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「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

鳥肌が立つほどの音

2013年04月30日 | オーディオ談義

昨日(29日)、かねて予定していた試聴会が無事終了した。メンバーは前々回のブログに記載したとおりSPユニット「AXIOM80」(以下、「80」)の愛好者ばかりで自分を含めて3名。

KさんとSさんは、わざわざ福岡から駆けつけて来ていただいた。10時ごろから17時まで、昼食をはさんで7時間ぶっ続けの試聴会だったが、機器のトラブルもなく極めて順調なペースに終始した。

その日の夜、自宅に帰り着いたKさんからさっそく電話があった。

「20年以上80を鳴らし続けてきましたが、今日は最高の音を聴かせていただきました。あのヴァイオリンの音がいまだに耳にこびりついて忘れられません。どうもありがとうございました。もう120%満足です。」

「いやあ、素晴らしかったですね~。私もこんなにうまく鳴った80は初めてです。しかし、今日の主役は明らかに持参していただいたVT52真空管アンプですね。この真空管には心から敬服しました。つくづくオーディオをやってて良かったと思いましたよ。是非これからも情報の共有をよろしくお願いします。」

次の画像はKさんが持参された真空管アンプの出力管「VT52」。ウェスタンの刻印入りで1941年製。ほとんど未使用と見えて、管内の真空度が高いため、独特の見事なブルーの色彩が浮き出ている。

           

今から70年ほど前の1940年代前後の真空管はベース部分に型番をプリント印刷ではなくて、わざわざ印字を刻みこんである。マニアの間では通称、これらの真空管を「刻印入り」と呼んでいる。メチャ、音がいいので血眼になって探し回る人が多いがもはや通常のルートでは簡単に手に入らない。

もっとも有名なのがウェスタンの型番「300B」の刻印入りで、程度のいいものはぺアで100万円というのが現在の相場だそうで、これはいくらなんでもね~。

「総じてウェスタンの刻印入りは未来永劫に聴く機会はない」という諦めも半ば手伝って、「な~に、刻印入りといっても値段ほどのことはなかろう。」と、侮っていたわけだが、今回聴かせてもらったウェスタン「VT52」刻印入りは、まったく次元の違う凄さをまざまざと見せつけてくれた。

はじめは「ハイトロン」のVT52で聴かせてもらい、その次にウェスタン製に差し替えたところ、音場の雰囲気が一変した。形容が難しいが、まるで音の中に強力な鋼(はがね)が入ったように力強くなって、その音が天井までキュ~ンと立ち上っていく。思わず鳥肌が立ってしまった。

3名とも異口同音に「凄いですね~。いや、もうまったくオーディオ冥利に尽きますね~。」

以上、こんな自画自賛めいたことを“くだくだ”述べると、きっと不快に思われる方もいることだろうから、生来の奥ゆかしさを発揮してこの辺で終わりとしよう(笑)。

最後に、当夜に届いたSさんのメールを紹介させて頂く。(無断引用お許しください)

「今日は長時間お邪魔し、貴重な体験をさせていただきました。今までに聴いた中で間違いなく一番のアキシオム80の音でした。久しぶりにオーディオの音で鳥肌が立ちました。既にスピーカーシステムとして完成していると思います。また、刻印管の凄さも実感させられました。本日はどうもありがとうございました。」
 

遠路はるばる来ていただいたkさん、Sさんに心から満足していただけたようで、いやあ、よかった、よかった! 
 

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日本歌曲はクールジャパン

2013年04月29日 | 独り言

27日(土)の午後、久しぶりにオーディオ仲間のAさんが試聴にお見えになった。いつもお越しになるたびに新しい発見があるので大歓迎。

また今回は丁度いいチャンスでもある。つい最近のブログ「三つ子の魂百までも」に掲載したとおり、「人の心の潤いを
日本歌曲で取り戻そう」をモットーに、さっそく次のCDの腹蔵のないご感想をいただこうと聴いてもらった。
       

システムは「AXIOM80」。

「米良さんはいい声をしてますねえ。カウンターテナーですか。女性にはこういう声の伸びは無理でしょう。あえて言えばコロラツゥーラの名歌手“グルヴェローヴァ”に似てますね。

改めて日本歌曲の良さに感じ入りました。日本にもこんな素晴らしい古来の音楽があると、外国人にこのCDをどんどん配ればいいんですよ。数年前にエジプトに行ったときに現地の観光ガイドが日本の演歌が好きなのでCDをくれと、しきりに言ってたのを思い出しました。」

たしかに、Aさんが仰るように西洋の音楽(クラシック)に負けず劣らず、日本歌曲もけっしてそれに引けをとらぬほどの良さがあるように思う。

近年、「クールジャパン」(Cool Japan)という言葉をよく聞く。クールとは周知のとおりカッコイイというくらいの意味。

ネットによると、

「日本の文化面でのソフト領域が国際的に評価されている現象やそれらのコンテンツそのもの、又は政府による対外文化宣伝・輸出政策で使用される用語とある。

具体的に挙げると、ゲーム・漫画・アニメやJ-POP・アイドルなどのポップカルチャーを指す場合が多く、さらに自動車・オートバイ・電気機器などの日本製品、料理・武道などの伝統文化など日本に関するあらゆる事物が対象となっている。経済産業省に「クール・ジャパン室」が設置されており、戦略産業分野である日本の文化・産業の世界輸出促進、国内外への発信などの製作を企画立案し推進している。」と、ある。

ぜひ「クールジャパン」という国策のもとに日本歌曲の良さを広く世界に喧伝してもらいたいところだ。「こんなに美しくて素朴なメロディがあったのか」との驚きとともに日本ファンがきっと増えるに違いない。何せ音楽は世界で唯一の共通言語なのだから。

Aさんがお帰りになった後で、ウォーキングが趣味の娘と二人で春の花の名残をわずかに留める広大な別府公園へ出かけてみた。

すると、そこで4月11日付のブログ「捕らぬ狸の皮算用」で紹介した散歩中のMさんとばったり出会った。ガーデニングとチワワ(2匹)が趣味の方である。4月の上旬に運動ジムで偶然お会いしてから、その後ちょくちょくお見かけするようになった。「出会い縁」というのは不思議と連続するものらしい。

開口一番、Mさんから「娘さんですか?今朝の“カラマーゾフの兄弟”拝見しましたよ。(ブログのこと)」

「いやあ、どうも、どうも、いつも読んでいただいて。」

娘が「わ~、可愛い!写真に撮っていいですか?」

                               

帰りの車の中で、娘が「私、戸建住まいになったら絶対に子犬を飼いたい。黒い色のワンコちゃんの瞳がつぶらで可愛いかったこと!片方のイヌはカメラを向けるとそっぽを向くのよ。個性があって、これも面白いわね」

「瞳がつぶらな方は、たしかエボニー(瞳)と呼んでなかったかな。」

「まさにピッタリの名前ね。今日は久しぶりに癒されてほんとうに楽しかった。」

そして翌日、別の場所で見かけたのが「お靴を履いたワンコちゃん」。

                   

我が家の歴史にはずっとイヌやネコの名前が見当たらない。家内ともども、好きなんだけれども実際の手間を考えると「?」なので、何となく飼いそびれてきたのが実情。

どちらが“言いだしっぺ”になるのか、我慢比べみたいなところがある。結局、その後の「お世話」に直結するのでうかつな発言は命取り(笑)。
 

 


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「AXIOM80」愛好家同士の交流

2013年04月28日 | オーディオ談義

明日(29日)は遠路福岡からのお客さんをお迎えしての待ちに待った試聴会。こういうときでないと室内の整理整頓をしないので、昨日あたりから準備に大わらわ。

当日のメンバーは自分を含めて3名で、KさんとSさんと自分。いずれも珍しいSPユニット「AXIOM80」(以下、「80」)の熱烈な愛好家であることが共通点。

    

そもそも今回の試聴会をご発案されたのはSさんだが、どうせなら同じ「80」の愛好家同士で試聴会を開催するのも意義がありそうなので、「最近このブログに再々登場されているKさんのご同席はいかがしょうか」と、Sさんに打診してみると「アキシオム80愛好者との交流は願ったり叶ったりです。是非お声かけください。」とのご返事。

