庭の花たちと野の花散策記

山野草と梅が大好きの「雑草」。花以外は思考不可の植物人間の庭の花と野の花散策記です。

ネナシカズラには相性がある

2019年09月12日 | たのしい自然観察

今年も庭にネナシカズラが繁茂してきました。ミカエリソウに寄生したネナシカズラ。
 アメリカネナシカズラ
ネナシカズラと言えば野でよく見かけるのは上のアメリカネナシカズラです。
でも今回は庭のネナシカズラ 在来種です。

ネナシカズラと言っても最初は地中から発芽するので、根があるのかもしれません。根の有無は確認していません。
他の植物に絡みつくとまもなく地表に近い部分が枯れます。退路を断ち切って他の植物に絡みついて活路を見いだしているようです。
 絡みつかれた植物・宿主と維管束をつなぎ、水分や栄養を吸い取るようです。この時に宿主の健康状態の情報なども入手しているということです。枯れそうな宿主や病気の宿主からは吸収したくないでしょう。

宿主から十分栄養を吸収したネナシカズラは花を咲かせます。

そして実をつけます。

冬になると枯れて種が地上に落ちて春を待ちます。

 庭でネナシカズラが寄生した植物・宿主を思い出してみると。
ミョウガ、サカキ、ヤブムラサキ、マンリョウ、センリョウ、ミヤマガマズミ、ヤマコウバシ、サクラ、チャ、ミツバベンケイソウ、キキョウソウ、エゴノキ、ミカエリソウ、オニシバリ、ナニワズ、セキヤノアキチョウジ、イチョウ、ニンジンボク、ヤブソテツ、ゼンマイ、ドクダミ、マツムシソウ、ミツバ、オオハンゲ、オウゴンオニユリ、ムカゴイラクサなど手当たり次第に絡みつきました。
 
 でも、やはりネナシカズラにも好き嫌いがあるようです。
 ネナシカズラが元気に繁茂したのは、ミヤマガマズミ、サカキなどがあるゾーンです。上のネナシカズラの花や実の写真はサカキやミヤマガマズミが宿主です。

 ところがニンジンボクに絡みついたネナシカズラは最初は勢いよく絡みついたのですが、やがて枯れてしまいました。ネナシカズラにとってはニンジンボクは有毒と言うことで最も相性が悪いようです。このゾーンではニンジンボクとイチョウ、セキヤノアキチョウジに絡みついたのですが、いずれもネナシカズラにとっては相性が悪いようで、花を咲かせず実もならずに枯れてしまいました。以後このゾーンではネナシカズラが発生していません。

 オニシバリ
 一方、宿主側からみた相性というか耐性の違いもあるようです。これはネナシカズラがまだ絡みつかない、春先のオニシバリです。花がたくさん咲いてとても元気な雄株でした。

 その年の秋の様子です。オニシバリは秋には新芽を出すのですが、ネナシカズラに絡まれて新芽が出ていません。葉が見えるのはサカキなどです。
 ついにオニシバリは春になっても葉が無くて枯れてしまいました。夏坊主と言われるオニシバリやナニワズにとってはネナシカズラの寄生は致命傷となりました。ネナシカズラにとっては問題なかったようですが。

 ネナシカズラに寄生されると、寄生された宿主の枝が弱ったり、その枝が枯れてしまうなどダメージの大きさは種類によって違いがあります。先のニンジンボクやイチョウでは全くダメージが確認されませんでしたが、ほとんどの草木はダメージを受けます。このためネナシカズラは厄介者として歓迎されません。

このような厄介者のネナシカズラでも、昨年は影を潜めて、小さな株が一株だけでした。何が原因なのかはわかりませんが、発芽時期の天候が大きな原因だったかもしれません。それでも今年は元気に伸びてきたのは、地に落ちた種は翌年発芽する種のほか、数年にわたって芽をだす種があるからと思われます。

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ハキリバチの切取痕と巣 アレチヌスビトハギ ヤマノイモ マキエハギ

2019年09月10日 | 庭の花たち
 ハキリバチの切取痕
 アレチヌスビトハギの葉が丸く切り取られています。

 1本のアレチヌスビトハギのほとんど全部の葉が切り取られています。庭にはほかの場所にもアレチヌスビトハギがあるのですが、この1本だけです。これはハキリバチの仕業に違いありません。今年は猛烈に暑い日が多いので、木陰の葉に来たのでしょうか。

