故郷の山を思う。約20年前の故郷の写真を見ていたら、子供のころのことなどいろいろな思いがよみがえってきました。
水戸から国道50号線を西進すると、万葉集にうたわれた三毳山が見えてきます。
唐沢山から三毳山を遠望
万葉集 巻14の3424
「しもつけの みかものやまの こならのす まぐはしころは たがけかもたむ」
・・・三毳の山のコナラのような美しいあの子は誰の飯茶椀を持つのだろうか。・・・というような意味です。
故郷が近づくと、美しい女性はともかく、山々は全山コナラに覆われているといっても過言ではないほどです。
三毳山は安蘇山ともいわれ、通った高校の東方約7㎞にある標高229mの山です。学校行事で高校から山頂まで往復歩いたこともありました。カタクリの群生地でもあります。
この地方はどの山に入ってもカタクリの花を見られるほど、あちこちに小群生地があります。
晩秋の西の山のコナラの黄葉。
晩秋の東の山のコナラの黄葉。
この2枚の写真をつなぎ合わせたものが冒頭の写真です。
実際に北の方角を向いてみる景色はこのように見えるわけです。再掲します。
故郷の山。全山コナラの黄葉。
我が家は西の山と東の山の合わさるところ。家のある場所を聞かれたときは「西の山と東の山に物干しざおをかけて、洗濯物を干すことができる場所です。」と言っていました。冗談ですがわかりやすい言い方であります。家は写真では森の陰で見えません。
この山のコナラのドングリを持ち帰って蒔いたところ、庭で見事に黄葉しました。コナラは黄葉しますが、このコナラは黄葉というよりむしろ紅葉です。
コナラの黄葉、いや紅葉。
特別講座「楽しい自然観察」にまだ黄葉していない葉を持参したところ、テリハコナラであることがわかりました。たまたま持ち帰ったドングリがテリハコナラだったのですから、この山のコナラはかなりの確率でテリハコナラが自生しているはずです。
故郷の山の黄葉したコナラに陽が当たって照り輝いているさまは、モミジの紅葉にも勝るものがあります。
桜の季節には寺などにある桜と、山桜があちこちで見られます。
家の裏の杉森にも桜の大木がありました。以前は杉森より上に花を咲かせていたのでした。このころは途中から倒れてしまい低くなっていました。鎮守の森に囲まれたような我が家ではスギ花粉が土埃のように飛んできたためか、花粉症はいまだ縁遠いです。息子らは花粉症ですから、花粉症は都会の病と思います。
小学校。
小学校は家から南1kmほどにあります。
ところが中学校はというと、この写真の中央の小学校の裏山を越えた向こう側でした。峠の標高は約280mです。標高差約160mの獣道のような峠を越えてゆかなければなりません。
さもなくば南の方角へ3.5km程下って、さらに北に1.2kmほど上る遠回りをしなければなりません。
中学生になる前に、兄たちと試しに小学校の裏山の峠を越えてみたことがありました。こちら側は緩やかでしたが、向こう側は急斜面で天候が良くても滑って難儀しました。雨天時はとても越えられない急坂でした。それでもこの峠を通っていた先輩がいたようでした。
南の方角。
南の方角へ回り道をして通うには自転車があればよいのですが、買ってもらうあてもありませんでした。毎日この峠を通わなければならないかと覚悟したほどです。
ところが入学まじかになってから親が自転車を見つけてくれたのです。でも実は自転車には三角乗りしかできませんでした。急きょ自転車乗りの練習をしたのでした。