「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

番組視聴コーナー~歌劇「ドン・ジョバンニ」(モーツァルト)~

2010年12月25日 | 番組視聴コーナー

いきなりの話だが、本日〔25日)の深夜23時からモーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」が放映される。

と     き   2010年12月25日(土)23時~

チャンネル   NHKハイビジョン「プレミアムシアター」

曲    目   歌劇「ドン・ジョバンニ
」(モーツァルト作曲)


指    揮   フルトベングラー

管 弦 楽    ウィーン・フィルハーモニー

加えて「ハイビジョン・リマスター版」とあるので、これはもうたまらない番組。この録画を逃すとおそらく一生後悔することになるだろう。

モーツァルトは35年の生涯で600曲以上の作品があるが、自身が「オペラ大好き人間」だったので真骨頂を発揮しているのは何といってもオペラ。

そのうちでも最終的にいわゆる三大オペラと称されているのが「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」(年代順)。

そのうち自分が大好きだったのが「魔笛」。三十代半ばの頃から入れあげてしまい、とうとうCD、DVD合わせて44セットもの違う演奏を購入してしまったほどの熱中ぶり。

それからおよそ30年、「魔笛」もいいが最近では「ドン・ジョバンニ」も甲乙つけがたいほどの作品だと思うようになった。

「魔笛」はおとぎ話の世界の中で「天馬空を駆ける」ような”さわやかさ”と”物悲しさ”が全編を覆っているのが特色だが、「ドン・ジョバンニ」は現実的な物語で人間の生の感情をふんだんに漂わせたドラマ。

「ドラマティックなストーリー」と「人間の感情」と「音楽」が見事に一体化していて、近年ではあらゆるオペラの中でこれこそ「究極のオペラ」ではないかと思うようになった。

現在、手元には4人の指揮者のCD〔3枚組)がある。

☆ ヨーゼフ・クリップス指揮〔ウィ-ン・フィル)

☆ ダニエル・バレンボイム(ベルリン・フィル)

☆ リッカルド・ムーティ(ウィーン・フィル)

☆ ウィルヘルム・フルトベングラー(ウィーン・フィル)

このうちダントツの演奏(と思う)なのはもちろんフルトベングラー。(クリップスが次に来る。)

      

1953年のザルツブルグ音楽祭の実況録音なのでモノラルだが、そういう録音の悪さなんかまるで吹き飛ばすような緊張感と迫力にあふれた演奏。

「フルトベングラーの真価はライブ演奏によってこそ初めて発揮される」ことにいやがうえにも頷かされる。

今回の番組は1954年のザルブルグ音楽祭での記録映画で1953年盤と配役がほぼ同一だが、ドナ・エルヴィラ役がシュワルツコップからデラ・カーザに
変更されている。

CDと違って映像つきのオペラ、しかもハイビジョン・リマスターによって画像、録音の装いも新たに放映されるのだからその期待の程が分かっていただけようか。

それにフルトベングラーの演奏の後には何と「トスカニーニ」指揮によるワーグナーの音楽も予定されている。

自分は23時~3時10分の番組終了まで念を入れて2台の機器で録画することにしているが、現時点で「ドン・ジョバンニ」に興味のない方もこの番組だけは是非、録画されることをお薦めする。

最高のオペラ〔音楽)と最高の演奏がそろった番組は生涯のうちでもそうあることではない。


 


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番組視聴コーナー~年末のNHKーBSハイの音楽番組♯2~

2009年01月10日 | 番組視聴コーナー

NHkにはいろんなクラシック番組があるがその中でも楽しみにしているのが年間を通じて開催されている「NHK音楽祭」。

そのうち、”魅惑のヴァイオリン、魂のコンチェルト”と銘打ち4人の将来性豊かな若手ヴァイオリニストたちだけを収録した特集番組が次のとおりあった。

期    日       2008年12月31日(水)

時    間       8時~11時

チャンネル        NHKBSハイー103

出 演 者        1 庄司 沙矢香
                 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲

              2 サラ・チャン
                 ブルッフ ヴァイオリン協奏曲一番
         
              3 ジュリアン・ラクリン
                 ブラームス ヴァイオリン協奏曲

              4 諏訪内 晶子
                 シベリウス ヴァイオリン協奏曲

       
       1            2              3             4

大晦日の午前中の3時間、1年間の締めくくりにふさわしく4名のヴァイオリンの競演をみっちりと聴かせてもらった。

こうして一挙に聴き比べができるのもよかったが、同時に二つのヴァイオリンの比較、つまり
「ストラディヴァリウス」の奏者が庄司さんと諏訪内さんといずれも日本人、そして「ガルネリ」の奏者がサラ・チャンとジュリアン・ラクリンという外国人との音色の比較にも興味が持てた。

自分ごときの素人が4人の演奏についてとやかく批評できる資格もないしその立場
にもないが、そこはブログの世界、お許しを頂いてひとつ率直に感想を記してみる。

☆ 庄司 沙耶香

ずっと以前のブログでも取り上げたがベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」を聴いたときと同じ印象だった。残念なことにどうも演奏の中にのめり込めないというかじっくりと腰をすえて集中して聴く気になれないのはどうしてだろう。

自分だけかもしれないが、たとえて言えば演奏中にもかかわらずつい手近にある本を取って読みながら聴きたくなる演奏といえばいい過ぎかなあ~。まだまだ全体的に庄司さんならではの個性が鮮明に出されるに至っていないのが残念。

☆ サラ・チャン

初めて聴くヴァイオリニストだったが思わぬ収穫。本人の演奏前のコメントに「歌うように演奏したい」とあったがまさに”歌っている”というのがピッタリくる演奏。ピアニストのグレン・グールド(故人)が小さい頃に音楽家の母親から「歌うように演奏しなさい」と特訓を受けた話を思わず想い出した。やっぱり「音楽は歌心がないと」と思う。

番組解説者の諸石氏も「存在感が豊かで圧倒的。オペラ歌手、プリマドンナの芸術ともいうべきで、演奏全体が骨太で輝かしく太陽を背負って演奏している」と外交辞令もあるのだろうが感想を述べていた。

とにかく、小さなミスなんかにこだわらずにおおらかに乗り越えていく印象で演奏全体に躍動感があふれており非常に豊かな将来性を感じさせた。

☆ ジュリアン・ラクリン

この4人の中では唯一の男性で番組の解説によると国際的にも最も著名な印象を受けたが、実演の方は期待したほどではなかった。

ブラームスのヴァイオリン協奏曲は大好きでジネット・ヌヴーをはじめオイストラフなど名ヴァイオリニストたちの演奏を随分と聴きこんできたが、この曲の演奏には自分なりの
”こだわり”というか判定基準を持っている。

それは第一楽章の序奏で哀愁を感じさせるオーボエの旋律のもとオーケストラの全合奏が勢いを高めてゆき、満を持して独奏ヴァイオリンが情熱的に登場してから約5分間ほどの箇所。

自分は、ここでいつも魂が震え、こみ上げてくるものを感じて思わず目頭が熱くなってしまう。これまでで、もっとも涙の量が多かったのはもちろんヌヴーの演奏、そして、もし目頭が熱くならないときはその演奏は自分の感性に合わないということですぐさま廃棄処分の運命にある。これは、どんな大ヴァイオリニストにも適用していて例外はない。