Kさんも「ご快諾」ということで、この顔合わせが実現。ご両人との日程調整の結果、29日に決定したもので、自分は相変わらず日時を問わずいつでもOK(笑)。

ここで改めてお二人の横顔をご紹介
しておくと、まずKさんから。(「あいうえお」順です)

3月18日、4月3日、4月16日に次いでこれで4回目の我が家へのご来訪となる。

20年以上にわたって「80」を愛用されているが、「もっと可能性を秘めているはず」と日夜熱心な研究に余念がない方。お見えになる都度、これまでのブログで逐次掲載したとおり12台所有の真空管アンプの中から珠玉の逸品を持参してこられるので実に耳の保養になる。今回は前回、前々回と非常に評判が良かった「245」アンプと「171A」アンプ、そして新たに「VT52」アンプ(2A3の発展系)を持参されての「アンプ転がし」をする予定。まだ聴いたことがない「VT52」の真価やいかに。

そして、久しぶりに我が家にお見えになるのがSさん。Kさんと同様に「80」への熱烈な愛好ぶりは並大抵のことではない。しかし、福岡に妻子を残されての単身赴任中(東京)とのことで、こういうまとまった休暇でないと動きが取れないのが実状のようだ。

実は、丁度3年前の春に福岡のSさんのご自宅を訪問してオリジナルのボックスに入った「80」を聴かせていただいたことがあるが、実に澄み切った音色が深く印象に残っている。

                              
昔の画像なのでこれ以上拡大出来ないのが残念だが左側が現用中のアンプ。このアンプ(モノ×2台)は英国人の専門家の手になるもので世界で4セット作られたうちの1セットで、1997年の世界のアンプ部門でグランプリを獲得した逸品。                  

シンプルで見るからに「いい音」が出そうなアンプだが1台の重さが30数キロとメチャ重たい。出力トランスはたしかパートリッジだったと記憶している。初段の真空管はオスラムの「MHL4」で、オークションでいくら探しても見当たらないのが悩みの種だそう。

出力管の方は言わずと知れたPX25(イギリス)真空管シリーズの最高峰とされる「PP5/400」。今回、アンプの持参も検討されたそうだが、如何せん30キロ以上とあって重たすぎるので、この「PP5/400」だけ引っこ抜いて持参されるとのこと。

そういえばKさんが、「ぜひ一度、稀代の銘管PP5/400を聴いてみたい」と仰っていたので丁度いい機会になった。我が家のPX25アンプに挿し込んで試聴となるが、きっといい音色を響かせてくれるに違いない。

そして、右側の画像は「80」が入ったSさんのオリジナル・ボックス(イギリス)。

このときに聴いた音と、Kさん宅の自家製のボックスに入った「80」のフルレンジで鳴らした両方の音を知っているのは3名のうち自分だけである。双方の長短について明確な所感を持っているが、こればかりは「言わぬが花」というもの(笑)。ちなみに、Kさん、Sさんの「80」はいずれもオリジナルである。

明日は高速のものすごい渋滞が予想されるのでSさんは早朝に福岡市内を出発され別府市内で昼食を済ませてお見えになる予定だとメールにあった。

「JBL375と80それぞれに“アンプ転がし”を予定していますから、そんな悠長なことをしていたら時間がいくらあっても足りませんよ。昼食は粗食になりますが当方で準備しますので、遠慮せずに出来る限り早めにお出でてください」。もちろんKさんにも同様のメールをした。

明日の試聴会がKさん、Sさん相互の交流の契機となって思い出深いものになってくれるといいのだが。

 


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無理難題

2013年04月27日 | 独り言

いよいよ今日(27日)から楽しいゴールデンウィークの始まり。

それに合わせて昨夜、久しぶりに帰省した娘が「はい、今度はお父さんの番よ」と、手渡してくれたのが「カラマーゾフの兄弟」。(岩波文庫版)

           

「読書は楽しむためにあるので好きな本だけ読んでおけばいい、所詮エンタメの一環だ」と、日頃割り切っているものの、それでも読書人として自負するなら一度は目を通しておきたい本というのがある。

古今東西、名作は数多いがその中で衆目の一致するところ最高峰に位置付けされているのが「カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー)である。

いろんな作家の自伝や随筆を読んでいると影響をうけた作家として指を屈するのがまずドストエフスキー。

直木賞受賞作家の「原 寮」さんは、「彼の本を読むとどんな人でも人生観が変わる」と断言されているし、人気作家の村上春樹さんは「カラマーゾフは通算して4回読みました。こういう本を書くのが自分の目標です。」

さらに、小説家にして精神医学の権威、加賀乙彦氏は癲癇(てんかん)の病気持ちだったドストエフスキーの「死」に対する考え方、宗教観に独自の分析をしながら著作「小説家が読むドストエフスキー」の中で次のように述べられている。


「20世紀の作家は全てドストエフスキーの肩の上に乗っている。ドストエフスキーを読まずに小説を書きはじめた人は私の周辺を見回してもいない。(116頁)

ロシア的なキリスト教の形のもとで、いずれの作品ともに犯罪、殺人が主題になっており、罪の極点を描くことで逆に神の愛が描かれている。罪も愛も無限定で極端で途方もないエネルギーに満ちていて、この作品群の究極の姿、総決算が「カラマーゾフの兄弟」です。“カラマーゾフ万歳!”(212頁)」

何ともはや!

娘は会社勤めの傍ら、4か月ほどかかって読み通したというが「最初のうちはとても退屈で、表現も難解だし苦労したけど途中からグングン面白くなるのよね。人生観に影響を及ぼすのはたしかよ。

“神はともにあるし、神は存在する”というアリョーシャの言葉がとても感動的で、少年たちとの心の交流も深く印象に残る。この本を読んでおくと、後々どんな本が来ても簡単だし、読むスピードも倍くらい違ってくるわ。しかも不思議なことにこの本は何度も読み返したくなるのよね。」


ウーム。日頃ヤワな本ばかり読んでいるので、この本を読破するとなるとよほどの覚悟が要りそうだ。娘からとてつもない無理難題を押し付けられてしまった。

まあ、いったん返しておいて「読書の秋」にでも挑戦してみるとするかな(笑)。

 


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お粗末な図書館

2013年04月26日 | 読書コーナー

本稿は25日(木)の記事として予定していたのだが、「ひかりTV♪ミュージック放送始まる」に急遽差し替えたため、タイミングがずれて1日遅れの記事となってしまった。

さて、水曜日(24日)は運動ジムが定休日なので2か所の図書館を巡ってきた。ズラリと並んだ蔵書に囲まれると不思議に気持ちがワクワクと昂揚するので少なくとも2週間に一度くらいは図書館に足を向けている。

この日はまず、隣のH町図書館が最初。住民票がないのに貸してもらえる非常にありがたい存在だが、新刊書は2冊までと限定されている。この図書館は人口が少ないせいで人気の新刊本が手つかずのままが多いので穴場的存在で非常に重宝している。

この日借りたのは3冊でいずれもミステリー系。

             

「鏑木 蓮」さんは「東京ダモイ」で江戸川乱歩賞を受賞されたが、歴代の受賞作と比べて水準以上の面白さだったのでその時来注目している作家。以後、着実に新作を重ねておりいずれも読み応えがあるので文才が枯渇する恐れはなさそうだ。

この「真友」のプロローグには警察官同士の身内の殺人が描かれている。意外性があって面白そう。

次に「今野 敏」さんの著作はほとんど読んだ。俗にいう警察小説だが、組織に生きる人物像にリアリティがあるので退屈しない。お気に入りの作家だが横山 秀夫さん、佐々木 譲さんとならんで「警察小説3人衆」といったところかな。

「新宿鮫」で著名な大沢在昌さんの著作は初めてだが、とりあえず読んでみることにした。

H町図書館が済むと今度は地元別府市の図書館へ向かった。

幾多の優れた歴史小説の著作がある作家の「吉村 昭」(故人)さんは、小説の舞台となる現地の取材にはことのほか熱心だった。その際真っ先に立ち寄るのが地元の図書館だったが、そういう体験を踏まえて「地域の文化度は図書館の充実度に反映される」といった趣旨のことを述べられていた。

現在、蔵書数、規模とも国内で最高の図書館とされているのは、「国立国会図書館」で文化国家日本を象徴するものとして充分誇れるものだが、その点、我が別府市の図書館のお粗末なことこの上ない!

