「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

魔笛視聴コーナー~CDの部~♯19

2007年03月31日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号        エラート0630-12705-2(2枚組)
収録年         1995年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合    A-    洗練の極みに達しているが、もっと温もりが欲しい魔笛

指揮者      A-    ウィリアム・クリスティ(1944~   )

管弦楽団    A-     レザール・フロリサン

合唱団      A-       同上合唱団

ザラストロ    A-     レインハード・ハーゲン

夜の女王    A+     ナタリー・デッセイ

タミーノ      A-     ハンス・ピーター・プロホヴィッツ

パミーナ     A+     ローザ・マニオン(MANNION)

パパゲーノ    A-     アントン・シャリンガー

音    質    A+

"聴きどころ”

夜の女王役、パミーナ役の女性陣が極めて充実

指揮者クリスティはニューヨーク生まれで大学で美術史やチェンバロを専攻した後、欧州に移り’79年にフランスでレザール・フロリサン(古楽器による演奏団体)を創設しバロックブームを巻き起こした。この録音はパリで収録されたものである。

評価を見て分るように全員A-以上ということで粒ぞろいの印象を受けた。
夜の女王役デッセイはこの超難度の二つのアリアを決して大げさではなく、さりげなく歌いこなして情感も表現できるところに好感がもてるしセンスの良さを感じた。

タミーノ役とパパゲーノ役は♯14のアーノンクール盤と共通だがこれも、好演だった。ブロホヴィッツは歌唱力に不足はないが、この盤では意識して感情を抑えた印象だが淡白すぎる。シャリンガーのバリトンは声量豊かで当代一流のパパゲーノ役だろう。

パミーナ役のマニオンも透き通った可憐なソプラノで、水準を突き抜けている。
3人の侍女の重唱もよく工夫されていた。

全体的に歌手の選定が見事にツボにはまっており帰するところクリスティの手腕だろう。リズムとテンポが非常に良くて緩んだところが見られない。台詞の抑揚にまでも細かいところに神経を使っている。

したがって演奏と歌声と台詞が自然なままに渾然一体となった感じで、これでやっと古楽器を使用する意味が納得できた。これなら、確かに大げさなオーケストラは必要がないと思わせる出来栄えだった。

洗練の極みに達した魔笛といっていい。

                   

 

 


 

 

 

 


 







 


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯18

2007年03月29日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号         デッカ 470 056-2(2枚組)
収録年          1992年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合   B+    深夜ボリュームを絞ってひっそりと聴く魔笛

指揮者     B+   アルノルト エストマン(1939~   )

管弦楽団   B+    ドロットニングホルム宮廷歌劇場管弦楽団

合唱団     B+        同  上合唱団

ザラストロ   B+    クリスティン・ジグムンドソン

夜の女王    B+   スミ・ジョー

タミーノ     B+    カート・ストレイト

パミーナ     A+   バーバラ・ボニー

パパゲーノ   B+    ギレス・カッチャメイレ

音   質    A+

”聴きどころ”
第二幕パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」
パミーナ役のボニーが孤軍奮闘!

この盤はストックホルムで録音されたもので、古楽器による実にこじんまりとしたオーケストラである。当然雄大なスケール感を望むと裏切られる。

歌手陣には総じてやや不満が残る。とにかく線が細いのである。

ザラストロ役(バス)はもっと声量が欲しい。夜の女王も、はっきり言って声量不足。このオペラの華には到底なれない。タミーノ役もこれまたやや線が細くて神経質な感じを受ける。

パミーナ役はあの♯14のアーノンクール盤のバーバラ・ボニーで、これは実にキレイなソプラノでここでもしっかりとした実力を見せてくれた。

パパゲーノはアリア、重唱ともに無難にという印象だが、やや元気が欲しい。

とにかく実に清楚で可憐な魔笛の印象を受けた。聞き流す分にはこれはこれで悪くはないのだが、自分にはベーム盤やデービス盤のあの重量級のイメージが耳に焼き付いているので、いい悪いは別にしてどうしても馴染みがたい。

この盤はどうも、深夜ボリュームを絞ってひっそりと聴くときにピッタリの魔笛という気がする。

                     






 


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯17

2007年03月27日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号       テラーク 99726/1-2(2枚組)
収録年        1991年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合   B+    
学究肌のていねいな魔笛だが、歌手陣が物足りない   

指揮者     B+    テャールズ マッケラス(1925~  )

管弦楽団   B+     スコットランド室内管弦楽団

合唱団     B+        同 上合唱団

ザラストロ   B+    ロバート・ロイド

夜の女王   A-    
ジューン・アンダ-ソン

タミーノ     B+    ジェリー・ハドレー

パミーナ    A-    バーバラ・ヘンドリックス

パパゲーノ   B+    トーマス・アレン

音   質    A+    反響が綺麗に響き、不自然さがない素晴らしい録音

マッケラスはオーストラリア出身の指揮者で、オーボエ奏者を経て指揮者に転身している。レパートリーはバッハをはじめ大変広く、特にヤナーチェクのエキスパートとして知られている。