ハキリバチが来なかったアレチヌスビトハギは花が盛んに咲いています。


ハキリバチを始めて見たのは2015年9月でした。ヤマノイモの葉が見事に切り取られていました。
 ヤマノイモの葉を切取中
ハキリバチがヤマノイモの葉を切り取っている姿も確認しました。かなりの早業でした。新鮮な葉をすばやく巣に持ち込むためなのでしょう。

 ハキリバチの巣
ハキリバチは切り取った葉を巣に持ち帰ります。古い物干し竿に切り取った葉を持ち込もうとしているのを2017年に確認しました。自然の中では竹などを利用するのでしょう。


ハキリバチの切取痕らしいのを始めて庭で見たのは、2014年5月のマキエハギの葉です。このころから庭に住み着くようになったのでしょう。

マキエハギは今年も咲いています。
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水戸市植物公園をご案内 押し花展で押し花体験

2019年09月07日 | 公園ご案内
 チョウマメ
久しぶりに水戸市植物公園へ。今日のお客様はアリゾナからMASTER GARDENERのお方です。
入口の橋の上では色鮮やかなチョウマメが歓迎。

今日は気温が上がり汗ばむほどでした。テラスガーデンの滝の内側はとても爽快です。
 シンテッポウユリ
テラスガーデンにはシンテッポウユリが。花の外側に紫の筋がないので、タカサゴユリというより、シンテッポウユリでしょう。
 フヨウ
フヨウのようです。アメリカフヨウでしょうか。
 池
池にはネッタイスイレン(手前)とアサザがありました
 ネッタイスイレン
水面から高く伸びて咲いているので熱帯スイレンですね。温帯スイレンもあるらしいのですが、花を確認できませんでした。
 エゾミソハギ
池の周りにはミソハギの咲き残りが。萼のようすからエゾミソハギのようです。
 ツマグロヒョウモン
ほとりにはスジグロカバマダラと思ったがツマグロヒョウモンでしょう。虫の苦手なお客様と早々に食堂と売店へ。
 ヤブミョウガ
食堂のガラス越しにはヤブミョウガ。名前はミョウガですが、花弁が三枚で、ツユクサの仲間です。ブルージンジャーもこの植物園にありますが、これもジンジャーではなくツユクサの仲間です。ちなみにレッドジンジャーはジンジャーです。花弁を見比べると違いが判ります。
 セロシア(ノゲイトウ)
売店ではかわいいセロシアの花に一目ぼれ。鉢植えで小さく仕立てるとかわいいですね。地植えでは背が高くなりそう。
 キハダ
樹皮の薬用名は黄柏(オウバク)といい、強い抗菌作用を持つとされ、チフス、コレラ、赤痢などの病原菌に対して効能があるほか、健胃整腸剤などに用いられているようです。
また、染料として用いられ黄蘗色(きはだいろ)という鮮やかな黄色の染料で、黄色に染め上げる外に、赤や緑色の下染めとして、特に紅花特有の鮮紅色を一層引き立てるそうです。
薬用植物園の森を通り抜けて、奥の展示館で開催中の「いやしの押し花展」へ。
 「いやしの押し花展」展示会会場
アトリエ四季の花の綿引啓子先生の教室の皆様の力作です。風景画・動物・山草・ボタニカルなど様々なスタイルの押し花が展示されています。

最初に目に留まったのは、大漁桜の押し花です。桜鯛色の花を咲かせるとってもきれいな桜の花ですが、まるで今咲いている花そのままのような初々しさです。写真では表現できていなかったのが残念です。
大漁桜は角田春彦氏が早咲きの大島桜の種子を熱海市営農場で播種、育成した苗から選抜されました。全ての花に旗弁があり、桜鯛の色と漁の時期に因んでこの名がつけられたそうです。カンザクラとの交配でしょうか。水戸市森林公園下の山根フルーツラインで見ることができます。
先生のお顔が額のガラスにうつって見えています。

 押し花体験
押し花体験をさせていただきました。綿引先生は押し花の奥深さを研究されて、押し花には人をいやす力があると言われ丁寧に教えてくださいました。
 押し花体験作品1
 押し花体験作品2

いやしの押し花展は明日9月8日(日)までです。


コメント (1)
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万葉集の植物について 巻14 3451の「さなつら」についての考察 追記する