古ぼけたビルの2階フロアに間借りしている状況で、蔵書数も少ないし、何よりも専用の駐車場がない。人口12万ほどの都市でこれほどお粗末な図書館は全国でも別府ぐらいのものではなかろうか。

市議会の会報を回覧でときどき読むが、議会で図書館建設の議題がちっとも上がらないのも不思議。市会議員は市民の意見を体現しているわけだが、図書館なんて票に直結しないものには無関心なのだろう。ホテル、旅館などの宿泊施設やパチンコなどの娯楽施設が乱立しておりサービス産業でもっている別府ならではの、どこか軽佻な一面を物語っている。

そういえば、最近家の周りをウォーキングしていたら知り合いにばったり会った。車で出かけるところなので「どこに行くの」と訊ねたところ「これから暇つぶしに1円パチンコに行くところ」との返事。

普通は1玉4円だそうだが、今では1玉1円のパチンコが大流行らしい。つまり100円で25個分しか遊べないところが、100個分楽しめて時間を余計つぶせるというわけだが、景品の交換率も当然落ちる。今では暇を持て余した老人や生活保護者で館内がいっぱいとのこと。

暇の使い方は人それぞれだが、自分のように毎日時間がいくらあっても足りない思いをしている人間は幸せなのかもしれない。


とにかく、海あり、山あり、高原あり、温泉ありと風光明媚な別府の自然の豊かさと、渋滞がない、行列がないという適度の人口密度が気に入って30年ほど前にこの地に移住してきたが、図書館だけは唯一ともいえる弱点である。

しかも、最近近くの大きなスーパーがつぶれてしまった。いつもこの駐車場に車を置かせてもらって図書館に通っていたのだが現在は閉鎖中なので利用できず不便極まりない。やむなく図書館脇の路上(駐車禁止)に駐車したままで、あたふた館内に駆け込んで本を返却し、本のタイトルと著者名を見ただけでバタバタと借り入れる始末。その間わずか5分あまり。

そういうわけで直感を交えて、この日借りたのは次の5冊。

           

「パナソニックは終わるのか」は興味のある題材。

ライバルのサムスン(韓国)と比較してまったく目を覆いたくなるような凋落をみせる近年のパナソニック。


日本家電の象徴的な存在だったパナソニックがどうしてこういう事態になったのか、そしてパナソニックのみならず日本家電復活の道筋はあるのだろうか?

と、まあ、こんな大きなことを一介の市井の徒が心配してもどうってことはないが、我が家の家電製品は冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、浄水器などすべてパナソニック。

何よりも他のメーカーと比較して故障が少ないのであえて指名買いをしてきたわけだが、現在これに代わる「安全神話」を持つ国内のメーカーがあるかな?


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ひかりTV♪ミュージック放送始まる

2013年04月25日 | 音楽談義

毎月、月末近くになると郵送されてくるのが「ひかりTVガイド」。翌月の1日ごとの番組表が載っている。

数年前からNTTのひかり回線を利用したテレビ放送を利用しているが、洋画専門チャンネルが3つ、日本映画が2つ、ほかにも時代劇専門チャンネルなど全部で36チャンネル。これだけあると全然見ないチャンネルの方が圧倒的に多いがときどき懐かしい映画に出会うことがあるので契約中止は毛頭考えていない。

そして、昨日届いた「ひかりTVガイド」に添付されていたのが次の資料。

           

この「ひかりTV」で音楽専門放送が開始されるというからビッグニュース。しかも月額たった980円で100万曲以上が聴き放題というからこれはたまらない!

4年半ほど前のブログで「音楽がタダになる日」というタイトルで記事を書いたことがあるが、とうとう現実のものになったかと実に感慨深いものがある。

すぐにテレビ画面で簡単な手続きを済ませてから利用開始。昨日(24日)は夕食をはさんで何と5時間ほどかかりっきりになってしまった。何せ利用方法の解説がないので、画面を観ながら試行錯誤の連続。

はじめはクラシック部門のランキングを覗いてみた。

           

大好きなエンヤの「カリビアン・ブルー」が1番!それはいいとしてエンヤははたしてクラシックかいな(笑)?

かなり怪しげなランキングとお見受けしたが、
とにかく、あれこれやってみたところ、好きなアーチスト、曲目にたどり着くには検索を利用するのがベストだった。今のところクラシックは手持ちのCDで十分なので、まずは歌謡曲にアタック。

リモコン・ボタンを駆使して「美空ひばり」ちゃんを呼び出したところ膨大な曲目が提示された。そこでその中から試聴しながら「プレイリスト」を作成した。この機能は非常にありがたい。好きな曲目を登録しておくと、あとから簡単に呼び出せていつでも好きなときに聴ける。したがって、録音なんてもちろん不要。

「裏町酒場」「大川ながし」「港町13番地」「リンゴ追分」など20曲近くを登録。

うれしかったのは「襟裳岬」「長崎は今日も雨だった」「恍惚のブルース」をひばりちゃんの声で聴けたこと。

現役時代に、お付き合いする上で仕方なく(これも給料の内だと割り切って!)、下手くそなりにやむなく披露したカラオケの十八番は「襟裳岬」「北国の春」「夢の途中」そして「長崎は今日も雨だった」。(古い曲ばかり!)

しかし、惜しいことにひばりちゃんと並んで双璧的な存在の「ちあき なおみ」ちゃんは未登録で検索の対象外だった。専属レーベルと話がつかないのだろうがいずれ加えてもらいたいものだ。

さて、ひととおりプレイリストの作成が終わると次に音質確認のテスト。

いつもテレビ番組はテレビチューナー専用の簡単なシステムを利用しているが、周波数レンジの広い音楽を聴くとなると話はまったく別。

テレビチューナーから光ケーブルでDAコンバーター(ワディア27ixVer.3.0)にデジタル接続しているので、手元の専用リモコンで「インプット」を「光」に選択し、JBLの3ウェイシステムで聴いてみた。

想像以上にいい音が出た!たかだか1万円前後の「ひかりTVチューナー」から出る音とは想像もできないほどである。

ただし、欲を言えばもっと最低音域あたりが伸びて欲しい気がした。これはCS放送のクラシック専門チャンネル「クラシカジャパン」にも言えることだが、どうしても回線を利用した音楽番組は低音域の情報量にやや不満が残る。

とはいっても、これはCDの音質と比べたときの話で、CDトランスポート(ワディア270)の値段と比べると、月とスッポンなので、コスト面からするとこれで十分というかそれ以上である。これ以上、欲を言うとバチが当たる!

16日間の無料体験が済んでも引き続き契約を続けるつもりだが、「ひかりTV」と「クラシカジャパン」の月額料金は現在カミさんの口座から引き落とされている。この額に追加となるとちょっと物議をかもしそうだ。

「どっちか、一つにしなさい」という天の声が今にも落ちてきそう(笑)。


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真空管アンプの下にはご用心

2013年04月24日 | オーディオ談義

オーディオシステムの中でアンプとスピーカー(以下、「SP」)といえばクルマの両輪みたいなものだが、SPの個性を十二分に引き出してくれるアンプの試聴テストは、性能以外にも相性の良し悪しがあり、意外性も加わって大きな楽しみの一つ。

とりわけ真空管アンプの場合は「アンプ転がし」に加えて「球転がし」が加わるので楽しみが倍加する。

我が家の場合も真空管アンプ6台をとっかえひっかえして、気が向いたときに相性テストを繰り返しているが、困るのがアンプの置き場所。何せそれほど広くもないオーディオ・ルーム(6m×7m)なので、不用意なところに置いて躓いたりすると危険だし、大切な真空管も壊れてしまう。

そこで、一計を案じて直し込んでいたタオックのSP置台(鉄製)を引っ張り出してきて二段重ねにして立体的な置き場所を作ってみた。

          

段々と機器が聴取位置までせり出してくるという見苦しい有り様だが、な~に、持ち主さえよければそれでいい世界。

なかなかの名案だと悦に入ったが、これでアンプにコード類を接続して聴いてみると、これまで出たことがない「ブーン」という微かなハム音が両方のSPから聞こえてくるではないか!

