好文亭
息子からメールがありました。明日6日のNHK昼ブラは水戸の偕楽園から生中継するらしいと。
TVの番組表に「殿様気分で梅を満喫」とあります。これは必見です。
公式の案内パンフレットでは好文亭へお客様をご案内する順路は表門から一の木戸、竹林を経て好文亭へ。初めに陰、そして陽の世界へというのが、偕楽園の公式案内に書いてあります。
でも、ちょっとへそ曲がりの雑草の推理は、御成門から梅林をまっしぐらに好文亭へが御成門が新設されてからの高貴な賓客の正式ルートではないかと。
なぜなら、御成門は昭憲皇太后(明治天皇皇后)をお迎えするために新たにつくられた門ですから、一般のお客様よりさらに高貴なスペシャルゲストへのサプライズがあると思うのです。
満月
御成門を入ると最初に出迎えるのは満月の古木が両側にあります。この木は御成門を入った直後の左側の満月です。
では右側はどこに? それは大きな案内板の後ろ側です。
賓客を歓迎する満月を隠してしまったとはちょっと残念な設置でした。
そして、右側の満月の次には、花香美という品種があります。この梅の木については「昔、後水尾天皇が花も香も良く、実もよいとの意味で花香実と名をつけられ、一部では‘花香美’、あるいは‘花香味’ともいわれているという、天皇家ゆかりの梅の木です。今は名札落ちしたのか、枯れたのかみあたりません。また翁というめでたい名の梅の木があるなど、まさに高貴なお客様をお迎えするのにふさわしい御門となっています。
さて、この御成門からからは好文亭への一直線園路があります。酈懸梅など珍しい梅の木があるのですが、今では詳しい案内がされることはあまりありません。
園路の中間まで進むと十字路があります。
十字路の冬至
この十字路には園内でも屈指の早咲き梅が十字路の四方にあります。上の画像は十字路から御成門方向を見ています。御成門からいらっしゃる賓客には右側になります。ここに偕楽園でも最初に開花する(開花順番が片手に入る)冬至梅があります。
反対側、十字路手前の左側には八重冬至が。十字路の向こう側左手には冬至梅、右手には八重野梅が。
御成門からこの十字路まではなぜか白梅が多いですね。
さてこの十字路にさしかかると、かつてはここに簾の内枝垂(みすのうちしだれ)がありました。今は枯れてしまいましたが、白梅の多い園路を進んでくると、それはそれは感動する梅の木でした。
簾の内枝垂
ここで賓客は梅に強く興味をもたれて、案内の者に、「この梅は何という名か」とか初めて口を開かれることでしょう。
それで、ここから好文亭まではもうわずかな道のりですが、名花と言われる梅の木が次々と植えられています。
烈公梅、月影、月の桂、道知辺、茶青花、紅千鳥などなど。それからねじれた太い古木、その風格ある幹は尊厳をこめて鉄幹ともよばれるものです。
そして梅林の出口、茶店の手前にさしかかると左に江南にくらぶるものなしと言われた美しいい梅、水戸の六名木のひとつ江南所無、右は紅難波。こうして賓客は梅にすっかり満足されて、好文亭へ向かわれるのです。
さらに芝前門を通り、殿様の名をいただいた烈公梅、御所紅がお出迎え。さらにさらに白滝枝垂、そしてここにも簾の内枝垂が。さらに輪違い、高砂枝垂れなどがご到着まで続きます。
たしかに、高貴な賓客を表門から陰の世界に引き込むとは恐れ多いことです。御成門から清楚な白梅と天皇家ゆかりの花香美や老大木でお出迎えして、半ばを過ぎるころには目を見張る美しい花をご覧いただき、賓客にはこれから行く好文亭ではどんなにかわくわくさせるサプライズがあるだろうかと大きな期待を持っていただくという仕掛けがあるのかなと考えます。
この大胆な雑草の推理いかがでしょうか。これこそスペシャルゲストをお迎えするのにふさわしいルートで、まさに「殿様気分で梅を満喫」ルートと思いますが。
明日の昼ブラが楽しみですね。
以上は2月5日の投稿と一部追記
追記 2月8日他
6日の昼ブラでは上記とほぼ同じ場所での中継となりました。
十字路少し手前から中継が始まり、数種の名花を愛でた後に、偕楽園の梅の管理者根本氏が古木の説明をしました。そのあとで苗木畑からの梅の管理の説明をはさんで、好文亭へと移動しました。
この新しいスタイルの梅の見学ルートはいかがでしょうか。そのためには十字路にもう一度「簾の内枝垂」に匹敵する名花を植えたいものですね。