反響音がきれいに響き渡り、何だか広くて高い洞窟の中で聴いているような感じで実に心地よい。過不足のない実に素晴らしい録音

ただし、総じて歌手陣にはいまひとつ不満が残った。個別に見ていくと、次のとおり。

ザラストロ役(バス)はバスというよりもテノールに近い感じがしてクリアーすぎる。もっと、役柄のイメージにふさわしい重量感、野太い声量がほしい。

夜の女王のアンダーソンはやや声質が軽すぎる感もあるが熱演。

タミーノ役は不満。もっと歌唱力が欲しい。

パミーナ役は欲をいえばもっと柔らかさと抒情感がほしい。

パパゲーノ役は、きちんとした歌唱力だが、控えめすぎてメルヘン的な野性味が感じられない。


一言で言うと学究肌のていねいな魔笛という印象で、きちんと正面から真面目に取り組んで隅々まで考証が行き届いた演奏だと思う。しかし、はっきりいってそれ以上のものを求めても得るものはない。

室内管弦楽団なのでスケール感を望むのは無理な注文だが、やはり何か物足りない。

もっと歌手陣がしっかりしていたらこの盤の魅力も増してくるのだが・・・・・・。

                   




 

 

 

 


 

 

 


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯16

2007年03月25日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号      EMI TOCE-7565-66(2枚組)
収録年       1990年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合    A-   
軽妙かつ洒脱だがコクが足りない魔笛

指揮者     A-    ロジャー・ノリントン(1934~  )

管弦楽団    A-   ザ・ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
 
合唱団     A-    ロンドン・シュッツ合唱団

ザラストロ    B+   コーネリアウ・ハウプトマン

夜の女王    B+    ビヴァリー・ホッホ

タミーノ      A-   アンソニー・ロルフ・ジョンソン

パミーナ     A-    ドーン・アップショウ

パパゲーノ    A-   アンドレアス・シュミット

音    質    A+

”聴きどころ”

随所に新しい工夫が見られ、いかにも現代風の魔笛

ノリントンはイギリス出身の指揮者で1978年にオリジナル楽器の演奏団体ロンドン・クラシカル・プレイヤーズを組織している。この魔笛もオリジナル楽器による演奏に大きな特徴を持っている。なにぶん小編成の楽団なので、軽快さが身上だろう。

歌手陣は総じていずれも小粒という感じだが、タミーノ役、パミーナ役、パパゲーノ役は無難にこなしている印象。

残念なことにザラストロ役(バス)の声質に重みが足りない。また、夜の女王役(ハイソプラノ)も声質がやや軽すぎるし、最高音のハイFのところで乱れる印象。したがって、このオペラには荘厳さと華やかさのイメージがやや不足している。

全体的な印象として、オリジナル楽器によるノリントン・ファミリーのこじんまりとしてまとまりの良い魔笛の印象である。台詞にはっきりとした抑揚をつけて劇としての展開の方に重点を置いているが、どこかで何かが足りない印象が伴う。

                    
 

 

 

  


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯15

2007年03月23日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号       フィリップス476 7856~7857(2枚組)
収録年        1989年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合    A-    晴朗、清々しさが特徴だが歌手陣にまとまりが欲しい

指揮者     A-    ネヴィル・マリナー(1924~   )

管弦楽団    A-    アカデミー室内管弦楽団

合唱団      A-    Ambrosian Opera Chorus

ザラストロ    A-    サミュエル・レイミー

夜の女王    A+     チェリル・スチューダー

タミーノ      A-    フランシスコ・アライザ

パミーナ     A-     
キリ・テ・カナワ

パパゲーノ    A-     オラフ・ベール

音   質     A+    静かな暗闇の中から音がスッと立ち上がる印象

”聴きどころ”

の女王役スチューダーの華麗なコロラトゥーラ・ソプラノ

マリナーはイギリス出身で専門の音楽教育を受けた後、始めのうちはバイオリニストとして活躍し、その後指揮者に転じている。これまで膨大な数の録音を遺しており、実にレパートリーも広い。

このマリナー指揮のアカデミー室内管弦楽団は、あの有名な1984年第57回アカデミー賞受賞作品「アマデウス」のサウンドトラックにも起用されている。

室内管弦楽団にしては比較的スケール感を感じさせるオーケストラである。しかも、何ら過不足のない、自然さを感じさせる録音だった。

ザラストロ(バス)は欲を言えば、もっと声量が欲しい気がしたがまあこれでいいだろう。
タミーノ役のアライザはあの♯11のカラヤン盤で俎上に上げたが随分良くなっている。これほど歌唱力があったとは。

注目すべきは、パミーナ役のカナワで、一段格上の立派なソプラノを聴かせてくれた印象がするのだが、独唱癖があるのか、どうもこのオペラの中に溶け込んでいない感じを受けるのである。独り歩きして「浮いている」といった表現になるのだろうか。

第一幕よりも第二幕の方でその印象が強くなる。抑制したときの声質はいいが、高い音がややヒス気味で聴き辛いところがある。独唱者としての歌唱力とオペラでの歌唱力とは必ずしもマッチングをしないという面白い事例かもしれないと思った。

いろいろと言ったが、この魔笛には好感を持った。全体的にテンポがやや速めでリズム感がよく実に小気味よい。また、全編を通じて澄み切った秋空のような晴朗さと清々しさを感じさせる。

堂々とした本格派の魔笛を感じさせるもので、いくつかのほころびをうまくカバーした指揮者マリナーはやはり豊富な経験を十分生かす術を知っている練達の士と思った。

                       

       
 



 

 

 














 


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読書コーナー~ブッシュのホワイトハウス~

2007年03月22日 | 読書コーナー

ブッシュ政権がひた隠す数多くの「真実」を米国を代表するジヤーナリストが圧倒的取材力で明かす!