アレッ、おかしいなあ?発信源は木の台の上に乗せたアンプだが、これまでハム音はまったく無縁だったのにどうしてだろう?

もしかしてと、木台の下のアンプのスイッチを切ってみるとハム音がスーッと消えた。考えられることはただ一つで、下に置いたアンプの電源トランスと出力トランスから発する電磁界が盛大に上方まで広がって悪さをしたらしい。

我が家の真空管アンプはほとんどが鉄製のシャーシー(台)だが、少しでも電磁界を籠らせないように配慮して底板はすべて取っ払っているのだが、その一方で外部からの侵入には意外ともろいのかもしれない。

そこで、画像のように影響の無さそうな一番小さな「ちびちゃんアンプ」(2A3出力管)を、置いたところ万事うまくいった。電磁界は横よりも上方に広がりやすいのだろうか?

ともあれ、そういうわけで「真空管アンプの下にはご用心」という他愛ない一席でした(笑)。

 


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三つ子の魂百までも

2013年04月23日 | 独り言

4月21日(日)の午後は年に一度の自治会の総会開催日。町内には10組まであって1組がそれぞれ15戸前後ある。

会計役を4年間やって、引き続き監査役を仰せつかっているので、総会には絶対に出席して「監査報告」をしなければならない。1時間ほどで滞りなく終了したが、各組長の交替とともに規約改正があって役員を含めて監査役の報酬も雀の涙ほどだが引き上げられた。

うれしい!

さて、その日の夕食が済んで音楽を聴きながら“くつろいで”いたところ、玄関のチャイムがピンポ~ン。

何事かと玄関に出てみたところ、新しく我が組の組長さんになられた方がご夫婦で年間の会費(5000円)の徴収に回られていた。昨年の春に新築して引っ越しされてきたばかりの方である。

順番でいけば別のお宅が組長さんの番だが、早く町内に親しんでもらおうという親心(?)から、あえて本年度の組長に指名されたいきさつがある。ご夫婦とも学校の先生と伺っている。

「いやあ、はじめまして、どうかよろしく~。お~い、会費の徴収にお見えになったぞ」とカミさんに声をかけて引っ込もうとしたところ、奥方様の方が目(耳)敏く音楽に気付かれて「何だかとても澄んだ音が出ていますねえ。こんなに清々しい音は初めて聴きました。」

「主人がとても音楽が好きでオーディオに非常に凝っているんですよ。よろしかったら、ちょっとご覧になりませんか」と、うちのカミさん。

近年、亭主の趣味に多少なりとも理解を示しだしたのは非常にいい傾向である。と、いうか、お金がないので大物を購入できず、目立たない小物ばかりを購入しているので気が付かないまま自然と覚えがめでたくなったのだろう(笑)。

入室禁止というわけにもいかず、「散らかしてますが、どうぞ、どうぞ、ご遠慮なく入ってください。」と、“しどけない”身なりの自分。とにかく早寝なので、半分寝間着姿である。

「わぁー、凄い!」。

という声を背に「オーディオに凝って、もう40年以上になりますかねえ。」と、受け取り様によっては自慢とも嘆きともつかない言葉が思わず出た。

「私、音楽教師をしています。歌唱の指導をしていますがこのCD持ってますよ。」と、奥方様。

「えっ、そうですか!私もこのCDは大好きです。近いうちに町内の方々に呼びかけて音楽鑑賞会を目論む予定にしていますから、そのときはどうか気軽に参加なさってください。」

           

このCDは凄く評判がいい。オーディオ仲間のMさん(奈良)も、このブログの記事を見てさっそく購入され愛聴盤にされている由。娘(福岡在住)からも今回のゴールデンウィークの帰省に合わせて「是非、聴かせて」とラブコールを受けている。

「三つ子の魂百までも」で、音楽好きの方は小・中学校時代の音楽の時間に教え込まれた「日本歌曲」に情操を育まれたという人は結構多いのではあるまいか。

日頃、意識しないまでも実際に聴いてみると、教室などで合唱した当時の懐かしい思い出がきっと呼び起されるはず。

ず~っと昔の郷愁に浸りつつ、おそらくその後の社会の荒波など予想だにしないウブで純真な心をわずかでもきっと取り戻すに違いない。

日本人なら、そうこなくっちゃあ!

「日本歌曲なんて時代遅れ」「米良美一はどうもチャラチャラしていて」という風評にもめげず、これから機会あるごとにこのCDをじゃんじゃん広めようと決意した。

 


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一期一会(いちごいちえ)の音

2013年04月19日 | オーディオ談義

「ジョン・コルトレーン アンド ジョニー・ハートマン」というタイトルのCD(以下、「コルトレーン」)。
           

「アレッ、この人ジャズ好きだったっけ?」。日頃、このブログを読んでいただいている方には当然の疑問。

それもそのはず、このCDは4月16日(火)での我が家での試聴会で、Kさん(福岡)が持参されたものである。今回はこのCDが「後々の語り草になるほどの音」で鳴ったというお話。

Kさんの我が家へのご来訪は3月18日、4月3日に次いでこれで3回目。高速をベンツさんでぶっ飛ばして来られても片道およそ2時間かかる程だからその手間を考えるとかなりのハイペース。

もっとも、我が家の音がそれほど魅力的というほどでもなくて、お互いに「AXIOM80」(以下、「80」)という珍しいSPユニットをこよなく愛する者同士、とにかく話のタネが尽きない。

この日も13時頃から夕方までみっちり試聴しながら、相変わらず「80」絶賛の展開になった。いい歳をした大人がお互いに自画自賛するのだから世話はない。おそらく傍の人間は見てられないことだろう(笑)。

この日持ってきていただいたアンプは「171A出力管」(以下、「171A」)によるトランス・ドライブのアンプ。わずか出力0.5ワットのアンプで「80」を駆動しようという目論見である。

          

この171Aは今からおよそ80年以上も前に製造された1930年代の貴重な真空管で、なす管(3桁番号の171A)と、もっと後になって製造されたST管(2桁番号の71A)とがあって、両方差し換えて試聴してみたがこれらはまったく別物だった。「なす管」が圧倒的に良かった。

「なす管」は大量生産に向いていないので次第に「ST管」に駆逐されていったが、PX25(イギリス)にしてもそうだが「なす管」の方が音の魅力は明らかに一枚上である。オーディオの場合は質と量が反比例することが極めて多い。

さて、両方の真空管ともに「レイセオン」社による製造である。ここで、「レイセオン」という会社をご存じない方もあろうかと思うのでググってみると、

レイセオンRaytheon Company)とはアメリカの軍需製品メーカーである。本社はマサチューセッツ州ウォルサム。世界第1位のミサイルメーカー。年2兆円超の売上のほとんどは、軍やアメリカ合衆国政府向けの製品である。従業員数7万人強のうち4万人近くが技術者である。

「レイ」は「光のビーム」、「セオン」は「神々より」という意味。マイクロ波レーダーの研究により電子レンジ開発のきっかけとなったメーカーである。電子レンジ無くして現代の生活は語れないので「レイセオン」社はもっと有名になっていいのだが政府御用達の軍需産業ということもあって、いっさい社名の宣伝をしないし、その必要性もない。

こういう由緒あるメーカーが作った古典管はやはり二の句がつけないほど素晴らしかった!

