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【製薬業界の闇】米国の製薬企業がしていること

2010-01-17 22:07:02 | Weblog
製薬業界の闇
ピーター・ ロスト
東洋経済新報社

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【製薬業界の闇】米国の製薬会社がしていること

米国最大手製薬企業ファイザーの社員ピーター・ロスト氏が書いた告発本の
翻訳。

どんなビジネスも利益をあげなければ継続できないが、人の命や健康を踏みにじって利益をあげるビジネスは許してはいけない。

特に、人命に関わる「医薬品」を製造・販売している企業の経営陣は、その点を十分に認識しなくてはならない。

これらの企業の社員は、高い倫理観を持ち、公正な販促活動をしなければいけない。

こうしたことは正論だが、米国の製薬企業の実態はかけ離れているようだ。

本書は、製薬企業の一社員の目線から、その実態を垣間見ることができる1冊だといえる。

ロスト氏は、ファルマシアの医薬品の販売方法に問題があることに気がつき、調べ上げ、会社に対して報告した。改善の必要性を訴えた。

ファイザーに買収された後には、その問題をファイザーにも伝えている。

また、製薬業界が反対を示していた医薬品の逆輸入については、一個人として逆輸入を認めるよう求める意見を公に出した。

米国の医療保険や医療は、マイケル・ムーア監督が映画「シッコ」で描いたように、歪んでいる。医療を受けるのに多額のお金が必要で、薬を購入できない人がたくさん存在する。
隣国カナダまで薬を買いにいったほうが、国内で買うより断然安くなるような状況があるという。

ロスト氏自身は、もともとファイザーと敵対するつもりはなかったらしいが、さまざまな行動を起こしていった結果、ロスト氏vsファイザーという構造になってしまう。

会社は、都合の悪いロスト氏にプレッシャーをかける。上司が誰かも分からず、仕事も与えられない「窓際族」とする。

ロスト氏は、ファイザー社や会社側の弁護士事務所からのメールや文書を証拠として記録した。さまざまな法律を学んで、自分を守るために使える規定を見つけ、論点を整理した。精神的に相当タフだ。このような人物は、米国でも少ないにちがいない。

メディアに取り上げられ、上院議員にも支持者が現れるなど、注目を集めるところまではたどり着いたが、本書の最終章でも、ロスト氏の戦いは終わっていない。

米国の政治が、こうした製薬業界の状況を変えることができるのかはみえない。
コメント (2)
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