「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

釣り紀行♯48~「冷蔵庫の一夜干し」

2009年06月28日 | 釣り紀行

と   き     2009年6月25日(木)  晴れときどき曇り、海上無風

と こ ろ     S市O島

釣り時間     9時35分~15時15分

汐         中潮(干潮14時前後)

釣   果     クロ(メジナ)30cm(540g)1匹ほか足の裏サイズ14匹
           アジ25cmクラス13匹、タナゴ7匹 

       

梅雨に入ってようやく一雨来たのはいいが、追い討ちをかけるように天気予報はずっと50%の確率で雨の予報。今週は「釣りはもう無理」と諦めていたところ、水曜日からガラリと変わって晴れの予報が続く。

梅雨時期の天気予報は梅雨前線の動き次第なのであまり当てにならない!

しかし、当方にとっては僥倖である。「逃す手はない」と早速釣行に。今回はマキエがオーソドックスな「アミ+パン粉」と無難な選択のもとにO島へ。しかし、パン粉は釣具店で売っているものではなくて食料品店で購入したフカフカの粒の大きい人間さま用の上質パン粉を使用。匂いと口ざわりでいかにも魚が喜びそう。

前日にアミ2角を釣具店に予約し完全解凍を依頼。当日は午前中の引き潮が勝負時(どき)と読んで9時発の渡し舟に間に合うよう自宅を6時45分に出発したが通勤ラッシュに巻き込まれ港に着いたのが8時50分と滑り込みセーフだった。

「やあ、やあ、お久しぶり~」と船長さんにご挨拶。「今日も同じところでいいかい」「ああ、いいよ~」。

いつもの防波堤で釣り座を構え、仕掛け作りを始めたところ何と一番大切な小物類が入ったケースを2個(写真左)自宅に忘れてきたことに気付いて愕然。「あ~あ、これだから俺という奴はダメなんだ」と自分の頭を”小突き回したい”思い。急に釣行を思い立ったものだからつい慌ててウッカリしてしまったらしい。

                        

「こんなことで今日は一体釣りになるんだろうか」と不安がよぎったが常に持参している予備のケース(写真右)であらかた間に合いそうなのでホット一息。それにしても仕掛けづくりにいろいろと制約を受けるのは確実で「5年間に1回ほどあるかないか」の大ポカである。

「大丈夫かいな~」とブツブツ言いながらマキエを撒き散らして釣り開始。20分ほどでクロ(メジナ)が浮いてきだしたが、ちょっと時間がかかりすぎ。今日はあまり喰いがよくないと直感した。

案の定で普通はマキエの一投でワッと寄り集まるのに2投、3投と追い討ちをかけてようやく浮いてくる感じ。しかし、よくしたもので小物がおらず防波堤にしてはいずれも型ぞろい。ブリ上げるか、タモを使うか迷うものが多くやはりO島(離島)は別格と実感。

それにしても喰いがどうも持続せずバタバタと釣れたかと思うとパタリと喰いが止む。

前回の「釣り紀行♯47」でこういうときこそ釣り師の腕の見せ所と書いた手前、仕掛けをいろいろと変えてみた。まず釣り針の大きさを3号(伊勢尼)から2号(〃)に落とし、ハリス(糸)も0.8号から0.6号へといずれも小さく細くする。いわゆる「軽薄短小」である。それに加えてウキ下を1.5mほどやや深めにとったところアジが釣れだした。

それも25cmクラスでクロ並みのグイグイとくる強烈な引きで7.2mの軟竿が弓なりになって結構楽しませてもらった。真昼間からこんな「型良し」のアジが浅いタナで釣れるのも珍しい。

それでも午後からは喰いが遠のく一方であの手この手といろいろやってみたが最後の方は疲れ果ててしまった。納竿は15時15分頃になったがこの釣果ではやや物足りないが「海」という自然を相手に遊ばせてもらったので良しとしよう


今回の反省点だが、試みとしてはじめてマキエに集魚剤を混ぜなかったのだがやっぱりマズカッタみたい。それとオキアミを2回連続使用しなかったがやはり結果は影響ありでこれも喰いが落ちた原因かも。以前は「アミ1角+オキアミ2角+集魚剤」だったので次回は「アミ1角+オキアミ1角+パン粉+集魚剤」にしてみよう。

何だか
”くるくる”と持論を撤回するようで申し訳ないが「釣り」はホントに割り切れないことばかり。

たとえば「釣り針」を例にとると釣り人と魚の唯一の接点なので極めて重要なポイントであり、ウキ、オモリと並んでこの使い分けが「死命を制する」と言ってもいいが、大きな「釣り針」は魚が咥えたときに違和感を感じて吐き出しやすいが、呑みこんだときは口にガッチリと掛かる、一方小さな「釣り針」は魚が食い込みやすいが口には掛かりにくいといった具合で「プラスもあればマイナスもある」といった相反することばかり。ハリス(糸)だって細ければ細いほど魚の警戒心が薄らいで喰いがよくなるが、大物が掛かったときに切られやすい。

このようにマキエからツケエ、そして釣り道具一つ一つの使用に至るまで全てが「プラスとマイナスを併せ持っている」と断言してもいいくらいで「何を選ぶか」によって釣り人の技量とセンスが問われる厳しさがある。