わずか0.5ワットの出力なので、ちょっと心配したがプリアンプのボリューム目盛を通常の10時前後から13時前後にアップすると十分事足りた。というか、これまで我が家の「80」で聴いた中ではベストともいえる音を鳴らしてくれた。

テスト盤は冒頭の「コルトレーン」。

3トラック目の「MY ONE AND ONLY LOVE」がKさんの愛聴曲で、「こんなに肩の力が抜けたコルトレーン(サックス)は、ほかではなかなか聴けません。大好きな曲です。」

Kさんのレパートリーはクラシックからジャズ、日本歌曲まで実に幅広いが、曲の好みが自分と実によく似ている。しかし「80の個性を愛する」素地が共通しているのだから、当然といえば当然。

「まるでフルレンジみたいな自然な鳴り方ですね。80と低域用のユニットとの繋がりにまったく違和感がありません。フォステクスは実にいいユニットですね~」と、Kさん。

オーディオの理想はフルレンジで鳴らすこと。しかし、1個のスピーカーで低音部から高音部まで十全に鳴らせるユニットはないと言ってもいいほどなので、仕方なく低音用ユニットや、中高音ユニットで周波数帯域を分けて、2ウェイや3ウェイで聴いているのが現状。いわば必要悪ともいえるが、この鳴らし方をするとユニット同士の音の繋がり感に永久に悩まされることになる。

「繋がりがいいのは80が低音域の方までしっかり伸びている証拠ですね。コルトレーンのサックスもいいのですが、ハートマンの声が何とも言えないですね。自然な暖かみがあって、思わずスピーカーの存在を忘れてしまいました。こんな鳴り方をしたのは初めてです。171Aアンプの再生能力にはつくづく驚きました。」

それからは二人で「凄い、凄い!」の連発。

「コルトレーン」のCDジャケットでメンバーを見てみると、サックスのジョン・コルトレーンは言わずもがなだが、ピアノが「マッコイ・ターナー」、ベースが「ジミー・ギャリソン」、ドラムが「エルヴィン・ジョーンズ」、ボーカルが「ジョニー・ハートマン」そしてエンジニアが「ルディ・ヴァン・ゲルダー」と、押しも押されもせぬビッグネームが並んでいる。

ジャズにはまったく疎いが、そのくらいは知っている。言い尽くされたことだが「凄い音」には名演奏・名録音の存在も不可欠である。

翌日(17日)になって、福岡でお仕事中のKさんと電話で話す中、異口同音に「昨日の音は後々の語り草になるほどの音でした。凄かったですね~」。

Kさんは12台の真空管アンプをお持ちだそうだが、前回持参していただいた「245」アンプと並んでこの「171A」アンプは逸品中の逸品である。Kさんと生存競争をしてまでも狙ってみたいアンプだが、如何せん自分の方が年上なので圧倒的に不利である。この上は一縷の望みをかけてもっと節制することにしよう(笑)。


とにかく「一期一会の音」とは、こういう音を指すんだろう。


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修理から戻ってきたJBL375ドライバー

2013年04月18日 | オーディオ談義

このところ毎日のように聴いている「日本歌曲集」。
         

およそ1時間、それも一日の始まりの早朝に聴くと、何だか気持ちが清々しくなって一日中、心が洗われるような思いがする。クルマを運転しているときなどにも、ふとメロディが脳裡に浮かんだりするが、こういうように後に尾を引くCDは最近では珍しい。

これはつい最近知り合ったKさん(福岡)
の愛聴盤だが、いろいろと交流する中でこうして好みに合ったCDに巡り会えるのも楽しみの一つである。

ところで、気になるのが第4トラックの「城ケ島の雨」の終盤で声を張り上げるところ(カウンターテナー)で決まったように左チャンネルから歪んだような音が出ること。いったい何が原因なんだろう。ネットワークのハンダの接触不良か真空管アンプの初段管の不調かといろいろ探ってみるが異常なし。

やっぱり犯人は中音域を受け持つJBL375ドライバーしかないようだ。やれやれ、一番恐れていた故障でたいへんな手間がかかるんですよねえ。

重たいツィーターを降ろし、375に取り付けているウッドホーンを上方向に向けて4か所のネジを外す。直径10.2センチのダイアフラムを擁する375もこれまた非常に重たい。

非力な人間にはこたえるが、こういう時に毎日のように運動ジムで鍛えている筋トレがほんのチョッピリ役に立つ。さあ、取り外した375の現物を目の前にして裏蓋の4か所のネジを取り外してみよう。

構造上、全開は無理なのでカミさんを呼び寄せて裏蓋を半開のまま持たせたうえで、ちらっと内部を覗いてみると、外見からは何ら異常なし。ダイアフラムに接触している異物もないし、ねじ止めしてある配線の接触不良もなし。これではとても故障の原因は分からない。素人の出番ではなさそうなので、いつも修理をお願いしている岡山の専門店へ連絡してみた。

「昨年12月に一度調整していただいたんですが、またもやおかしくなりました。毎回同じ曲目の鋭くて高い音が入るところで歪んだような音が出ます。何が原因でしょう?」

「ああ、それはボイスコイルの一部が剥離している症状ですね。すぐに直してあげます。送ってください。」

この店主さんは数多くの症例に接しておられるご様子で、ノウハウの蓄積は凄いだろうなあと思わせるものがある。繊細なツクリのAXIOM80の修理なんかはお茶の子さいさいである。

そういえば数年前のブログで触れたことがあるが、朝日新聞の特集記事に載っていた、どんなスピーカーの故障にもすぐに気が付いて、異常個所を特定して修繕できるという「ゴッド・ハンド」と称される東北地方のある工房の女性の話を思い出した。

AXIOM80の修繕も出来るという話だったので、実際に修理を依頼したところ、現在非常に混んでいて予約が1年以上も先みたいなことを言われた。

とても1年なんて待てない。おそらくそういうお客の心理を読んだ上での逃げ口上だったのだろう。修理に時間がかかって、とても引き合わないということだったと推測する。それとも腕に自信が無かったのかな。とにかく「な~ンだ、噂ほどにもない、ったく。」と、思ったことだった。


一方、この岡山の専門店は全国からスピーカーの修理が押し寄せてきているようで非常にご多忙のようである。特に地震とかの大きな災害が起きたときはてんてこ舞いになるに違いない。とにかく急いでもらうコツは、SPユニットを同梱した段ボールの中に「大至急お願いします。」と、紙に黒々と大きく書いて故障の症状を詳しく解説しておくに限る。

日曜日の早朝に宅配店に持ち込んだところ、岡山到着は早くても月曜日(15日)の14時~16時の間とのこと。そこで月曜日の16時過ぎに到着を確認するために電話したところ「たしかに到着してますがまだ箱を開けてません。明日にでも修繕に取り掛かります」

波状攻撃で、翌日(16日)も17時過ぎに電話をしてみた。オーディオ以外でもこんな“こまめ”なことを心がければ、何かきっといいことがありそうなものだが(笑)。


「ああ、修繕は終わりました。もう送りましたよ。やはり原因はボイスコイルの一部剥離でした。いいですか、裏蓋を開けてもいいのですが絶対にダイアフラムを取り付けているネジ(4個)に触ってはダメですよ。音声信号を入れながら、微妙にネジの締め具合を少しずつ調整しながら順番に締め付けていってます。

そうしないとダイアフラムが歪んだ形で取り付けられて、出てくる音も歪みます。中には、ネジをきちんと締めると異音が出るものですから、緩くしたまま出荷する業者もいるほどですよ。それにネジを外して、ダイアフラムを少しでも動かすとセンタリングもおかしくないますからね。」と、店主さんから厳重注意。

同じJBLでもLE85あたりは直径5センチほどの小さなダイアフラムなので、素人にも手が出せそうな気がするが375ともなると、本体の磁力を持った凸部とお椀型のダイアフラムの凹部をピタリと合わせる凄く微妙な調整がいる。

さて、17日(水)の朝からソワソワして待つ中、運が良いことに早々と午前9時に到着。

「代引きでしょう。いくらですか?」と宅配さんにお訊ねすると、「いいえ代引きではありません。お届けに上がっただけです。ここにサインだけお願いします。」

あれ~っと、うれしい悲鳴。

5か月前に修理したので今回は送料まで含めてサービスしてくれたらしい。けっして、儲け主義ではないのが伺える。こういうお店は大好き!(笑)。

こうして戻ってきた375ドライバーのセッティングをさっそく開始。
         

20分ほどで完了して、いよいよテスト開始。

「城ケ島の雨」を、心持ちボリュームを上げて試聴するも見事に難所をクリアーしてくれた。いやあ、満足、満足!

