「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ巡回記~その3~

2015年05月28日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

最後の巡回先は今回の試聴会の最終目的となるSさん宅の音である。2時半ごろから4時半まで2時間に亘って聴かせていただいた。

まずはアンプのハム音の状況の確認である。

           

イギリスのエンジニアが製作したもので、当時ヨーロッパのアンプコンテストでグランプリを受賞したという逸品で世界に2セットしかないそうだ。

ドライバー管が「MHL4」、出力管が「PP5/400」、トランス類はすべて「パートリッジ」というから、オール・ブリティッシュである。

音が鳴り始めてからすぐにスピーカーに近づかれて耳を澄まされたGさんだが、「離れ位置だと分かりませんがたしかにハム音がかなり出てますね。原因は調べてみないと分かりませんが、たぶん直せる思います」

ただし、このアンプは1台40Kgほどはあるだろうから運ぶのが大変!ましてやGさん宅のオーディオルームはビルの3階にあるので想像しただけでフ~(笑)。

とりあえずアンプの修繕の目途が立ったところで、あとは一途に音楽鑑賞へ。

           

スピーカーは「AXIOM80」とタンノイ「シルヴァー」のコーナーヨーク。

周知のとおりタンノイの38センチ口径のユニットは巷間、称されるところの「ブラック」 → 「シルヴァー」 → 「レッド」 → 「ゴールド」 → 「HPD」という変遷を遂げている。そして、残念なことにこの順番に手に入れるのが難しくなり、また音の方は逆に次第に悪くなっていく(笑)。

このシルヴァーはイギリスからの直輸入とかでロットナンバーは3というから最初期のもの。

素晴らしい音だった。一同絶賛!

「通常のタンノイのイメージとはまったく異なる音ですね。驚きました。まるでアクロス・ホール(福岡)で聴いているみたいです。日頃タンノイを聴いている方にはぜひ一度この音を聴いていただきたいものですねえ。」とGさん。

自分も驚いた。

「この前聴かせていただいたときとは随分違う印象を受けました。細かい音の粒子が部屋いっぱいに広がって音響空間をふわっと漂っている感じです。それかといって音の芯もしっかり出ています。これまでいろんなお宅でタンノイを聴かせていただきましたが、間違いなくベストだと思います。どこがどう変わったんでしょう?」

「はい、これまで東京に単身赴任していましたのでせいぜいシステムを稼働するのが2~3か月に1回でした。あまり機器のエージングが充分でないときにお客さんに試聴してもらったというのが実状です。この4月から福岡勤務になりましたので現在は毎日聴いてます。それがいいのでしょう。それから、つい最近整流管を入れ替えてます。」と、Sさん。

「AXIOM80」と「タンノイ・シルヴァー」と交互に聴かせていただいたが、どちらに軍配を上げるか非常に難しい(笑)。強いて言えば、全体的な“ゆとり”という点で「タンノイ・シルヴァー」かなあ・・・。

不遜にもつい最前のGさん宅でSさんに「アンプのドライバー管のMHL4は傍熱管ですよね。直熱管に換えたらいかがでしょう」なんて偉そうなことをほざいたが、わが身の不明を恥じるばかり。この芸術品ともいえるアンプは一品たりとも変えてはいけないかもねえ(笑)。

一同心ゆくまで音楽を堪能してから玄関先で辞去するときのこと、Kさんが「大きな車庫ですねえ。中にベントレーが入っているんじゃないですか」

「いいえ、ベントレーではないのですがジャガーが入ってます。」と、Sさん。「それは是非拝見させてください」。Sさんと知り合ってからおよそ6年ほどになるがジャガーの話は初めて。

   

18年前に手に入れられたそうで1961年型になる。Kさんによるとマニアの間では人気モデルとして垂涎の的だそう。

Sさんはオーディオからクルマまで、何よりも伝統を重んじる生粋の「ブリティッシュ」党であることを実感した。

今日一日、素晴らしい音ばかり聴かせていただき、半分酔い痴れた状態で高速道をビュンビュン飛ばして自宅に到着したのは宵闇せまる18時50分だった。

「お~い、飯だ、飯だ。」

いつもの芋焼酎から始まって、とっておきの18年モノの「マッカラン」でささやかなゴージャス気分を味わった(笑)。


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オーディオ巡回記~その2~

2015年05月27日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

Kさん宅の試聴が済んで、今度は一路Gさんのお宅へ。予定どおり途中でSさん宅へ寄って無事合流が済んだ。おこがましい言い方を許してもらうと、Gさん宅の音は極めて中庸を得ているのでどんな方にも安心して紹介できるのが非常に心強い。

およそ15分ほどで到着。Gさん宅は福岡市内中心部の老舗の和菓子屋さんだが、その真ん前が有名な「〇〇女学園」で、丁度「文化祭」が盛大に開催されていて大賑わいだった。沢山の女学生たちの黄色い声とブラスが飛び交って、なかなか“かまびすしい”。

瀟洒なビルの3階にあるGさんのオーディオルームだが、「扉を閉めてしまえば大丈夫だと思いますが、もしやかましかったら申し訳ないです・・」とやや心配そうなGさんに対して、一同「少々の雑音なんか気になりませんよ~」。

          

このブログでもたびたび紹介しているように、低音域がジェンシェンの46センチ口径のウーファー(フィールド型)、中音域がウェスタンの555ドライバー+鉄製のストレートホーン、そしてツィーターという3ウェイ方式のシステム。駆動するアンプは出力1ワット前後の古典管シングル(モノ×2台)。

これまで5回ほど聴かせてもらっているのでもはや熟知している音である。これほどの大型システムなのにスッキリ爽やかな音が部屋の中をまるで“そよ風のように吹き抜けていく”のにはいつも驚かされる。

初めてこのシステムの音を聴かれるSさんも興味津々のご様子で熱心に聴き入っておられた。その場では特段のコメントをされなかったが、翌日次のようなメールが自分宛てに届いた。

「GさんのWEシステムは、私の中に持っていたアメリカンサウンドを代表するWEの概念を覆す、春風が吹き渡る様な爽やかで清々しい音でした。ある意味WEを聴いている事を忘れ去るような、私が大好きなブリティッシュサウンドが鳴っていました。あのシステムからあの音色を導き出せるのはGさんのお人柄でしょうか、素晴らしい事です。お蔭さまでWEの凄さを再認識する貴重な経験をさせて頂きました。」

完璧と言っていいほどの「ブリティッシュ・サウンド」党のSさんがこういうご感想を洩らされるのだから、お互いに登り道は違えども目指す頂上は一緒なのかもしれない。

ところで今回の訪問で厚かましくもGさんから次のCDを3枚お借りした。

      

ヒラリー・ハーンの「ヴァイオリン・ソナタ」(モーツァルト)となると、絶対に見逃す手はない(笑)。

「プレイズ・バッハ」の名演で一躍その名を馳せたハーンだが、このCDについてKさん曰く「たしかにテクニックは素晴らしいヴァイオリニストですが、芸格はまだまだだと思います。後半になってくるとどうも集中力が持続せずにダレてくる印象を受けました。その点、チョン・キョンファにはまだ及びませんね」

ハーンはまだ若くて“伸び代(しろ)”の多い演奏家だと思うが、モーツァルトを弾きこなせるようになると一人前だろう。

翌日、我が家の「AXIOM80」システムでじっくり鑑賞させてもらったが、ピアノ奏者とも息がピッタリで非常にいい演奏だと感心したものの、後半になるとむやみやたらにテンポが速くなってやや小うるさく感じる演奏になっている印象を受けた。

モーツァルトの演奏は簡単そうに見えて実は非常に手強い。もの凄い難曲をテクニックよろしく、きれいに弾きこなす演奏者が比較的簡易なモーツァルトの小曲ですぐに馬脚を現わす事例には事欠かない。

ハハ~ン!ハーンは集中力の持続性に難があるのかもしれない。往々にして見られる女性特有のクルクル変わる気分屋さんなのかな~(笑)。

いや、むしろご本人の集中力の欠如というよりもリスナーに対して長時間の鑑賞に耐えないもの、悪く言えば飽きをこさせるものがあるのかもしれない。おそらくこっちの方が正解だろう。

話は戻ってGさん宅で1時間半ほど聴かせていただいて、今度は一同揃ってSさん宅へ移動。今度はGさんがSさん宅の音を聴かれて、はたしてどういうご感想を洩らされるのだろうか、実に興味深い。