そういう意味ではこのラクリンの演奏にはちっとも感銘を受けず、涙の”な”の字も出てこなかった。これからも自分にはまったく縁のないヴァイオリニストになりそう。

☆ 諏訪内 晶子

12月中旬の「NHK音楽祭」での演奏の焼き直しで、もう既に昨年末のブログで取り上げたところ。そのときの好感度とこうやって4人同時に聴き比べた場合とでは今回の方がややマイナスの印象。とにかく手放しで絶賛というには何がしかの抵抗感を覚える。

何と言ったらいいのか自分の乏しい表現力にイヤ気がさすが、あえて表現すると演奏が生真面目すぎて融通がきかない感じ・・・。何だか庄司さんの演奏と一脈相通じるものがあるように思う。

もう少し演奏全体に伸び伸びと歌っているような躍動感が欲しいなあ~。

 


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番組視聴コーナー~年末のNHKーBSハイの音楽番組♯1~

2009年01月02日 | 番組視聴コーナー

年末のテレビ番組は1年間を振り返っての豪華な特集が多いのでまず目が離せない。CDを聴くよりももっぱらHDDによりクラシック番組の録画にせっせといそしんだ。

 ベルリン・フィルのジルヴェスターコンサート2006(再)

放映期日    12月30日(火)  0時~1時35分

チャンネル   NHKーBSハイ2

出 演 者   サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー

演奏曲目    「交響詩ドン・ファン」(リヒャルト・シュトラウス作曲)
          「ピアノ協奏曲20番」(モーツァルト作曲)
          ピアノ演奏  内田光子

             
                                               CD盤

世界最高峰のオーケストラ「ベルリンフィル」と内田光子さんの組み合わせによる「モーツァルトのピアノ協奏曲20番」、モーツァルトイヤー(生誕250年)記念の締めくくりだそうで、これは絶対に見逃す手はない。ただし、まるっきりの深夜放送でこちらはもちろん「白川夜船」なので録画予約。

明けて早速視聴。「交響詩・・」の方は興味がないので早送りして「ピアノ協奏曲」を頭だし。

まったく期待にたがわぬ演奏だった。やっぱりベルリンフィルは凄いと思った。とにかく整然として乱れがないというのが第一印象。管楽器の音が空中に浮遊する感覚がたまらない。個人的な意見を言わせてもらうと弦の響きそのものはウィーンフィルが好きだが管楽器は絶対ベルリンのほうが好み。

それ以上に素晴らしいと思ったのが内田さんのピアノ演奏。超一流のオーケストラに対しておめず臆せず、自然に水が流れるように見事に調和させながら、むしろリードしてオケを引っ張っていくような趣がある堂々とした演奏。「世界の内田」を再認識した。

2006年のライブの再放送だが、当時はまったく気がつかず今頃になって録画できるなんて実にラッキー。NHKさんどうもありがとう。

この20番はジェフリー・テイト指揮により彼女が弾いたCD盤(21番とのカップリング)を持っているが両方の演奏ともに甲乙つけがたい感じだがむしろオケがいいだけにこちらの番組の方がいいかも。

ただし、DVDにコピーすると音が悪くなりそうなので、このままHDDで保存することにした。同様にずっと以前の「セリーヌ・ディオン」「サラ・ブライトマン」のライブもHDDに保存中だがこれらはいずれDVDに移管させよう。


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番組試聴コーナー~女流ヴァイオリニスト諏訪内晶子さん~

2008年12月22日 | 番組視聴コーナー

1990年のチャイコフスキー国際コンクールで史上最年少で優勝した女流ヴァイオリニストの「諏訪内晶子(すわない あきこ)さん(1972年~)。

当時の優勝の模様をビデオに録画した記憶があるが深紅のドレスが見事な演奏に花を添えていたのが強く印象に残っている。

3歳のときからヴァイオリンを習い始め国内のコンクールを総ナメにして新人の登竜門として最後の栄冠を勝ち取ったものだが、とにかく才色兼備とはこういう人のことではないかと思うほど。

以前にもこのブログで取り上げたことのある著書
「ヴァイオリンと翔る」は音楽の道に深くまい進するヴァイオリニストの悩みと克服に至る過程を克明に描き、単なる自己修飾のきれいごとに終っておらず音楽に対する深い敬意と洞察に包まれた本だった。

        「ヴァイオリンと翔ける」(2000年、NHK出版協会刊) →  

その彼女がテレビに登場したのを久しぶりに観た。

と    き    2008年12月13日(土)  10時~翌日の2時

チャンネル    NHKBSハイビジョン103チャンネル

番 組 名    ウィ-クエンドシアター「NHK音楽祭2008」
          ヴァイオリン 諏訪内晶子
          指揮者    ウラディミール・アシュケナージ
          管弦楽    フィルハーモニア管弦楽団

       

一見して、当時と比べて「ちょっと痩せたな~」という印象。そういえば、つい最近の新聞の週刊誌の広告見出しでスキャンダラスな記事が掲載されていた。

さすがに(週刊誌を)購入してまで中身を見る気はしなかったが、結婚して一児(長男)をもうけたものの、ハズバンドが前ダイエーオーナーの中内氏の身内と仲良くなり、夫婦仲がうまくいっていないという趣旨の見出しだった(と思う)。

「火の無いところに煙は立たない」という諺があるが、ファンのひとりとしてどうか事実であって欲しくないと願うもの。ヨーロッパを中心に活躍している彼女には、雑音のない環境でもっと国際的なヴァイオリニストとして活躍してもらいたいし、それだけの資質にも十分恵まれていると個人的に思っている。

今回の曲目
「シベリウスのヴァイオリン協奏曲」の演奏も、音楽性豊かといえば月並みな表現になってしまうがピアニッシモの美しさが抜群で思わず聴き惚れた。

シベリウスが37歳のとき、いわば創作の絶頂期にあたるこの作品は北欧風のリリシズムに満ち溢れた名曲で自分の愛聴盤にもなっており次のようにいろんな演奏者のCD盤を所有しているがこれらの中でもトップクラスに位置づけできる勢い。

 ジネット・ヌヴー   カミラ・ウィックス   ヤッシャ・ハイフェッツ  ダヴィド・オイストラフ(2枚)  サルヴァトーレ・アッカルド

また、今回バックアップしたフィルハーモニア管弦楽団は創立1945年のイギリスのオーケストラでもちろんベルリンフィルとかウィーンフィルには及ぶべくもないがこの演奏ならCD盤を購入してもいいとさえ思った。

演奏後、テレビ解説者によると彼女の弾いているヴァイオリンは1714年製ストラディバリウスで愛称「ドルフィン」(イルカ)と呼ばれているという。ヴァイオリンの裏側の板の表面の模様が「イルカ」の姿に似ており、「イルカ」が飛び跳ねるような勢いのいい音に特徴があって、かってはあの名人ハイフェッツが弾いていた逸品だそうで道理でいい音がすると思った。

しかし、同じヴァイオリンでも奏者や弓などが変わればまた違った音色が出るとされており、その要因を前述の「ヴァイオリンと翔る」の中に諏訪内さんが次のように記載している。

 どのような弦を張るか
G、D、A、Eの4本の弦のうちたった1本の違いで全体の音色が一変する。さらに4本の弦すべてが同一メーカーがいいとも限らない。

2 弓との相性
弦と本体とに相性があるようにヴァイオリンと弓との間にも相性がある。

 顎当てや肩当てにどのような素材を使用するか

 楽器と弾き手との関係
奏者の体型、骨格、指の大きさ、太さ、柔らかさ、本人の感性など

今回の演奏は名器「ドルフィン」により諏訪内さんなりの音色を思う存分楽しませてもらったが彼女はまだ30代後半、もっと伸びしろがあると思うので順調に年輪が深まれば今後一流オーケストラとの協演が続々と実現し世界でもトップクラスのヴァイオリニストになる予感が大いにする。