相変わらずJBLシステムはスピーカーからの音離れの良さが実に魅力的で全体の清澄感といい、この辺の見事さはさすが。

すぐに感謝の電話をした。「どうもありがとうございました。代金までサービスしていただいたみたいで・・・。おかげさまで、きれいに直ってました。」

「いいです、いいです。ボイスコイルの一部剥離はたまたまですね。使い方が悪いということではないです。また何かあったら言ってください。」と、店主さん。
 


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スクラップ アンド ビルド

2013年04月16日 | オーディオ談義

つい先日起きた関西地方の大きな地震。

震源地は淡路島だそうでマグニチュード6クラス。心配になって急いでオーディオ仲間のMさん(奈良)に「大丈夫でしたか」と、メールを送ると、「震度4でしたが、事なきを得ました。」のご返事にひと安心。

お返しのメールに「オーディオ機器の崩壊ともなると気が狂いそうになりますからね。」と、ここまで書いたときに、ふと「果たしてそうかな?」と思った。ある記事が記憶に蘇ったのである。

たしかオーディオ専門誌「ステレオ・サウンド」だったと思うが、18年前の「阪神淡路大震災」でオーディオ機器がすべて壊滅の憂き目にあった、とある関西地方のマニアが次のような趣旨の記事を投稿していた。

「機器がすべて使えなくなったので、改めて一からオーディオに取り組まざるを得なかった。コツコツと今度はウェスタンの製品を中心に揃えてみたが、以前よりもずっと気に入った音になった。地震がなければおそらく以前のままのシステムの音だったかと思うと複雑な心境だ。」と、たしかこういう内容だった。

凄いお金持ちなのだろう、あるいは保険金が下りたのかな。そんな下世話なことはどうでもいいとして、この事例は「システムが完全に崩壊しても決して悪いことではない。以前のしがらみから完全に解放されるというメリットもあるのだ」ということを物語っている。

そういえば、現在のシステムに完全に心から満足している方は意外と少ないのではあるまいか。

吟味を重ねて購入して愛用してきたものの、「そろそろ飽きてきたし、欠点も段々鼻につきだした。しかし、下取りに出して機器を一新するのも何だか面倒くさいし、(下取りの)値段を考えるとバカらしくもあるし」と、踏ん切りがつかないまま、だらだらと惰性で聴いているケースが結構あるのでは?

そういう方は、いっそのこと地震でも起きてオーディオシステムだけ完全破壊というのもアリかもしれないね~(笑)。

そう、徹底的な破壊と新たな建設。「スクラップ アンド ビルド」はオーディオにも必要だ!

さて、かくいう我が家はどうだろうか?

スピーカーは、AXIOM80とJBL3ウェイの二つのシステムとも大いに気に入っているので、これだけは絶対に変えるつもりはない。

問題はアンプ群である。低音部から高音部まで各ユニットに1台のアンプを当てており、8割方満足だが、欲を言えばどうしてもアンプによる音色の違いは微妙なところで争えない気がしている。「しまった、同じアンプを何台も揃えればよかった」と思っているが、もはや後の祭り。

したがって、超弩級のアンプをドカンと購入してそれでシステム全体をフルレンジみたいに駆動してみたい誘惑にときどき駆られる。

さて、どんなアンプがいいだろうか。

真っ先に思い浮かぶのがジェフ・ローランドの「モデル9」

             

セパレートアンプで、それぞれ電源部がセットになっている。発売当時の価格がペアで500万円。

ずっと以前になるが「ステレオサウンド」誌で、大型スピーカーの試聴特集があってタンノイ・ウェストミンスターがこの「モデル9」で駆動されて、評論家の朝沼予史宏(故人)さんや菅原昭二さんから絶賛を博していた。オートグラフも同様だがあの長大なバックロードホーンの坑道の空気をためらいもなく押し出すには、ユニットへの制動力が利いた強力なパワーがいるとつくづく思ったことだった。

「モデル9」さえあれば、自分もウェストミンスターをいろいろ“いじくる”ことはなかっただろうが、当時はとても手が出なかった。

さて、この際とばかりググってみると、今では中古で100万円前後の値段になっている。地震その他の災害で我が家のアンプがほとんど崩壊し、家財保険が下りればという条件付で即買いである。

しかし、このアンプ、今のご時世にちょっと電力を喰いそうなのが心配(笑)。


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ウェスタンと名のつくものなら何でも買います

2013年04月14日 | オーディオ談義

12日(金)にようやく手に入れたオーディオ専門誌「無線と実験」(5月号)。

           

期待の真空管「300B」の12種類のテスト結果を急いで読んでみた。今回は「高域帯域感」「低域帯域感」「瞬発力」「色付け質感」「好感度」という5項目による採点。

結果から言えばオリジナルのウェスタン(以下「WE」)製がダントツで相変わらず激賞されていた。評論家三氏とも、ご意見がほぼ同様なので、やはり信頼のおける評価というべきだろう。

しかし、この泣く子も黙るWE300Bでも製造年代によって音質が異なるから少々厄介な話になってくる。今回のテストでは、参考として、1997年製、1987年製、そして1940年代製のWE刻印の3種類のヒアリング結果が載っていたが、評価の方も見事にこの順番で段々高くなっていく。

別に驚くこともなく、これまで言い尽くされたことなので再確認といったところだが、非常に残念なことにこのWE300Bを手に入れようにも、入手が極めて難しい時代になっている。

この「無線と実験」誌でも、真空管販売の専門店が広告掲載を出しているが「WE300B」については「品切れ」とあった。もう通常の手段と値段では入手不可能といっていいだろう。

たまたま、昨日(13日)の午後お見えになったオーディオ仲間のAさんと試聴していたら、「WE製品の高騰」が話題に上った。

おそらく中国だと思うが、バイヤーがWE製品を買い漁っており、本国アメリカでも手薄になって、今や日本にあるWE製品に目が付けられているという。WE製品を持っているというマニア心理をついたステータスもあるようだが、文化遺産としての投機目的も十分考えられるそうだ。

九州にはウェスタン愛好家が比較的多いそうなので、「ウェスタンと名のつくものなら何でも買います」とバイヤーと専門店の関係者がつるんで、これと目星をつけたところに当たっているというから驚く。

WE製品を持っている方はホクホクだろうが、別に値段が高騰してもマニア心理として売るつもりはないだろうからまあ自己満足程度のレベルの話ではある。別に資産税が上がるわけでもないし迷惑にもならない。

ちなみに、我が家ではWE300Bについては10年以上も前に購入した1950年代前後のものを2ペア、1988年製を1ペア所有しているが、あの頃はまだ薄給のサラリーマンでも手が届く値段だった。こんなに値上がりするとは夢にも思わなかったが、結果としていい時期に手に入れたことになる。

いくら300B用のアンプを持っていてもオリジナルのWE製が手に入らなければ、ずっとその幻影に悩まされ続ける可能性があるので、これから真空管アンプを手に入れようという方は一考の余地があるかもしれない。しかし、ものは考えようで、いつかはオリジナルを手に入れるぞという楽しみもあるので要は当人次第。

五味康祐さんの名著「西方の音」に、「どうしても欲しい骨董品があったらその所有者が死ぬのをじっと待つ」という物騒な話が出てくるが、いまやWE300Bもそういう妄執の対象になってもおかしくないレベルになっている。

さて、自分の場合は誰かに狙われているかな?

念のために遺言しておくとしよう(笑)。

ところで、この日Aさんと試聴する中、WE300Bアンプで1988年製と1950年代製(オールド)の両方を差し替えて試聴してみたところアッサリ勝負がついた。オールドの音が見事に重心が下がって非常に聴きやすくなった。中域の分解能も申し分なし。

「日頃、これで聴くのはもったいないような気がしますね。1988年製で十分ではないでしょうか。」とAさん。

「そうですねえ。WE300Bの寿命はうまく使えば10年以上ですから、耳が丈夫な間は持ちそうな気もしますが・・・」

ウ~ン、悩ましい(笑)。


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世の中には“とてつもない”秀才がいる

2013年04月13日 | 独り言

つい先日の10日(水)の夜、オーディオ仲間のMさん(奈良)から、添付画像とともにうれしいメールが届いた。

オーディオ専門誌「無線と実験」(月刊誌)の今月号の付録が「真空管WE300Bと2A3」のガイドブックだというお知らせ。これはビッグニュース!

