大正期以降、現在までを4つの消費社会に分けて分析していて、それがなるほどと思う切り分けです。
第一の消費社会は大正元年1912年から第二次世界大戦1941年まで。都市を中心として、国民全体の一割か二割しかいなかったと言われる中流階級が消費を楽しむ時代だった。ここで現在のわれわれの生活の原型ともいうべきもの、いわば洋風化した生活様式というものができあがってきた。
第二の消費社会は1945年から1974年、終戦から戦後の復興期を経て経済が右肩上がりに成長し、1973年に第一次オイルショックが起こり、高度経済成長が終わりを告げ、1974年にマイナス成長になった30年間。第二の消費社会の特徴は、家電製品に代表される大量生産品の全国への普及拡大としています。
第三の消費社会は1975年から2004年、低成長時代、その後バブルがはじけ、証券会社や銀行の倒産が相次いでマイナス成長が続いた30年間。消費の単位が家族から個人へと変化し始めたこと、消費が個人化したことを第三の消費社会と特徴とします。
そして2005年以降から今現在、第三までと同じように30年くらいで区切るとすると2034年になりますが、生産年齢人口が減って2007年以降は人口そのものが減り始め、そしてもう一つの変化として非正規雇用者が増加したことを上げています。
人口減により消費総額の減少したこと、非正規雇用の増加により会社という共同体に属さない個人化した人々が増大し、その人々がつながりを求め始めたことが第四の消費社会を誕生させたとしています。
欧米から中流階級が手に入れられるものがどっと入ってきて、それが庶民の手に届くものとなり、大量生産され誰もが同じものを持っていた時代、そしてそれに飽きた人たちが自分だけのもの、個性を追求したものを求めた時代、その第三の時代までの消費傾向が自分たちの生活そのものを規定してきたことがしっかり描かれています。
その時代に生きた人たちが企業が提供するもの、企業の戦略にしっかり乗せられてきたようにも感じて、少しいやな気持ちになります。
著者はマーケティング情報誌「アクロス」の編集長だった方で長年にわたり消費社会を研究されていて、本の中には豊富なデータ・事例が盛り込まれていて、活字だけの世界ですが、各時代を読み進むと3つの時代が鮮やかに再現されます。特に過去を知っているものは当時の様子がカラーで目の前に現れてくるような感じさえ受けます。
そして現在の第四の消費社会のところでは、日頃自分たちが漫然と感じていることがきっちり書かれていて、それは例えば、消費自体に疑問を感じていて、いままでとは違うもの、例えばつながりを求めていることであったり、シンプル・日本・地方志向になっていることだったりするのですが、頭の中でもやもやしていたものがクリアになります。
私たちはそれぞれの関心領域を通して、それぞれの方法でいま社会を自分なりに定義づけをしていて、多くの人がいまが時代の大きな転換点ではないかと感じているのではないかと思います。
そして、これからどんな方向に進むべきか、大げさにいえばどんな生き方をするかを考えているだろうと思います。そんなときに、消費の変化をとらえたこの本を読むことで新たな発想でいまの時代をとらえられるような気がします。
読み返すことでまた違った感じ方ができるような気もします。なかなか好きな本です。
第一の消費社会は大正元年1912年から第二次世界大戦1941年まで。都市を中心として、国民全体の一割か二割しかいなかったと言われる中流階級が消費を楽しむ時代だった。ここで現在のわれわれの生活の原型ともいうべきもの、いわば洋風化した生活様式というものができあがってきた。
第二の消費社会は1945年から1974年、終戦から戦後の復興期を経て経済が右肩上がりに成長し、1973年に第一次オイルショックが起こり、高度経済成長が終わりを告げ、1974年にマイナス成長になった30年間。第二の消費社会の特徴は、家電製品に代表される大量生産品の全国への普及拡大としています。
第三の消費社会は1975年から2004年、低成長時代、その後バブルがはじけ、証券会社や銀行の倒産が相次いでマイナス成長が続いた30年間。消費の単位が家族から個人へと変化し始めたこと、消費が個人化したことを第三の消費社会と特徴とします。
そして2005年以降から今現在、第三までと同じように30年くらいで区切るとすると2034年になりますが、生産年齢人口が減って2007年以降は人口そのものが減り始め、そしてもう一つの変化として非正規雇用者が増加したことを上げています。
人口減により消費総額の減少したこと、非正規雇用の増加により会社という共同体に属さない個人化した人々が増大し、その人々がつながりを求め始めたことが第四の消費社会を誕生させたとしています。
欧米から中流階級が手に入れられるものがどっと入ってきて、それが庶民の手に届くものとなり、大量生産され誰もが同じものを持っていた時代、そしてそれに飽きた人たちが自分だけのもの、個性を追求したものを求めた時代、その第三の時代までの消費傾向が自分たちの生活そのものを規定してきたことがしっかり描かれています。
その時代に生きた人たちが企業が提供するもの、企業の戦略にしっかり乗せられてきたようにも感じて、少しいやな気持ちになります。
著者はマーケティング情報誌「アクロス」の編集長だった方で長年にわたり消費社会を研究されていて、本の中には豊富なデータ・事例が盛り込まれていて、活字だけの世界ですが、各時代を読み進むと3つの時代が鮮やかに再現されます。特に過去を知っているものは当時の様子がカラーで目の前に現れてくるような感じさえ受けます。
そして現在の第四の消費社会のところでは、日頃自分たちが漫然と感じていることがきっちり書かれていて、それは例えば、消費自体に疑問を感じていて、いままでとは違うもの、例えばつながりを求めていることであったり、シンプル・日本・地方志向になっていることだったりするのですが、頭の中でもやもやしていたものがクリアになります。
私たちはそれぞれの関心領域を通して、それぞれの方法でいま社会を自分なりに定義づけをしていて、多くの人がいまが時代の大きな転換点ではないかと感じているのではないかと思います。
そして、これからどんな方向に進むべきか、大げさにいえばどんな生き方をするかを考えているだろうと思います。そんなときに、消費の変化をとらえたこの本を読むことで新たな発想でいまの時代をとらえられるような気がします。
読み返すことでまた違った感じ方ができるような気もします。なかなか好きな本です。