以下、続く。
 


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オーディオ巡回記~その1~

2015年05月26日 | オーディオ談義

オーディオの愉しみは自分のシステムが気に入った音を出してくれるのはもちろんだが、仲間が「いい音」を出しているのを体験することもそれに優るとも劣らずほど楽しい。

去る23日(土)、福岡のオーディオ仲間たちを3軒“はしご”したところ、それぞれに持ち味があって「素晴らしい音」ばっかり。ずっと記憶に残るほどの愉しい時間を過ごさせてもらったが、まずこの訪問実現の経緯から記しておこう。

去る9日(土)に福岡からはるばる我が家にお見えになった同じ「AXIOM80」仲間のKさんとSさん。取り分け、Sさんが一番感心されたのが「PP5/400」(英国マツダ)のシングルアンプだったが、美音もさることながらスピーカーに耳をピタリとくっつけてもまったく雑音がウンともスンとも言わない「SN比」の優秀さにも驚かれた。

「これはどなたが製作されたのですか?実は我が家のPP5
/400アンプが古くなったせいかこのところハム音が少し目立つようになりました。あまり急ぐことはないのですが、よろしかったら修繕をお願いしたいので製作された方を紹介していただけませんか。」

「ああ、それはお安い御用ですよ。製作したのはGさんですがSさんのご近所に住まわれている方です。いきなり顔を知らないままに修繕をお願いするのも何ですから、その前にお互いに顔見知りになっておいた方がいいでしょう。私が日程のやりくりをしてみましょう。」ということで、連絡調整をした結果、この23日(土)に落ち着いた。

当日の巡回コースは「Kさん宅」(試聴者2名) → 「Sさん宅」経由 → 「Gさん宅」(試聴者4名) → 「Sさん宅」(試聴者4名)という順番。

前日までの晴天とは打って変わって、この日は朝からどんよりとした曇り空だった。福岡の雨の確率は50%というから当人の日頃の行いが悪いのだろう(笑)。自宅を出発したのが早朝の7時45分で、がら空きの高速道路をビュンビュン飛ばしてGさん宅に到着したのが1時間20分後の9時頃だった。

どうもどうもと、ご挨拶もそこそこにさっそく試聴に入った。興味の的はつい最近導入されたという「ローサーのPM6A」である。

         

始めに一番右側の「AXIOM80」から聴かせていただいたが、「AXIOM80」には似つかわしくない底力のある低音が切れ味鋭く出ていたので驚いた。

「アンプはいったいどれを使っているんですか?」

「KT〇〇のシングルですよ。このところよく使っているアンプです。」

「直熱管と比べると傍熱管の粘りというか、力強さを感じますね。傍熱管といっても適材適所で使ってやるとこんなにいい音がするんですね~。このKT〇〇という真空管は手に入りやすいんですか?」

「KT66やKT88に比べて製造期間が短かったものですから滅多に市場に出回っていませんね。苦労してやっとのことで東京の馴染みのショップから分けてもらいました。」

稀少な真空管となるとどうしてもオークションで調達するには限界がある。最後の“泣き付き場”を持っていると随分心強い。自分の最後の拠り所は同じ別府市内在住のMさんである。古典管の宝庫だし、すべて測定結果付きだから安心できることこの上ない。

さて、ひとしきり「AXIOM80」を堪能させていただいてから次にいよいよお目当ての「ローサーのPM6A」に切り替えてもらった。画像の「AXIOM80」の左側にある中央寄りのスピーカーである。

瑞々しいヴァイオリンの響きが部屋全体に広がった。「これは素晴らしい。これまでヴィオリンの音色にかけてはAXIOM80が一番だと思っていましたが、このローサーはその上を行きますね。それに低音を出すのがメチャ難しいスピーカーですがこれだけ出てくれると不足を感じませんね。アンプとの相性もいいようですよ。」

「この二か月ほど、毎日24時間体制でエージングを重ねた結果ようやくユニットが馴染んできました。アンプはRCAの50で駆動していますが、おそらくベストマッチだと思います。レイセオンの50(ナス管)を使うとさらに良くなりますが、日常使うのはとても勿体なくて盆と正月くらいしか鳴らしていません(笑)。AXIOM80とこのローサーがあれば私のオーディオ人生はもう十分だと思ってます。」

            

実を言うと、美音で名高いローサーの「PM6A」(イギリス)は自分も以前所有していたのだが、未熟なこともあってとうとう十分に鳴らしきれないまま手放してしまったことがある。

この気難しいローサーをここまで見事に調教されるのだから、Gさんの根気と熱意には心の底から脱帽した(笑)。何よりも音のスピード感を重視され、むやみに膨らんだ低音を忌避されるKさんのことだからこの二つのスピーカーがあれば十分という話も頷ける。

あっという間に出発予定時刻の11時になってしまったが、Gさんはアンプのスイッチを切らないままボリュームをやや絞り気味にして、インターネットラジオの音を流しながらそのまま部屋を出ていこうとされる。

「アンプのスイッチを切らないんですか?危険ではありませんか」

「ローサーにはまだエージングが必要ですからね~。このアンプはたとえ1週間ぶっ続けでスイッチを入れっぱなしにしても壊れません、そういうツクリにしてありますと製作者が言ってました。」

「ほう~」!

今度は「Sさん宅」経由で一路「Gさん宅」を目指して出発~。

次回へ続く。


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夢のオーディオシステム

2015年05月23日 | 独り言

5月21日(木)のNHK朝のニュースで昨年、1000万円以上の宝くじに当たった人の星座やイニシアルの調査結果を放映していた。

「みずほ銀行」が実施した780人に対するアンケートの結果だというが、きっとご覧になった方も多いことだろう。それによると男性は星座が「みずがめ座」、イニシアルは「T S」のコンビがトップ(全体の10%前後)とのこと。

自分の誕生日は「2月7日」なのでまぎれもなく「みずがめ座」、そしてイニシアルは「T S」と、まさにドンピシャリ。

星座の確率は1/12なので大したことはないが、イニシアルとなると相当な確率だし、両方揃うとなるとたいへん稀少な存在。

「よし、これから宝くじを買うぞ~」と、思ったがよく考えてみるとこれは去年の話なので、今年は関係ない。な~んだと、ぬか喜びに終わった。

しかし、もし宝くじで高額当選したらどういう使い方をしようかとしばし「春の夢」を見てみた。

まず食生活で贅沢三昧をしたらどうなるんだろう。おそらく高カロリー摂取のため心臓病で早期にお陀仏になるから(食費にお金を突っ込むのは)愚の骨頂。服飾にしてもいくら着飾っても誰も気に留めてくれないだろうから無駄そのもの。
何せ土台が悪いんだから~。

となると、現在の質素な生活スタイルで十分。そうそう、クルマだってベンツやBMWの新車を乗り回しても、若い頃ならいざ知らず、この歳になると何だか虚しくなる。もちろん他人の高級車に乗せてもらうのは大好きだが(笑)。

そうなると、やっぱりオーディオにお金を突っ込むしかないなあ~。

オーディオならお金の使い道は山ほどある。

まずは音響を考慮した音楽専用のハウスを建てる。定在波のことを考えると直径10mほどの天上の高い円形がいいだろう。円の面積は「パイ・アールの
二乗」だから「3.14×5×5」で計算すると、およそ平面積は80平方メートルほどになる。

生演奏の会場ではないのだから、家庭で音楽を楽しむ分にはこれで十分。

ど真ん中の中心点に試聴用の回転椅子を置く。そして東西南北の四方に4つのシステムを配置する。中にはまだ聴いたことがないシステムがあるが、以下、興味本位の選択である。

 低音域には口径40センチを越えるフィールド型のユニット、中音域にはウェスタンの555ドライバー、高音域には能率の高いツィーターといったところ。駆動するアンプは小出力の古典管アンプに限る。これはオーディオ仲間のGさん(福岡)宅のシステムと同じである。前段機器はアナログ時代の名器に合わせて「ノッチンガム」のレコードプレイヤーといきたい。

          

 スピーカーは最新型の「アヴァンギャルド」、アンプはプリ、パワーともジェフ・ローランド、前段機器はデジタル系のdCSの最高級機器(イギリス)といこうか。

                        

 スピーカーは毀誉褒貶の「ノーチラス」(B&W)、アンプはプリ、パワーともゴールドムンド、これをリンの「USB-DAC」とマックのパソコンとのコンビでハイレゾ再生といこう。

                        

 スピーカーは「AXIOM80」、プリアンプはマッキンの「C-22」、パワーアンプは「PP5/400」のシングルでいずれも真空管式、そして前段機器はリンのレコード・プレイヤーといこう。非常にシンプルな構成だが長時間聴いても聴き疲れしないのが最大の長所となる。もちろんメインシステムはこれ(笑)。

             