                              

WE300Bと2A3は両方とも現在使っている真空管なので興味津々。11日(木)、午前10時の開店にあわせてクルマで15分ほどの書店に飛んで行った。
                      

ところが店内をいくら探しても見当たらないので、やむなく店員さんにお訊ねすると、パソコンで検索してくれて「東京と比べて入荷が2~3日遅れます。明日、3冊入荷の予定ですが予約されますか?」

「はい、もちろん!」。

手ぶらで帰るのもちょっと淋しいので一回り書店の中を“ぶらつく”と目についたのが新刊の「文芸春秋5月号」。「医療と健康の常識を疑え」の見出しが気になった。

                         

ざっと、拾い読みすると「水はたくさん飲むべきだ VS.たくさん飲むべきではない」「フルーツは体に良い VS. 体に悪い」「牛乳は飲むべきだ VS.牛乳は健康に良くない」「食事は一日一回でよい VS. 一日三食が健康によい」「砂糖は体に良い VS.砂糖は体に悪い」「マラソンは体に良い VS.マラソンは体に悪い」「運動は食前に良い VS.運動は食後に良い」

いずれも身近な問題で日頃疑問に思っていることばかり。特に最後の「食前・食後の運動のタイミング」は、両者の間でどれだけ運動効果に差が出るのか是非知っておきたい関心事。

「文芸春秋」はいつも図書館で拾い読みしている程度だが、これで久しぶりに購入する気になった。

家に持ち帰ってざっと読んでみたが、結論から言えば期待したほどの内容ではなかった。それぞれにはっきりと白黒がつくような話ではなく、いずれもケースバイケースの灰色決着のような印象を受けた。

結局、正しい健康法となると己の体質・体調と相談の結果で試行錯誤を繰り返しながら時間をかけて自分なりにベストの方法を見つけ出す以外に手はないようだ。

「健康の維持・増進に王道なし」を改めて痛感させられたわけだが、もともと健康知識の取得に安易に「過剰な期待を抱くのが悪い」のかもしれない。

さて、ついでに本書をパラパラと読んでいたら、このたび日銀総裁に就任されて一躍「時の人」となられた黒田東彦(くろだ はるひこ)氏の人物紹介がされていた。(188~195頁)

とにかく「“とてつもない”秀才」ぶりに驚いた。ざっと抜き書きしてみると、

 東京教育大学(現・筑場大学)付属駒場中学校時代から、読書好きで図書館の数学や物理学の本をほとんど読み尽くした。理系を志したが高校生の最後になってマックスウェルの電磁方程式が分からなくなり土壇場で東大法学部へ志望を変更してストレートで合格。

 法学部時代は「法哲学」に興味を抱き熱心に勉強したおかげで、「大学に残って教授になって欲しい」と懇願されたが、裁判官になるつもりで4年のときに司法試験に合格。しかし、母親から「お前に人を裁くことが出来るのか」と真剣に尋ねられ、公務員になる道を選んだ。(この母にしてこの子あり!)

 国家公務員試験を二番で合格して大蔵省(現・財務省)へ入省し、エリートコースとされる官房秘書課へ配属。

 ところが、順風満帆の黒田氏だが、上司からいつしか「あいつはキツイ」と疎まれるようになる。「優秀なのは分かるが、頑固で清濁併せ飲むことが出来ない」という意味らしい。これが後に財務省の本流とされる「主計コース」を歩めなかった理由のひとつのようだ。

 最後に、財務省で「次官」に次ぐポストとされる「財務官」を経て「アジア開発銀行総裁」へ。

世に秀才多けれど、このように上には上があるのだから世間は果てしなく広い。しかし、鈍才の僻み(ひがみ)かもしれないが、こういう人物はつい“あらさがし”をしたくなるものである(笑)。

そういえば代議士の「枡添要一」さんや「鳩山邦夫」さんは東大法学部時代に成績がオール優で二人で1~2番を争っていたというのに、今のような“体たらく”だから学校の成績はあまり当てにならない。

それに黒田さんは絵画とか音楽鑑賞とかの芸術分野についての素養はどうなってるんだろう?こういう点については本書ではまったく触れてなかった。何せ飛行機による移動中も機内で哲学書を原書で読み耽るような人物なのでちょっと無理かな。

中曽根・元首相によると主要国サミットの首脳同士の雑談にはクラシック音楽が話題になることがあるというから、そのくらいはトップの“たしなみ”としておろそかに出来ない分野である。

「知性と感性」の両立はなかなか難しそうだ。

以前、モーツァルト関係の専門誌を読んでいたら一番好きな曲目のアンケートがあって、いわば知性の頂点ともいえる、ある東大教授の方がピアノ協奏曲を上げていた。

たしかにピアノ協奏曲は美しいことは認めるが、何も一番に上げなくてもねえ。
ピアノ・ソナタならともかく、少なくとも精神的に尾を引く音楽ではない。むしろモーツァルトを聴き込めば聴き込むほど、ピアノ協奏曲はちょっと敬遠したくなる類の音楽だ。不遜な言い方になるが「この人、モーツァルトのことをほんとうに分かっているのかいな」と思った。

モーツァルトの真骨頂はオペラにある。役者の台詞が終わって、一瞬の静寂が支配する中、雰囲気にピッタリの音楽がさりげなくスッと入ってくるあの絶妙の間合いのリズム感とでも言えばいいのだろうか、その辺に彼の音楽の究極の美がある。

とまあ、ちょっと力んでしまった。これはほんの一例に過ぎないが、そういうわけでどんな秀才にも不得手はありそうだ。

音楽とオーディオに熱心に勤しむのも、間接的に「美的感受性」を磨いていることにほかならないが、「鈍才」はせめてその辺に活路を見い出さないと立つ瀬がないからねえ(笑)。                               


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取らぬ狸の皮算用

2013年04月11日 | 独り言

つい先日、運動ジムで久しぶりに偶然お会いしたMさん。

音楽とオーディオ好きのお医者さんをよく見かけるが、(Mさんの)ご主人も例に漏れず、タンノイ・ウェストミンスター(ロイアル)を鳴らしておられるので、以前ご自宅にお伺いして聴かせていただいたことがあり、さすがにシリーズ最高峰のロイアルだけあって「熱い音」がしていた記憶がある。

「ブログを相変わらず読んでますよ。しかし、オーディオのことは何度読んでもさっぱり分かりません。ほかの読書のことなどを楽しみにしています。以前の“イヌの顔は買主に似るって本当?”は非常に面白かったです。」

それもそのはずで、Mさんはチワワ(2匹)を愛玩されており、ガーデニング、編み物、太極拳と趣味が豊富な方で、「マイガーデンとチワワ」というタイトルのブログをときどきだが拝読させてもらっている。ちなみに最近の、手入れが行き届いた「春のマイガーデン」を紹介させていただくと。
                       

ただ、そういえばこのところ、自分のブログがずっとオーディオ関係の記事に偏っていることに気が付いた。以前は意識して題材を散らすように心がけていたのだが、ますますオーディオが面白くなってつい夢中になってしまったらしい。いい歳をして、まったく~(笑)。

そういうわけで今回はご要望にお応えして、オーディオ以外の題材をムリヤリ見つけて何とか作文してみた。内容が手前味噌の色彩(それも金色の!)を帯びているので「はたしてどうかな?」と思うが、まあ、ざっと読み流してくださいな。

☆ 取らぬ狸の皮算用

周知のとおり昨年の11月中旬の自民党・安倍政権への期待の高まりから始まって今日までおよそ5か月間ずっと円安傾向が続いている。4月11日(木)早朝の4時15分現在では1ドル99.80円と、いよいよ100円の大台に近づいてきた。2年ほど前は1ドル75円近くまで円高が進み、一部の経済評論家などは50円台まで上がるなんて無責任なことを言っていたので隔絶の感がある。