こういった宣伝文句につられて読み始めたところ、随分面白くて上巻、下巻の2冊を息もつかせず一気に読んでしまった。

邦題は「ブッシュのホワイトハウス」(原題「State of Denial」著者はボブ・ウッドワード。本に記載してある略歴によると、1943年生まれで現在ワシントン・ポスト紙の編集局次長の要職にあり、社会部の記者時代にニクソン大統領退陣のきっかけとなったウォーターゲート事件をスクープしたことで知られる。

はじめに在米有力紙の書評を紹介。

ニューヨーク・タイムズ紙

この政権には事実上権力者に対して真実を告げようとする人間は誰もいない。きちんとした伝統的手法に基づく分析や討議といった政策立案プロセスはまったく考慮されていない。

パブリッシャーズ・ウィークリー誌

戦時下における合衆国大統領の決定に対する告発状に他ならない。9.11に端を発する政治的な殺し合いと政権内部の権力闘争を描いている。(中略)この時代の歴史を研究しようとする全ての人々にとって、必読の書といえるだろう。

自分の読後感想

イラク政策の実情が組織の動きと絡めて非常に詳細に取材してある。個人的には当時の状況からみて、イラク開戦はやむなしと思うが、終戦後の復興、統治システムにまでは思考が至っていなかった。少なくとも国民を含めたイラクの現状を深く洞察したものではなかった。

また、戦争の成否は推進する組織機能の優劣に尽きると思うが、その組織もつまるところ、個々の人間が支えており、その能力次第でいかようにも左右されることが改めて確認できた。「企業は人なり」という言葉があるが、「組織もまた人なり」。

たとえば象徴的な話として、下院議員のニュート・ギングリッチ(国防政策員会所属)は、イラク統治責任者ブレマーの起用失敗にあたって、次のようなことを言う。アメリカの偉大な事業家や企業家に、「”これまで犯した仕事上の最大の過ちはなにか?”とたずねたら、”だめなやつを解雇するのが遅すぎたことだ”という答えが聞けるはずだ」(下巻21頁)

それではポイントに沿って要約してみよう。

父の代から続くブッシュ・ファミリーとサウジアラビア王家との黒いつながり

元大統領ブッシュ(老ブッシュ)とサウジアラビアの駐米大使を15年務めているバンダル王子は極めて親しい友人。老ブッシュ時代に中国の米国スパイ機撃墜未遂事件でも両国の中に入って暗躍し解決に貢献する。

バンダル王子は世界の重要人物に顔が広く、父親ブッシュの依頼で現大統領のブッシュが州知事時代に外交政策のイロハを教授している。大統領当選後も折にふれて接触。

ラムズフェルド国防長官の異常な暴君ぶりがいかにイラク政策を混乱させたか。

ラムズフェルドの人物像はこの本の主要なテーマの一つであり、細かく描写してある。若い頃に大統領を狙った野心家である。二度目の国防長官として赴任するやいなや軍人最高のポストである統合参謀本部議長を完全な支配下において情報と権力を一手に握る。この議長との確執の描写が面白い。また、イラク攻撃計画は熱心だったが、戦後復興計画についてはまったくの無策といってよく、また、正しい戦況を大統領に上げなかった。

ラムズフェルドとライスの激烈な対立、ローラ大統領夫人も関与したラムズフェルド解任の陰謀

ブッシュ政権一期目の国務長官パウエルとラムズフェルドは深く対立していたが、差し違えが果たせず、パウエルは涙をのんで政権を去った。

二期目の現国務長官ライスとの確執もすぐに表面化、権力闘争が繰り広げられる。ライスの強みはブッシュ・ファミリーと家族同様の強固な鎖で結ばれているので、さすがのラムズフェルドもいかんともしがたい。

ローラ夫人はラムズフェルドの威圧的な態度に夫が傷ついているのではないかと大統領首席補佐官に不安を洩らす。「どうしてあのひと(大統領)が腹を立てないのかわからないわ」とも言う。

首席補佐官もラムズフェルドの仕事上の妨害に頭を悩ましており、ブッシュに更迭の根回しを始める。このあたりからブッシュの揺れ動く心理状態が行間ににじみ出てきており、実に興味深い。(※ラムズフェルドは結局2006年の中間選挙後に共和党の惨敗を受けて解任)

そのほか、

ホワイトハウスにひそかに出入りするキッシンジャー元国務長官の暗躍
ライス大統領補佐官(当時)は、CIA長官から直接伝えられた9.11テロの事前情報を黙殺した
老ブッシュがライスを「期待はずれ」「荷がかちすぎている」と低評価している
老ブッシュと父親を越えたい一念のブッシュとのぎくしゃくした関係