つまるところ「釣り」とは釣り場所の選択から始まってあらゆる細かい微妙な選択の集大成だとも言えるが、人生だっていろんな選択結果の連鎖反応に過ぎないんだからこれは何も「釣り」に限った話ではない。

しかし、人生の場合は大切な岐路にさしかかったときに「選択のやり直し」がきかないってのがちょっと”淋しい”んだよね~。

さて、釣った魚は美味しく食べるというのが自分のモットー。

これは姉からの又聞きでテレビの旅行番組の話だが、料理の専門家が伊豆の宿を訪れたとき、料理に出された魚があまりに美味しかったため板前さんに調理方法を聞いたところ
「冷蔵庫の一夜干し」というのが披露された。実に簡単なので紹介。

まず魚の内臓とウロコを取り払い、きれいに洗ってやや濃い目の
塩水に浸す。時間は魚の種類や好みにもよるが30分~1時間程度。その後ザルに載せて上から固く絞った布巾をスッポリ被せる。サランラップはダメ。ザルの下には汁が落ちてもいいように皿などを敷いて置く。これで冷蔵庫の中に一夜置いておくと魚のタンパク質が見事にアミノ酸のうま味成分に変化して美味しくなるとのこと。

内臓とウロコ取りくらいなら自分でも出来るので早速、アジ、タナゴなど10匹ほどをトライしてみた。そのまま冷蔵庫に入れて翌朝、焼き魚として食べたところ単なる焼き魚とは大違いで実に美味しかった。魚を開いておけばもっといいが自分は不器用なのでそこまではしない。とにかく家内にも大喜びされたし、残りは冷凍庫に保管しても味が変わりにくいので大助かり。(もっとも、家内は自分が料理しなくていいので喜んだ節あり、簡単には騙されないぞ!)

何も釣ってきた魚とは限らず、お魚屋さんで購入した魚でもいいので一度お試しされてはいかが。

                                


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音楽談義~盲目のピアニスト「辻井伸行」さんと楽譜~

2009年06月25日 | 音楽談義

いささか遅きに失するが、全盲のピアニスト「辻井伸行」さんが「バン・クライバーン国際ピアノコンクール」に優勝したというニュースに思わず心が弾んだ。

生まれたときから光を失っているので「楽譜」をまったく見たことがないという「辻井」さんだが、一体どういう演奏をされるんだろうかと興味津々、一度お聴きしたいと思っていたところ早速6月13日(土)にBS朝日で
「全盲の天才少年ピアニスト~ショパンコンクールに挑戦~」と題して放映(116分)があったので録画した。

       

この番組は辻井さんが当時17歳、2005年の「第15回ショパン国際ピアノコンクール」に挑戦したときの模様を2005年12月4日に放映したもので今回はその再放送。

因みにこの「ショパンコンクール」はご存知の方も多いと思うが5年に1回ポーランドの首都ワルシャワで開催されるもので世界中の数あるピアノコンクールの中でも間違いなくダントツの
最高峰と位置づけされるもの。日本人のこれまでの最高位は現在国際的な大ピアニストとして活躍されている「内田光子」さんの第2位。

年齢制限があって17~27歳までが出場の有資格者で辻井さんは当時その年の9月が17歳の誕生日なのでもちろん出場者中最年少。このコンクールは約1ヶ月の長丁場なのでテクニックは言うに及ばず体力、気力さらには財力(?)までもが要求される。

第15回のコンクールでは参加人数が多かったため予備予選(棄権者を除いて257人)が実施され、以下第一次予選(80人) → 第二次予選(30人) → 本選(12人)と絞り込まれていく。

辻井さんは結局二次予選まで残ったが最後の本選には進めなかった。「ショパンコンクール」で勝ち抜いていくためには
「まず楽譜に絶対忠実であることを要求される」と聞いたことがあるが、それでも257人中30人までに入ったのだから大したものである。

さて予備予選~第一次予選~第二次予選の辻井さんの演奏をじっくりと聴かせてもらったが一番好みだったのは第二次予選で弾かれた「アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ変ホ長調作品22」。一音一音が磨き上げられたように聴こえ、ひときわ美しい下降旋律が心に染み入ってきてショパンらしい優雅さだと思った。

この曲はショパンの中でも「クラウディオ・アラウ」の演奏で若い頃しょっちゅう聴いていたお気に入りだが、もちろんまだアラウには及ばないと思うが自分ごとき素人が評価するのはおこがましいけれども「十分才能あり」と感じさせてくれた。

全盲というハンディをまったく感じさせない演奏であることはいうまでもないが審査員も演奏の途中から全盲に気付いてビックリしたなんて言っていた。

番組全体から受けた印象では、辻井さんの今回のショパンコンクール参加は「小手調べ」といった感じで次回の2010年9月開催の「第16回」にピタリと照準を合わせている印象をもった。万一、それがダメなときでも27歳のときの「第17回」に最後のチャンスを賭けるといったところかなあ~。

お父さんが「医師」(産婦人科)なので国際コンクールへの参加も自由自在だろうとは要らぬお世話だが、とにかく来年の第16回ショパンコンクールには大注目である。もし優勝すれば日本人初の快挙として日本中が沸き立つだろうし、そうなってくれればいいと心から願っているが少なくとも上位入賞はして欲しい。

