夢七雑録

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稲荷百社詣その三十一

2008-03-18 22:05:16 | 稲荷百社詣

(87)烏森神社 (港区新橋2)★★

 江戸稲荷番付では関脇をつとめる稲荷である。烏の多い森にあったので烏森稲荷というわけだが、今は森の代わりに飲食店がまわりを取り囲んでいる。ただ、烏の方はビル街を森林とみなして、江戸時代と変わらず横行しているようだ。ともかく賽銭をあげ、ざっと拝んでから小路を抜ける。それから、喉も乾いたのでお茶でも飲もうかと、あまりぱっとしない店に入った。すると、いきなり、日本酒か洋酒かと聞いてきた。酒類はノーサンキュウーなので、お冷を頼んで一気に飲干すと、そこそこの金を払って店を出ようとした。が、そうはいかなかった。結局、飲みもしないビールを頼み、ママさんの話を聞く羽目になった。ここのママさんも、昔は美人の範疇に入っていたのだろう。ただ、どこか冷たいところがある。ひょっとして、美しき女神であるダキニ天に似ているのかも知れない。しばらくして、話が途切れたのを幸い、店を出ることにした。帰りがけに、開店記念品の残りとかいうダーツのミニチュアを貰った。

(88)日比谷神社(港区新橋4)★

 日比谷神社とあるが稲荷社であり、もとは日比谷公園の辺りにあったらしい。また、歯痛の時に鯖断ちをして祈願すると良いとされ、これに因んで鯖稲荷とも言う。その鯖が目当てなのか、三毛猫が一匹、こちらの様子をうかがっている。そのうち、鯖を持っていないことに気付いたのだろう。すっとどこかに行ってしまった。ところで、稲荷の周辺では新橋虎ノ門地区再開発事業が進行中。祭礼の時には神輿も出るという由緒ある稲荷であっても、この地に居座ることは難しいらしい。都市部の稲荷にとって移転は宿命のようなものだが、それでも、今は居た堪れない雰囲気なので、ちょっと拝んで、そっと立ち去る。
(注)現在は港区東新橋2に遷座している。


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