など驚くような記事が沢山ある。わざわざ巻末に情報源として細かい項目ごとに抜き出してあるのが本書の内容に信頼感を与え非常に良心的だ。単なる暴露本に終わっていない。

とにかくこの本では、世界を動かすといっても過言ではないホワイトハウスにおける最高権力者たちの生々しい人間確執のドラマとイラク戦争から統治への過程と問題点が絡みあって生き生きと描かれていることが興味深い。乱世における人間の宿命と躍動感のようなものが感じられる。後世に残る貴重な歴史の証言になるだろう。

それにしてもアメリカという国は大統領に絶大な権限が集中しており、良し悪しは別にして側近政治の最たるものだと痛感した。

                          
 



 

 


 



 

 


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯14

2007年03月21日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号      WPCS-5844/5(2枚組)
収録年      1987年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総    合   A-          刺激的だが冷たい温度感、こじんまりとした魔笛

指揮者      A-    ニコラス・アーノンクール(1929~   )

管弦楽団    A-     チューリヒ歌劇場管弦楽団

合唱団      A-     同 合唱団

ザラストロ    B+     マッティ・サルミネン

夜の女王     A+    エディタ・グルベローヴァ
 
タミーノ      A-     ハンス=ペーター・プロホヴィッツ

パミーナ     A+     バーバラ・ボニー

パパゲーノ    A-     アントン・シャリンガー

音   質     A-     セパレーション、解像度がいまひとつ物足りない

”聴きどころ”

パミーナ役ボニーの抒情的なソプラノにはウットリと聴き惚れさせるものがある。ボニーが絡んだアリア、重唱は全て一聴の価値あり。

アーノンクールは古楽演奏の第一人者として知られ、作曲された当時の時代考証に基づいて、音楽を忠実に再現するとともに、古楽的アプローチで旧来の音楽演奏に新風を吹き込んでいる。

古楽器による小編成のこじんまりとしたオーケストラなので、はじめのうちは何だかモノラルをデジタル録音したような趣を感じたが、聴き込むにつれて、そんなに悪い録音ではないことが分かったが、もっとクリアーな音質がほしい。

歌手陣はよくそろっていて概ね粒よりの印象を受けた。特にパミーナ役のボニーは屈指の存在。

夜の女王ゲルベローヴァは相変わらずの安定感を見せ、ハイティンク盤(1981年)よりも情感を感じさせ余裕を見せている。

タミーノ役のブロホヴィッツはたしかにいい線をいっている。水準以上で声質もあのヴンダーリヒの系統だが、残念にもややスケールが小さい印象。これではヴンダーリヒを越えることは無理だろう。

細かいことを言えばザラストロ(バス)役は明らかに声量不足で少々軽すぎて役柄のイメージである荘厳さを忠実に表現していない。

古楽器によるこじんまりとした魔笛で、歌手を前面に押し出すとともに歌劇の進行も台詞を省略してナレーションが入るもので(♯3のカイルベルト盤がそうだった)、14セット目にして、新しい試みの魔笛に出会った印象を受けた。

随所に見られるいろんな工夫がモーツァルトの時代を忠実に再現する試みの一環なのだろうが、そうであれば全体的にもっと熱気や自由気ままの奔放さ、楽しさが欲しい気がした。どこか、さめすぎた魔笛という印象を受ける。

                      





 

 


 


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯13

2007年03月19日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号      フィリップスCD422 543-2(3枚組)
収録年       1984年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合   A+    本格派、正統派といった表現がピッタリの魔笛

指揮者     A+    コリン・デービス(1927~    )

管弦楽団   A-     ドレスデン・シュターツカペレ

合唱団     A-    ドレスデン聖十字架・ライプツィヒ放送合唱団

ザラストロ   A-    クルト・モル

夜の女王   A+    ルチアーナ・セッラ

タミーノ     A+    ペーター・シュライアー

パミーナ    A+    マーガレット・プライス

パパゲーノ   A-    ミカエル・メルバイ

音    質   A+    ドレスデン聖ルカ教会での録音は臨場感豊かである

”聴きどころ”

豪華な歌手陣
主役(タミーノ役とパミーナ役)のバランスが完璧
第二幕タミーノとパミーナの二重唱”おお、なんという幸福”は情緒たっぷりの上に神々しさを感じる。まぁ、43セット中でNo.1
だろう。

この盤は約20年ほど前に購入したもので、遠距離通勤を利用してクルマの中で繰り返し聴いたものだった。いわば魔笛が「刷り込み現象」のように自分の頭の中に入っているCD盤だが、それが、今回のように連続試聴の中で、どういう位置づけを占めるのか興味があった。なお、デービスは2003年に再び魔笛をDVD盤で収録している。

録音場所がドレスデンの聖ルカ教会、管弦楽団がドレスデン・シュターツカペレ、そしてタミーノ役があのシュライアーということで、♯9のスイトナー盤と同様である。

まず特筆すべきことは、メインとなる5人の歌手が、レベルが高く与えられた役柄のイメージをきちんと表現している印象を持った。

特にタミーノ役のシュライアーとパミーナ役のプライスは絶妙のコンビで、これほど高い水準でそろっているのも珍しい。

また、台詞からアリアや重唱に移っていくときなどのテンポとリズム感が実にいい。こんこんと泉が自然に湧き出てくる感じだ。このヴァージョンで台詞部分をカットした2枚組のCD盤も保持しているが、何か不自然な印象を受ける。この盤ばかりは台詞入りが良い。