以上、建物が土地込みで2000万円、システムがおよそ3000万円と見積もると〆て5千万円。

最高額の3億円が当たったとすると、それでもまだ使い切れない~。

となると、ハワイと北海道に別荘でも建てようか。春と秋は自宅(別府)、冬はハワイ、夏は北海道で過ごすってのはどうだろう(笑)。


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シャーロック・ホームズの再来

2015年05月21日 | 独り言

先日、馴染みの整形外科医院に行った。老先生と若先生との親子で経営されているが、自分は若先生のかかりつけになっている。

「先生、最近左腕の肘がどうも思うように動かないんです。髪を洗うときにお風呂のお湯を汲み上げることさえできないようになりました。原因がどうも分かりません。筋委縮症とかのタチの悪い病気じゃないでしょうね。」

「あッ、それは腱鞘炎ですよ。いわゆるテニス肘と言われる症状です。最近、左手を頻繁に使う作業を何かやってませんか?」

「そういえば、半年ほど前から右脳を刺激しようと左手でパソコンのマウスを操作してます。成る程、これが原因だったようです。ようやく分かりました。先生はほんとうに凄いですね!いやあ、感謝です。」と、大喜び。

「湿布薬とゲルを両方処方しておきますので、適時貼ったり塗ったりしてみてください。医師が処方する湿布薬は市販のものと比べて全然効能が違うと製薬販売会社が言ってましたよ。」と、めでたく一件落着。

「たかがパソコンのマウス操作くらいで腱鞘炎になるのか」と不思議に思う向きもあるだろうが、その操作量たるやけっしてバカにならない。

まず、およそ5000字にわたるブログを作るのに2~3時間ほどかかる。スラスラと頭に浮かんだ言葉がそのまま文章になるほどの力量は持ち合わせていないので、推敲を繰り返すし、またなるべく原稿を一晩おいて改めて見直すことにしているのでその間のマウス操作はひっきりなし。

ブログ以外にも真空管などのオークションを覗いたり、いろいろググってみる事が多いのでつい左ひじを酷使することになる。ま、老化現象の一つと言われればそれまでだが(笑)。

とにかく、さっそくマウスを右腕で操作するように改めたが、この若先生は今回に限らずいつも患者の立場に沿って的確な診断をしてくれるのでほんとうにありがたい。

いつぞやのテレビで高名な心臓外科医が「患者のことを親身になって心配してくれる医師がほんとうのいい医者です。」と述べていたが、診断技術以前の問題としてこういう「ハート」がある医者に巡り会えてほんとうに運が良かった。

それに何といっても推理力のカンどころが冴えているので、ふと、シャーロック・ホームズ(以下「ホームズ」)を連想してしまった。

ホームズは周知のとおりイギリスの作家コナン・ドイル(19世紀)が生んだミステリーに登場する名探偵である。これ以降のミステリー作家はすべてコナン・ドイルの両肩に乗っていると言っても過言ではあるまい。

およそ150年も経つのにいまだに絶大な人気を誇っているから、何か人を引きつけるサムシングがあるのだろう。時代背景からして古き良き大英帝国を彷彿とさせる雰囲気が全編に漂っていることも魅力の一つ。

開高 健さん(芥川賞受賞、故人)のエッセイの中で「ホームズ物はいまだに飽きがこなくて面白い。同じイギリスが生んだ女流ミステリー作家アガサ・クリスティと比べると大違いだ。」といった趣旨のことを述べていたが、まったく同感。

そういえば、このところ何かとホームズと縁が深い。

まず、つい最近、図書館から借りてきた「シャーロックホームズの蒐集(しゅうしゅう)」(2014年11月刊)はとても面白かった。

                

小編が6つ収められている。「遅刻しがちな荷馬車の事件」「結ばれた黄色いスカーフの事件」「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」「憂慮する令嬢の事件」「曲馬団の醜聞の事件」。

題名からして面白そうだが、予想に違わず一気読みさせてくれた。これまで古今東西のあらゆるミステリーに精通していると自負しているし、ホームズのパロデイ物もいろいろ読んできたが本書は間違いなくAクラスに位置する。著者の「北原尚彦」氏は豊かな才能に恵まれていると言っていい。もし、コナン・ドイルが今も生きていてこれを読んだとしたら手を叩いて「合格!80点を差し上げよう」と言ったに違いない(笑)。

次に映像分野でのホームズの話。

現在、NTTの光回線を利用した「ひかりTV」と契約しており、邦画や洋画などを含めておよそ30チャンネルほどの番組があるが、最近はビデオの方も充実している。

「ビデオ」 → 「ジャンル」 → 「テレビ オンデマンド」 → 「AXNミステリー Plus」 → 「シャーロックホームズの冒険」(シリーズ全41話)と手繰ってゆくと観られる。

コナン・ドイルは短編集として「シャーロック・ホームズの冒険」「シャーロック・ホームズの帰還」「シャーロック・ホームズの最後のあいさつ」の3冊を出しているが、このシリーズは原作に忠実に編成されたもので、シリーズ中の最高傑作とされる「赤髪連盟」ももちろん収録されている。ホームズ役として演じているのは最も評判がいいジェレミー・ブレット(故人)。

         

一話完結型で52分のドラマだが、時代考証を裏付けるセットなど非常に豪華だし、細部まで行き届いておりけっして安直なツクリになっていない。観だすと、つい惹き込まれてしまい第1話~第20話まで期間限定で5月31日までの配信になっているのでこの4日間ほどで一気に見終った。

21話目から41話までが6月1日からの配信となるがとても待ち遠しい。

オーディオ、読書、テレビ・・・そして運動。毎日、目が回るほど忙しくて時間がいくらあっても足りない~(笑)。
 


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「オーディオ風土記」を読んで

2015年05月19日 | オーディオ談義

「オーディオは自分が気に入った音さえ出ていれば、他人から何と言われようとそれでいい」というのが通説である。だが、しかし、他人のシステムがまったく気にならないと言えばウソになるなあ~(笑)。

「オーディオを語るとは、人生を語ることだ。人生の達人がオーディオの達人になれる」という宣伝文句に惹かれてつい手に取ったのが「オーディオ風土記」という本。

先日、1か月分のテレビ番組を紹介した雑誌を購入するためにぶらりと立ち寄った本屋さんでのことだった。

             

今年の1月に出版されたばかりで、ジャズマニアでフリーライターの著者が最高の「音」を求めて、全国の達人「33名」のお宅に訪問しそれぞれの豪華なシステムを紹介するという内容だった。全国津々浦々で熱心なマニアたちの多種多様な個性が百花繚乱の如く「音」として表現されている~。

この種の企画は実を言うと自分が現役時代に秘かに夢見ていたものでまったく同じ構想だったのにいささかビックリ。こうしてブログでの情報発信(一人勝手のガス抜きみたいなものだが・・)をやってなければ、おそらく同じ内容で自費出版を試みたことだろう。当時はブログなんてツールが出来るとは夢想だにしなかったが、誰もが手軽にコメントできる時代がやってきてほんとうにありがたさが身に沁みる。


それはともかく、この種の本は図書館で借りるというわけにもいかないのでゆっくり読ませてもらおうと購入してみた。

若い頃とは違って、今では他家のどんなに豪華なシステムを拝見してもちっとも“うらやましい”という気持ちは湧き起こらないが、少しでも得るところがあれば“めっけ物”という心境だった。

以下、独断と偏見を交えてとりとめのない読後感を述べてみよう。

 ワンパターンの記述が33回も繰り返されて退屈だったので一気読みというわけにもいかず、全体を読破するのに1週間もかかってしまった。

 稀代の名ユニットだと勝手に思っている「AXIOM80」だが(笑)、使用例は33件中皆無だった。この前の試聴会(9日)でもこの件で大いに話題になったが、「上手く鳴らすのがメチャ難しいユニットなので、おそらく駆動するアンプも含めてきちんと調整されたAXIOM80を聴いたことがないのだろう」に落ち着いた。

 軽く、家一軒が立つほどの資金をオーディオに注ぎ込んでいる方が散見されたが、それに見合った音が出ればいいのだろうが、おそらく無理だろう。高級になればなるほどオーディオは難しくなるので随分無鉄砲なことをする人がいると、いささか呆れてしまったが、ま、人それぞれでこれは貧乏人の僻みかもしれない(笑)。

 これまでいろんな試行錯誤をやってきたが、結局、曲りなりにも「いい音」を出す基本は「小出力の真空管アンプで高い能率のスピーカーを駆動する」に、至っている。なぜ「小出力なのか」を解説すると長くなるが、端的に言えば大出力アンプは回路や部品などが大掛かりになってスピードが鈍くなるとだけ言っておこう。