オット、何だか「ショパン・・・」の話ばかりになってしまい冒頭の「バン・クライバーン・・・」が通過点のような書き方になってしまった・・・。

自分では決して水を差す積もりは毛頭なく、「辻井」さんにとって貴重なステップのひとつであり、「ショパン・・・」の挑戦から4年後の21歳で見事に栄冠を獲得されたことは、より一層腕に磨きをかかれたという努力の賜物だと明記しておこう。

さて、ここからいよいよ本旨に突入。いつもの調子で独善的で小理屈っぽい話になるがあしからず。

まず、「楽譜」を見たこともない辻井さんが点字の楽譜があるわけでもなし、どうして演奏ができるのかという大きな疑問を根底にもっていたのだがこの番組はきちんと答えてくれた。5歳のときから東京音大の講師の川上先生がつきっきりで指導に当たっておられるという。

通常の演奏者では「楽譜 → 演奏」なので音楽信号が「目から耳」へと伝達されることになるが、辻井さんの場合は「楽譜 → 川上先生が弾く → 辻井さんが聴いて演奏」となり「耳から耳」へとなっているわけで、人間の機能の面だけでいえばいわばストレートな形。
音楽を聴くときには目は必要ではなくむしろ邪魔になるくらいなのでこれは理にかなっている。

もっとも川上先生によると「辻井さんは自分が感じた音をそのまま鍵盤を介して表現できる、これは神様から授かった才能」と激賞されていたので辻井さんだけに許された才能なんだろう。

それにしても、辻井さんのように楽譜がなくても演奏できるとすれば改めて「楽譜って一体どういう役割をもっているんだろう?」と素朴な疑問が湧き出てくるところだがこの問いに対するガイド本をつい最近見かけた。

「コンサートが退屈な私って変?」(2009.3.12、春秋社)   

「素朴な疑問に応えるクラシックガイド」の副題のもとドイツ人のクリスティアーネ・テヴィンケル女史の著作で、本書の104頁にズバリ「楽譜の役割は?」とある。

もちろんひとつの考え方に過ぎないし翻訳書なので結構、意味の把握がしずらかったが自分なりに要約してみると
「楽譜なんてのは仕方なくできたのさ、昔はCDプレーヤーもCDを焼くソフトもなかったからね」と、あるミュージシャンの言葉を引用しつつ、楽譜の役割とは音楽を記録化することにあり、その一番の動機は次の世代に残すことと記憶を助けることにある」と随分単純化している。音楽を理解するためには楽譜が読めなくても構わないといった調子で全体的に楽譜を金科玉条のものとしては捉えていない印象を受けた。

                       

ここで興味半分に「人類の至宝」とされる楽譜の写真を掲載。左がベートーヴェン第九の四楽章の自筆譜(112頁)。「気が狂ったようにグチャグチャ」とある。右が浄書スコア譜(印刷出版譜)。

自分が思うに「文学」だって
「行間を読む」という言葉があるようにそれぞれの読者には独自のイメージ的な思考が許されているし、作家が文章だけで自分の思想を100%表現できるとは考えていないのと同じで、作曲家だって書き記した音符だけで自分の思想を完全に表現できるとは考えていないように感じるのだが。

つまり楽譜に記載された音符と音符の間とか周辺にも何か”something”がありそうで辻井さんのように演奏を聴かせてもらって聴覚の世界だけでイメージ思考をすることでむしろ作曲家の意思とか思想がより具体的に伝わってくるのではと思った次第。

というわけで、つまるところ不謹慎かもしれないが
「盲目はむしろ辻井さんにとってアドバンテージになっているのでは」なんて考えてしまう。したがって、これからの辻井さんの音楽への挑戦に対してもこういう視点を含めて興味深く拝見させてもらおう~。

この番組の終盤、コンクール終了後にポーランドの盲学校で辻井さんの演奏に真剣に耳を傾ける生徒さんたちの様子(一番右の写真)が目に焼き付いて離れないが、もし盲目がメリットになることが実証されるのなら世界中の目の不自由な方に大きな希望と光を与え、何よりもプラス思考にもっていけるので是非とも辻井さんには大成して欲しいと切に願っている。

                              


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釣り紀行♯47~「パン粉釣法」も実らず~

2009年06月22日 | 釣り紀行

と     き     2009年6月18日(木)  くもり後晴れ  海上ときおり強風

と  こ  ろ     T市F波止

釣り時間       8時10分~12時30分

汐           若潮(干潮11時前後)

釣     果     手の平サイズ30匹前後

                             

「強いものが生き残るとは限らない、賢いものが生き残るとは限らない、ただ変化するものだけが生き残る」(チャールズ・ダーウィン著「種の起源」)。

いきなりの”書き出し”に「”進化論”と”釣り”と一体どういう関係があるんだ?」と詰め寄られそうだが「正解が見出せないままにとりあえず目の前の環境に順応していく」ことについてはどこか似通ったところがある。

前回の釣行では、午前中は良かったものの午後が惨敗。原因についてはごく単純で「魚が食欲を失ったこと」に尽きる。

「なぜ食欲を失ったのか」 → 結局のところ汐の影響、満腹感などが考えられるのが関の山だが、魚の食いが悪いときこそ「仕掛けの妙味」によってきちんと対処できるのが釣り師の本当の腕前。

釣りには展開を
”読む力”が必要だが攻略のポイントは”魚の気持ちになって考える”ことだと分かってはいるもののこれがなかなか難しい。

とにかく改めてマキエの調合を含めて仕掛けを以下のように見直しをすることにしたが、こういうことは実際のフィールドで即座に気がついて対応するのがベスト。しかし(自分の場合は)平常心を失っていることが多く帰宅後に思い付くことばかりで”常に手遅れ”になるのが残念。

つまるところ教訓は次回に生かすしかないのだ!

