「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「好きな音」と「いい音」の違いとは

2018年07月31日 | オーディオ談義

つい先日、日本を代表する脚本家の「橋本忍」氏の訃報(享年100歳)が公表された。

あの日本映画史上に燦然と輝く「七人の侍」(黒澤明監督)の脚本を担当された方である。映画監督「山田洋次」さんによる追悼の記事が日経新聞にも掲載されていた。

   

山田洋次さんといえば「寅さんシリーズ」や「幸せの黄色いハンカチ」などで押しも押されもせぬ日本の代表的な映画監督である。紙面冒頭に次のようなことが書いてある。

「一つのシーンの脚本を二人で向かい合って書く。それは剣道の試合にも似ていて、弟子の僕は無茶苦茶に打ち込まれる。しかし10本に1本か2本かは面か小手を師から奪う。つまり師がウンと頷いてぼくの書いたセリフが採用される。」

これに関して以前読んだ(本のタイトルは忘れたが)橋本氏の著作の中のエピソードが鮮明に蘇った。

「映画「七人の侍」の撮影にかかる前に黒澤氏、橋本氏、そして小国英雄氏(「小国の旦那」)の3人が鄙びた宿屋に泊まり込んで脚本の執筆に勤しんだ。

その出来上がる過程となると、黒澤氏と橋本氏が向かい合ってそれぞれ独自に脚本を書く。そして「小国の旦那」が出来上がった脚本を見て両者を比較し「これはいい、悪い」と判断を下していくというもので、この競い合いと冷静な審判役がいたからこそ傑作が仕上がった。

それにひきかえ晩年の黒沢さんの作品に精彩がなかった原因はいろいろあろうが、一つには競争相手と審判役に恵まれなかったせいもあったのではないか。」

というお話だった。

ふと、これはオーディオにも通じる話ではないかと思った。

良き競争相手と審判役に恵まれることで音が良くなるかもしれない!

この辺をかいつまんで述べてみよう。

まず、オーディオ愛好家がいろんな機器を買いそろえ、組み合わせて「好きな音」を目指し、それを万一手に入れたとしてもそれは万人が認める「いい音」だと保証されたわけではない。

「好きな音」と「いい音」はけっしてイコールではない。

「好き」とは感情の赴くままなので理屈は不要だが、「いい」となると感情を抜きにしてある程度の客観性が求められるからである。

もちろん両者が一致することが理想だが、実はこれがなかなか難しい(笑)。

自分では「いい音」だと思っていても、他人が聴くと「?」になったりして、せいぜい悲喜こもごもの事態に陥ってしまうのがオチだ。

そんなことはどうだっていい、別に他人に聴かせるためにオーディオをやっているわけではないし、自分の「好きな音」さえ出てくれればそれでいいんだと、開き直られる方も当然おられることだろう。

それはそれとして理解できるが、より音の向上を目指すのであれば唯我独尊は好ましくないし、コスパという合理性の観点からも少なからず疑問に思える。出来るだけ無駄遣いは避けたいものだし、それに「井の中の蛙」にもなりたくない。

実を言うと、他人の意見をいっさい受け付けない「自信満々の音」を聴かせてもらって、これまで「いい音」だと思った験しがあまりない
のも論拠の一つとなっている。「奥ゆかしさ」という美徳は出てくる音に如実に表れてくるが、実はそういう音が好みだ(笑)。

そういうわけで我が家ではできるだけ世間の知恵をあまねく吸収させてもらいながら最小の投資で「好きな音」を「いい音」に近づかせようと悪戦苦闘の毎日が続いているが、そこで課題として浮上するのが「審判役」の存在である。

当然のごとく審判役といっても神様ではないし、感性だってそれぞれ違うから全幅の信頼を寄せるのはとうてい無理というもの。

そこで、たとえば5人の審判役がいるとすれば目安を6割当たりにおいて3人が「いい音」と思ってくれれば「まずは合格」といったところだろうか。

このブログでは盛んに試聴会の模様を「ああでもない、こうでもない」と「くどい」ようにお届けしているが、なるべく「我が家の音」に客観性を持たせる意味が込められている。