録音もベストだし、主役が5人ともいいし、歌劇としての盛り上がりも十分でとにかく非の打ち所がない魔笛だが、一方でやや冷たい肌触りの印象も受けた。

なお、ペーター・シュライアーは魔笛の公開録音ではこの盤が最後となり、ヴンダーリヒと並ぶ理想のタミーノ役を失うことになった。

風の便りだが、1935年生まれで当年71歳となるシュライアーは現在バッハ等を主なレパートリーにした指揮者となって故郷で活躍しているようだ。

とにかく、この盤はじぶんにとってやはり永遠の魔笛だった。

                  
 


 






 


  


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健康コーナー~寿命は遺伝子で決まる~

2007年03月18日 | 健康コーナー

「寿命は遺伝子で決まる」なんてことを聞くと、あまり信じたくないがこれは実際の研究データによって裏づけされるようだ。

通販専門の月刊誌「選択」’07年3月号でその興味深い記事が目を引いたので内容を要約してみた。

アメリカのニューヨークやボストンの大学医学部共同研究チームによると、100歳以上の長寿者とその兄弟姉妹308人を対象にゲノムの解析プロジェクトを実施した結果、第四染色体上に長寿に深く関っている遺伝子坐(当該遺伝子の存在する位置)が存在することを明らかにした。

この遺伝子座にはヒトの長寿をコントロールするマスター遺伝子が含まれている可能性が高いといわれ、現在そのメカニズムの解明が進められている。

これまでは多くの遺伝子の相互作用によって長寿効果が発揮されると見られていたのだが、以外にも特定できる個別の遺伝子が関っていたということで、ハーバード大のトーマス・ペリス助教授によると、この遺伝子は長寿用遺伝子ブースターと呼ばれ、これが存在していれば、一般人よりも平均20年間は長生きするという。

また、別個の研究でアルバート・アインシュタイン医科大学加齢研究所ニル・バジライ博士は高齢者の認知能力に関する最新研究を発表した。

東ヨーロッパ出身のアシュケナージ系ユダヤ人一族は世界的にも長寿の家系で有名だが、95歳以上の158人を対象に遺伝子を分析した。

その結果、これらの家系には「GETP VV gene」(以下、変異遺伝子と言う)と呼ばれる変異した遺伝子の割合が高いことが分った。100歳以上に限ると一般の人間よりも3倍以上も高いという。

この変異遺伝子の特徴は、コレステロール分子のサイズを大きくする働きがある。

コレステロールは分子のサイズが小さいほど血管壁に付着、蓄積しやすく血流を妨げ血栓などを引き起こすが、この変異遺伝子が多ければ、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中のリスクが低減し長寿をもたらす。おまけに、長寿にもかかわらず知能テストの結果も良好で脳の血流が良いため精神機能も明晰に保たれる。

バジライ博士によると、この変異遺伝子は次世代に継承されるとのことで、「長生きできるかどうかはその家系に長寿者がいるかどうかで決まる、ライフ・スタイルは必ずしも関係ない」とのことだ。

長寿願望の中でせめて良い生活習慣に活路を見出している人間には身も蓋もない話だが、続きがあって、この変異遺伝子に恵まれない人間は、「過度の喫煙と飲酒を慎み、ポリフェノール類を多く摂取し血圧を下げ、適度の運動によって身体機能を正常に維持しつつ高脂血症予防ロール値を下げる努力をするしかない」とのこと。

最後に、同博士らはこの変異遺伝子の効果を真似ることの出来る薬品の開発研究を進めており近いうちに”朗報”がもたらされるかもしれないとのことだった。




 



 

 


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯12

2007年03月17日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号      EMI CDS 7 47951 8(3枚組)
収録年       1981年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合    A+    穏やか、温かくて華やかなメルヘンの世界

指揮者      A+    ベルナルト・ハイティンク(1929~   )

管弦楽団    A-     バイエルン放送交響楽団

合唱団      A-       同合唱団

ザラストロ    A-     ローランド・ブラット

夜の女王    A+     エディタ・グルベローヴァ

タミーノ      A-     シーグフリード・エルサレム

パミーナ     A-     ルチア・ポップ

パパゲーノ    A-     ウォルフガング・ブレンデル

音   質     A+     ホール・トーンが豊かで聴きやすい

”聴きどころ”

夜の女王役グルべローヴァの卓越したコロラトゥーラ

このハイティンク盤は現在、国内では在庫切れで入手できない。

この魔笛は昔からDATテープで聴き馴染んでいたのだが、今回の視聴に当たり是非ともCD盤が必要となりオークションに参加して、かろうじて落札させてもらった。(’06.8.26落札)

在庫切れを知っている方が多いとみえて通常、魔笛盤の入札としては考えられない26件参加の大激戦だった。この数字に全国的に魔笛ファンの根強い存在が伺えて、何だかうれしくなった。なお、これは輸入盤だった。