2019年09月04日 | たのしい自然観察
 エビヅル
 昨年の特別講座「楽しい自然観察」では万葉集の植物についての授業がありました。その時に万葉集全4516首について、万葉仮名とその読みのデータベース(ワード)を作り、全首を読んでみました。目的は万葉集にどのような植物が詠まれているかを確認して見たかったからです。
 その結果、おおよそ170種類の植物が詠まれていることがわかりました。これをネット上で解説されているものと照らし合わせてみたりして、より正しい方向に修正を試みました。
植物で一番多いのはハギで143首見つかりました。二番目はウメの121首でした。
そのほかの植物としてはサクラ、マツ、タチバナ、スゲ、ススキなど、また名前はわからないが、クサ、キ、モミジなどがたく詠まれていました。それから、今ではどの植物をさしていのかわからないものもありました。いずれにしても万葉集は植物の宝庫であることがわかってきました。キノコのマツタケもありました。リョウブもあっておかしくないと思いましたが、確信に至るものは見つかりませんでした。
 エビヅル
 調べてゆくうちに、もしやこれも植物かもしれないと思うものに出会いました。
たとえば万葉集 巻14 3451
 左奈都良能 乎可尓安波麻伎 可奈之伎我 古麻波多具等毛 和波素登毛波自
 さなつらの  をかにあはまき  かなしきが  こまはたぐとも  わはそともはじ

 さなつらの丘に粟を蒔いて、いとしいお方の馬がそれを食べても追い払ったりはしません。というのが、おおよその意味と思います。
 ここに詠まれている植物はひとつは粟です。これはまず間違いないことだと思いますが、気になったのは、歌の冒頭にある「さなつら」でした。何となく植物ではないかなと思われたのですが、ネット解説では常陸説など種々あるが不明とのことでした。また「さなつら=さかつら・酒列」との一説があることがわかりました。さなつら=さかつらとして解釈すると、
 「酒列」は「ヤンサマチ競馬」のゴールの地名であることから、この地では馬を非常に大切にしていましたので、せっかく蒔いた粟を馬が、それもいとしい人の馬が食べたとしても追い払ったりはしないということです。なるほどと思いました。
 酒列磯前神社御由緒記碑
 そこで、ヤンサマチ競馬について調べてみました。ヤンサマチ競馬は東海村の村松大神宮の浜から磯崎の酒列磯前神社までの約9kmの浜辺で競う酒列磯前神社の神事です。
 酒列磯前神社の創建については上の石碑にもありますが、ネットの説明は下記のとおりです。
『文徳実録』によると、文徳天皇の斉衡3年(856年)12月29日に常陸国鹿島郡大洗磯前に御祭神大己貴命・少彦名命が御降臨になり、塩焼き(塩を精製する者)の一人に神がかりして、「我は大奈母知、少比古奈命なり。昔此の国を造り訖へて、去りて東海に往きけり。今民を済わんが為、亦帰り来たれり」と託宣され、当社「酒列磯前神社」が創建され、・・・とあります。
 一方、万葉集は延暦2年(783年)頃に大伴家持の手により完成したとされている。と説明されています。酒列磯前神社の創建のほうが後であり、ヤンサマチ競馬も万葉集より後の可能性があるのではないかと思いました。
 ヤマブドウ
 酒列磯前神社がまだ創建されていなくても、酒列の地名はすでにあったかも知れません。また浜競馬もすでにあったものを、神社創建後は神事として行われるようになった可能性も考えられます。また浜競馬が無かったとしても、以前から馬を大切にしていたことは間違いないとことと思います。
 でも、さなつら=さかつらとして、さらに神事が始まる以前にもヤンサマチ競馬に等しいものがあったとするよりも、もっと単純にさなつらはそのままさなつらとして歌われていないだろうかと考えてみました。
 さなづら という老舗の銘菓があることがわかりました。さなづら とは、山野に多く自生するぶどうの一種の方言であると説明されています。
 また、さなつら は福島県ではエビヅルのことであることがわかりました。
 現在でもエビヅルはヤマブドウとも言われることもあり、巨峰のような黒っぽい色に熟すごく小さいブドウの実がなり食べられます。また、ヤマブドウはエビヅルよりもかなり大型の葉、茎ですが、その特徴はエビヅルを単に大型にしたと言ってよいほどよく似ています。逆に大きさ以外は違いを説明できないと言えるほど両者はよく似ています。
 このことから、さなつら=エビヅル(ヤマブドウを含む)として、万葉集3451に当てはめることが可能ではないかと考えました。もちろん当時は馬がとても大切であったことは変りありません。
さなつら=エビヅルとすると、
 エビヅルの(生えている)丘を(苦労して開墾して)粟を蒔いて、その粟をいとしい人の馬が食べたとしても追い払うことはしません。むしろ食べてくれるのを待っているとの意味合いが感じられます。なんとロマンチックな歌ではありませんか。
 万葉集については 高校生の時に、あおによしならのみやこは・・・くらいしか覚えのない雑草がにわかに万葉集を調べたことですから、笑い種にしかならないことと思っています。