とにかく、本書を読んで上記のような自分の意見がいかに少数派だったかが手に取るように分かった。紹介事例ではことごとく低能率のスピーカーをマッキントッシュなどのハイパワーアンプで駆動するものだった。

 著者がジャズ好きのせいだろうが圧倒的にジャズマニアの訪問先が多かったのも本書の特徴だった。そのせいか真空管アンプを使っている例がごく少数で、おそらくパワーの面で物足りないマニアが多いのだろう。

 真空管アンプに低音域の十全な再生を望むのが無理なのは十分承知している。何といってもダンピングファクターの数値がトランジスターアンプよりも劣る。ここで念のため「ダンピングファクター」について解説しておくと、 

「ダンピングファクター(DF)の数値はアンプのスピーカーに対する制動力の性能をあらわしています。
具体的には、アンプの出力インピーダンスがスピーカーのインピーダンスに対して、どれだけ小さいかを数値にしたもので、例えば8Ω負荷時のダンピングファクターが100のアンプの出力インピーダンスは8Ω÷100=0.08Ωとなります。

ダンピングファクターの値が小さいと、アンプからスピーカーに送り込んだ音楽信号の電流が逆起電圧を発生させ、それによってスピーカーがまた振動してしまうという現象を引き起こしてしまいます。いわゆる「たるんだ低音」という表現がされるとき、この原因による場合があります。

ダンピングファクターの優れたアンプでは、充分に出力インピーダンスが小さいため、スピーカーが再度振動することによるだぶつきが発生せず、本来音楽に含まれていない余計な余韻の無いしまった低音を出すことができるわけです。」

その代わり 真空管アンプは中高音域のスピードと瑞々しさに秀でている。音響空間に漂う、そこはかとない余韻は真空管アンプの独壇場である。それに、ドライバー管や出力管を含めて、コンデンサーやトランスなど弄るところがいっぱいあって、その楽しさは尽きない。

それはともかく、低音域を重視するならトランジスターアンプを、一方、中高音域の質感を重視するなら真空管アンプを選択すべきだと個人的には思っている。

「二兎を追うもの一兎を得ず」、欲張り過ぎて両方を狙うととんでもないことになるが、クラシックは倍音を楽しむ音楽だと秘かに思っているので、トランジスターアンプを使うなんてとんでもない!?(笑)。

以上、皮相的な感想に終始してしまったが本書はジャズ・ファンには大いに参考になるに違いない。

欲を言えば、クラシックと真空管アンプの愛好家の手によって、こういう本が出版されるといいんだがなあ~。

もっと若けりゃチャレンジするんだが(笑)。


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試聴会の結果~その3~

2015年05月16日 | オーディオ談義

このところ過ぎ去った時間の遠近感が失われてきて困っている。たとえば1週間前の出来事の記憶が随分遠くなってしまい、極端に言えば1か月前の出来事と区別がつかなくなっている(笑)。

9日(土)の試聴会は我がオーディオの歴史の中でも特筆すべき出来事だったが、それでさえも早くも忘却の彼方に去っていこうとしているが、中には忘れては困ることがあるので(自分のために)「落穂ひろい」をしておこう。

☆ ドライバー管の重要性

          

当日、一躍皆の脚光を浴びた「PX25」アンプだが、ドライバー管によっても大きく音が左右されたことを銘記しておかねばならない。

このアンプの音声信号の流れを記すと、「ドライバー管」 → 「ドライバー・トランス」 → 「出力管」 → 「出力トランス」となる。そしてドライバー管は2種類の球が挿し替えられるようになっている。

すなわち「〇〇〇」(カニンガムのナス管)と画像にある「3A/109B」(以下「STC」)だが、両方を挿し替えて聴き比べてみると前者が断然よかった。音場の奥行き感に随分差があって、これには一同ビックリ。

PX25と名ブランドのSTCは同じイギリス勢同士なので相性の良さからいっても、結果は火を見るまでもないと予想したところだったが、どうやら同じお国柄では括りきれないものがあるようだ。通常出力管として使う「〇〇〇」だが出力がメチャ低くて0.8ワット前後なので高能率のスピーカーしか使えないが、この球をドライバー管として使うGさんのセンスには一同恐れ入った。

それだけに「〇〇〇」にはクセのなさ、透明感、フラットな帯域どれをとっても非の打ちどころがなく、並みの真空管では測り知れない魅力があることを確認した。およそ90年前の球だが真空管の世界は古くなればなるほど音が良くなる。逆に言うと、大量生産化すればするほど、例外なく音質がぞんざいになっていく。

いずれにしても、出力管を生かすも殺すも「ドライバー管」次第ということを肝に銘じたことだった。

☆ エリカ・モリーニの芸術

            

当日、Kさんが持参された盤はいずれもヴァイオリン系のCDだった。曰く「ヴァイオリンと女性ボーカルの再生にかけては、AXIOM80の右に出るスピーカーはありませんからね。」。

いきなりだが、お医者さんの世界を引き合いに出させてもらうと、概ね総合医と専門医とに大別される。前者は内科系の総合医として一次医療のレベルで重宝されるし、それに比して後者は細かく分かれた専門分野に特化した医師として高度医療の分野で活躍する。

何が言いたいかといえば、オーディオの世界も似たようなものである。総合的に、たとえばジャズもクラシックも適当に聴けるシステムが総合医だとすると、クラシックならクラシック、中でもヴァイオリンの再生に特化した専門医のようなシステムがあってもちっともおかしくないと思うのである。

何でもかんでも70点で鳴らすシステムよりも、特定のジャンルにおいて90点を取ってくれるシステムの方が断然面白い。その反面、中には50点というジャンルもたしかに出てくるが、そういうジャンルはあえて聴かないようにすればいいのだから(笑)。

さて、画像にある「エリカ・モリーニ」さんは初めて耳にした女流ヴァイオリニストだった。モノラルだし、古色蒼然とした録音だったが、その演奏ぶりには一同たいへんな感銘を受けた。こんな凄いヴァイオリニストがいたのか!

翌日(10日)になって大いに気になるのでググってみたところ、どなたかのブログに次のような記載があった。

「モリーニはヴァイオリン好きのファンがとても多いヴァイオリニストである。ヌヴーやマルツィ、あるいはオークレールなどといったヴァイオリニストとともに今もCDが出ているので、忘れられた演奏家というのはあたらないかも知れないが、この1950年代までに頂点を迎えた演奏家たちは、ちょっとした盲点になっていることが多いので、しばらく集中してとりあげてみようと思う。

エリカ・モリーニは、1904年1月5日、当時のオーストリア・ハンガリー帝国の都市であったのトリエステ(現在はイタリア領)に生まれたヴァイオリニストだ。彼女は、ヴァイオリニストにして音楽学校を経営していた父(ヨアヒムの系列に属していたという)に手ほどきを受け、後にウィーンでオトカール・シュフチクとローザ=ホッホマン・ローゼンフェルトに学び、このウィーンで育った。だからモリーニはドイツ・オーストリア系のヴァイオリニストで、よく言われるようにウィーンの生んだヴァイオリニストである。~中略~

バッハの協奏曲やモーツァルトの協奏曲の録音などもあるし、前述のフィルクスニーと共演したフランクのヴァイオリン・ソナタなどは絶品である。これほどの人だから、やはり今も人気があるのだろう。過去の人として終わらせるには、実に惜しい人である。」

自分が知らなかっただけで、有名なヴァイオリニストだったというわけ。こういう収穫があるから人との交流は欠かせない。

☆ JBL3ウェイ・マルチシステムの功罪

お客さんたちにたいへん満足していただいた(と思っている)試聴会だったが、最後にJBL3ウェイマルチシステムを聴いていただいた。

ただし根っからのJBL嫌いのSさん曰く「聴かなくてももう分かってます。」と、拒否反応を示されたが、そこを「まあ、何とか」と口説いて無理矢理聴いてもらったが、やっぱり悪評さくさく(笑)。倍音の出方がまったく性に合っていないご様子だった。

前述した総合医と専門医の話に相通じるが「ワーグナーを聴くときだけは必要だと認めます。」とのことで、ようやく一件落着。

我が家の医療体制は一次医療も高度医療も広く充実している(笑)!

