庭の花たちと野の花散策記

山野草と梅が大好きの「雑草」。花以外は思考不可の植物人間の庭の花と野の花散策記です。

実生のトラノオスズカケが咲きました。トラノオスズカケが水戸に来ても元気な理由

2019年07月31日 | 庭の花たち

 出島の木の鉢に出てきた実生のトラノオスズカケが咲きました。地植えのトラノオスズカケはもう少し後になるようです。

トラノオスズカケは四国3県と九州地方に自生地があるそうです。
 また都内の自然教育園では2007年の秋に58年ぶり1株が再発見され、今では増えて毎年花が咲いているそうです。なぜ、58年も発見されなかったのか? それは種の状態で地中に埋もれていたものが、何らかの工事によって地表近くに移されたとか、樹木の伐採などで日当たりがよくなるなどの環境の変化て発芽したと思われているようです。
 この場所は高松藩主松平讃岐守の下屋敷で、平賀源内が領地から移植したと言われています。明治時代は軍の火薬庫の敷地、大正時代は御料地となり自然が保護されてきたそうです。詳しいことは『国立科学博物館附属自然教育園の トラノオスズカケの再発見と大正4年の「東洋学芸雑誌」記事をめぐって 萩原信介*』 という自然教育園報告(Rept. Inst. Nat. Stu. ) 第45号:47-53, 2014. にあります。

今咲いている我が家のトラノオスズカケも出島の木の鉢に生えてきたものです。もとは、私がトラノオスズカケに異常なほど興味をもったことを知った友人が、たまたま猪が掘り返してしまったものがあったのでとひとかぶ送ってくださったものでした。もう10年以上も前の秋のことです。

送られてきたトラノオスズカケ

早速鉢に植えました。今では当地でも地植えにしても大丈夫なことがわかっているのですが、この時は四国と九州にしか自生していないのに、北関東で冬を越せるはずがないと鉢植えにしたのでした。

翌年3月には植えた株元からと埋めた各葉腋から芽を出しました。トラノオスズカケはツル状なので、株を鉢の中央に植えて、ツルは円形に浅く埋めて、葉だけが地上に見えるようにしておきました。その結果、株元と埋めたそれぞれの葉腋から芽が出てきました。

生育は順調で初夏になるとひと株だけだったのが一挙に増えました。

その翌年には立派な花を咲かせました。

次の年は花をたくさん咲かせました。写真を友人に見ていただいたところ、自生地よりも元気であると驚いていました。

北関東でも元気な秘訣の一つは冬季の紫色の葉です。自生地ではこのような紫色の葉は見たことがないとのことでした。
秋が深まるにしたがって、緑色の葉が紫色に変色してきます。このような濃い紫色になると、最低気温がマイナス5~7度になっても枯れません。でも、まだ葉が緑色のうちに急激に寒くなると、寒さのために葉が傷んでしまいます。このようにしてトラノオスズカケは極寒をもやり過ごす力を持っていることがわかりました。

 このようにトラノオスズカケは自生地とは遠く離れた水戸に来ても非常に元気なのです。そのもうひとつの理由は、もしかして。

 高松藩初代藩主松平頼重(よりしげ)は水戸初代藩主徳川頼房(よりふさ)の長男であり、三男光圀とは同じ母の子である。またともに母が懐妊時に父頼房から堕胎を命じられている。頼重は三木之次(ゆきつぐ)の江戸屋敷で産まれ、光圀は水戸の三木之次の屋敷(今は黄門神社があります)で産まれました。
 後に長男松平頼重は幕府直轄となった高松播主に、三男光圀が水戸藩二代藩主となる。
長男をさておき水戸藩主となった光圀は兄松平頼重とは特に親交があった。光圀は兄頼重の実子綱條(つなえだ)を養子に迎えて水戸三代藩主に、頼重は光圀の実子松平頼常(よりつね)を養子に迎え家督を譲っている。

 いかがでしょうか。水戸藩と高松藩とは深い関係にあることを思うとき、トラノオスズカケが水戸に来ても元気なこともうなずけませんか。





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ニッケイの遅い芽吹き

2019年07月22日 | 庭の花たち

ニッケイの芽がようやく膨らんできたので一安心です。

芽が出てきたのは2本のうち右側だけです。左側は枝の先端部が枯れ始めて、一部の葉もかれて、衰弱し始めたので心配していました。
このニッケイの親木は薄暗い杉森の谷にありました。

薄暗い森の中ですが、特徴ある葉の三行脈ですぐに気が付きました。

ニッケイは右の杉の木の左となりの直立した細い木です。
本体は非常に細い木なのですが、下枝がスギの枯れ枝によって地面に押さえつけられ、埋もれていました。
このため自然の取り木状態で、枝にはわずかながら根が出ていました。この枝を鉢に植えたものです。

わずかにしか根がなかったので、ほとんど挿し木状態でした。しかも下枝のためか冬芽も見当たりませんでした。春の芽吹き時になっても芽が出ないので心配していたのです。
やっと遅い芽吹きを確認してほっとしたのでした。
茨城では比較的珍しい木なのでぜひとも生きてほしいと願ったいます。

ニッケイの特徴として確認した事柄は以下のようです。

ニッケイの葉は三行脈がはっきりしていて、両端の脈が葉の先端近くまで伸びています。
葉体の基部は楔形で葉柄に流れるようについています。
葉の表面は濃い緑色で光沢があり無毛です。葉柄の元のほうは青色ががかっている。

