ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

交錯恋愛51

2010-11-20 20:07:39 | 交錯恋愛(4人組長編/完)
「交錯恋愛50」の続きです(´ω`)
ようやくここまでこれました(ふぅ)

-------------------------


「あたしの、馬鹿」
あたしは訳もわからず走っていた。

仲良く寄り添うガウリイとアメリアを見て、逃げ出したのだ。あたしは。

恋人同士なんだから、当たり前なのに。
そんな事分かってて覚悟を決めたハズなのに。

あんな風に逃げたりして、きっと変に思われたに違いない。
...アメリア、久しぶりに会えた。
少し、大人っぽくなった気がする。

「....うっ」
喉の奥が熱くなって、知らず涙が溢れた。

...とりあえず、どこか落ち着けるとこまで、走っていこう。
そう思った時、誰かに思い切り腕を引かれた。

「リナ!」

聞きなれた声。優しく低い声。
....嘘。ウソだ、そんなわけない。

恐る恐る振り返ると、そこには肩で息をするガウリイ。長い金髪が乱れている。
あたしを追って走って来たのだ。
....なんで?

「リナ、待ってくれ」
はあはあと息をつくガウリイ。
「...な、んでよ。あたしお邪魔でしょ!?帰るんだから放してっ」
そう言っても、ガウリイは放してくれない。
「誤解だ」
「何がよ!...恋人同士が仲良くするのは当たり前じゃない!」
そう、当たり前だ。
「違う!そうじゃなくて...」

珍しく激しい口調のガウリイに、どきりとする。

「...そこのお二方、静かにして頂けませんか?」
「あ、すみません...」
図書館司書に注意されて、ガウリイはあたしの手を引いて歩き出した。
...どっかに連れてかれる?

「すまん、リナ。屋上に行こう...話がしたい」
「...分かったわよ」
「リナ...泣くなよ」
「泣いてなんか...!」
くしゃり、と頭を撫でられて、あたしは黙った。


本当に何もない屋上。
一つだけある小さなベンチに、浅く腰掛ける。

今日は晴れているのにあまり暑くない。
日差しが優しくあたしたちを照らす。

「...なんで追って来たの?」
ガウリイの意図が分からなくて、あたしはうつ向いたまま尋ねた。
...とりあえず涙は止まってくれたようだ。

「...よく分からん」
「はあ!?」
思わず顔を上げてガウリイを見る。
「よく分からんが...とにかく、誤解を解きたくてだな」
ガウリイは頬をぽりぽりと掻いた。
「だから何が誤解だってーのよ!...彼女とイチャイチャしてるとこ見られたからって...!」
ヤバい、また泣きそうかも。

「違う!...アメリアとは今さっき別れた」

「....え?」

ガウリイの目は真剣で、その蒼に射抜かれる。
「...う、そ」
「ホントだ」
「嘘よ!なんでよ!...大事にするって言ったじゃない!!」

「オレはお前さんが好きなんだ...リナ」
あたしは言葉を失った。

「アメリアはオレにとって妹みたいな存在になってたんだ...」
「妹?」
「そう...アメリアも、同じ事思ってたらしい。さっきアメリアから振られた」
「アメリアから...っ」

「お前さんにゼルがいるのは分かってる...ゼルガディスがいい奴なのも知ってる。...でもオレはお前さんが好きだ」
「ガウリイ...」

あたしは顔が熱くなるのを感じた。
たぶん、顔真っ赤だ。

...あたしもガウリイが好き。
ちゃんと、ちゃんと言わなくちゃ。

..でも、なかなか声が出てこない。
「....」

黙っているあたしをどう思ったのか、ガウリイは苦笑した。

「...なんて、ごめんな。勝手なこと言って」
──は?
「お前さんが嫌なら...諦める」
え、ちょ..ちょっと待ってよ!

哀しそうな顔をして立ち上がろうとするガウリイを、あたしは思わず懐に忍ばせていた携帯用スリッパで殴っていた。

すぱーんっ!

「いってぇ、っというかそれはどこから...」
小さく呻くガウリイに、あたしは立ち上がって叫んだ。
「ガウリイの馬鹿!くらげ!...あたしが泣いてる意味とか考えてないでしょ!!」
「...へ?」
「あたしだってさっきゼルと別れたんだから!!」
こんな風に言うつもりじゃなかったけど...

ガウリイはぽかんとしてあたしを見る。
「...なんで?」

「だ、からっ!」

あたしは顔を背けた。
──だああっ、恥ずかしいっ!
「あたしも...あんたが好き..だからよ」

数秒後、あたしは唐突に抱きしめられた。
「ちょっ...!」
──こいつ、もしや抱きつき魔?

「リナ!!」
嬉しそうな声。
顔をあげると、ガウリイの眩しい笑顔に思わず赤面した。

「オレも大好きだ!」
「さっき聞いた..」
「でももっかい言わせてくれ」
「...勝手にすれば」
「リナ、好きだ。たぶん、ずっと前から」

あたしは、鼻の奥がツンとするのを感じて、ガウリイの胸に顔を埋めたのだった。


続く

------------------------
次回に続きます!



最新の画像もっと見る

コメントを投稿