パフィオペディラム・ライムドーンがついに5輪とも咲き揃いました。今シーズンはあまりにも寒い氷点下の朝が続いているので、蕾の成長が非常に遅くなりました。部屋の温度があと1度低くなったら蕾のまま枯れていたかもしれない綱渡りの日々でした。
昨シーズンまでとは一番花が咲くまでが35日も遅くなりました。
当初の見込みでは、全部の花が咲きそろうまではせいぜい1週間くらいと思いましたが、
一番花が咲いてから17日も過ぎてから5輪全部が開花しました。
受粉の仕組み
雄しべは咲き始めのころは、周りと同系色なので見えにくいのですが、
一番花の開花から18日後に、雄しべの色が変わって見えるようになってきました。
雄しべは矢印の先です。
でも仮雄ずいの裏側なので、はっきり見ることができません。
斜め横から見ると雄しべが、見えてきます。これ以上は花を分解しないと見えません。
画像処理して、雄しべと雌しべの位置をわかりやすくしてみました。
雄しべのついている位置は赤い矢印の先で、仮雄ずいの裏側です。ここから少しだけみえているのす。
黄色い矢印の先の、仮雄ずいの裏側にめしべがついています。こちらは見えていません。
訪花昆虫は唇弁のスリッパ状の中へ入り、
仮雄ずいと唇弁の間を黄色い矢印の方向へ進みます。
この時訪花昆虫がすでに花粉を体につけていれば、雌しべに花粉がついて受粉します。
そして上の雄しべのところで、この花の花粉を付けて出てゆきます。
次に別の花を訪れて、同じく唇弁と仮雄ずいの間を通って、前の花でつけた花粉を雌しべに付けて受粉し、
雄しべの花粉を体につけて出てゆきます。
これを繰り返して、別の花の花粉を雌しべにつける、他花受粉の仕組みになっています。
仮雄ずいは他花受粉になくてはならない大切な構造物です。
訪花昆虫はこのように、スリッパの中を下から上へと昇ってゆくのですが、滑り落ちてもスリッパの中へ落ちるだけで、花から落ちることはありません。そればかりか、
スリッパの内側には毛があって、滑りにくくなっています。
一度訪れた昆虫に確実に受粉を手伝ってもらえるようにとの知恵のあるスリッパの構造です。
パフィオぺディラムの花のつくりにはそれぞれ大切な役目がありました。