1 オキアミは魚が満腹しやすいのでマキエに使用しない、したがってツケエにも使用しない。今度はマキエとツケエに「パン粉」だけを使用してみる。いわゆる”パン粉釣法”。

 ヘチ竿の(道糸を通す)ガイドが小さいため、魚がエサを咥えて反転したときに抵抗を感じて(違和感を覚え)瞬時にエサを吐き出す。したがって道糸を1.8号(ピンク)から1.5号(イエロー)に落としてより細くするなど全般的により一層繊細な仕掛けにする。

 「ヘチ」用リールの使い勝手が悪かったのでハンドル部分を改造する。 

                     

このリールのハンドル部分の改造は、「根竹」を釣具店から購入してきて加工し工夫しながら取り付けた。日頃、不器用を自認しつつも我ながら上出来と思っているが少し大きすぎるかな~。使ってみて不都合があれば鋸でカットしよう。

以上のような改良(?)を施すと、またまた早く釣りに行きたくなる。釣り歴40年のうちクロ釣り専門は20年ほどになるがいつもこういった繰り返しで、もちろん「これで釣れる」という確証は皆無である。

こうして永遠に試行錯誤が続いていく中で、ごくごく低次元での
”想像と実証”が手軽に出来るところに「釣り本来の魅力」が潜んでいる。

さて九州地方は6月上旬に梅雨入りしたが「梅雨の晴れ間」という言葉があるように期間中ずっと雨というわけではない。それにしても「カラ梅雨」がずっと続いている。

余談だが本県の「農林水産部」では早くも「小雨対策室」が発足したがこれは”お百姓さん”向けの行政的なポーズで、一雨来ればこういう”にわか組織”はたちどころに消えてなくなるのが通例。

とにかく好天気は釣師にとって歓迎すべき話、前回の釣行が6月8日(月)だったので、”機は熟した”とみて10日ぶりの18日(木)に決定。

今回は、マキエとツケエに一切オキアミを使わず「パン粉」だけを使うというこれまでの釣り方の”一大革命”。さすがに自信が持てず、比較的足を伸ばしやすい距離にあるT市H波止を目指すことにした。

ここで試験的に試してみて、良ければ大物が期待できる「O島」で本格的にという皮算用。

当日、波止場に着いたのは8時前で空は写真のようにどんよりと曇っていた。このF波止は久しぶりだが平日は相変わらず誰もいないのでホントに釣りやすい。さっそく突端のベストポイントに釣り座を構えた。

パン粉に集魚剤を加え海水を混ぜて出来上がったマキエを興味しんしんで撒くと2,3投のうちにクロが湧いてきた。”オッ、結構いけそう”というのが第一印象だがいかにも型が小さいのが難点。

それにパン粉を指で固めて釣り針に巻きつけたツケエだが手間が掛かるうえにウキに反応が出ないうちに無くなってしまう。何回も試してみたが同じことで結局これはダメ。予備としてツケエに”サシアミ”をもってきていたので助かった。これにはきっちりとクロが反応して喰ってきた。

しかし、マキエとサシエが異種というのは基本的に無理があって段々と食いが落ちていく。しかもパン粉のマキエに対してクロの食い気がいまいちで”ノソ~”と集まる感じ。”狂い回る”という印象ではないし大物もまったく顔を見せない。

結局「パン粉釣法」は魚の目先をちょこっと変えるのにはいいかもしれない程度で期待はずれだった。釣れることは釣れたが勘定するのがイヤになるほどの型の悪さで自分のイメージとは程遠かった。

「エサの解凍予約がいらない」「釣行後の水洗いが楽」「釣り道具全体が清潔になる」
「車内にアミの匂いがたちこめない」などと「パン粉釣法」は沢山のメリットがあるのだが、肝心の”魚の食いが長続きしない”ではやっぱり躊躇する。

因みに現在9年目で走行19万kmに入った「クラウン」だが新車時代に「車内にアミの匂いがする」と当分の間”釣行禁止”の指令(?)が出たほど。ここで指令者が誰であるかは”言わずもがな”、あえて明かす必要がなさそう。

とにかく次回は「アミとパン粉」の混合マキエでやってみよう、ヤレヤレ。


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オーディオ談義~独自のインシュレーター製作~

2009年06月18日 | オーディオ談義

オーディオに本腰を入れるようになると「磁界対策」「振動対策」「電源対策」などが不可欠になってくると思うのだが、こういうのにマメな愛好家がいるかと思えばそうでない人もあっていろいろあるみたい。

自分は「音がよくなる」と思えば何にでも手を出すタイプなのでもちろん前者に属する。

これらの対策は具体的な事象として目に捉えられないだけになかなか厄介な面があって一筋縄ではいかない。それに、「磁界」にしても「振動」にしても部位によってはある程度在った方が「お気に入りの音になる」場合もあって魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界みたいなところがある。

結局、最後には自分の耳で判断することになるし、その基準も「自分の好み」ということになるので「自分さえいいと思えばそれでいい」いわば自己満足の世界といわれても仕方がない。

