立山日和。

立山連峰の山々を眺め富山県内を徘徊する日々を綴ったフォト日記。2014.11.3.までは友人の中国旅を毎日掲載した。

米騒動(3)・・・富山での評価は不思議

2007年04月24日 | Zenblog
 日本での近代民主主義を大きく前進させる端緒となった大きな事件が、この富山から始まった「米騒動」です。ここから大正デモクラシーの幕が上がったのでした。
 騒動直後、富山県人には「世間」を騒がせたという意識が強く、恥ずべき所業と考えられました。「富山県では大したことはなかった。県当局は上手に処理した」「新聞のセンセーショナリズムが、ことを大きくしてしまった」と考えられました。
 現在はどうかと言いますと、この考え方が基本的には変わっていません。民主主義の門を開く先頭を切ったという意識はほとんどありません。富山県公文書館の「とやまの歴史」はもちろん、河出書房の「図説富山県の歴史」、山川出版社の「富山県の歴史」も同様です。労働団体の富山地評が水橋に建てた記念碑の記述すらも同様でした。未だに、富山県内には「米騒動=富山の恥」論が根強いと思われます。
 最近、魚津の米倉庫前に「魚津市の自然と文化財を守る市民の会」が掲げた「魚津の浦の七月の風よ・・・」に始まる顕彰の文によって、やっと先人たちが救われたのではないかと思います。そこには画像のような当時の状況を説明する図も掲げられています。
 「高岡新報」の井上江花記者の行動も決して浅薄な「センセーショナリズム」などではなく、当時の「社会経済組織の欠陥」を見抜いた見識と「記者としての使命感」から出たものだと、もっと評価したいですね。
 つい最近放送されたNHKテレビの「その時歴史は動いた」の『米騒動』を見て思いました。これが歴史評価の常識だろうと思います。

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米騒動(2)・・・今に残る魚津の米倉庫

2007年04月24日 | Zenblog
 1918年7月23日、北海道への米の輸送船伊吹丸が魚津に寄港しました。米価高騰に苦しむ漁師のお母たちは、ここ大町海岸の十二銀行の米倉庫前(写真の2棟の建物が当時の米倉庫です)に集まり、米の積み出しをやめるよう要求し、米の搬出は中止されました。県や町などは寄付金を集めて米の安売りをしたり、新聞社に報道の厳重注意をしたり、警察の取り締まり強化の結果、沈静化していったということです。
 しかし、夕刊「高岡新報」の井上江花により全国の新聞社に富山の米騒動が打電されました。政府による新聞弾圧も行われましたが、全国768カ所で騒動が起こり約70万人(100万人ともいう)が参加、ついには軍隊が出動・発砲し14人が殺されました。大陸進出を目論んでいた寺内正毅内閣が9月21日倒れ、本格的政党内閣の原敬内閣が誕生しました。労働運動・婦人運動やがて普通選挙運動へと発展、大正デモクラシーが花開くことになりました。

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米騒動(1)・・・水橋の「おかか」から始まった

2007年04月24日 | Zenblog
 第一次世界大戦後の好景気で生まれた成金が、米相場への投機に手を染めシベリア出兵の動きとも重なって、凶作でもないのに米の値上がりは急速で3年で倍に、やがて3倍になっていきました。夫が遠くに出る漁師の家のお母(オカカ)たちは、富山の米を積み出す女仲仕をしたりしていましたが、家族に食べさせる米に極端に窮していました。貧富の格差が生み出した貧窮です。
 1918(大正7)年7月、お母たちは水橋の「あばればば」と呼ばれた水上ノブをまとめ役として米穀店へおしかけ「米をよそへやらんといてくだはれ」「米を安う売っとくなはれ」と嘆願しました。やがて、滑川、魚津、岩瀬、生地、宮崎と富山湾沿岸に広がっていきました。警察が介入して解散させていましたが、滑川では、実力で米の積み込みを阻止したりもしました。やがて、石動や小矢部の内陸部にも波及しました。これが富山での「米騒動」の始まりです。この写真の場所が、お母たちが働いていた「はしけ場」です。ここまで米を運んで小舟(艀ハシケ)に乗せて沖で待つ汽船に積み込んでいました。

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