とはいえ、目の前で音を貶されると少なからず面白くないのがホンネだが、これで少しでも音が良くなると思えば前向きに受け止めるしかないのだ(笑)。




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「サブウーファー」の追放

2018年07月28日 | オーディオ談義

長いことオーディオをやっていると、ときどき妙なことを考えることがある。

オーディオははたして「引き算の世界」なのか、それとも「足し算の世界」なのか

「いきなり何だ?」と、ご不審の向きもあることだろうから
まず「引き算」という考え方の骨子を述べてみよう。

はじめに前提として実際の演奏会場の特等席で聴く音を100点満点の「原音」と仮定しよう。

その原音に出来るだけ近づいた音で室内でいつでも聴けるようにするためマイクや録音機器によってデジタル録音するとする。完璧な収録は、まずあり得ないのでその録音の時点で「原音」からいくばくかの情報量が失われ減点がなされる。

次に音声信号をCDにプレスする時点でも同様に減点の対象となる。(CDの材質もガラスからポリカーボネイドまであって、音質もさまざまだが)ここまではいわば他動的な話。


次に、お好みの「CDトランスポート → DAコンバーター → プリアンプ → パワーアンプ → スピーカー」と自宅で音楽再生に必要なオーディオ機器が接続用ケーブルとともに加わっていくが、すべて電気回路を使用するのでその都度音声信号が次第に原音から遠ざかっていき減点が加算されていく。

したがって、最終的に「再生音が耳に届くまでに原音に対してどれだけ減点を少なく留めることが出来たか」という尺度を問題にするのが「引き算」的な発想。

いわば「シンプル イズ ベスト」で、オーディオ機器は必要悪として仕方なく使うという考え方が根底にある。いまだにコンサート至上主義が根強い人気を誇っているのもむべなるかな。

一方、「足し算」的な考え方というのはスタート時を0点として自分が目標とする音を100点と仮定すると、この目標に向かって上記のように再生に必要な機器を順次加えていくごとに点数が加算されていく。そして各機器の個性を理想的にブレンドしていきながら最終的に目標の音に近づいていく。

たとえどんな音であろうと自分さえ気に入っていれば「良し」として、原音にこだわることなく積極的に機器を活用していくのがいわば「足し算」的な考え方。

以上、まことに手前勝手な理屈を前提にして自分のケースに当てはめてみると、以前は「足し算」派だと思っていたが、むしろ「引き算」派かもしれないと思うようになった。その辺を具体例を挙げて述べてみよう。

まず、我が家のメインスピーカーの一つである「AXIOM80」(最初期版)について。

周知のとおり、この「じゃじゃ馬」的なスピーカーをうまく調教できるどうかの目安はひとえに「神経質な高音域と貧相な低音域をいかに克服するか」にかかっている。


ただし、低音域が豊かになれば高音域の問題は聴感上では自動的に解消するので結局「豊かな低音域をどう確保するか」に尽きる。

そこで、駆動するアンプの選択を中心に格好の実験材料としてこれまで長期間にわたっていろいろ試してきた。

たとえば「AXIOM80」をウェストミンスターの箱に容れてみたり、片チャンネル2個で鳴らしてみたり、M&オースティンの大出力アンプ「TV-A1」(KT88プッシュプル)で駆動してみたりしたが、未熟のせいで見当違いもあっていずれもAXIOM80本来の持ち味を発揮させるまでには至らなかった。

とうとう手に負えないまま、最後は仕方なく「サブウーファー」(150ヘルツあたりでハイカット)の力を借りてどうにか凌いできた。

もちろん、これはけっして好ましい対策ではなく、(サブウーファーの使用なんて)いわば邪道だが、現実問題として無いよりもあった方がいいので仕方なく使ってきた。

ところが、前回のブログで述べたように「AXIOM80」を容れるエンクロージャーを思い切って入れ替えてみたところ、アッと驚くほどの変わりようで低音域から高音域まで実にバランスのいい音が出てきてくれたのである。

     

この音なら、もう「サブウーファー」なんて必要ない。同時に木製ホーンも要らないと思ったほど(笑)。

このエンクロージャーは板厚が1.5センチ、響きに悪さをするネジはいっさい使用せずボンドだけで接着し、肝心のARU(ユニットの背圧調整器)は底板に30センチ四方の穴を開けて極めて目の細かい市販のステンレスの網を張り付けている。