そういうことを前提にして今回、ご紹介するのは「振動対策」の一環として自分でトライしてみた「インシュレーター」(遮音材)の製作。

因みにインシュレーターとはオーディオ機器の下で支えとなる敷きもの(通常3点支持)で不要な振動を防止する役割を持つ。

振動といってもいろいろあるが最たるものは低周波によるものでこれなどは壁や床を伝って”地を這う”ように隣室やときには隣家でさえもに簡単に侵入したりするのでそのエネルギーはバカにならない。

したがって同じ部屋にある機器なんかはまともに低周波の影響を受けるし、ほかにも微小電流を扱う機器によっては自身の電流通過に伴う鳴きとの相乗作用だって無視できない。これらは”ほったらかし”にしておくと確実に音質に悪影響を及ぼす。

かねてよりオーディオ関係の機器は高価すぎるというのが持論なので、今回のインシュレーター製作も安上がり作戦の一環である。

                 
           1                 2                3

がこれまで使っていたインシュレーター。小さな木片ブロックに振動を適度に減衰させる専用の円盤(金属)を張り合わせたもの。決して不満ではなかったがもっと良くなればと取り外すことに。

は今回の試みで「A六角タッピング」(サイズ:8×25)と、それに口径が合う小さなナットとの組み合わせ。

はその完成品。接合部に金属用の接着剤を塗ってピタリとあわせればオシマイ。とにかく簡単に出来るし1個作るのに100円以内で済むので大助かり。

A六角タッピングの材料は鉄にクロームメッキが施されている。鉄は「磁界の歪み」の原因になるのであまり使いたくないのだがこのくらい小さければ良しとしよう。ナットの方は磁気を帯びないステンレス製なのでこれは安心して使える。

メーカーがつくる本格的なインシュレーターとは程遠いが自分の独創品ということもあり調子に乗って30個ほど作ってみて、ありとあらゆるオーディオ機器の下に敷いてみた。もちろん「アキシオム80」の平面バッフルの支えも例外ではない。

ネジの尖ったほうを下にして敷くか、上にして敷くかも一考の余地があるがデジタルオーディオの雄「ワディア社」の製品では全て尖った方を下にして敷いているのでこの例に倣っている。もちろん機器によっては安定性がよくない場合もあるのでその場合は上下を逆にする。

                
     27ixVer3.0        170iトランスポート         PX25アンプ

見た目にもいかにもいい音が出そうでワクワクしながらいろんなCDを試聴してみたが随分と音の濁りが少なくなってスッキリと聴こえ効果大で非常にGood。大満足!手前味噌になるのでこれ以上は唇にチャック。

釣具なんかもそうだが自分で工夫して創りあげたものはいつまでも愛着が尽きないのと同じで、このインシュレーターも生涯に亘って使うことになりそう。


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釣り紀行♯46~「新しいリールと竿」の初試し~

2009年06月11日 | 釣り紀行

と    き   2009年6月8日(月) 晴れ  海上ときおり強風

と こ ろ    S市O島S地区

釣り時間    9時30分~15時10分

        大汐(満潮13時前後)

釣   果   クロ(メジナ)550g1匹、足の裏~手の平サイズ20匹、海タナゴ9匹

                  

                  

「おい、明日の月曜日に釣りに行くぞ」と言ったら、家内がちょっと首を傾(かし)げる。あまりいい顔をしないのである。最たる理由は釣ってきた魚の調理を一手に引き受けているから。

釣り歴40年近くなるが生来の
”ぶきっちょ”釣ってきた魚をさばくことはまずない。もちろん内臓とウロコを取って焼き魚ぐらいは出来るが、肝心の「三枚おろし」ができないのがつらい。不精なので覚えようという気がないのも困る。

したがって、釣行前にいつも家内の了解(?)を必要とする。いつも言い出すタイミングを適当に狙っているが、今回は家内が大好きな「潮干狩り」(日曜日の単独行)に行くときを見計らって宣言したのだがそれでも不承不承(ふしょうぶしょう)にOKという感じ。

「お前だってしょっちゅう貝掘りに行ってるじゃないか」「私は自分できちんと後始末をやってます」とやり返されると、こちらの方がやや分が悪い。しかし、当日はしっかり早起きして朝食の支度と昼食の海苔巻きオニギリ2個をつくってくれた。

前回の釣行が5月31日(日)だったので約1週間後となる今回の釣行はこういう状況下での決行と相成った。

やっぱり年令と体力とを考え合わせると二週間に一度くらいの釣行が”いいのかも”という気もするが、一方では世の中に
”こんな面白い遊びはない”ので体力があるうちにできるだけ沢山経験しておこうという焦りにも似た気持ちがある。

「音楽&オーディオ」は高周波に対する聴覚が加齢とともに低下していくものの死ぬ間際までどうにか楽しめるが、釣りはそういうわけにはいかない。せいぜい(体力が)もったとしてもあと10年あるかないかといったところだろう。

当日の出発は早朝の6時40分となった。当初は10時発の”渡し船”の時間に合わせて7時半出発の予定だったが「逸(はや)る気持ち」のせいか5時頃に目が覚めてしまい時間の余裕が出来たので6時40分発に急遽変更。これなら9時発の”渡し船”にどうにか間に合う。

「逸る気持ち」 → 実を言うと今回の釣行はつい先日購入した「リールと竿」の初試しをしたくて
”ウズウズしていた”というのが真相である。もちろん家内には内緒。ゴルフ好きの方がクラブを新調して早くコースに出たくてウズウズする心境とおそらく同じだろう。