日本人として超一流のレベルにある音楽家はまずピアニストの内田光子さん、そしてそれに続くのは、おそらく諏訪内さんではなかろうか。


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番組視聴コーナー~女性指揮者「西本智美」さん~

2008年12月16日 | 番組視聴コーナー

ずっと以前のブログで「女性指揮者が育たないのはなぜ」というテーマについて書いたことがあり、そのときに参考にさせてもらったのが女流ピアニストでエッセイストでもある「青柳いずみこ」さんの次の著作。

 「ピアニストは指先で考える」(2007.6.5 中央公論新社刊)   

この本の中に次のようなくだりがある。重複するが紹介させてもらおう。

『指揮者希望のある女性(ピアニスト)が知り合いの管楽器奏者に(指揮者になるための進路を)相談したところ、
「ダメ、ダメ、あんたには胸に余計なものがついている、そんなものを”ゆさゆさ”させられた日にゃ男どもは気が散ってしょうがない、やめとき、やめとき」』という逸話。

女性指揮者の弱点(?)というか、どうしようもない性差についてまことに言い得て妙で思わず吹き出してしまったが、その後に「西本智美さんなどは宝塚の男っぽいカッコイイスーツに身を包み全然
”ゆさゆさ”させていないように見えるが・・・」という著者のコメントがあった。

そのときに「フーン、女性指揮者が全然いないかと思っていたら
「西本智美」(にしもとともみ)さんという人がいるんだなあ~」と何気なしに記憶の片隅に留めていたところ、つい先日、テレビ番組のチェックをしている中、ふとその名前が目にとまった。

期    日   2008年12月13日(土)午後10時~10時30分

チャンネル    BSデジタル181「BSフジ」 

番 組 名    「辰巳琢郎のワイン番組」
指揮者の西本智美とワイントーク展開

都会と違って地方では「西本智美」さんなる指揮者を実際に拝見する機会はまずないといっていいし、少なくともごくごく限られている。どういう人かしらんと興味しんしんで早速番組予約。

そして、録画した番組を観たのが15日の月曜日。

                 

「辰巳琢郎」も随分と”締まり”のない顔つきになったなあと思いながら(自分のことはさておいて!)見ていると「西本智美」さんが颯爽とテーブルを前にして立っておられた。「オッ、なかなか”いける”じゃん!しかし気が強くて冷たそう」というのが第一印象。

もっとも、指揮者というのはただ指揮棒を振ればいいというものではなくて楽団員への管理能力が問われる大変な仕事。

これも以前のブログに取り上げたが長いことNHK交響楽団の指揮者だった岩城宏之さん(1932~2006)の著作「いじめの風景」によると、音楽芸術の世界でさえも「指揮者=管理職」、「オーケストラ=部下」という構図が成り立ち「叱り方の難しさ」や「逆に楽団員からいじめられる指揮者の実例」などが紹介されていたが、やはり女性指揮者であっても「男勝りの部分」も必要とされるのは当然。

番組中の西本さんによると自分の性格を「思いっきりがいい、竹を割ったようなといいつつも、意外と中からモチが出てくるといったような”しつこさ”がある」との自己分析だがさもありなんと思う。

日本には年間わずか3ヶ月ほどしか居ないとの話だったが、古今東西、名を成した女性指揮者をまず見聞したことがないので今後の活躍が大いに興味あるところ。

なお、この際だから彼女についてネット情報を漁ってみた。

まず
「ウィキペディア」から。

1971年生まれで大阪市出身。大阪音楽大学作曲科卒業。国立サンクトペテルブルク音楽院に留学。28歳のデビューから37歳までロシアを拠点に活躍。指揮台での美しい姿から公演チケットがバックアップステージ側から売れてゆくという。

阪急宝塚線で大学へ通っていた頃は宝塚音楽学校の生徒たちから上級生と間違われよく挨拶をされていた。

たしかにあのルックスと身長167.5cmと女性にしては長身なので「男役」と間違われても仕方がないところ。

なお、スキャンダラスな記事もちらほら。個人のブログの記事なので真偽の程は確かめようがないが、2007年夏季の「週刊朝日」に「西本智美の虚飾」との見出しで記事が掲載されたという。(未確認)

中身は、同性に対する性的嫌がらせ、虚言、経歴詐称などだったそうだが、どうせ有名税のひとつだろうし個人的な問題がどうあろうと指揮者の本分は指揮棒を振って芸術の本質に迫ること。

一度西本さんが指揮する音楽を聴いて女性指揮者としてのセンスを探ってみたいもの。

 


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番組視聴コーナー~「七人の侍」誕生の軌跡~

2008年09月02日 | 番組視聴コーナー

音楽への熱気に比べると映画の方はいまいち気が乗らないが、それでも興味がないことはない。

「映画とは映像と音だ」と喝破したのはゴダールだそうだが、モーツァルト曰く「音楽に映像(演劇)が加わったのがオペラ」だとすると、映像に音が加わったものが映画ということになるから音楽と映画とがまったくすれ違うというわけではなさそう。

さて、これまで観てきたいろんな日本映画のうちで一番記憶に残る作品はと問われたとすると、真っ先にアタマに浮かぶのは
”七人の侍”(監督:黒澤 明)。


自分が小さい頃に製作されたものだから、もちろん当時は分かりようがないが、後年成長するにつれ、そして中高年になった今でも相変わらず観るたんびに何らかの発見があり価値を見出す映画である。

今年は黒澤監督没後10年になるとのことで、何かと黒澤作品が話題に上っているがこれほどの傑作になると製作の経緯とかいろんなエピソードについては折にふれ関係者によって語り継がれてきたし、関係書も多いので大体のことは知っているつもりだったが先日のNHKBSハイビジョンによる番組ではかなり新鮮な情報が得られた。既にご覧になった方も多いと思うが、自分の個人的なライブラリーとして残す意図で整理してみた。

放 映 日    2008年8月28日(木)21時~22時16分

チャンネル    NHKBSハイビジョン2

タイトル      没後10年 黒澤 明 特集 「脚本家 橋本 忍が語る黒澤作品」
           ~「七人の侍」誕生の軌跡~

出   演     脚本家「橋本 忍」  インタビュアー「小野文恵」

聴 講 生     シナリオ作家協会シナリオ講座の皆さん
           日大芸術学部、早大生、全体で75名の映画を研究している方々

                 

NHK小野文恵アナウンサー(「ためしてがってん」のレギュラー)のインタビューのもと、「七人の侍」の脚本を書いた橋本忍氏(90歳)が思い出話を語るという趣向で番組が始められた。

冒頭に「弱い脚本から絶対に優れた映画は出来ない。~ 映画の運命はシナリオが握っている」(黒澤監督の言葉)により脚本の重要性と合わせて橋本忍氏が紹介される。

橋本氏は黒澤監督の代表作「生きる」「七人の侍」を始め8本の映画の脚本を共同執筆し、今日まで全部で71本の脚本(ほかに「砂の器」など)を執筆された方である。

盛り沢山の内容だったが、以下3点に焦点を合わせてみた。

☆「七人の侍」の題名の由来

「これまでの日本の時代劇は歌舞伎の延長に過ぎない、今度は徹底的なリアリズムに基づいた大型時代劇を製作したい」との黒澤監督の意向のもとに当初の企画では題名「ある侍の一日」を取り上げたが、当時の時代考証の裏づけ資料が足りず没となり、次の企画がオムニバス形式の「日本剣豪列伝」だったがこれも起承転結のストーリーの展開が欠如していたため没となる。