葉の裏側は白っぽく、微毛がある。
葉をちぎるとニッケイの香りがして、噛んで、食べてみると独特の甘い味がする。

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偕楽園のマヤラン今年も 心沈むときは

2019年07月20日 | 偕楽園の四季 梅、桜、萩、紅葉など

偕楽園好文亭付近には毎年マヤランが咲きます。今年も咲いています。

南門から左手へ、七曲りの途中です。通路内ですから注意してお通りください。また、掃除のために掃き清められると折れてしまいます。

通路の外側にもありました。好文亭外ではこの3か所を確認しました。
好文亭内は未確認です。7月4日現在ではまだ見つかりませんでした。

マヤランはある種のキノコと共生しているようです。キノコは樹種ごとに種類がありますので、マヤランはこの森の樹木と深いかかわりがあるわけです。マヤランは兵庫県の摩耶山で発見されたのでこの名があるとおり、暖地の植物で、茨城県は北限と思っていましたが、いわき市の寺で発見され、これが北限でしょう。いずれにしてもこちらでは珍しい存在です。
花の時期は2回あって、7月と9月ころのに見ることができます。

七曲りを下るとノカンゾウとヤブカンゾウが隣り合わせでそれぞれ咲いていました。
 ノカンゾウ
 ノカンゾウ

 ヤブカンゾウ
 ヤブカンゾウ

忘れ草 垣もしみみに 植ゑたれど 醜の醜草 なほ恋ひにけり (万葉集巻12 3062)
・・・忘れ草(カンゾウ)を垣根のようにびっしり植えたのに、名前ばかりで酷い草だねえ。少しも効き目がなくて、かえってあの人をますます恋焦がれてしまった。・・・ 
恋の病に効く薬は昔も今もないということですかね。

また
好文亭内には対古軒という間があって、
昔の歌に 世をすてて 山に入る人 山にても なおうきときは いづち行くらん とあるのに対して
斉昭公が 世をすてて 山に入る人 山にても なおうきときは ここに来てまし と詠んだそうです。

恋の病ほか諸事情でこころ沈むときには、寂しい陰の裏山(七曲り)に行くよりは、陽の好文亭から広い園内を眺め、詩歌と茶の道にひたるべしということでしょうか。


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ヤブカンゾウ ノカンゾウ スカシユリ エゴノキ(チシャノキ)と万葉集

2019年07月16日 | 偕楽園の四季 梅、桜、萩、紅葉など
 庭のヤブカンゾウ
 庭のノカンゾウ
花期はヤブカンゾウのほうがやや早く6月から咲いています。ノカンゾウは7月に入ってから咲き始めました。
ヤブカンゾウは八重咲で、雄しべが弁化しかかったものが見られます。
カンゾウは万葉集ではわすれぐさとよばれていて、調べたところ5首で歌われていることがわかりました。

 庭のスカシユリ
海岸近くにあるスカシユリです。園芸店にあるスカシユリはこのスカシユリを片親とした交配種と思われます。
万葉集ではユリはさゆりとして出てきますがスカシユリとは別の種類かと思われます。調査不十分ですが10首にユリを見つけました。

 庭のエゴノキ
エゴノキには今年もたくさんの実がつきました。
万葉集ではやまぢさ・ちさと言うのが3首ありエゴノキと思われます。またはチシャノキではないかとも。
 庭のチシャノキの葉

 万葉集については年号令和のことからなにかと話題がおおいので、全4516首をざっと調べたところ、令和で注目の梅を詠んだ歌が121首見つかりました。
一番多いのはハギで143首見つかりました。マツは74首、地名は除いたつもりですが、一部混じっているかもしれません。タケは51首などのほか、偕楽園でよく見かけるサクラ、シダレヤナギ、ツバキ、ツツジ、フジ、クヌギ、クリ、カツラ、カシワ、シイ、カエデ、カシ、スモモ、エノキ、スギ、ヒノキ、カラタチ、アジサイ、カクレミノ、ヤドリギ、ビナンカズラ、テイカカズラ、ヤブコウジ、ヒガンバナ、ハス、ススキ、ヤブラン、ユリ、ヨメナ、クズなどなどたくさん見つかりました。
 万葉集には全部ではおおよそ175種類ちかくの植物が歌われていました。広い公園内を探せば先に挙げたほかにもあるはずです。
 梅、萩、柳、桜、松などを中心に詠まれた情景にふさわしい園内の場所を探してその歌をそれとなく表示するのも楽しいことではないでしょうか。
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ビナンカズラの雌花と雄花が咲き始めました。オニシバリの実が真っ赤に。

2019年07月16日 | 庭の花たち


ビナンカズラの花が咲き始めました。花の中心が赤色が雄花で、色がついていないのが雌花です。
庭のビナンカズラはもとは一株ですが、雄花と雌花と両方の花が咲きます。通常は雄花が先に咲いて、しばらくしてから雌花が咲くのですが、今シーズンは長い梅雨空続きのためか、同時の咲きだしです。


オニシバリの実が真っ赤に熟れました。庭には雌株だけですが、実がつきます。とはいえ雄株があったころににはもっとたくさんの実がついたので、やはり雄株があったほうが実つきがよいです。この実を蒔いて雄株を育てたいところであるが、果たして発芽するであろうか。



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