                  

最近、長竿を1日中振り回していると右手首に負担がかかってコリがひどくなりなかなか回復しない。したがって出来るだけ軽いリール、出来るだけ持ち重りのしない竿を求めて購入したのが上記の写真。当然のごとく「もっと短い竿を使えばいいのに」と言われそうだが、自分独特の釣り方のためには7m前後の竿が是非必要なのである。

リールのほうは「(有)黒鯛工房」がこの5月に発売した新製品「THEヘチLIMITED88W」で自重が115gと物凄く軽量でスピニングリールの中の一番軽いものと比べても重さが約1/2程度のスグレもの。

竿のほうは「がまチヌ」ヘチ専用竿の7.2mで付着の(道糸を通す)ガイドが物凄く小さいのでこれまた非常に軽い。こちらの方はオークションで入手。

「ヘチ」という言葉がしきりに出てくるがこの意味は防波堤やテトラポッドの際(きわ)を意味し、このあたりで居食いをするチヌ(黒鯛)を釣るための用語。したがってひときわ繊細なつくりになっている。

さて、港に予定どおり8時40分頃に到着し早速、渡し船に荷物を積み込む。写真でご覧のとおり通常の1.5倍はあるでっかいクーラー、予備の竿3本が入った竿袋、荷車、仕掛け入りバッグなど小荷物が多い。

船長さんとも顔なじみになって”やあやあ”という感じ。前回と同じ防波堤に着けてもらったが相変わらず人っ子ひとりいない、どこで釣ってもいいがあえて同じ箇所を選択。釣れているうちはしつこく同一箇所に固執するのが自分のセオリーである。

今日は新しいリールと竿の「お披露目」なので”あまり釣れなくてもいいや”と踏んでいたのだがいざ海に臨んでみると狩猟本能が芽生えてきてそうもいってられなくなる。

汐は大潮で満潮が13時前後なので引き込みと満ち込みが両方狙える理想的な釣行だが結果的にはそううまくは問屋がおろさなかった。

午前中の引き潮では始めからクロ(メジナ)がドンドン海面近くまで浮いてきて、これはいただきという感じ。立て続けに足の裏クラスがヒットする。そのうち大物が食いついてグ~ンと海底深くまで潜られたが軽くて新しい長竿の威力が見事に発揮され竿をグットためて一気に海面まで浮かせた。

さすがに「がまかつ」の竿はしなやかで力強い。取り込みが随分と楽でバランスのよさに感激した。帰宅して計ってみると550gあった(写真不鮮明!)ので前回の510gよりも大きいのだが竿のせいで逆に小さく感じてしまう。やはり竿の威力は大きい。しかし、大物はこれ1匹だけに終わった。

午前中があまりにも良かったので、午後もこの調子だとクーラーが満タンになってオーバーするかもと心配したのだがこれが見事に「取らぬ狸の皮算用」。13時過ぎからの満ち込みに変わったとたん、パタリと喰いが止った。マキエを追いかけはするのだが肝心の釣り針のエサに見向きもしないし咥えてもすぐ放す感じ。すっかり手の内を読まれているようだ。

とうとう、しびれをきらして別の竿を引っ張り出してウキ下3m近くの深仕掛けにしてみたりいろいろ試みるが一向にアタリがない。結局午後は1匹も釣果がなくてガックリ。

釣りにはこういう極端なことがままある。原因がよく分からないがどうやらこの場所は基本的に引き潮向きになっていると考えていいが、釣り人側の工夫も必要なんだろう。

釣れなかったときの分析は極めて大切でこれも「釣り」のうち、帰宅後にじっくりと考えてみた結果、次回はやや細かくなるが次のようなチャレンジをしてみよう。

 「オキアミ」は魚が満腹になりやすいので一切使わずにマキエの配合を大幅に見直す。とりわけ業務用(飲食店)の柔らかくて香りのいいパン粉を購入して混ぜる。
  
 釣り針の小型化、ウキとオモリの変更、ハリスの長さの検討

3 マキエ杓の変更とエサ盗りのかわし方など  

以上、チャレンジというほどのこともないがやはり「釣り」にもちょっとした変化とか工夫が常に求められる。とにかく移ろう自然が相手なのでこれでいいという正解がないところに奥の深いものがある。

結局、納竿は15時10分と早めで1/3ほど残ったマキエはいさぎよく海中に棄てた。

最後にヘチ用「リール」の使い勝手だが一言でいえば一長一短だがプラス面のほうが多いと感じた。何よりもスピニングリールのように道糸に「撚(よ)り」がかからずモツレないのが最大のメリット。しかし、うまく使いこなそうと思えば若干の時間が必要で、独自の改造(ハンドル部分)も必須のように思った。

                 

 


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釣り紀行♯45~「久しぶりの型ぞろい」~

2009年06月03日 | 釣り紀行

と     き   2009年5月31日(日)、くもり後晴れ、海上ときおり強風

と  こ  ろ   S市O島S地区防波堤

釣り時間     8時10分~16時20分

汐         小潮(満潮12時前後)

釣    果    クロ(メジナ)500gクラスが7匹、手の平サイズ10匹前後

                  
         写真1             写真2                写真3

                  
         写真4             写真5                写真6

前回の釣り紀行♯44」では釣行するときに慎重を期して自分自身で勝手に定めた「四つの避ける」を守りたい旨記載していたのだが、その”舌の根も乾かない”うちに二つも破ることになった。