雑談の中で、昔の侍の「武者修行」はどうやっていたのかが話題となり、「道場破り」から話が発展して、「寺院で施しを受ける」そして
「お百姓に雇われて夜盗の見張りをする」へと続く。

ここにきて、黒澤監督「出来たな」、阿吽(あうん)の呼吸で橋本氏「出来ましたね」、「侍の数は何人にしますか?」「3~4人は少ない、8人は多すぎる、7人にしよう」「それでは
”七人の侍”ですね」

☆ 「七人の侍のうち誰を生かし、誰を死なせるかはどの段階で決まっていたのか」

映画では結局のところ、野武士との戦いで七人の侍のうち四名が戦死するがその生死については、当初から一切決めていなかった。その場になっての状況で一番効果的なタイミングを計った結果によるもの。ただし、強いて言えば主役の勘兵衛(志村喬役)だけは生き残るのが前提だった。

☆ 脚本の共同執筆で相互にぶつかり合ったときはどちらのアイデアを取り入れるのか

これは聴講生からの質問によるもので出来上がった脚本が映画の成否を握っている以上、非常に重要なポイントだと思った。橋本氏の回答は、ずばり、それはリーダーの判断にすべて一任したとのこと。

当時、脚本は黒澤明氏、橋本忍氏、小国英雄氏(故人:おぐにひでお)3名が熱海の旅館に3ヶ月篭って書き上げたもの。

黒澤氏と橋本氏がそれぞれ同じ箇所を執筆し小国氏はいっさい執筆せず、そのかわりに「いい」「悪い」を判断して選択するというもので、リーダーは「小国旦那」(橋本氏言)の役だった。

「いい」「悪い」の理由は一切問わず語らずで、両名ともに理屈抜きでひたすら「小国旦那」の言うことを素直に聞いて書き直したそうだ。

この方式で出来上がった作品が「羅生門」「生きる」「七人の侍」などでこれは黒澤監督の珠玉の作品とされるもの。

一方で晩年の作品になると、黒澤監督は共同執筆の形態をとり続けるも自分が「リーダー」となって最終の良否を判断するやり方に至ったが、衆目の一致するところこれらの作品に精彩が失くなってきているのは明らかである。

どうやら
「プレーヤーは審判を兼ねない方がいい」ようで橋本氏からも、だから「生きる」と「七人の侍」は良い作品に仕上がったと、その辺の機微を伺わせるような趣旨のご発言があった。

とにかく、この映画は何度観ても面白いが幸いにもNHKがBSハイビジョンで黒澤監督没後10周年に因んで全30作品を9月に入ってから放映中である。

今後、もう出現しそうにない空前絶後の傑作、日本映画の
不滅の金字塔といってもいい「七人の侍」の放映日は次のとおり。何と黒澤監督のご命日に最高の作品をぶつけてきた。NHKもなかなか味(あじ)なことをする。

NHKBS2チャンネル 2008年9月6日(土)20時4分~23時32分(3時間28分)                  

 


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番組視聴コーナー~「クラシック音楽喫茶」の名店紹介~

2008年07月26日 | 番組視聴コーナー

以前、「クラシック音楽喫茶」を開店してみたいという夢を書いたことがあるが、現実の存在として東京都内の三店を紹介した番組があった。

好奇心を満たしてくれたので紹介してみよう。

番組名      ハイビジョンのひととき「音楽名店探訪」

チャンネル    BS-i

と    き    2008年7月15日(火) 19時~19時54分

概    要    「名曲への誘い・東京クラシック篇」
           国分寺・吉祥寺・渋谷の名店

ジャズ喫茶は全国各地にあまねくあってそう珍しくもないが、「クラシック音楽喫茶」ともなるとファン層も限られていてそうそう簡単に成り立つ商売ではない。人口が密集した大都会ならではの賜物だろう。

地方に住んでいる自分には、こういう根が張ったクラシック愛好家に支えられた本格的な音楽喫茶があるのはまったくうらやましい限り。

音楽は基本的には自分の内面や過去の記憶と向き合って一人で聴くものだと思うが、ときには違った音質と広い空間で同好の士が集まって同じ曲を一緒に聴くのも捨てがたい味があるようにも思える。

番組の冒頭、
「ときの移ろいに流されることなく生き続けるこだわりの音楽空間」、「音楽文化の伝承者として今なお愛されている安らぎの場所」の見事なナレーションとともに名店紹介が始まった。

まず最初のお店。

 名曲喫茶「でんえん」(国分寺)

      
  外 観          店  内         店  主         実  演

まだ都内でも喫茶店が珍しい時代の50年前にオープン。夫婦二人三脚で始めたが、ご主人が27年前に他界され、現在は新井冨美子さんお一人で30席ほどを切り盛りされている。

バックに「田園」交響曲(ベートーヴェン)が流れる中でのインタビューで国分寺を選んだのは家賃が安かったからで、もともとは米蔵だった建物を改造。借り手がなかったので大家さんから拝み倒されたという。

何といっても売りは音響がいいことで、ソースはもちろんレコード。お客さんでありながら熱心なオーディオ愛好家の手作りのスピーカーが設置されてある。また、当時、美人のウェイトレスを常時3人置いていたことも魅力のひとつだったそう。

お客は一橋大学や津田塾などの学生が多かったそうで当時コーヒー一杯が50円、現在は450円というのがいかにも歴史を感じさせる。

たまに演奏会も催しており、当日は「三上 ヤスヒロ」さんのアコルデオンの生演奏を聴かせてくれた。大変お上手で、これは見事に音楽になっている!

最後に、今後の店の運営についてだが新井さん一代のつもりだが、お客さんの中で後を継ぎたい方がもしあればというコメントだった。自分が近くに居住していれば手を挙げるかも。ただし、現在の装置のままで引き継ぐというのがネックになりそう・・・。

 クラシック音楽鑑賞店「バロック」(吉祥寺)

       
   外 観         店 内           店 主        5台のアンプ

1974年開店。28席ある店内正面には2セットの大型スピーカーが設置され曲目に応じて使い分け。店内は私語厳禁で所蔵レコードはバロック期を中心に6000枚。

店内のアンプ(5台)は「伝説の真空管アンプ製作者」と呼ばれ、17年前に亡くなられたご主人「中村数一」氏が製作されたもので、1台あたり半年から1年かけて心血を注いで作られたそうで以後、妻の中村幸子さんがお一人でこれらの装置を守っておられる。

ご主人は享年53歳と比較的若死で、慣れない喫茶店の営業がストレスとなって命を縮めたのではと気にされていた。一時、お店を閉めたもののお客の熱烈な要望で再開されたという。

たまたまバックに流れている音楽が、コルトー、チボー、カザルスによる伝説の「大公トリオ」(ベートーヴェンop.97)で、この選曲を見てもお店の雰囲気の察しがつこうというもの。

