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気ままな読書感想文

【死刑でいいです】人から必要とされること

2010-08-14 00:37:12 | Weblog
死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人
池谷孝司(編著)、真下周(著)、佐藤秀峰(イラスト)
共同通信社

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16歳で母親を殺した少年が、再び、殺人を犯してしまう。
3人を殺した山地悠紀夫は、25歳で死刑となった。

「死刑でいいです」は、山地が起こした殺人について、その背景にあったものを探ろうとした本である。

内容は、とても重い。

山地は、人と上手く関係をつくれない特性をもっていたようだ。
専門家には、「アスペルガー症候群」という人もいれば、「広汎性の発達障害」という人もいた。

著者は、「何かもう少し支援があれば、少なくとも2度目の殺人は防ぐことができたのではないか」という視点をもっている。取材を終えて、「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などの専門的な診断名にこだわるよりも、その人の特性に注目して、孤立させないことが大切だと考えている。

取材を受けた発達障害の当事者は、セルフヘルプグループに入る以前は、「生まれてこなければよかった」「自分なんか消えてなくなればいいのに」と思っていたと話す。人との関係がうまくつくれず、「生きづらさ」を抱えて生きていたからだ。
彼女は、発達障害の人は、人の役にたち、人から求められる体験をしていないので、そういう体験をすることが大切だという。「ありのままでいい」といってもらえると、救われると話す。

逮捕された後、山地も、「自分は生まれてくるべきではなかった」と言っている。
「ありのままでいい」と、存在を認めてもらえるような出会いがあれば、彼が殺人へ走ることを防げただろうか。

正直なところ、よく分からない。
殺人を防ぐための何かが足りなかったという印象だけが残る。

ただ、どんな人でも、生きていくうえで、人から必要とされることが大事。
この点は、共感できる。

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コメント (1)
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