一つは「釣り人が多いので土曜、日曜は避ける」ことと二つ目は「汐のタイミングが悪いときは避ける」というもの。

しかし、これもすべては母(92歳)の介護に急遽福岡からやって来た姉に新鮮な魚を食べさせてやりたい一心からで月曜日にはもう帰福するというので仕方なく日曜日の釣行となったもの。汐の方も小潮と最悪のタイミング。世の中、そうそうは自分の思惑どおりに運ばない。

「思うようにいかないのはね、生きてる証拠よ」とは40数年前に88歳で亡くなった「おばあちゃん」の口癖だったなあ~。

しかし、結果的にはこの選択が好結果を生むのだからホントに先のことは分からない。

当日は釣り人が多いことを予想して場所取りを優先に早朝の5時45分に自宅を出発。前日にマキエの解凍を予約していた釣具店経由で港に着いたのが7時30分。

今回は時間の余裕に恵まれたのでフェリーの利用を止めて渡し舟でO島に渡ることにした。なにしろ「乗船時間が片道5分で往復3,200円」という
「日本で一番料金の高いフェリー」を釣行のたびに利用するというわけにはいかない。自分はそれほど恵まれた身分ではない。とまあ~、要するにケチということかも。

港の無料駐車場にクルマを置き、手押し荷車に釣り道具を積んで停泊中の渡し船(S地区往き定期便)の船長に交渉してみると何と往復1,000円でいいという。それも直接防波堤に横付けしてくれるそうで思わずバンザイと心の中で叫んだ。今回に限らずこれからはこのパターンでいけるので気持ちのほうも弾む。

小学校の「日曜学級」とかで数名の先生たちと一緒に7時40分発の船に乗り込んで(写真1)S地区の防波堤に着いた(写真2)のが8時ごろ。日曜日なので混雑しているかと思いきやこれが全然釣り人がいない。美味とされる梅雨グロの時期にはまだ早いし、この時期あまり釣れないというのがその理由だろうが、この調子ならこれから土曜、日曜の釣行も視野に入れられるのでこれは大きい。

肝心の汐の具合は小潮ながら
「午後からの引き潮が勝負」と初めから踏んでいたので午前中は努めて”場荒れ”しないようにボツボツとマキエする程度。ボーッとしながら海上の空気を胸一杯吸い込んだりと余裕の中、見物にやってきた近くに住むご老人の話に適当に相づちをうっていると、相手をしてあげたのがよほどうれしかったのだろう、防波堤用の階段梯子(写真3)を離れた場所からわざわざ持ってきてくれた。ホントに親切なご老人に感謝、感激!

そうこうするうちに11時30分頃にウキ下3.5m前後の深仕掛けでいきなりウキ(釣研の
「ど遠投」2Bが海中に沈み込んだ。

全く予想していなかったアタリなので先手を取られて大慌て。それにしてもスゴイ引きでぐんぐんと海中にもぐり込むのでそうはさせじと引っ張り合って7.2mのチヌ竿(胴調子)が弓なりに。ハリス0.8号と細仕掛けなので「大丈夫かな」と一瞬不安がよぎる。いつも最悪のことを考えるのは釣り師の宿命か。

短い竿ならおそらくハリスが切れていたと思うが長竿の弾力を最大限に生かしてようやく海面上に魚の口を出させた。こうやって空気を吸わせると一気に抵抗が少なくなる。チヌ(黒鯛)の引き方とは違うと思っていたが予想どおりクロ(メジナ)だった。それにしても結構の大物。久しぶりにタモを使って掬い上げたが長竿なのでタモの操作にこれまたひと苦労。

丸々と太ったクロとやっと対面したが
(写真4,5自宅に帰って計ったところ510g(写真6)あった。

防波堤にしてはかなりの大物に思わず顔が綻んだがそれからがまたさっぱりこない。魚だって命が掛かっているんだから仲間が釣り上げられたのを見て警戒警報なんだろう。マキエに狂ったときは別として魚は結構「学習効果」が高いのである。

そして午後になってマキエの渦が横に早くなりようやく汐が動き出したと思った途端にクロが食欲を出してきたとみえ海面付近まで浮いてきだした。こうなったらしめたものでいつものパターン、早速ウキ下60cm程度の浅仕掛けの竿に変えて入れ喰い状態に。

ほとんどが手の平未満のサイズでリリースが多かったが、ときおりさっきみたいな大物クラスが混じってくる、結局しぶとく粘って500g前後が7匹ほどの見事な型ぞろい、手の平クラスは10匹前後。今日はタモが大活躍だった。

満潮(12時)と干潮(18時)の間の海面の高低差が少なく汐の流れが緩いのが小潮の宿命なので比較的早く食いが止まって16時頃から大物が姿を見せなくなり残ったマキエを捨てて納竿は16時20分。

教えてもらった船長の携帯電話に連絡すると、16時30分発の船の姿が見えたら手を振ってくださいと言われたので、掃除を済ませた防波堤の上から大きく手を振ると汽笛を鳴らして応えてくれた。やれやれ、これで無事帰れるとホット一息。