当日(9日)の夜、Sさんから次のようなメールが届いた。

「昼食まで御馳走になり、大変お世話になりました。〇〇〇+PP5/400アンプと最初期版AXIOM80で音楽再生装置として既に完成していると思います。私の好きなブリティッシュサウンド系の理想的な音が鳴っていました。今日は〇〇さんの努力の結果を聴かせて戴き良い経験になりました。私なら、あのシステムからは、もう何も足さない何も引かないでしょう。JBLシステムは………研究実験の為に弄って楽まれる分には宜しいかと思います。S  拝」


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試聴会の結果~その2~

2015年05月13日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

試聴会もいよいよ佳境に入って今度は新たな真空管アンプ「PX25」シングルの品定めに移った。このアンプには思い出があって、導入してから20年ほどになるがその間に幾多の改造を行い、その都度お気に入りの音に近づいてきたものの、今一つ決め手に欠けてきた。

WE300B(アメリカ)と並んで音の良さで知られる直熱三極管の欧州の雄とされる「PX25」(イギリス)だし、ブリティッシュサウンドを象徴する存在なのだから、本当の実力はこんなものではないはずとの思いがずっとあった。いわゆる「未練断ち切りがたし」(笑)。

ひとくちに「PX25」といってもいろんな種類のブランドがあるので、いろいろ買い漁ってみた。老舗GECのナス管、オスラムのドーム管、そして口づてに最高の球と聞かされてきた「PP5/400」(英国マツダ)。

しかし、残念なことにすべて徒労に終わってしまった。どうも音にメリハリがなくて締りがない。肝心の中高音域の艶も今一つ。とうとう真空管の交換に限界を感じて、ドライバー・トランスを挿入してもらうことにした。

「はたして真空管アンプは出力管とトランスのどちらが音質に大きく影響を及ぼすのか」という難しいテーマを身をもって実験してみたことになる。通の方に言わせると「そんなことはとっくの昔に知ってるよ」と言うだろうが、なにしろ体験しないと信じないタチだから困る(笑)。

そこで長年の経験を通じてトランスの性能に詳しいGさん(福岡)のアドバイスで選択したのが「UTC」ブランドだった。

Gさん曰く「UTCを越えるトランスとなるとウェスタンしか思い付きませんが、ウェスタンはちょっと帯域が狭いところがありますからねえ。私はUTCをお薦めします」。

           

結果的にこれが大成功だった。「出力管よりもトランスの挿入(交換)の方が音の変化は大きい」というのが現在の偽らざる実感である。

試聴会では出力管の差し替えを次の順番で行った。

          

まず画像左のGECのナス管から。

じっと耳を澄まされていたSさんから「いいですねえ、これは素晴らしい!」と感嘆の一言。銅板シャーシのアンプに比べると出力が上回るだけに音に余裕が出てきた。しかも低音域がやや膨らみ気味のPX25の特徴が「AXIOM80」の弱点をうまくカバーしてくれるようだ。

Kさんも、「これまで聴かせていただいたPX25とはまるっきり違います。はるかに上です。改造したGさんの手練は並々ならぬものがありますね。驚きました。」

気をよくしたところで(笑)、今度は画像真ん中のオスラムのドーム管に差し換えてみた。

一同口を揃えて「これはちょっと聴けませんね~。ナス管とはまるっきり違います。いいところが一つもありませんよ」と、酷評。自分も人から「タダでくれてやる」と言われても要らないと思ったほどのひどい音だった。まあ、「AXIOM80」がメチャ繊細なので、他のスピーカーなら生かしようがあるかもしれない。

この球は早々に切り上げて最後に大本命の画像一番右の「PP5/400」(英国マツダ)に差し換えた。古典管に年期の入った方々が口々に「数ある出力管の中で一番音がいいのはPP5/400だ」と言われるほどの逸品である。

実を言うと、この日まで楽しみを取っておくつもりでPP5/400の試聴はいっさいしてこなかった。したがって、「固唾を呑む」思いで耳を澄ましたが予想どおりの試聴結果となった。

一同、異口同音に「ナス管も良かったのですがそれとはまるっきり別物ですね。音の出だしからしてまるっきり響きが違ってますよ。」

ちなみに試聴盤に使ったのはKさんが持参されたミシェル・オークレール(フランス:女流ヴァイオリニスト)の「ヴァイオリン協奏曲5番」(モーツァルト)。オークレールといってもピ~ンとくる方はおそらく70歳以上の方だろう。活動期間は非常に短かったがヴァイオリン愛好家たちには鮮烈な印象を残して去っていった。

「つまらないシステムだと彼女の良さは分かりませんよ。弓で弦を押すときと引くときの微妙な差が分かるようなシステムでないとダメです~」とKさん。

「システム次第で演奏家の芸術性が大きく左右されるのですから、ゆめゆめ(オーディオを)おろそかにできませんねえ。」と、自分。

オーディオに熱中する主な理由も実はここにあるのだが、我が家の家内などは「どんな音が出ても一緒でしょう。もうオーデォをやめたら~」なんてほざくのだから始末に悪い(笑)。

さて、余談になるがこのPP5/400を落札したのは半年ほど前の昨年(2014年)の12月31日のオークションだった。

お値段からして清水の舞台から飛び降りる思いだったが、この球の愛好者のSさんに事前に相談を持ちかけたところ「私もPP5/400を5セット持ってますが、作製時期によって前期と後期に大別されます。前期の方が音がいいです。これは稀少な前期分ですね。ゲッターも十分だし、天上のMAZDAの字もくっきり残ってます。非常に程度が良さそうですよ。〇〇万円なら私が欲しいくらいです。」と太鼓判を押していただいた。

今回、Sさんは実際にPP5/400を検分されたわけだが改めて「程度がいいですね~。お買い得品でしたよ。私が持って帰りたいくらいです」(笑)。

「いやあ、実を言いますと今回の改造でPP5/400がうまく鳴らなかったときは、落札価格のままでSさんに購入していただくように持ちかけるところでしたよ。首尾よくいってうれしい限りです。」

Sさんには悪いが、簡単に諦めない執念の結果がどうやら幸運をもたらしてくれたようだ。何事もこうであると、我が人生ももっと充実するのだろうが、オーディオだけとはちと寂しい(笑)。

およそ5時間ほどの試聴を終えてお二人が帰途に着かれたのは16時半頃だった。午前中とは打って変わってお日様がさしてきて好天気。「雨のち晴れ」、まるで今日の試聴会の結果と同じ~。
 


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試聴会の結果~その1~

2015年05月12日 | オーディオ談義

以前に読んだ何かの本で「学問とは仮説を立ててそれを検証していくことにほかならない」という趣旨のことが書いてあった。

要は「何ごとも事を為す前には仮説をたてることが重要ですよ」という主張だが、何かと忙しい現代ではつい検証の方に重きが置かれ大切な仮説が“なおざり”にされている感がある。

「この人、のっけから気取って理屈っぽいことを言う」と、どうか思わないで欲しい。単なる導入部です~(笑)。

さて、物理学と人間の感性とが微妙に入り組んだオーディオもたいへん奥が深く、飽くなき研究の対象としてまことにふさわしい存在だと思っているが、今回の試聴会(9日)では前回のブログに記載したとおりある程度の「仮説」(ちょっと大げさだが・・・笑)を立てていたので検証の過程を通じてその結果が実に鮮明かつ印象的に映った。

ふり返ってみると仮説の的中率は70%ぐらいだったかなあ。

それでは経過を述べてみよう。

当日はあいにくの雨降りだったが同じ「AXIOM80」仲間のKさん、Sさん(いずれも福岡)がお見えになったのは予定通りきっかり11時半だった。どうやら心配していた高速道路の渋滞を免れたご様子でホッと一息。どうやらゴールデン・ウィークはほぼ終息した模様。

今回のゴールデンウィークの終わりがはたして6日(水)だったのか、それとも10日(日)だったのか論議を呼ぶところだろう。平たく言えば平日に当たる7日~8日を休んで長期連続休暇にするか、それとも怠け心を振り切って出社するのか、会社への忠誠心がちょっぴり(?)試されるところだが、どうやら後者が多かった模様で日本人は真面目なタイプが多い。まことにご同慶の至り(笑)。

さて、Kさんとは1か月ぶり、Sさんとはおよそ半年ぶりの再会だったが、お二人とも日頃から思ったことをやんわりとだがその場で指摘されるタイプなのでありがたい存在。

昼食もそこそこに、さっそく試聴に入った。

予定したプログラムに沿って始めは「CDトランスポート~マランツのDAコンバーター~古典管シングルアンプ(以下「銅板シャーシ」)~「AXIOM80」(オリジナル最初期版)の組み合わせ。

         

総じて好評だったが、Kさんから「プリアンプを経由した方がもっと力感が出るのではありませんか」というご意見が出された。たしかに仰る通り、出力1ワット前後のアンプで「AXIOM80」を駆動するとなると
ちょっとキツイかもしれない。