自由帳(ノート)をおいてお客に感想を書いてもらうのも音楽好きだったご主人のアイデアで、レコードコレクションの傾向はバロック、古典派まででロマン派については他所の店で聴いてくれという姿勢。

「常連さん」へのインタビューでは、次のような熱烈な賛辞が贈られている
・貴重なレコードが一杯で最大の宝
・この店は心の支えで魂の癒しの場所
・席がすべてスピーカーに向いていて聴きやすく、来るたびに心が浄化される

中村さんは亡きご主人の製作したアンプが生きている間はこのお店を続けて生きたいとおっしゃっている。

 名曲喫茶ライオン(渋谷道玄坂)

       
  外 観           店 内          店 主          開店当時

開店から80年続く名曲喫茶の殿堂。立体的な音にこだわってレコードプレーヤーを特注し、高さ3mの巨大スピーカーは音の周波数まで技師と相談して決めたという。

店主の石原圭子さんが先代、そして亡きご主人の遺志を継いで運営されてきたが、開店当初はもの珍しさも手伝って大繁盛で地下から3階まで大入り満員だった。

現在はお客の数も随分減って、居住地のドーナツ化現象、しかも高齢化現象が追い討ちをかけている。しかし、熱心な人もいて毎週大阪から泊り込みで聴きに来る人もいるという。

とにかく全国区のお店として、地方から上京された方が「自分のふるさと」「まだあった」と喜んだり、「父がよく来ていたので」と子息が来たりするとのこと。

石原さんは、これからもゆっくり落ち着いてクラシック音楽に浸り、身体に音を浴びてリラックスできる雰囲気のお店にしていきたいとおっしゃっている。

以上、約1時間の番組で三店の紹介だったが、いろいろと符合することが多いのに気付く。

 CDではなくてレコードをソースにしている

 オーディオ装置にこだわりがあり個性的

 いずれも都内にあって長い歴史が刻まれ開店時の伝統が今なお生きている

 店主が年配の女性で、いずれも亡くなられたご主人の遺志を継いで経営している

特には偶然の一致にしては出来すぎている!

クラシック音楽喫茶の店主(男性)はなぜ長生きできないのか?


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番組視聴コーナー~「日本一<音>のいいジャズ喫茶」~

2008年06月30日 | 番組視聴コーナー

現役時代にストレスがたまったりすると、きまって考えていたことがある。

「いっそのこと、仕事なんかスッパリ辞めて本格的なオーディオ装置を備えたクラシック音楽喫茶をやってみたいなあ~」。

「店の名前はモーツァルトに因んで<アマデウス>にしよう、室内はどのくらいの広さにして天井の高さはいくらぐらいにする、どういうスピーカーを置いて、アンプはあれにする、CDプレーヤーはあのメーカーにしよう」なんて考えているとそれだけで結構楽しい夢をみさせてもらった。

結局、カミサンの安定志向にもとづく猛反対(当然ですよね!)で夢は適わなかったが今でもあのとき思い切って決断していたら今ごろはどうなっているのだろうと考えることがままある。

したがって、音楽のジャンルが違いこそすれ全国の
「ジャズ喫茶」の音にも、ずっと昔から興味を持ってきた。

自分の知る範囲で、「日本一<音>のいいジャズ喫茶」と聞き及んでいるのは
岩手県一関市の「ベイシー」である。

店主は名著
「ジャズ喫茶~ベイシーの選択~」で健筆を振るわれた菅原昭二氏。因みにこの本は自分にとって五味康祐氏の「西方の音」と並んで数少ないオーディオの「バイブル」になっている。

同書(当時)によると、「ベイシー」(当時懇意にされていた「カウント・べイシー」からもらった名前)のシステムは次のとおり。

レコード・プレーヤー      リン・ソンデック LP12(ベルトドライブ)

カートリッジ           シュアーV15タイプⅢ 

プリアンプ            JBLーSG520

パワーアンプ          JBLーSE460  3台

スピーカーシステム      低域  JBL2220B片チャンネル2本
                  中域  JBL375
                  高域  JBL075 

3ウェイの大型マルチ・スピーカーシステムでCDではなくて
レコード専用というのが大きな特徴。それに低域用の2220B2本を入れたボックスが巨大(吸音材として布団がブチこんである!)で、これが低域の迫力に大いに貢献している。

東京在住のジャズ喫茶経営の連中(寺島靖国さんなど)が「ベイシー」の音を聴いて低音のモノ凄さに度肝を抜かれたというエピソードを読んだことがある。

JBLの375と075はツイこの前まで自分が使っていたユニットで懐かしい。現在も部屋の片隅に置いてあるが十分に使いこなせなかったのでいずれ再挑戦という重くて楽しい課題が残されている。

ともあれ、自由の身になったら
クルマで日本一周をしながら是非一関の「ベーシー」に立ち寄って音を聴いてみたいというのが、これまで自分のささやかな夢のひとつだった。ただし、自由の身にはなったもののいろんな事情があっていまだに果たせないが・・・・。

その「ベーシー」が何とテレビの映像で菅原昭二氏のインタビューとともに公開されるとわかった。(月刊「デジタルTVガイド」)

と    き     6月17日(火)  19時~19時54分

チャンネル     BSデジタル・ハイビジョン  BSーi(106)

番 組 名     ハイビジョンのひととき「音楽名店探訪」

番組紹介      日本全国に点在するジャズ・クラシック喫茶の名店を探訪する。
            今回はみちのく岩手のジャズ喫茶の名店を紹介。
            盛岡市「開運橋のジョニー」と一関市の「ベイシー」を訪れる。

BS-iは他のチャンネルに比べてなかなか洒落た番組をときどき企画してくれる印象がある。

「開運橋のジョニー」はさておいても、「ベイシー」だけは必見だ。当日の朝に録画予約するともに当日19時からテレビの前に釘付けになった。

番組の前半は「開運橋のジョニー」の特集。早く「ベイシーに切り替えてくれよ」の願いも虚しくとうとう30分間ほど延々と続いた。

さて、ようやく「ベイシー」が始まると思いきや、今度は南部鉄器の工房や地元グルメの紹介に移った。「おいおい、いい加減にしてくれよ」という感じで待っていると、やっと「ベイシー」の放映になったが、もう残り時間がたったの20分程度になっている。


                 
      番組タイトル         「ベイシー」外観            菅原氏
 

                     
               ウーファー2発        ジャズ・レコードコレクション                 

全国のジャズ・ファンから「伝説のジャズ喫茶」と呼ばれているとのナレーションから始まったが、番組構成はバックにジャズが流れている中での菅原さんのインタビューが大半を占めており、一番期待していたベイシーの音を本格的に聴けるまでにはいかなかった。

もっとも、テレビ取材の持ち運び可能な機器程度では原音そのままの録音は到底無理だろうから期待する方が無茶というものだろう。

菅原さんの話し方や内容は随分温和であり穏当なもので、何だか「ジャズの仙人」のような印象がしてきて、それはそれでいいのだが、あの「ベイシーの選択」に書かれていた音に対する情熱、妥協のない研ぎ澄まされた先鋭的な感覚があまり感じられなかった。

たとえば「レコード音楽に対する音のこだわり」について「(他人に対するアドバイスとして)音に標準はないのだから自分が納得すればそれでいい」という言葉なんか、これはオーディオ愛好家にとっては非常に甘い言い方で「菅原さん老いたり」の印象を抱いたのは自分だけだろうか。

