ゆるっと読書

気ままな読書感想文

【映画「戦場でワルツを」】アニメーションの役割

2010-01-01 18:59:56 | Weblog
 
アニメーションで描いたドキュメンタリー的映画。

テーマはとても重い。パレスチナ難民虐殺。

主人公は、その時、現場の近くにいたはずだが、すっぽり記憶が抜け落ちている。
関係者に会い、話を聞きながら、記憶を掘り起こしていくストーリーになっている。

私にとって印象的だったのは、心理学者が語ったアマチュアカメラマンの話。

従軍していたアマチュアカメラマンは、悲惨な現場を見ても「旅行気分になれるから平気だ」と言っていた。カメラのレンズを通して見ることで、現実から一定の距離を保つことができたからだ。

しかし、ある時、カメラが壊れた。カメラマンは、現実を直視しなければならなくなった。現実に「素手で触れる」ことになり、耐えられなくなった。そういう話だった。

この映画で、アニメーションという手法を採用したのは、「映画として見れる」ものにするためだったのではないだろうか。

人は、辛く、苦しく、悲惨なものからは目を背けたいものだと思う。
あまりに重いテーマをそのまま取り扱うと、「見たくない」映画になってしまう。

アニメという手法は、アマチュアカメラマンにとってのカメラと同じように、フィルターのような役目を果たしているように感じた。


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【伴走者たち】走る理由

2010-01-01 18:57:56 | Weblog
伴走者たち―障害のあるランナーをささえる (ドキュメント・ユニバーサルデザイン)
星野 恭子
大日本図書

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【伴走者たち】走る理由

視覚障害者の陸上競技に関心があり、星野恭子著の「伴走者たち」に目を通した。
視覚障害者と互いにロープを持ち、隣を走る人を「伴走者」と呼ぶ。
最近は、市民マラソンに参加する視覚障害者もいるようで、ランナーと伴走者が走る姿は珍しいものではないようだ。

本書では、障害者ランナーや伴走者を対象にしたインタビューが中心になっている。
走ることと無縁だった人が走り始めたきっかけや、走ることの楽しさを語る。
人と人のつながりが生まれ、生きがいを見つけた人もいる。

さらりと気軽に読み通せる1冊。
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