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気ままな読書感想文

【トンマッコルへようこそ】戦争はファンタジーではない

2006-12-03 21:16:39 | Weblog
韓国映画
「トンマッコルへようこそ」

トンマッコルとは、純粋という意味だそうである。
この映画はファンタジーだが、とても重い。あまりに重い内容で救いがないため、ファンタジーにしたのではないかとさえ思う。ファンタジーの向こうに、人と人が殺しあう戦争の重さが透けて見えるのである。おそらく、それも、この映画のねらいなのだろう。

舞台は韓国。
北の軍隊と南の軍隊が戦っている。南の軍は、アメリカの軍に支援されている。

生き残った北の軍(中隊長と中年兵、少年兵)の3人が、山の中で迷い、トンマッコルの村にたどり着く。
南の軍を脱走してきた兵と、彼が自殺しようとしたのを見つけてとめた兵の2人も、トンマッコル村へやってくる。

トンマッコルの村民は、みな、純粋。笑顔。
銃を知らず、その怖さを知らない。戦争の意味もよく分からない。

北の軍の兵士も、南の軍の兵士も、トンマッコルで顔を合わせた当初はにらみ合っていたが、人々の笑顔に、にらみ合いの意味を見失う。
やがて畑仕事を手伝い、互いに力を合わせはじめる。

「何のために、戦ってきたのか?何のために殺してきたのか?」

その疑問が大きくなってきた時、再び、兵士たちに試練が訪れる。
戦いに意味を見つけ、新たな敵に立ち向かうことになる。
そして、その先にあるのは、ハッピーエンドではない。

映画は、厳しい結末をファンタジーにすることで消化した。

しかし、見終わった後に残るのは、「戦争は、ファンタジーにできない現実である」という重いメッセージである。

コメント
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