さらに、菅原さんは40年も経つとジャズ喫茶の辞め方が難しいなんて気になる発言をされていたが、先般の「岩手・宮城内陸地震」は阪神大震災以上の揺れだったそうだが、これがきっかけで「ベイシー」が廃業なんてならないように祈るのみ。

どうか自分が立ち寄れるようになるまでは是非営業を続けてくださいね~。

    

                        


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番組試聴コーナー~作家・石田依良の独創の秘密~

2008年01月01日 | 番組視聴コーナー

と    き    2007年12月25日(火) 23時~23時30分

チャンネル    NHK総合

番 組 名    ドキュメント「考える」~ベストセラー作家・石田依良の独創の秘密

過去、直木賞を受賞し、大変な売れっ子作家の石田さんは、沢山の取材(毎月20~30本)と原稿(毎月300枚)の締め切りで毎日大忙しだがそれでも小説のネタは尽きないという創作力の旺盛な作家。またその一方で極め付きの
モーツァルト・ファンとしても知られる。

著書「アイ・ラブ・モーツァルト」の中でオペラ「魔笛」(クリスティ指揮)やグレン・グールドが弾くピアノ・ソナタが大好きとのことで珍しく自分と好みがピッタリ一致するので大いに注目している作家である。「魔笛」が好きな人それも作家となるとほんとうに珍しい。

その石田さんの創作力の秘密に迫ったのがこの番組でNHKはなかなかユニークな企画をする。まずアプローチが少々変わっていて、NHK側から石田さんにミッションとして与えられたのは「自殺願望を持つ少女が自殺をやめたくなるような童話」を創作せよとの命題。同時にしばりをつけて広辞苑を無作為にめくって目をつぶって指で押さえた3つの言葉を童話の中に使うのが条件。

その結果、3つの言葉とは「がちょう」「草書」「光学」。創作の期限は48時間。

早速、石田さんが構想にとりかかるが、ここで彼の独創の秘密の一端が明かされる。
石田さんは創作にあたって
心を2段階で使うそうで、

理性の段階

さらに下の段階(無意識) → 自分の中にいる他人のような存在で彼、あいつといった存在
に分けられ、①と②の関係は①から②の彼に材料を渡しておけばひとりでに②から答え(ストーリー)を出してくれるような結びつきを持っているのだという。そして、本格的に執筆するときは①と②の二人で一緒にライブをしている感じになるのだそうだ。


そして興味深いのがプロット(構想)と執筆の過程で活用するBGMの音楽。今回ではプロットを考えるときに聴く音楽は主人公(自殺願望の少女)を踏まえて夫に先立たれた女性の悲しそうなボーカル。

そして執筆するときにかける音楽は、何とグールドが弾くモーツァルトのピアノ・ソナタ。グールド独特のタッチが創作意欲をかきたてるとみえる。

なお、余分な話だがちらっと見えた部屋のオーディオ装置がすごい。スピーカーはウィルソン・オーディオでCDプレーヤーはマーク・レヴィンソン!

そして最終的に出来上がった童話が面白かった。「人生に絶望して11歳7ヶ月で自殺すると決意したお姫様がお供のがちょうを連れて豊かな光の国へお別れの旅をするが、がちょうの自殺と亡き祖父が残した草書体の手紙をみて自殺を思い止まるというストーリー。」しばりとなる三つの言葉がきちんと童話の中で生かされている。

さてこの番組のポイントは
心の二段階活用である。37歳で作家デヴュー、43歳で直木賞受賞という遅咲きの作家である石田さんの独創の根源となる心の二段階活用は果たしてどのような過程を経て形成されたのだろうか?

この番組を見る限り、小中学生の頃に図書館の本を大量に読み漁り、小さい頃から自分を真剣に見つめる日記をずっとつけ続け、大学卒業後はフリーターなど各種職業を転々としてもがいていた過程で自然と身に着いたものらしい。

本人の言によると結局、若い時期に徹底的な
自分探しの旅をしたことが実を結んだようで、そういうことならフリーターをやっていても意義がありそう。そういえば、”自分という人間が何者であるか、それを証明していくのが人生”という言葉をつい思い出した。

また、心の二段階活用で思わず連想したのがモーツァルトの作曲の様子。小林秀雄氏の著作「モーツァルト」によると、まるで手紙でも書くみたいに、人と話をしながらあるいは鼻歌を歌いながら作曲していたという。

自分の中に別の自分がいるように、音楽の全体構成が頭の中に一瞬にして浮かびあがり、あとはそれを引き出して五線譜に書き写していくだけだったというが、石田さんの創作過程も似たようなもので無意識の部分の彼を活用するというところに両者ともに相通じるものがあるようでなかなか興味深かった。

                 
        石田依良氏       広い部屋での執筆        全体のプロット

           

 


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番組視聴コーナー~文豪ヘミングウェイの初恋~

2007年02月28日 | 番組視聴コーナー

「初恋の想い出は、ちょっぴりほろ苦くて、せつなくて、時間の風化とともにひっそりと自分の胸だけにしまっておくもの」と世の中の相場がだいたい決まっている。

ところが、その初恋の相手がこともあろうにその成り行きを詳細に日記にしたためていて、後世になって白日の下にさらされ研究家から鵜の目鷹の目で詮索されたとしたら・・・。

他人の初恋の顛末はそっとしておけばいいのにという反面、あの文豪(ノーベル文学賞受賞)の作品にどういう影響を及ぼしたのかという興味も大いに湧いてくる。

2月25日NHKBSハイビジョン「坊やの初恋~ヘミングウェイと看護婦アグネス」はそういう番組だった。

番組のテーマは次のとおり。

1 ヘミングウェイの秘められた初恋

2ヘミングウェイが描く恋愛が悲劇で終わるのは?

3 トラウマになった初恋に注目

4 ヘミングウェイの恋愛観に迫る

当時19歳でジャーナリスト志望のヘミングウェイ(1899~1961)は戦争の現場に立ちたい思いから赤十字要員に志願し、第一次世界大戦のイタリア戦線に参加、足に負傷を受けてミラノの赤十字病院に入院する。そこで出会ったのが7歳年上の看護婦アグネスだった。

以後の経過は彼女の日記によって詳細な進行が明らかにされる(1985年公表)のだが、結局この恋愛は実を結ばずアグネスからの一方的な破棄で終わりを迎える。

7歳という年齢の差が最後まで障害になったようで、ヘミングウェイはショックのあまり1週間も床についたままだった(実姉の証言)とのこと。

アグネスの魅力は美、勇気、献身だったようだがこの激しくてひたむきな初恋に破れた悲惨な経験と深い傷が、大きな不信感を生じさせ、その後の彼の人生と文学に決定的な影響を与えた。

通常の初恋の破綻とはやや様相を異にするようで、それだけ作家としての資質と感性が成せる業だったのだろうが、以後、友人や妻(4度の結婚)との関係を常に自分の方から終わらせるなど、彼女から受けた屈辱が終生のトラウマとなった。

研究家によると、子供の恋愛ごっこと揶揄された彼女を見返すために、自分に何が出来るのかと発奮し、10年後に不朽の名作
「武器よさらば」(1929年)を書き上げてアグネスに見せつけたとのこと。

アグネスとの実体験をモデルにしたこの作品は、ヘミングウェイ文学の原点ともいわれているが、最後は死産に伴う看護婦の死によって、救いようのない悲劇となり結末を迎えているが(終末2頁に亘る寂寥感は最高!)、研究家の間では作品の背景を知る上で現実の恋愛がどこまで進んでいたかが長い間議論の的になってきた。