スピーカーの能率が100db以上あればいいのだろうが、プリアンプを挿入するメリットとデメリット(音の鮮度が落ちる)の差し引き勘定になるのでこれは今後の検討課題にしておこう。

「パワー不足が目立つようでしたら、今度はWE300B真空管に切り替えてみましょうかね」と、アンプの出力管の切り換えスイッチを入れて、挿し替えてみた。するとSさんから「これはまったく聴けませんねえ。基音は出ているんですが倍音が伸びてませんよ。」

この発言は前回のブログにも記したとおり想定の範囲内だった(笑)。もちろんこれはアンプ側の責任ではない。

WE300B(アメリカ)の成り立ちに原因が求められよう。くどくなるので詳述は避けるが、軍事の通信用という出自からして人の声をよく透すという第一の目的がある。

たしかにWE300Bは名管の誉れが高く良くできた真空管には違いないが楽器の「倍音」成分の表現力に関してはイマイチだとの思いをずっと持ってきた。もちろん「貴方の鳴らし方が悪い」というご意見があるだろうから、我が家でのシステム環境ではという条件付き。

ちなみに周知のとおり楽器の音は「基音」と「倍音」とで構成されている。その割合は楽器によってもマチマチだが、たとえばヴァイオリンの場合、基音はおよそ「200~3500ヘルツ」とされており、再生周波数の範囲となるとおよそ「180~1万ヘルツ以上」となっている。後者から前者を差し引いた周波数が倍音成分というわけだが、かなり高域方向に伸びていることが分かる。

また、男性の声ともなるとバス(低音)、バリトン(中音)、テノール(高音)に大別されるが、テノールの場合は基音がおよそ「150~500ヘルツ」で、再生周波数の範囲はおよそ「100~8000ヘルツ」となっている。

とはいっても実際に耳にするのは部屋のアコースティックな影響などもあって基音と倍音とが渾然一体となって聴こえてくるので区分のしようがなく、あくまでも理論上での話。

個人的には総じてアメリカ系の音は基音に重点を置いた「力強くて明瞭かつ爽やかな音」、ブリティッシュ系は倍音が良く伸びて「翳りと艶が複雑に織り交じった音」のような気がしている。

もちろん、これはいい悪いの話ではなく各人の好みに帰する問題だが、前者がジャズ系、後者がクラシック系に向いているというのも故(ゆえ)なしとしないだろう。

以上、やや乱暴な話だがSさんの発言を受けてふと思ったことだった。

さて、次の出番となったアンプは改造を終えて我が家に来てからまだ1週間ほどの「PX25」シングルアンプ。3種類の出力管の球転がしを行ったがこれが結果的には今回の試聴会のハイライトとなった。

         

前回のブログの予想が見事に当たって、あらゆる出力管の中で最高峰とされる英国マツダの「PP5/400」(前期分)の存在感が際立っていた。絶賛に次ぐ絶賛!そしてアンプ製作者への敬意と称賛が自然と沸き起こった。

以下、次回へ。
 


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オーディオルームの大掃除

2015年05月08日 | オーディオ談義

去る5日(火)の朝食時のこと、娘が「お父さん、近々お客さんがお見えになるんでしょう。もうちょっとオーディオルームを片付けたらいいんじゃない。」

娘が帰省すると味方が増えたとばかり態度がでかくなる家内までもが「そうそう、乱雑過ぎてちょっとひどいわね。」と、二人合わせて大合唱(笑)。

癪に障るが、日頃見慣れた(部屋の)風景だとどうしても感覚が麻痺してくるようで言われてみるとそうかもしれないなあ~。

そこで一念発起して「大掃除」を開始。

滅多に使わない小道具やオーディオ機器、、そして本などは猫の額ほどの裏庭の片隅にある倉庫に移管することにした。必然的に倉庫の中のスペースを確保しなければいけないので、今後使う見込みのない機器類は「不燃物」として処理することにした。

PCMチューナー、DVDレコーダー、古いトランジスター・アンプなど、もはやオークションに出しても値がつかないようなものばかり。

それはともかく、いちいち品物を検分しながらの整理なので簡単に右から左へ移動というわけにもいかずメチャ時間がかかり、とうとう3日がかりの大掃除となって終了したのは昨日(7日)の午前中のことだった。

         

これでスピーカー周りがスッキリ爽やかとなった。日頃、JBLシステムを主に聴くため「AXIOM80」システムを部屋の両脇に広げているが、お客さんが見えたときだけ中央付近に移動するようにしている。そのために下の台に戸車をつけている。

これで準備万端となってあとはお客さんを待つばかり。

9日(土)にお見えになるのは同じ「AXIOM80」仲間のKさん、Sさんのお二人でいずれもお住いは福岡。遠路はるばるなので感謝の一言である


わざわざ来ていただくのだから「つまらない音」で失望させてはまことに申し訳ないが、同じSPユニットを使っている者同士だから話は早い。アンプや真空管の違いで音がどう変わるかが焦点となるだろうが、正直言ってあまり自信はない。

そもそも自分も含めて3人ともにそれぞれ微妙に好みが違う(笑)。


今回の試聴の流れを事前にイメージしておくと次のようになる。

☆ 「古典管シングルアンプ」(銅板シャーシ)の試聴

         

去る4月1日に到着した「銅版シャーシ」のアンプから試聴しよう。Sさんには初対面となるアンプで、Kさんには2度目の試聴となる。

システムの流れは「CDトランスポート」(dCS) → 「DAコンバーター」(マランツ「NA-11S1」) → 「銅板シャーシ」のアンプ → 「AXIOM80」(最初期版)

はじめに「古典管」(1920年代製)で聴いていただき、途中から出力管を挿し換えて「WE300B」(オールド)にしてみよう。おそらく古典管が「WE300B」を軽く一蹴することだろう。

☆ 「PX25シングルアンプ」の試聴

同じシステムの流れで、アンプだけ入れ替えて、次に「PX25」アンプの試聴に移ろう。

          

Gさん(福岡)に改造していただき、到着してからまだ1週間あまり。自分では「銅板シャーシ」と実力伯仲だと思っているが、お客さんたちからどういうご意見をいただけるか興味津々。

これは予想だが、日頃のお付き合いで把握している音の好みからいくと、おそらくアメリカ球がお好きなKさんは「銅板シャーシ」を、ブリティッシュ・サウンドがお好みのSさんは「PX25」に軍配を上げられる可能性が高い。

試聴にあたっては、まず出力管を3種類切り替えて試聴してみることにする。順番は「ナス管」「ドーム管」そして英国マツダの「PP5/400」。おそらく「PP5/400」がダントツだろうから、そのままで今度はドライバー管を入れ換えてみる。

画像のSTCの「3A/109B」(CV1663)とカニンガムの「71A」(ナス管)との比較になるが、これはいい勝負になること間違いなし。これもまたイギリス球(前者)とアメリカ球(後者)の一騎打ちである。

☆ JBL3ウェイ・マルチ・システムの試聴

最後に音の傾向がガラリと変わってJBLシステムの試聴に移る。「いろんな所でJBLを聴かせてもらいましたが、一度もいい音だと思ったことがありません」と仰るSさんの試聴後のご感想やいかに~(笑)。

以上、こうして書いてみると今回の試聴会は大きな潮流として「アメリカン・サウンド」と「ブリティッシュ・サウンド」の対決であることに思い至った。

「明るくて開放的な音」に対して「一ひねりも二ひねりもした“いぶし銀”のような音」・・・・。

しかし、自分は両方とも好き~(笑)。
 


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海の貴婦人と空の勇者

2015年05月06日 | 独り言

☆ 海の貴婦人

4~5年前ぐらいから花粉症体質になってしまって大困り。テレビの健康番組によると「腸内細菌」の組成が変わったせいとのことだが、それはともかくスギ花粉が舞いだす2月からのウォーキングコースは(スギ花粉が)比較的少ない海岸線と決めている。5月4日(月)も帰省していた娘と晴れ渡った青空のもとで潮風に吹かれながらの往復70分のウォーキング開始。

歩きだしてすぐに目に留まったのが大きな豪華客船。娘のスマホでパチリ、それをメールで送信してもらった。

            

下方に駐車しているクルマと比較していただければその大きさもお分かりいただけよう。その優美な姿はまさに「海の貴婦人」といった印象を受けた。

ぶしつけだが付近を散策している乗客と思しき「うら若き女性」に訊ねてみた。日頃はこんなオジサンなんか相手にしてくれないが、娘と一緒だったので警戒心を解いてくれたのだろう(笑)。

「これはチャーターされた船でフランス国籍のラストラル号といいます。対馬を出発して今日7時ごろに別府に着きました。市内観光のために停泊しています。16時ごろに大阪に向けて出発してそこで解散の予定です。乗客はすべて日本人です。」

連休中の陸地の混雑を避けて日本各地のクルージングとは豪勢なことで恐れ入りました。お金もあるところにはあるもんですなあ!

