庭の花たちと野の花散策記

山野草と梅が大好きの「雑草」。花以外は思考不可の植物人間の庭の花と野の花散策記です。

新品種の梅「偕楽」

2023年03月09日 | 水戸の梅

先日、盆栽の師匠を訪問したとき、「偕楽」と名付けた梅を売り出したいと、鉢植えの梅の木を見せてくださいました。
ほとんど白花ですが、薄い紅が花弁の中央にあります。底紅タイプですが、私にとっては初めて見る花です。
花弁は丸く、しわはなく平べったい。
花弁の色は白色で中央部分が薄紅色。
旗弁が出ています。花糸(旗竿)の先に花粉ではなく花弁(旗)がついていますが、その花弁が大きい。

盆栽の師匠はこの梅の木を花木センターで「甲州緑萼」の名で出されていたのを入手したそうです。
緑萼はありふれているので、盆栽としては魅力はあまり感じなかったそうです。
それでもこの「甲州緑萼」は枝が非常に細いので、盆栽に仕立てたらよい盆栽が期待できるので入手したそうです。
盆栽の師匠は「甲州緑萼」の細い枝を太い台木に接木しました。

「緑萼」は萼が緑色で八重咲の白花です。

たぶん師匠はこのような花が咲くと期待していたはずです。
ところが花を咲かせてびっくりです。

花は緑萼ではなくて、初めて見る全く違う花を咲かせました。緑萼が大化けしたのでした。
白い花弁の中央部分が薄紅色です。
花の中央が紅色の花を底紅といい、鈴鹿の関、関の守、東雲などがありますが、紅色が濃いものがおおいです。

これは東雲です。


「偕楽」は旗弁がかなり多い花もあります。

「偕楽」の花を見せていただいたとき、雑草は花がもしかしたら塒出の鷹の雰囲気があるような気がしました。とはいってもまだ塒出の鷹の花をじっくり見たことがありませんので雰囲気を感じただけです。
そこで、梅の師匠に聞きましたら、雪灯籠に似ているとのことでした。
初めて聞く梅の名「雪灯籠」。ネット検索してなるほどよく似ています。さすがは梅の師匠、私はまだまだ修行未熟なものです。偕楽と雪灯籠の違いは雑草にはよくわかりませんが、偕楽のほうが旗弁が多くでるように思います。

盆栽の師匠はこの花に「偕楽」と命名して世に出すと決めました。
盆栽の師匠は、水戸城の西方の守りを担う重要な地域に屋敷を構えた武家の子孫で、水戸徳川家とかかわりがあった家柄で、梅の盆栽も多数取り扱っておられます。水戸九代藩主斉昭公が開園した偕楽園への深い思い入れもあることからの命名と思います。
これからこの接ぎ木苗を作って売り出すのは早くても1年後くらいにはなるとおもいます。

水戸徳川家にゆかりのある名前の梅の木は、光圀梅、烈公梅などに「偕楽」が加わることになります。
光圀梅はひたちなか市の育種家が稲田氏が作出し、立川光楽園が命名し売り出したもの
烈公梅は弘道館裏手にあったもので昭和9年に水戸の六名木に選ばれたもの
 また八重黄金は偕楽園御成門近くにあったもので、他の白梅よりも黄色みがある花で八重黄金と名付けられたもの。
今は母木は枯れてしまい、好文亭内にその苗木があります。

好文亭内の八重黄金
田鶴鳴梅林内にも同名の梅の木があるが、花は黄金梅のような花で、好文亭内の八重黄金とは全く違う

また家康梅は愛梅ともいわれ、駿府から水戸に来て、昭和になってから水戸の育種家から静岡の丸子梅林へ行き、家康ゆかりの久能山へ献上されています。さらに名古屋城へも苗木が植えれています。
 水戸の育種家が水戸植物公園に寄贈した家康梅の木の枝から偕楽園で苗木を作ったものが
弘道館にデビューしています。

弘道館にデビューした家康梅。八卦堂の裏、三の丸小学校の裏側にあります。

また幻の梅となってしまった和実梅は、駿府から水戸へ来た梅で、いまは石碑のみが偕楽園にあります。

好文亭内の和実梅の碑
更に偕楽園内で見出されたC区黄金と名付けられた梅の木があるようです。
さらにさらに、常陸座論と言われた梅があったとかで、これを探しに県北付近を探索したという記事を見たことがあります。
これらの他にも水戸の育種家が作出した品種も多数あり、ゆかりの梅を訪ねるのもまた楽しみです。




コメント (1)
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