夢七雑録

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2.牛の御前に詣でる記

2008-11-17 22:29:07 | 江戸近郊の旅・嘉陵紀行
 文化八年閏二月十五日(1811年4月7日)、嘉陵(村尾正靖)は、牛島の牛御前が開帳の時に参詣している。文化四年のあと暫くの間、嘉陵は紀行文を残していないが、社寺を参詣することはあっても、多忙のため記録を残していなかったのかも知れない。嘉陵は縁起印行本により、「牛頭を載て諸悪災難をはらへ」との神託により牛御前と称したことや、清和天皇第七皇子(貞辰親王)をこの地に葬ったことなど、縁起のあらましを記しているほか、慈覚大師が刻んだ釈迦の石仏(図)や、国分庄司千葉五郎藤原胤道の旗を写している。当時の牛御前は、江戸名所図会の「牛御前宮 長命寺」に描かれているように、長命寺に隣接していたが、現在は場所を墨田公園に移し(墨田区向島1-4)、呼称も牛嶋神社と変えている。

(参考)牛嶋神社は十二年に一度、丑の年の年頭に、撫で牛に因んで、郷土玩具のような「牛のお守り」を出す。来年は十二年に一度の年なので、入手できるかも知れない。

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