結局、大衆心理も含めて景気や為替相場の見通しなんて壮大な一種の社会実験みたいなものだから経済の専門家も含めて誰も正確には予測できないのが本当のところだろう。

しかもアメリカでシェールガスの掘削技術が進んでエネルギー革命が起きつつあり、雇用者の増大などで
景気に貢献するなんて、当時はまったく予想もつかない事柄だし、このようにある日突然、陽の目を見るイノベーションの要素も入ってくるのだからなおさらである。

そういうわけで為替相場を通じて儲けようなんて、まるで博打みたいなものだが、あのトヨタ自動車は対ドルで1円下がると350億円の利益になるというから、このところの円安で1兆円近く儲けた計算になる。こういう桁はずれの額になるので為替相場は単なる「博打」という認識だけでは片づけられないところもたしかにある。

いったい、この円安はいつまで続くのか、対ドルで何円くらいで安定するのかが当面の関心事である。

外的要因は別として国内要因に目を転じると、強力な超金融緩和の推進論者・黒田東彦(くろだ はるひこ)日銀総裁はこの4月に就任したばかりで任期は5年。自民党政権の任期はあと3年半なので、これらを考え合わせると少なくとも向こう「3年間」はこの傾向が続く可能性が高い。

トヨタ自動車の儲けに比べると「象とノミ」みたいに本当にささやかな額になるが、当方も7年前に「ドル建て債」を購入している。当時あまり乗り気ではなくどうでもよかったが、カミさんの仕事に協力して「10年満期の複利4.4%」で運用。

3年ほど前のリーマン・ショックによるドルの暴落で「やっぱり止めときゃよかった」と、大いに後悔したものだが、今ではまったくのウハウハ状態。

「この辺で途中解約しますか?」と、亭主にせびられてやむなく融資中のカミさんが早く資金を回収しようと誘いをかけてきた。

「い~や、複利で回しているのでまだまだ続ける。とにかく、必ずまとめて返すからさあ~」と、フェイントでかわした。


あと3年の満期が待ち遠しいが「額に汗して稼いだお金」ではないので内心忸怩(じくじ)たる思いはあるものの、元本割れの恐怖で背筋に冷や汗をかいた分の代償として割り切らせてもらおう(笑)。

これで晴れてオーディオにもっと、もっと突っ込めるぞ~!


ただし、娘に言わせると「亡くなった“おばあちゃん”がよく言ってたじゃない。そういうことを取らぬ狸の皮算用って言うのよ。」と、やや冷めた“まなざし”でオヤジの背中を見つめている。どうやら楽(らく)して甘い汁を吸うのがお気に召さないらしい。

さて、先日、運動ジムで汗を流していたところランニング・マシン上の中年の男女から次のような会話が聞えてきた。

「400万円を銀行に預けておいたところ、満期になったので受け取ってみたらたった2万円の利息なのでガッカリしたよ」

「使わないだけよかったじゃない。手元に現金を置いておくといつのまにか無くなってしまうものよ。」

ものは考えようですね(笑)。


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変幻自在の我がままスピーカー

2013年04月09日 | オーディオ談義

6日(土)から7日にかけて日本列島は春の嵐がビュンビュン吹きまくった。木をもなぎ倒すほどの強烈な突風は当地九州も例外ではない。

7日(日)の午後はかねて予定していた福岡のKさん宅へ「AXIOM80」(以下「80」)の音を聴きに行く日だが、「(横風が強いので)高速をあまり飛ばさない方がいいわよ」と、カミさん。

「ああ、そうだな」(そのくらい分っとるわい!)

午前中に自治会の監査を済ませて出発したのが12時過ぎ。念のためKさんに連絡を入れると「高速は覆面パトカーが“うようよ”していますから用心してください」

昔からやや「スピード狂」のきらいがあるのだが、重ね重ねの忠告なので今日ばかりは自重した方が良さそうだ。途中までカーナビ任せの安全運転。インターを降りてお迎えの車と落ち合い、無事先導してもらってKさんのオーディオルームに横付けしたのが14時過ぎだった。

すぐにウォーミングアップ済の「80」を聴くことが出来た。使っているアンプは、つい最近出来上がったばかりのEL32の出力管を使ったトランスドライブで、この球は以前、秋葉原で700円で購入したものというから驚いた。

80に20年間騙されていたことにやっと気付きました。こんなアンプでも実に表情豊かに鳴ってくれるんですからね。やれ回路がどうとかトランスとか点火方式とか、絶対にこうでなくちゃいかんという方がよくおられますが、そんなことに拘っていると可能性を狭めるだけです。今さらながら80の持つ多様性に感心しました。」

Kさんは非常に柔軟性に富んだ方である。自分も「世の中、何でもあり」の無勝手流タイプなのでウマが合う方かもしれない(笑)。

          

Kさんのシステムで一番左側のスピーカーが今回お目当ての「80」のフルレンジ。

数年前に福岡市内で一度オリジナルボックスに入った「80」を聴かせてもらったことがあるが、どちらがいい悪いということではなく、これまで聴いたことがないほど低音から高音まで伸び伸びとして雄大だった。我が家とはまるっきり違う鳴らし方に「80」の新しい可能性が垣間見えた。

ひとしきり聴かせてもらった後に、ご所望があったので我が家から持参したPX25出力管を使った「球転がし」を行った。

          

今回は前回と違って4種類の「PX25」をテストした。

「GECのなす管」「テスラの直筒管」「テスラのなす管」「オスラムのドーム管」

フルレンジで聴く「80」は4ペアの真空管の性格を我が家以上に克明に表現してくれた。

「これまでいろんな方が持ってこられたアンプをテストしましたが、最初からこんなに80がうまく鳴ったのは初めてです。しかし、4ペアのうちで総合力で頭一つ抜け出ているのは“GECのなす管”ですね。」とKさん。

「まったく同感です」。我が家のテストではオスラムのドーム管が良かったが、こうしてフルレンジでテストすると様変わりするところが興味深い。これがおそらく本当の実力に近いところだろう。

フルレンジで鳴らす「80」のポイントは何と言ってもボックスの「つくり方」に尽きるが、これを作られたのはお知り合いの「H」さんだという。オーディオマニアの大工さんでご自身も「80」を持っておられて、ボックスつくりはお手のものだそうである。

「スペアの80をもう1セット持っていますので、今度は是非フルレンジで鳴らしてみたいですね。これと寸分たがわず同じボックスを作ってもらうわけにはいきませんか」という身勝手なお願いに対して、Kさんが快く目の前でHさんに連絡をとってくれた。

その結果「交渉がうまくいきました。OKだそうですよ。ただし今、忙しいので1か月間の猶予が欲しいそうです。これから同じ材質の木材を集めてくれるそうです。」

いやあ、1か月後が楽しみだが、今でさえスピーカーの置き場所に困っているのに、いったいどないするつもりなんや?(笑)

翌日(8日)に「お疲れでした」と、届いたkさんのメールにはこうあった。

「AXIOM80フルレンジをPX25で鳴らすのは初めてでしたが予想以上でした。 雄大にして繊細緻密という言葉がピッタリですね。だけども決して油断してはなりませぬ。今日の音は素晴らしいとはいえ入口です。まだまだ上の音がでます。
 
私の経験からですがAXIOM80はサボりの名人・タヌキですよ。虚弱体質で肉体労働不可みたいな顔を見せますが、騙されたら負けでそれから上の音をだしてくれません。言うことを聞かなければシベリアの収容所送りにするぞ、というくらいの意気込みで鳴らせば必ず期待に応えてくれます。」

「人の世に熱あれ、人間に光あれ」(宣言)という言葉があるくらいだから、最後に物事を動かすのは「熱意」なんだろうが、使う人間の情熱度に応じて対応を異にし、百人百様の鳴り方をする変幻自在の我がままスピーカーがいまだにこの世にあるなんて皆さん信じられます?

まったく、これだからオーディオはやめられない(笑)。

帰りはとうとう17時過ぎになってしまった。途中の山間地は4月というのに気温が3度前後になって、車内まで冷気が忍び寄ってきた。「帰心矢の如し」で、つい、いつものクセが出てビュンビュン飛ばして1時間20分で我が家に到着!


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