ヘミングウェイの熱心な研究家は世界中で何と27か国650人(ヘミングウェイ協会)もいるとのことだが、二通りの意見が紹介されていた。

恋愛成就説

日中の病院の中では無理だが彼女には夜勤があったので愛し合えただろう。彼女の日記には”あの晩あなたはとても素敵だった”との記述がある。つまり小説どおりというわけ。

恋愛成就否定説

当時、看護婦は患者とそういう関係になれば即解雇となる厳しい規則だった。また、イタリアはカトリックの国であり現実には無理ではないか。小説の中身の方は作家が想像を膨らませた結果だろう。

初恋の破綻後、アグネスと二度と会うことのなかったヘミングウェイは1961年61歳で猟銃自殺(父親も過去拳銃自殺)を遂げたが、死の前日寝床に着くときアグネスとの恋愛中に覚えた愛の歌を口ずさんでいたという。最後まで初恋のイメージを追っていたのかもしれない。

なお、「武器よさらば」の映画は以前ロック・ハドソン主演のものを観たが、ゲーリー・クーパー主演(1932年)のものがあるとは知らなかった。

                      
          当時のヘミングウェイ            初恋の人アグネス





 

 


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番組視聴コーナー~頭脳立国インドの課題~

2007年02月06日 | 番組視聴コーナー

21世紀はユーラシア(ユーロとアジアの合成語)大陸の時代だといわれている。人口大国の中国、資源大国のロシア、IT大国のインド、この3国の目ざましい躍進ぶりがそのことを証明している。

1月28日のNHK総合テレビはこの3国の中でも取り分けITの分野で発展著しいインドを特集して取り上げていた。題して「インドの衝撃」シリーズ第1回「湧き上がる頭脳パワー」

内容は頭脳立国の掛け声のもとで理数系教育に力を注いだ結果インド人の頭脳が世界のIT業界に大きな役割を果していることを紹介していた。非常に勢いのいい話ばかりだったがその裏に一貫して流れていた本質的なテーマは「貧困からの脱却」だった。

この根深い問題に対して根本的な解決策を持たない他国の人間がいろいろ言ってもしようがないがインドに興味を持ったので感想を述べてみよう。

インドは11億の人口のうち25歳以下が半分を占めているが、そのうち理工系の学生の卒業生が毎年40万人に達している。貧しい境遇のもとで頭脳を生かして世に出ようとするため若者の間で学問に対する情熱が非常に高い。

その中でも代表的な教育機関が競争率が実に60倍という世界でも最難関のIIT(インド工科大学)だ。高度な学問を修めたこの大学の出身者が一握りのスーパー・エリートとなって国内外のIT産業の担い手として現在世界中を席捲している。

多大の人口と広大な国土を背景にしてこんなにレベルの高い英才教育をしているインドの将来は前途洋々のようだがその反面一朝一夕には解決できないインドの課題が番組を通して見えてきたような気がした。

まず第一点は人口の多さと国土の広大さである。

大きな利点のように見えるが逆に大きすぎて富裕層と貧困層の二極分化や中央と地方の地域間格差を解消していくうえでの大きなネックとなっている。これらの格差の拡大が政情不安、犯罪の多発による社会不安、環境破壊などの要素をはらんでおり、よほどうまい政治・社会システムが必要となるだろう。


第二点目だが

国の未来像がはっきり見えてこない。番組に登場するインド人全てが異口同音に国の発展を口にしていたが、国の発展の先にあるものが見えてこない。国民一人ひとりの人間性の尊重、幸せのあるべき姿など、国民に視点を置いた未来像がとうとう関係者の口から聞けなかった。

第三点目

左脳(論理性)優先の学問偏重主義の弊害はないのだろうか。
藤井康男氏の「右脳人間学」によると脳に遊び(余裕)の量がどのくらい生まれてくるかによって、動物の種としての発達の度合いが測れるものであり、その例として芸術、文化の度合いが民族の程度を表しているそうだ。

ユーモアもその一例でジョークの中で一番高度なものは、自分のことをせせら笑う自虐的なユーモアだといわれている。その点、ロシアのジョークは有名だが、インドではついぞその手の話を聞いたことがない。とにかく余裕が無い感じである。

インドでも若いうちから芸術、文化、スポーツにも親しみ幅広く人間性を涵養して多様な考え方を習得する教育環境も必要ではあるまいか。そういえばインドのこれらの分野での世界的人材はあまり聞かない。指揮者には父親の跡を継いだズービン・メータがいるがそのほかには・・・?。

ところで、番組の中で電気も水道も無い極貧の郷土の期待を一身に担ってIITを目指す一人の若者が登場していたが、その重圧と使命感にやせた身体が押しつぶされそうな様子が伺えて何だか気の毒で可哀想だった。

万一、入学試験に落ちたら彼はどうするのだろうか。受験の失敗ぐらい笑い飛ばして、挽回し吸収できる社会の余裕と仕組みがあるといいのだが・・・。

さらに、「貧困からの脱却」に向けてたった一人の若者に郷土の発展をゆだねざるを得ない地域の現状がインドの苦悩と重なり合っているように思えた。 

                      
                        一身に期待を担う若者
 


 



 


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番組視聴コーナー~羊達の沈黙~

2007年01月31日 | 番組視聴コーナー

チャンネル      WOWOW191
放映日時       2007年1月26日(金曜日)22時~24時
番組名        洋画
「羊達の沈黙」(アメリカ)
制作年         1991年
監督          ジョナサン・デミ
出演者        アンソニー・ホプキンス(レクター役)
             ジョディ・フォスター(クラリス役)
             スコット・グレン(教官役)
上映時間       118分
原   作       トマス・ハリス「羊達の沈黙」
  

概  要

アカデミー賞作品部門ほか監督、主演男優、主演女優など主要5部門を独占したサイコスリラーの傑作である。猟奇殺人犯を追うFBI女性訓練生クラリスは、かって同様の事件を起こして服役中の天才博士レクターに助言を請いに監獄を訪ねるが・・・・・。

私の感想

約15年前に観た映画だが、再度観てもやはり面白かった。
冒頭のシーンでFBIの訓練学校の入り口近くの木に
「”苦しみ、悶え、痛み”を愛せ」という標語が掲げてあるのが印象的だ。自分自身が楽をしたがる性質(たち)なので戒めとして身に沁みて記憶に残っている。(ただし、実行はできなかったが・・笑)

貧しい家庭に育った利発なクラリスはFBIの訓練課程で立派な成績を残し、それがもとで教官から見出され、監獄にいる殺人鬼レクター博士の尋問に向かう。

ここでクラリスはおざなりに備えた靴と、気を入れて買ったハンド・バッグとのグレードの違いを指摘され、はっとする。ただの殺人鬼だとたかをくくっていたレクターが、観察力に優れたインテリであり、その発想には深い洞察が含まれていると知るからである。こうして、クラリスは凶悪犯に、いわば人生の師を見出していく。

この映画は猟奇的な殺人事件とそれを解決するのにFBIが凶悪な天才犯罪者の手を借りるというのがストーリーの核となっているが、一方でこういう若い女性と初老のインテリとのかかわりを描いた映画としても楽しめる。

前回観たときには、殺人捜査のミステリーの展開だけに関心を持ったが、今回ではむしろ、こういう人と人との関わりで若い女性が成長していく物語としてもよく出来た映画だという思いがした。人生の妙味とは優れた師とのめぐりあいでもある。