帰りは疲れきっていたので高速道を利用して別府までひとっ飛び。18時には自宅着。今回は悪条件にもかかわらずかなりの「型ぞろい」で、しかも今後に道筋がついた釣行だった。


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オーディオ談義~整流菅6本による「音質聴き比べ」~

2009年06月01日 | オーディオ談義

先日のブログで「真空管アンプは整流菅次第で”くるくる”音が変わる」と書いたところ、早速オーディオ仲間のM崎さんから「探してみたら自宅にGEの整流菅があったので試聴してみる気ある?」という申し出があった。

因みに整流菅とは家庭で通常使っている交流電流を直流電流に変換する真空管のことで真空管アンプの製作には必須の球である。さらにGEというのはアメリカのゼネラル・エレクトリック社のことで早い話が日本のナショナル(今は「パナソニック」)みたいな電気の大手メーカー。

こういう話は大歓迎なので早速試聴会を開催することに。期日は5月28日(木)の午後と定めた。

当日は雨模様の中、杵築からわざわざ来訪されたM崎さん。我が家には約半年振りくらいのお目見えである。「あれから結構、音が変わりましたよ~、しかしお気に召すかどうかは別問題です・・・」と、日頃から辛口のM崎さんにすぐに予防線を張る自分。

さて、持参していただいた整流菅が「GE」だけかと思っていたらうれしいことに「RCA」「マツダ」と3本も携行されていたので大喜び。

「よし、今日は徹底的に整流菅の聴き比べといきましょう」。

自分の手持ちが「STC」「マルコーニ」「WE422A」とあるので結局6本による「音質聴き比べ」となった。

                 
        STC5R4GY         マルコーニ5U4G     WE422A

                 
        RCA5V4G          GE5U4GB        マツダ5AR4

なお、自分の現在のシステムの概要はつぎのとおり。

 低域用(約300ヘルツ以下)

アンプ「ケンウッドL-01A」(メインアンプに改) → SPユニット「JBL130A」(ボックスはタンノイ・ウェストミンスター)

☆ 中高域用(300ヘルツ以上)

アンプ「PX25真空管アンプ」 → 中域用SPユニット 「アキシオム80」
                     高域用SPユニット 「JBL-075」

 CD関係  

トランスポート    「ワディア270」

DAコンバーター  「ワディア27ixVer3.0」

 iPod関係

「ワディア170iトランスポート」(電源は吉田苑のENE-BOXを使用)

以上のラインアップで、整流菅を挿しかえるのは中高域用のアンプ
「PX25」である。

さて、その試聴結果だが実に面白かった。

M崎さんによると「整流菅を挿しかえるだけでこんなに音が変わるんなら、アンプの購入や作り替えなんか必要ないな~」とまでおっしゃる。

たしかにソケットに整流管を挿しかえるだけの簡単な手間で、「今日はジャズを主体に聴こう」とか「クラシックを聴こう」なんて、相性のいい整流菅を選ぶことで実にヴァリエーションが豊富になる。

とにかく人間の脳は「マンネリ」を嫌うのでどんなに「いい音」だって毎日聴いていれば「絶対に飽きる」というか「違った音が聴きたくなる」のは冷厳な事実。

こういうときに、真空管アンプを使っていると整流菅や出力菅のいろんなメーカーのものを挿しかえることで様々な音の違いを楽しむことが出来るのはホントに大きなメリットである。

しかも、これらの球の性能自体の差はわずかなもので、あとは「出力菅やトランス、全体の設計回路との相性の問題」なので挿してみなければどういう音が出るかまったく読めないところがあってミステリアスな要素を秘めている。

それでは最後にそれぞれの整流菅の試聴結果を記しておこう。ただしこれは繰り返すようだが出力菅やトランス、設計回路との「相性」の問題であり性能自体を云々するものではないので念のため。おそらく違った真空管アンプとオーディオ装置ではまた別の印象を与えると思う。

 STC「5R4GY」

高域が華やかで派手な印象。どちらかといえばジャズ向きといえるがクラシックの場合は長く聴いていると疲れそう。

☆ マルコーニ「5U4G」

おとなしくてやや暗い印象で、まるで陰鬱な曇り空を思わせるような音。この整流菅でなければという説得力に欠けるが「浮かれた気持ち」を鎮めるときにはいいかもしれない。長い人生においてしんみりとこういう音を聴きたくなるときが必ずあると思う。

 WE「422A」

解像力優先の緊張感に包まれた音。寛いで音楽を聴くときにはややきつい感じでジャズ向きの印象。やはりルーツが同じSTCとよく似た印象を受けた。


 RCA「5V4G」 

音色に艶があって実に魅力的に鳴る。過不足のない印象で我が家の装置にはこれがベストだった。クラシックもジャズも両方いける。さすがに1959年製のオールド・タイプだけのことはある。真空管は「1940年代~1950年代製作のものがベスト」という言い伝えは伊達ではないことを思い知らされる。

 GE「5U4GB」

取り立てて特徴は無いが「中庸を得ている音」の一言。

 マツダ「5AR4」

低域も高域も両端によく伸びていてレンジがひろい印象を受けるが、これも長時間聴くとなると疲れる感じ。しかし、低域はこれが一番伸びていたのでオーケストラ向き。

以上のとおり、全くダメという整流菅は無かったのでこれら6本を1~2ヵ月ごとに挿しかえて聴くとマンネリ化防止になって新製品を購入する気が起こらなくなるのはありがたい。


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