翌日(5日)になって運動ジムで顔なじみのNさんに出会ったのでこの豪華客船の話をしたところ、是非写真を拝見したいとのことだったのでこうしてブログの記事にしてみた。

それはそうと、欠かさずこのブログをご覧になっている貴重な協力者のNさん曰く「ブログの内容はさっぱりわかりませんが、ランキングのクリックだけはマメにやってます。」とのことでありがたい限り。

「そうでしょうねえ。娘もサッパリ内容が分からないと言ってます。どの辺にレベルを合わせて書いていいのか正直言って迷ってます。」

「あれだけ読者の方々がいるんですから今のスタイルでいいと思いますよ。」と、一応慰めてくれた(笑)。

旅行が趣味で世界各地を巡っておられるNさんと隣り合わせでエアロバイクをこぎながらいろいろ話してみると、「船旅といえば若い頃にマルセイユから日本まで1か月かけて旅行したことがあります。スエズ運河を通って東南アジアの主要都市に寄港しましたが、丁度ベトナム戦争の頃で当地に近づくと砲声が聞えてきました。危ないから上陸禁止でしたが、アメリカ人の乗客が果敢にも上陸をチャレンジしてましたよ。」

「ほう~、それはいい思い出になりましたね。私もいつかは船旅をしてみたいとは思いますが長期間ともなるとやや閉鎖的な空間になってちょっと億劫ですね。船内で頻繁に催されるパーティなんかガラじゃないのであまり気が乗らないのも一因です。」

「私も今では船旅よりも飛行機で行って現地をあちこち動き回る方が好きですよ~。」とのことで、意見が一致。

今年の夏は家族3人でレンタカーによる北海道旅行を計画しているが、娘がそろそろ転勤の時期なのでどの勤務地や部署に配属されるかで状況が大きく変わってくる。猛烈に忙しい部署なら旅行どころの話ではない。

「出世なんかしなくていいから、どこかゆっくりした部署に変えてくれるといいんだがなあ。とにかく健康第一なんだから。」父親としての願望である。

☆ 空の勇者

海とくれば空の話。

先日、オーディオ仲間のNさん宅(大分市)へお邪魔した。Nさんにはこれまで不要になったオーディオ機器を委託してオークションに出品してもらっているが、無事落札が済んでその代金の受け取りが目的。

今回の出品物は3件あって「JBLのLE85ドライバー」「羽根つきスロートホーン」「ウェスタンのチョークコイル」でいずれも希望価格で見事に落札の運びとなった。

何しろ廃品同然の代物が〆て「8万6千円」になったのだから大喜びである。ただし、けっして順調にいったわけではなく、出品してから3クール(1クール=6日間)目での落札だったので長期戦だった。

途中で「どうも人気があまりないみたいですね。思い切って値下げしましょうか?」と、ややせっかちな自分の申し出に対して「あまり急ぐ必要はないでしょう。店頭に気長に商品を並べておく感覚でいきましょうよ。」と泰然自若のNさん。

おかげさまで首尾よくいきました~(笑)。

さて、Nさん宅のオーディオルームに入ると熱心そうにパソコンと向き合っておられる。「何をご覧になっているんですか」と、画面を覗きこむと「国産戦闘機」のモデル写真だった。

             

国産初のステルス戦闘機「F3」に向けた試作機「先進技術実証機」(防衛省提供、一部画像が加工されています)とのことで、国内技術だけで高性能戦闘機を製造できる見通しが立ち、2015年度から実験機による飛行試験を始めるとの記事だった。

「このくらいの戦闘機を持っておかないと他国からなめられるからね~」とNさん。

得たりや応と「まったくそのとおりです。最新鋭の戦闘機が1機でもあると旧式の戦闘機が束になっても敵わないそうですよ。使わなくても“あるぞ!”と思わせるだけで戦争の抑止力になります。ほんとうは原爆も持ちたいところですね。核の抑止力がモノをいいますから。」

「このほど空母並みとされる“いずも”も就航した。原爆を持っていなくても5年なら5年できちんと完成させる計画性と技術力が周辺諸国には脅威と写るだろう。」と満足げなNさん。

以上、やや物騒な会話かもしれないがお互いに愛国心の発露であることは理解してもらえると思う(笑)。

そういえば、核の抑止力ということで思い出した。

BS-TBSの「林修・世界の名著」(毎週木曜日:午後11時~)は本好きにとってはこたえられない番組である。

林修氏と著名人が「世界の名著」を題材にその読後感について丁々発止のやり取りをするもので、4月9日は「戦争と平和」(トルストイ)について舛添要一氏(東京都知事)との対談だった。

大学の受験勉強時代に「戦争と平和」を読み耽ったという超余裕の舛添氏(東大法卒)だが、その対談の中で印象に残った言葉がこれ。

「いったいどの国が覇権を握るのかといったことを含めて、これまで世界史を大きく塗り替えてきたのはすべて戦争の結果だった。しかし、核兵器の登場によって簡単に戦争が出来なくなったので、今後これに代わるものとして考えられるのは、一国の経済、文化、科学技術になるだろう。」

悔しいことに第二次世界大戦で敗北を喫した日本だが、まだまだ挽回のチャンスはある~(笑)。
 


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戻ってきた「PX25」アンプ

2015年05月05日 | オーディオ談義

去る3月初旬にオークションで落札したドライバー・トランス「A-19」(UTC)。用途によってトランスもいろいろだが、いずれも真空管アンプには欠かせない製品である。

            

トランスに造詣の深いGさん(福岡)は各種のトランスの仕様書を山ほど保管されているが、そのGさん曰く「UTCのドライバー・トランスは優秀ですよ。帯域が広くて澄んだ音が出ます。A-19は滅多にオークションに出ることはありませんから買っておいても損はしないと思います。」の言葉に強力に背中を押されて即決で落札した。

真空管アンプは使用するトランスによって音が千変万化するので「トランス=命」と仰る方が多いが、出力管ほどには陽が当たらない存在なのでどちらかといえば縁の下の力持ちの色合いが濃いようだ。

自分のような(トランスの)門外漢には窺い知れない奥深さがあると思うが、はたしてトランスと出力管のどちらが「アンプの命運を左右するか」となると大いに論議を呼ぶところだろう。野球でいえばトランスが監督で出力管がピッチャーみたいな気がする~。

とにかく、せっかく手に入れた宝物なので持ち腐れは厳に警戒するところである。まあ、要するにケチということだが(笑)、何とか生かし場所を見つけようと現在所有している「PX25」シングルアンプにこのトランスを組み込んでもらうことにした。このトランスの挿入によってこのアンプがどういう変貌を遂げるか楽しみである。

3月中旬にGさんに預けてから待つことおよそ1か月半、無事改造を終えたアンプが戻ってきたのは5月2日(土)のことだった。このトランスは実際には3センチ×4センチほどの大きさなので、Gさんによると「アンプの内部に組み込めたおかげで作業が非常に楽になりました」とのことだった。

Gさん愛用のジェンセンの口径46センチウーファーとWE555ドライバーのシステムで入念に試聴テストを繰り返されて調整されたアンプなので大船に乗った気分である。

        

戻ってきたアンプの画像がこれ。

          

ありがたいのはドライバー管を2種類選択できるようにしてあることだった。つまり、「古典管の71A」とSTCの「3A/109B」のどちらを挿してもいいようにしてある。  

画像にあるのはSTCの「3A/109B」(CV1663)の方で、STC独特の水色の英字がくっきりと浮き出て実に鮮やかである。Gさんによると本命は「71A」(アメリカ)、ダークホースが「3A/109B」(イギリス)とのことだったが、いずれも音がいいとされる「直熱三極管」なので実力伯仲であることは疑いを容れないところ。

2日からこの3日間みっちりと試聴させてもらったが、見事な仕上がりだった。

強いて言えば好みとしては「71A」よりも「3A/109B」の方が気に入った。前者がジャズ向きとすると、後者はクラシック向きでまるでヨーロッパの上流社会を思わせるような柔らかくて品のいい音。さすがにSTCブランドだけのことはある。「ロンドン・ウェスタンの真空管に駄球なし」を痛感した。