なんといっても、史上最高との評価が高い夜の女王役の大本命グルベローヴァが注目されるが、先入観なしで聴いても、コロラトゥーラ・ソプラノを楽々とこなす安定度は抜群だった。安心して最高音(ハイF)が聴ける。ドイテコム(ショルテイ盤)とはややタイプが違うようだが、いい勝負になりそうでこれは好き好きになるのだろう。

パミーナ役のポップは17年前の♯6のクレンペラー盤では夜の女王を務めていた。実に息の長いソプラノ歌手だが、衰えを感じさせない好演だった。

そのほか、ザラストロ、タミーノ、パパゲーノ役いずれも好演。

優等生タイプの穏やかな魔笛といったらよいのだろうが、それでいて劇的な緊張感も感じさせる。その意味では♯10のサバリッシュ盤と実に良く似ている。

ハイティンクは1978年のDVD盤と比べてずっとこちらの方が良い。取り立てて欠点のない非常に好感の持てるバランスのとれた魔笛だった。

                       

 

 


        


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愛聴盤紹介コーナー~アルルの女~

2007年03月16日 | 愛聴盤紹介コーナー

CD番号       CCー1061
収録年        1959年
ジャンル       管弦楽曲
題  名       アルルの女(第一組曲、第二組曲)
作曲者        ジョルジュ・ビゼー(1838年~1875年:フランス)
指揮者        イーゴリ・マルケヴィッチ
演  奏        コンセルト・ラムルー管弦楽団
演奏時間       29分37秒

作曲家ビゼーは、生前あまり評価されることなく37歳で病死したが、わずか9歳でパリ音楽院に入学を許されるという豊かな才能に恵まれていた。

死後になってやっと高く評価され「カルメン」、「アルルの女」が代表作として知られるが、これらの作品からは美しいメロディとともに豊かな色彩で彩られた油絵を思わせるような表現が満ち溢れており、たしかに並々ならぬ才能を感じさせる。

「アルルの女」はドーデの戯曲の上演に際して伴奏音楽として書かれたもので、物語のあらすじは、南フランス、プロヴァンス地方のアルルという小さな町で富裕な農家の総領息子が美しいが邪な女性に恋をするが、結局想いがかなわず高い塔から身を投げて自殺するという悲劇的な展開で終わる。

ビゼーは、この戯曲のために長短27曲を書いたが、後に第一、第二組曲として4曲づつ再編成した。

この曲は学生時代からよく聴いていて、フルートやオーボエ、サキソフォンなど多彩な管楽器が織りなす南フランスの牧歌的な雰囲気と美しいメロディが気に入って大の愛聴盤だった。

そのときのレコード盤(兄が所有)は指揮者がオッテルローという名前だったが、名演かどうかは別にして耳に完全に馴染んでいたので、CDの時代になってこの指揮者のCD盤を求めたが、これまでとうとう発売されずじまいだった。

仕方がないので、マルケヴィッチ、クリュイタンス、オーマンディの指揮のものを購入してこれまで聴いてきた。この中で今のところはマルケヴィッチ盤をよく聴いている。

この盤の特徴はまずキビキビしていて歯切れがよく爽快な印象を受ける。指揮者のリズム感がよく反映されているが、それでいて十分抒情性もある。また、第二組曲のファランドールは色彩感が豊かで南フランスの牧歌的な雰囲気が好きだ。

クリュイタンス盤はややテンポをゆっくりとって牧歌的な味わいを大切にした印象で、澄んだ弦合奏と管楽器の余韻たっぷりの演奏は当時のパリ音楽院の実力を知らしめるが、私にとってはテンポがゆっくりしすぎて、まどろっこしさを感じる。最近はあまり聴かない。

オーマンディ盤は本格的なオーケストラ(フィラデルフィア管弦楽団)の弦合奏の厚み、管楽器の多彩さはひときわ雄大なスケールを感じさせるが、まるでシンフォニーを聴いているようで、「鶏の肉を牛刀で割く」感じで、大げさすぎてこの曲のローカルなイメージには合わないように思う。

また、この魅力的な曲はいろんな指揮者の意欲をそそるのだろうか、少し挙げてみるだけでも、カラヤン、デュトワ、テラコート、バーンスタイン、レークナー、クラーク、バジール、ケーゲル、ミュンフン、マゼール、プラッソンなど実に多彩である。

これだけあれば全部聴くのが大変だが、オペラなどと違って歌手の不具合も生じないので演奏の差はそれほど出ないような気がする。

                 
 マルケヴィッチ盤          クリュイタンス盤          オーマンディ盤



     


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯11

2007年03月15日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号      ドイツグラモフォン POCG-3564/6(3枚組)
収録年       1980年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合     B+    綺麗ごとだけで終わってしまっている魔笛

指揮者       B+    ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)

管弦楽団     B+    ベルリンフィルハーモニー

合唱団       B+    ベルリン ドイツオペラ合唱団

ザラストロ     A-    ヨセ・ファン・ダム

夜の女王      A-    カリン・オット

タミーノ       B+    フランシスコ・アライザ

パミーナ      A+     エディット・マティス

パパゲーノ     B+    ゴットフリード・ホルニック

音    質     A+     魔笛初のデジタル録音

”聴きどころ”