主役を演ずる、ジョディ・フォスターは知的な雰囲気があって含羞を感じさせる表情が実に豊かで、この映画をみてファンになったが今では押しも押されぬ大女優となっている。これは余談だが、男児を二人生んだ(父親をあかさないが人工授精との噂)そうだが・・・。

また、もう一人の主役アンソニー・ホプキンスも入魂の演技だ。超インテリと人肉を食する凶悪殺人犯との2つのイメージを演じ分けているが、複雑怪奇で不気味な雰囲気を見事に醸し出している。

映画の中程で、警官を惨殺するシーンの直前にバッハの「ゴールドベルク変奏曲」を聴いていたのが知的な静謐と残忍さの両極端を暗示して印象的だった。

まだご覧になっていない方は一度見ても損はしない映画である。(2007年2月18日14:50~16:50にWOWOWで再放送の予定)

なお、馬場啓一氏の「人生に必要な全てをミステリーに学ぶ」によるとトマス・ハリスの原作ではクラリスが貧しい境遇に育ったことが重要な背景になっており、「貧乏は恐ろしくない、しかし恥じる気持ちが人間を卑屈にしてしまう」という信念のもとで、さまざまな苦境を乗り越えて雄々しく生きていく若い女性の自立の過程を実にたくみに表現していて文学作品の香りがすると評されている。 

              
   苦しみ、痛み、悶え        フォスター           ホプキンス
 

 

 

 


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番組視聴コーナー~庄司沙矢香~

2007年01月10日 | 番組視聴コーナー

チャンネル       NHKBS2
放映日時        2007年1月5日10:00~
番組名         第1581回N響定期公演
曲目           ベートーベン作曲「バイオリン協奏曲」
指揮者         ロジャー ノリントン
管弦楽団        NHK交響楽団
演奏者         庄司 紗矢香(バイオリン:1983年生)

ベートーベンの「バイオリン協奏曲」は昔から親しんでおり、手持ちではダヴィド・オイストラフのバイオリン演奏のCD盤を有している。

また、庄司さんが1999年パガニーニ国際コンクールで史上最年少で第一位を獲得されたニュースを知っていたので、どういう演奏をされるのか興味があったので視聴してみた。

まず、指揮者のノリントン氏は外見からすると実に親しみやすい円満そうなお人柄が伺われる。詳しいことは分からないがNHKとは定期公演に出演するぐらいだから現在密接な協力関係にあるのだろう。

道理で、昨年(2006年)、1年間に亘ってNHKBSで放映された「毎日モーツァルト」の魔笛編でわざわざノリントン氏指揮の魔笛を使っていた理由がようやく分かった。

このノリントン氏の魔笛は、実は「魔笛視聴レポート~CDの部~♯16」に採り上げたのだがあまり感心しない出来栄えだったので、よりによってNHKが何故この盤をという思いがしたので記憶に残っていたのである。

指揮者の真価はおおむねオペラで発揮されると勝手に考えているが、本題とは関係がないのでこの話はここまでにしておこう。

さて、庄司さんの演奏だが若手のホープとしてこれから大きく羽ばたいてもらいたいのだが、率直に言ってこの演奏会では彼女の個性が十分発揮されていない印象を受けた。

技巧以前の問題としてバイオリンの音が少々細すぎるようでもっと伸び伸びとした野太い音が聴きたかった。(ただし、近年は細身の音が主流との話もあるが)。これからいろいろと経験を積み重ねて成長されていくのだろう。

結局、この演奏会では自分の鑑賞力の乏しさのせいか庄司さんの長所をあまり見出すことが出来なかった。

ダヴィド・オイストラフという稀代の名バイオリニストと比較するのもどうかとは思うが、選曲ミスも一因かもしれない。今度は独奏でバッハあたりをもう一度聴いてみたい気がする。

                       
                                           庄司 沙矢香


 

 


 

 



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番組視聴コーナー~グレゴリー・ペック~

2007年01月02日 | 番組視聴コーナー

映画はあまり観るほうではないが、やはり好きな俳優は何人かはいる。その中でも双璧は、ジェームズ・スチュワートゲレゴリー・ペックである。

前者の場合は、ひ弱そうな外観なのに芯がしっかりした人間を演じるのが実に巧みで、「リバティバランスを撃った男」「ウィンチェスター銃73」「西部開拓史」「遠い国」「グレンミラー物語」「裏窓」などかなりの作品を鑑賞している。

後者の場合は、「ローマの休日」をみて以来のファンで「大いなる西部」「恐怖の岬」「オーメン」「白鯨」「ナバロンの要塞」など枚挙にいとまがない。

そのグレゴリ・ーペックの「わが人生を語る」がNHKのBS2で録画による放映があった。ペックは残念なことに2003年に87歳で死去しているが、実に懐かしかった。

番組では、観客の質問に答える形で進行されていたので分かりやすかった。興味のある質問と回答を拾ってみた。

一番好きな作品は? →「アラバマ物語」(アカデミー主演男優賞受賞)

「ローマの休日」で共演したオードリー・ヘップバーンの印象は? →ユニークな人で魅せられた。自分は引き立て役に過ぎなかった。宣伝用のポスターに自分の名前と併記するよう進言した。

「アラベスク」のソフィア・ローレンとのシャワーシーンでは彼女は本当に裸だったのか? →YesでもNoでもないが、かなり目を見張ったことは確かです

撮影中の恐怖の出来事は? →「白鯨」の撮影シーンで海に溺れかかった

どういう人として記憶されたいか? →いい夫、いい父親

そのほか、演技のコツ、好きな役柄、現在の伴侶とのなれそめなどがユーモアに富んだ語り口で披露されたが、人柄を表していて親しみやすさを感じた。懐古趣味かもしれないが、こういうバランスのとれた俳優はもう出てこないだろう。

                        

 



 


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番組視聴コーナー~にっぽん釣り旅~

2006年12月30日 | 番組視聴コーナー

釣りが好きなのでNHKのBSハイビジョン「にっぽん釣り旅」(木曜日19:30~20:00)を毎週楽しみに観ている。この番組は、毎回違うゲストが日本各地の釣り場に訪れて、地元の”名人”に手ほどきを受けて釣りに挑戦するという趣向である。

一般的に釣りというものは実に気まぐれで、天候、潮流、水温などによって大きく左右され同じ場所、同じ時間帯でも昨日釣れても、今日はさっぱりといったことが珍しくない。

したがって、番組収録当日にいくら”名人”の手ほどきでも釣果が全然ダメといったことがよくあり、ゲストにはお気の毒ということがよくある。

しかし、三重県七里御浜の真夜中のコロダイ釣りは、ゲストの田尾安志氏にとっては納竿直前のドンぴしゃりのタイミングで大物が釣れて実に楽しかった。

どんな趣味でもそうだろうが、釣りのスタイルもその人の性格をよく表わしていて面白い。他人が釣れて、自分だけが釣れないときの対処の仕方などは、思わず人間の地が出る感じで実に興味深い。

元プロ野球選手の田尾氏の場合は長年勝負の世界に身を置いていただけに観ていてさわやかな感じを受けた。同行者中、一番最後にやっと釣れたのだが、くさらず、明るく、根気よく粘った結果最後に大物が微笑んで何だか爽快な気分を覚えた。

                      
        三重県七里御浜               57cmのコロダイ


 

 


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