追記 さなづら さなつら(やまぶどう)のネット上の記事例
1 泉北市の観光情報 物産:角館エリアに
さなづら
さなづらは秋田の方言で山野に自生する山ぶどうのことを言い、山ぶどうの風味が特徴の、さっぱりとした味わいになっています。

2 食べるワイン!? 秋田の人気和菓子「さなづら」の魅力やアレンジ食べ方など秋田県で栽培されているヤマブドウを使用した和菓子「さなづら」。甘酸っぱさとゼリー状の食感が特徴的な、秋田を代表するお土産です。この記事では、菓子舗榮太楼(かしほ えいたろう)が作る「さなづら」の味わいやオススメの食べ方、またさなづら作りの様子をご紹介しています。 2020年11月18日 更新
3 菓子舗 榮太郎の商品鶴の湯さなづら(12枚入)には
 ”さなづら”とは、山野に多く自生するぶどうの一種の方言です。
木々も色づき秋も深まるとかわいらしい黒色の実をたわわにつけた、さなづらの房々が、赤褐色の葉の問々から顔をのぞかせます。
このさなづらを研究に研究を重ねて濃縮ジュースにし、甘みの加減、日持ちのことなどを考慮の上、この道何十年という老舗の菓匠の熟練した勘と冴えで、天然の寒天と共にねっとりとゼリー状に固めて作り上げました。
甘酸っぱく濃厚で、ワインのような深い味わいです。風味豊かな山の幸そのものの滋養菓と申せましょう。
さなづらは天然の酸の効果で常温でおよそ40日持ちます。体にやさしく、長持ちするのでお土産にも喜ばれます。
 山葡萄はその昔から、貧血と疲労回復に良いとされ、健康増進の為に長い間人々に愛され、食されてきた貴重な自然からの贈り物です。
眼の炎症の緩和や動脈硬化の予防で知られるアントシアニンの他、ポリフェノールを多く含むことでも、その硬化が注目されています。
このポリフェノールは、現代の生活習慣病の原因となる有害物質(活性酵素)の働きを抑えることに役立っています。
 県内の山奥に実る野趣あふれる芳醇な山ぶどうそのままの味と香りをぜひご賞味ください。
原材料名
砂糖(国内製造)、ミックスジャム(水飴、砂糖、杏、みかん)、山葡萄液、寒天/葡萄果皮色素、酸味料、ゲル化剤(ペクチン)、香料

4 尾花沢市のふるさと納税返礼品
尾花沢産完熟山ぶどう原液果汁(さなつら・500ml×2本)
山形県尾花沢市 さとふるアプリdeワンストップ申請対象
寒暖差のある尾花沢市で栽培された、糖度20度以上の山ぶどう原液果汁です。酸味が強く力強い味です。
寄付金額10,000円 お礼品発送予定時期お申込みから1週間程度 (お届け時間帯指定可)

5 宮城県植物誌 宮城県の植物方言索引 に
さなづらぶどう(・・・ブダウ) <エ ビヅル> 
さなづらぶどう(・・・ブダウ) <サ ンカクヅル> 

6 創業1911年中川木材産業株式会社 木の情報発信基地 木の呼び方、方言
さなずら 【山形(西置賜・東田川)】サンカクヅル (ブドウ科)
さなずら 【山形(米沢市)】ブドウ (ブドウ科)
さなずら 【秋田(北秋田・南秋田・平鹿・鹿角)】サンカクヅル (ブドウ科)
さなずら 【福島(会津)】ヤマブドウ (ブドウ科)
さなずらぶんど 【岩手(二戸)】サンカクヅル (ブドウ科)
さなずらぶんど 【山形(東田川)】サンカクヅル (ブドウ科)
さなずらぶんど 【秋田(北秋田)】サンカクヅル (ブドウ科)

7 福島県植物誌 -393/483page 植物名方言
エビヅル 会津地方 エビ、サナツラ 中通り地方  サナヅラブドウ、サナズル、スナズル  



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