パミーナ役マティスの最後の名唱

第二幕パミーナのアリア”愛の喜びは露と消え”

私    見  
  

カラヤンは公開されている範囲で5回魔笛を録音しているがこれが最後の録音である。この盤が魔笛に対する彼の集大成なのだろう。

良く言えば、テンポがゆっくりとして、全体的に落ち着いていて哲学的な雰囲気を感じさせる。悪く言えばまるで元気の出ない魔笛で、あの情熱的な1950年盤とまるで正反対の方向に位置している。

こうした印象の原因の一つは、タミーノ役にあると思う。もう少し、はつらしさが欲しい。アライザはカラヤン好みなのだろうが、この大オペラの主役を張るには、やや元気が足りない。相方のパミーナ役のマチスが透き通った声質の理想的なソプラノに近いだけに実に惜しい。

おまけに、パパゲーノ役も何だか野性味が足りない。この魔笛は何だか全体的にカラヤンの貴族趣味で統一されている印象を受ける。

タミーノ役とパパゲーノ役がこれでは楽しさ、自由奔放といった魔笛に欠かせない要素が感じられないし、庶民向けとして作曲したモーツァルトの意思にもそぐわない。

                      


 



   


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オーディオ談義~低音再生への挑戦~

2007年03月14日 | オーディオ談義

名盤視聴コーナー~ワルツ・フォー・デビー~のところで書いたが、我が家のオーディオ装置について一番気になっているのは重低音の再生である。

現在、低域用としてタンノイのウェストミンスターの箱にJBLの38cmユニット130Aを装着しているのだが、この取り付けの補強に問題があるのかもしれないと思って、某日、朝食後すぐに改造作業に取り掛かった。

まず、ウェストミンスターの裏蓋外しである。1台につき16個のネジでがっちり固定されているのでこれをドライバーで回すのが大変。ネジ穴がつぶれるとまずいので、電気式を使わず全て慎重な手作業。

それが終わると慎重に裏蓋を開けるが、ここでちょっとしたコツがいる。外した上部のネジ穴にネジを半分差し込んで引っ掛けて手前に引っ張ると綺麗に外れる。

(余談だがウェストミンスターは外側の見かけは豪華だが、中は意外とお粗末である。使っているネットワークの材質もあまり感心しない。)

早速、物置に仕舞っていた付属の、オリジナル補強ユニット(下部に写真)を130Aの周辺にネジで締め付けて、また、裏蓋を取り付ける。やっと2台分が完了して時計を見るともう2時間が経過している。

さあ、いよいよ音出しである。どのくらい音が変わるか、楽しみでもあり、不安でもある緊張の一瞬である。

ウーン良くない。前よりもむしろ悪くなっている。音に深みと潤いがなくなった感じでこの補強ユニットはやはりタンノイのユニット専用だ。JBLにはまったく合わない。2時間の作業が完全な徒労に終わってしまった。すぐ取り外すのも癪なので午後からの作業にまわす事にした。

昼食後に再び補強ユニットの取り外し作業の再開。以前のとおりにそっくり戻すのは芸が無いので裏蓋に吸音材を出来るだけ貼り付けた。これで少しは音が変わるかもしれない。

3時間の作業後に再び試聴。以外にも随分良くなっている感じがする。怪我の功名で、思いつきで付けた吸音材のせいだろうか、音が以前よりもしっとりとして奥行き感が増した感じだ。重低音の解消とまではいかないが、まあ我慢できるかという程度。

しかし、やはり重低音を本格的に再生するためにはチャンネル・デバイダー(周波数を低域、中域、高域を区分する機器)を使用するほかに手立てはないようだ。

幸い、以前使っていたタンノイのアーデンの箱と、JBLの38cmユニットD130、アンプ1台がおあえつら向きに余っている。これにチャンネルデバイダーを組み合わせて50ヘルツ前後以下の重低音を専門に再生すればいうことなし。

早速、ネット・オークションで調べるとアキュフェーズのFー15が夜9時の締め切りまで5時間の表示で6万3千円の入札価格。早速7万1千円で最高価格を付けて入札。しめしめ、F-15が7万円そこらで手に入れば言うことなし。

ところが安心して眠ってしまったのが運の尽きだった。翌朝、一番にメールを見たら誰かが7万1千円を上回る価格で落札(高値更新)していてガックリ。この上は、いずれ同じアキュフェーズの最新製品DFー45(定価約70万円)を購入しないといけないのだろうか。やれやれ。

ものは考えようで、へんな妥協をしないほうがよかったのかもしれない。楽しみはとっておくことにするが、こればっかりは、やってみなければ分らない。

以上、低音再生作業に明け暮れたオーディオ狂の正味一日の狂想曲だった。労多くして功少なし。自分で自分にご苦労様といってやりたい気持ちだ。

                   
     ウェストミンスター      補強ユニット表        補強ユニット裏

      


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魔笛視聴コーナー~CDの部~♯10

2007年03月13日 | 魔笛視聴コーナー~CDの部~

CD番号     EMI7243 5 75362 2 6(2枚組)
収録年      1972年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合   A+     荘厳、華麗、情熱、メルヘン・・全ての要素を含んだ魔笛

