは現状では難しいので(何しろ、計画をする段階では予算がついていないので)、ひとまず計画はゆいツールが作ります。

そして、だいたいこんな活動をしたいんだけど、と一回目に渡航したときに、協力してくれる人たちと打ち合わせをします。

今まで、よく聞いたのは「Kaori(つまりゆいツール)が、やりたいことに協力するよ」「成果が出て、ゆいツールが成功するためにがんばろう」という言葉です。それは、違うんだけどなぁと私はいつも思っています。

環境教育のための活動は、ゆいツールが成功するために行っているわけではないのです。

インドネシアの人たちは、とてもやさしいので、「(ゲストを)がっかりさせてはいけない」「せっかくプロジェクトを作ってくれたんだから、よい結果(見せかけだけでも)を持って帰ってもらわないと」と考えるのが常です。

ゆいツールは、最低でも、地元の人(ゆいツールが繋がっている団体や若者たちなど)がやりたい、と言ったものから活動を作るようにしています。

ビジネスでないので、これやったら絶対成功するぞ、というものを、勝手に計画することはありません。

(ロンボクで。2019年12月撮影)

実はインドネシアの中でも、企業のCSR活動や行政の支援の枠で、市民や団体の活動に予算がつくことがあります。

これらは、日本の助成金と一緒で、プロポーザル(企画書)を書いて申請するものです。

でも、訓練されていない人がいきなり、立派なプロポーザルは書けません。

そして、その前に組織を作っていなければいけません。

私の知る限り、ロンボクの人たちは、組織づくり(マネージメント)がとても苦手のような感じがします。少なくとも、市民活動においては。

そのため、自分たちがやりたいと望む活動に、上手に予算を取りに行くことができません。

(活動主体となる上質な組織がないため。プロポーザルを書く前提としての訓練ができていないため)

本当であれば、地元の人たちが自分たちの国の中のお金を使って、自分たちのやりたいと思うことをやれるのが一番です。

でも、環境分野に関しては、そこはまだ十分にできていないところだな、と感じます。

(ロンボクで。2019年12月撮影。ドラゴンフルーツの花のつぼみ)

さて、そんなわけで、ゆいツールは人づくりにも重点を置いています。

ゆいツールがやりたいことを、地元の人に命令して、言ったとおりにやるようにするだけでは、人は育たないと私は考えます。

時間がかかっても、地元の人たちと一緒に考えて、できるだけ彼らを主体にして、目標地点に向かって進むこと。

残念ながら、人づくりはすぐに成果が出ません。

「井戸を掘る」「学校を建てる」「リサイクル工場を作る」そんなわかりやすい結果が、すぐに現れるものではないのです。

おまけに、人なので、仲間割れをする、とか、育てていたと思ったらどこかに行ってしまった、とか、スムーズにいかないこともしばしば。

だから私は、昨年9月に知り合った、ロンボクのプラマさんはすごいと思うのです。

Perama Tour & Travelという、一大旅行会社を築き上げたプラマさんは、引退して、ロンボク島のナルマダ地区スラナディ村でガーデンづくりと人づくりをしています。

今年の1月に東ロンボクのマングローブ林を見に行った時に、そこでマングローブの見回りなどの管理をしている住民グループの男性が、プラマさんのところで色々学んだ、と言っていて、ああ、と思いました。

その人は、マングローブ林や珊瑚礁を守るために、ボートを止める桟橋まで浅瀬に乗り上げることは本当はしたくないのだ、と言っていました。

できれば、桟橋をもう少し遠いところに作って、そこからカヌーなどでマングローブ林を見て回れるようにしたいと思っている、と計画を話してくれました。

(東ロンボクのギリ・ランプ島付近のマングローブ林)

少しでも、環境を気にかける人が増えることが、インドネシアの今後の環境保全に繋がっていくと思います。

今年度は始まったばかりです。予想外の出来事で、3-4ヶ月は何もできませんが、ゆいツールはあきらめず新しい予算を探しながら、計画を温めていこうと思います。

アフターコロナのビジョンを、具体的にイメージしながら、日本でもロンボクでもしばし、籠り生活です。(山)

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C.W.ニコルさんを偲んで・・・

2020年04月04日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

C.W.ニコルさんが亡くなられました。(79歳、2020年4月3日、直腸がんのため)

環境保護活動家で作家、という肩書きですが、私にとっては東京環境工科専門学校の名誉校長という存在でもありました。

私は高校3年生の時に、C.W.ニコルさんと畑正憲(ムツゴロウさん)の対談集「森からの警告」(ソニー・マガジンズ出版)を読みました。

自然を守る仕事に就きたい、と考えるきっかけになった本でした。

私は、大学入試(推薦)の小論文を、この書籍について書きました。

北海道の大学を卒業し、社会人を4年経験してから、改めて東京環境工科専門学校で自然環境保全について学ぼうと思い、入学したところ、ニコルさんが名誉校長だと知りました。

在学中に、教室で一回、実習地(長野県黒姫)で一回、話を聞いた記憶があります。

ニコルさんはウェールズ出身で、最初に教室で話を聞いたときに、「イギリスという国はないんですよ」と言われてびっくりしたことを思い出します。

専門学校の実習地、黒姫には、ニコルさんが作った「アファンの森」があり、私たちも見学する機会がありました。

そして、卒業後、何かの催し物で話を聞いて会場で挙手して質問したこともあります。

それから、環境を守る立場になって仕事をするようになって、専門学校の先生に誘われて、ニコルさんと直接会ってお話しする機会がありました。

ニコルさんは、自然をとても愛していました。

専門学校で私たちは、自然について正しい知識を身につけ、それを守れる人になるように、と育成されました。

(黒姫実習の様子)

現在、多くの仲間たちが、日本中で、自然を守る活動(農業を含め)に携わっています。

ニコルさんは酒豪で、専門学校の先生から、ニコルさんに関わるエピソードを何度か聞いたこともありました。

近年は、毎年4月に東京代々木公園で開催される、アースディ東京イベントの実行委員長をされていて、イベントを通してニコルさんの元気な姿を見ていました。

ニコルさんから教わったこと、専門学校で学んだこと、しっかり胸に抱きしめてこれからも自然を守る活動を続けていきたいです。

(山)

(黒姫実習地で。ねずみの標本づくり)

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