迷ったのが整流管の選択だった。手持ちの球を次から次に挿しかえて相性探しをやってみた。

前半戦はアメリカ球のウェスタンの「422A」、シルヴァニアの「5931」、「274B」、レイセオンの「VT244」(=5U4G)。そして後半戦はイギリス球のマルコーニの「5U4G」、STCの「5R4GY」、「5Z4GY」、ムラードの「CV378」など。

この中でベストだったのはSTCの整流管だったが面白いことに気が付いた。

他のアンプも含めての話だが、出力管がアメリカ球の場合はアメリカ球とイギリス球のいずれの整流管でもOKだが、イギリス球が出力管の場合はアメリカ球の整流管に対しては拒否反応を示し、同じ国柄のイギリス球しか受け付けない。

開放的なアメリカ人気質と他人に対してやや警戒心の強いイギリス人気質を彷彿とさせてくれるようで大いに感じ入った。ただし、これは我が家だけに当てはまる話かもしれない(笑)。

総じてイギリスのオーディオ機器は音質的に一筋縄ではいかないものが多いが、国民性と密接な関係を持っているように思える。

末尾に独特のイギリス人気質を表す「イギリス人のおちょぼ口」(日経新聞:2000.2.2付け)と題したコラムを紹介しておくので興味のある方はどうかご覧あれ。およそ15年前の記事だが、当時タンノイのスピーカーに手こずっていたので興味が湧いて切り抜いておいた。

話は戻って、この「PX25」アンプは「AXIOM80」向けに使うつもりだが、強力なライバルとして1か月ほど前にこれまたGさんから作っていただいた銅版シャーシのアンプが控えている。

          

入力トランスとドライバートランスに「UTC」のトランスを使ったトランス結合タイプだが振るい付きたくなるほどいい音がする。

実際に比較試聴してみても自分の耳ではどちらにも軍配が挙げようがないほどで、まさにうれしい悲鳴!

あとは同じ「AXIOM80」仲間がお二人、近々お見えになるので優劣の判断をそっくり丸投げすることにしよう(笑)。

それでは最後に前述の「イギリス人のおちょぼ口」について載せておこう。

イギリス人には同じヨーロッパでもいろいろ変わったところがあるとよくいわれる。なにしろナポレオン軍に占領されなかったほとんど唯一の国である。しかし、オックスフォードの社会心理学者のピーター・コレットが「ヨーロッパ人の奇妙なしぐさ」(草思社)で、そのイギリス人の顔つきに注目しているのはユニークだ。

ヨーロッパでイギリス人の話になると必ずといっていいほど誰かが独特の「こわばった上唇」のことを持ち出すという。それは彼らの決意のかたさや感情の抑制の資質をさす比喩にもなっているらしい。その原因は英語の発音にあるとか、歯の手入れが悪いせいだとまことしやかに説かれてきたそうだ。

コレットによると「革張りになったような」とも言われたイギリス人の顔はこの半世紀にだいぶ大陸の人間の顔に近づいてきたが、それでもはっきりした特徴がある。たとえば、口の両端を斜め上に引くかわりに真横に引いて微笑む。また、表情を休止しているとき口をすぼめている。いずれも感情を抑えているような印象を与えているのだが、特に後者の「おちょぼ口」というのは面白い。

口は手と並んで典型的な外界関係器官である。握手をあまり好まないイギリス人は人と会うとき手を握らなくて済むように後ろ手にしていることがあるが、口もすぼめて外界との関係から防御しようとするのだろう。

何か考え込むときや、不平、不満があるときなどに口をすぼめることは日本人にもよくある。声を上げる口を収縮することで自己抑制し、自分に閉じこもろうという意思のあらわれだろう。そんな「おちょぼ口」を何でもないときにしている人が多いというのはイギリス人の思慮深さと特別な対人感覚をよく示しているといえる。~以下略~。


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手がかかるシステムほど可愛い

2015年05月02日 | オーディオ談義

同じ「AXIOM80」仲間のSさん(福岡)。長いこと東京へ単身赴任中だったが、このたび4月の人事異動でめでたく福岡へ戻られた。

「良かったですねえ。これからは頻繁に交流できますね。」と喜び合ったが、そのSさん曰く「スピーカーはAXIOM80があれば十分ですよ。これまでいろんなところでJBLシステムを聴かせてもらいましたが、一度もいい音と思ったことがありません。そろそろ処分されてはいかがですか」。

「寸鉄(すんてつ)人を刺す」という言葉があるが、Sさんは温和な口調のままにときどきズバリと本質を指摘されることがあって、その辺が適度な緊張関係を醸し出し、付き合っていて非常に楽しい(笑)。

「それがですねえ。手がかかる子供ほど可愛いという言葉がありますが、何とも言えない愛着があるんですよねえ。JBLをうまく調教してクラシックを聴けるようにするのが私の夢なんです~。」

我が家のJBL3ウェイ・マルチ・システムにはこの10年あまり散々手を焼いてきた。

              

ご覧のとおり、既存のシステムをそっくり購入したわけではなく、エンクロージャーも含めて寄せ集めの材料で組み合わせているので手こずるのは必然の成り行きだが、それだけにいろいろと工夫の余地があって楽しませてもらっている。

あれこれいじり回して「よし、いい音になった!」と喜ぶのもつかの間で、1~2週間経つと元の木阿弥(もくあみ)で「やっぱり、何だかおかしいなあ」この繰り返しである。

何と言っても、低音域のエンクロジャーがフロント・ショートホーンになっているので3つのユニットの位相が取りづらいのが一番の難点である。

このたび「ネットワークオーディオ・プレイヤー」の導入に伴って、丁度いい機会とばかり全面的な見直しを行ってみたが、はじめに全体像がつかみやすいように改変後の組み合わせを述べておこう。

 低音域(~200ヘルツ)

  アッテネーター → 「刻印付き2A3真空管アンプシングル」 → 「JBLD130ユニット」

 中音域(500~7000ヘルツ)

  「古典管プッシュプルアンプ」 → 「JBL2440ドライバー+ホルン」
  (註)本年初頭に「北国のおじさん」からいただいた「ホルン」は相変わらず活躍中です。いかがお過ごしですか?

 高音域(7000ヘルツ~)

  「古典管シングルアンプ」 → 「JBL075ツィーター+ステンレスホーン」

さて、今回の見直しの内容だが次のとおり。

 プリアンプの追放

既にお気づきの方もあると思うが、各ユニットごとに使っていたプリアンプをすべて追放した。理由は各ユニットの(音の)色付けを最小限にするため、そして
「シンプル・イズ・ベスト」の観点から無くて済むものは出来るだけ排除する。したがってそれぞれのボリュームの調整はアンプ付属のもので調整することにした。

☆ 位相の調整

「2440」ドライバーと「075」ツィーターを設置する位置を変更した。画像でご覧のとおり、「2440」をずっと後ろに下げ、振動板の位置に合わせる形で「075」をその横に持ってきた。これまでは小さな台を利用して「2440」の上に置いていたのだが、あまりにも高過ぎるので苦肉の策。本当はユニットの位置は縦一列が理想なのだが、「D130」のエンクロージャーが高過ぎるので背に腹は代えられない。

 「075」ツィーター用のアンプの真空管の変更

       

これまで、「075」用アンプに使ってきた真空管は正直言っておざなりの球だった。「およそ7000ヘルツ以上の高い周波数を鳴らすのならどんな真空管を使っても大した違いはあるまい」ということで、いわば控え的な存在のST管を使ってきた。

ちなみに、古典管といっても製造時期からいくと前期にあたる「ナス管」と後期にあたる「ST管」の2種類がある。「ナス管」の方が断然音がいいが(我が家では!)、何分にも稀少管だし、お値段の方もぐっと値が張るので滅多に使わないようにしている。

ところが、念のため出力管、整流管ともどもこのST管を貴重な「ナス管」に換えて試聴したところ、全体の音が激変した。ややキンキン気味の音が見事に落ち着いて全体の「音の佇まい」がまるっきり違って聴こえる。

「たかがツィーターと言っても仇やおろそかに出来ない重要な役割を担っている。むしろ音全体を支配する存在かもしれない」と痛感したことだった。これから「ツィーター」用のアンプには絶対に最上の真空管を使おうと心に誓った(笑)。

以上のとおり、これら3点の見直しによってようやく音が随分こなれてきたように思える。何よりも音響空間に遠近感が感じられる。位相の調整が、そこそこうまくいっている証拠である。

この音なら「Sさんも手放した方がいいとは仰らないはず」と思うがどうだろうか。

まあ、1か月ほど様子をみてみることにしたが元の木阿弥で、「やっぱり、何だかおかしいなあ」と思わないで済むことを心から祈ろう(笑)。
 


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