指揮者     A+     ウォルフガング・サバリッシュ(1923~     )

管弦楽団    A-     バイエルン国立歌劇場管弦楽団

合唱団     A-         同    合唱団

ザラストロ    A-     クルト・モル

夜の女王    A-      エッダ・モーザー

タミーノ      A+     ペーター・シュライアー

パミーナ     A-     アンネリース・ローテェンベルガー

パパゲーノ   A+      ワルター・ベリー

音   質    A+      奥行き、セパレーション、解像度全てパーフェクト

”聴きどころ” 

全ての歌手が伸び伸びと実力をフルに発揮した印象
タミーノ役とパパゲーノ役が傑出している

第一幕パパゲーノのアリア”おいらは鳥刺し”
  〃 タミーノのアリア”何という素晴らしい絵姿”

現在NHK交響楽団の桂冠名誉指揮者となっているサバリッシュが49歳のときに録音したCD盤だが、DVD盤の方では再度1983年に録音している。

サバリッシュは何だか学究の徒を思わせる風貌と雰囲気だが、実にイメージどおりの魔笛である。

歌手の配役と出来栄え、演奏ともにまったく破綻のないバランスのとれた仕上がりで、全ての学科にわたって最高点を確保する優等生タイプを思わせる。しかも真面目ばかりではなくて、進んで道徳的な善行にも心がける模範的な生徒の感じ。

こういう魔笛を聴かされるとどうにもケチの付けようがない。音質も秀抜。

                      


 


  


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音楽談義~楽譜と音楽鑑賞~

2007年03月12日 | 音楽談義

クラシック音楽に親しんで約40年近くになるが、未だに主なレパートリーがモーツァルトやベートーベンといったところに留まっている。

一般的にもこの二人を抜きにしてクラシック音楽は語れないが、他にも沢山の名作曲家達がいる。例えばバッハ、バルトーク、ヘンデル、プロコフィエフ、ストラヴィンスキーなどだが、むしろ縁遠い作曲家の方が枚挙にいとまがない。

クラシック音楽全体を大きな山に見立てると、じぶんはおそらく3~4合目程度でうろうろしているところだろう。

これでは、とてもクラシック音楽を語る資格が十分あるとはいえないが、もう一つ大きな壁がある。

それは、残念なことに楽譜が読めないことである。したがっていろんな作品を聴いても作曲家の真意を正確に推し量ることができない、せいぜい演奏者の技量、芸術性を通じて想像するくらいである。

ご存知のとおり音楽の場合、絵画や文学に比べて鑑賞の仕方が決定的に違うところがある。

≪絵画≫ 画家→絵→鑑賞者

≪文学≫ 作家→本(自国語)→鑑賞者

≪音楽≫ 作曲家→楽譜→演奏→(CD・DVD→オーディオ装置→鑑賞者
       (クラシック音楽が前提)

ご覧のとおり、絵画や文学では鑑賞にあたって何の道具も要らず、極端に言えば眼さえあれば原作者の作品そのものに身近に接することができるのだが、音楽ではそういうわけにはいかない。

楽譜と鑑賞者の間に演奏(指揮者を含む)という行為が入ってくる。これは、いわば視覚から聴覚へ変換する道具(コンバーター)みたいなものだ。

音楽の特殊性といえばそれまでだが、楽譜を本と同じように読めたら作曲家の真意にもっと近づけるのだろうが、そういうことが出来るのは指揮者や演奏者などごく一部の専門家に限られるだろう。

残念ながら、楽譜を読めない人間にとっては受身の立場として演奏者次第で幾通りもの解釈を聴かされて、それを甘んじて受けなければならない。

どうしようもないが、実はこれが逆に音楽の楽しみ方を倍増させている面もある。

じぶんは魔笛を43セット持っているが、指揮者や演奏者、音質が違えば全然違う魔笛になる。中には、作曲したモーツァルトがもし生きていたら”そんなはずではない”とびっくり仰天するような魔笛だってあることだろう。

しかし、演奏家によって独立した作品になった以上、それ自体が一人歩きしており作曲者が既に亡くなっていることで誰にも否定も肯定も出来る資格を持たず、せいぜい演奏の巧拙を論ずるくらいである。

というわけで、じぶんは43通りの魔笛をああでもない、こうでもないと勝手に言いながら楽しんでいるが、これは絵画や文学には絶対に不可能な楽しみ方なのだ。

おまけに音楽は演奏会場以外で楽しむ場合にはオーディオ装置が必要となる。車の中から家庭の中まで、これがまた実に千差万別で世界中で同じ組み合わせの装置(部屋も含む)は珍しいときている。

CDやDVDを再生すればそれは世界中で唯一の自分だけの音楽の世界となるがこれも音楽鑑賞に道具が必要であればこその楽しみである。

ただし、いろいろいっても結局楽譜を読めるのに越したことはないので、楽譜がからっきし読めない音楽愛好家にとっては心のどこかでずっと気になるテーマだと思う。

せめて、魔笛だけでも楽譜解説の実演付きDVDを発売する企画がないものだろうかとも思うが、とても営業としては成り立つまい。

 

 

 


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