まったくの自己流そのものだが「メーカー仕様なんて何するものぞ!」の気概は大いに評価してもらいたい(笑)。

ただし、あまり大きなことも言えず、このエンクロージャーは所詮は素人づくりなので剛性の点でちょっと弱い。せいぜい口径25センチクラスのユニットまでが限界だろう。

ちなみに、材料代はすべて合わせて1万円に満たない額だった。

オーディオに必要なものとして、このブログでも再々登場する「血(お金)」と「汗」(創意工夫)と
「涙」(経験)のうち何が大切かって、やっぱり「汗」と「涙」なんですよねえ。

それにつけても、やっぱりオーディオは引き算的な発想「シンプル イズ ベスト」が王道ではないかと思う今日この頃~(笑)。

 


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夏の風物詩「カボス」

2018年07月26日 | 独り言

いやあ、連日35度以上の猛暑で今や暑いを取り越して「熱い」。

これは全国的な現象だそうで、早くも熱中症による死者が65人(7月24日現在)にも上っているというからたいへん。

7月でこれだから、8月ともなると先が思いやられる。夏の風物詩「甲子園」で観客や選手がばたばたと倒れる事態にならなければいいが・・・。

さて夏の風物詩といえばもうひとつ、本県では特産品の「カボス」が出回る時期になる。9月が本格的な収穫時期だが、7月後半に入ると粒が少しばかり大きくなってどうにか食することができるようになる。
 

夕方、冷房が効いた運動ジムでひと汗流してきて帰宅するなりまず冷えたビールをぐいっと1杯、そのあとで焼酎にカボスの汁を垂らし込んで、氷で割ってちびりちびりとやりながら、モーツァルトを聴く。至福の時間である。

   

上質なオーディオとはいかに人間の耳(脳)をうまく騙してくれるかに掛かっているが、相呼応して人間の脳も騙されやすいようにアルコールでもって程良く下地を作ってあげるに限る。すると「壺中の天地」の境地となり高価なシステムなんぞはもう要らない気がする(笑)。

というわけで大切な役割を果たしてくれる焼酎の銘柄をこれまでいろいろ試してきたが、今年は芋焼酎の「あらわざ」(25度:本坊酒造)がお気に入り。

「磨き蒸留」という特許による製法とかで説明書きにこうある。

「蒸留もろみに対流をおこす独自技術により、芋特有のコク、旨味、香りなどをなめらかでかろやかな味わいへと仕上げました。」

たしかに、口当たりがいいのでいくらでも飲み過ぎるのが玉に瑕(笑)。         

最後に、11年ほど前にこのブログで「カボスは県の顔」と題して投稿したことがあるが、覚えている方は皆無と思うので再掲させてもらおう。
 

「猫の額ほどの我が家の庭にカボスの木を2本植えている。2本とも15年以上は経つもので、そのうち1本は種が無い種類のものである。

今年も、千切るのが遅れてしまい、熟して黄色になってしまったので12月に入って120個ほど一気にもぎ取った。半分はご近所や知人に配り、残りの半分は輪切りにして、絞って生酢として冷凍庫に保管している。

剪定もせず、肥料もやらないのに毎年実を付けてくれる本当に手間のかからない感心なカボスの木である。

カボスは大分県の特産品でまさに県を代表する顔となっており、イメージアップにも随分貢献している。日銀や大企業の支店長さんが任期を終えて大分を離任するときに「カボス大使」になっていただき今後とも大分県をよろしくということで送り出している。

弱小県ならではの工夫とイメージアップ戦略を展開しているが、収穫時期が8月~9月と限られているため、年間を通して出回らず全国展開にはなかなか苦労しているようだ。強力なライバルもいてそれは「スダチ」。

一県民としてカボスの宣伝に一役買いたいが、これといったセールスポイントがないのが残念である。高齢化社会となり、健康ブームなので、ガンによく効くとか新しい効能が発見されると起死回生の妙薬となりそうだが・・・・・・。

最後に「カボス」の語源として豆知識を一つ。

皮を刻んで 、蚊いぶしに用いたことから「蚊いぶし」がなまって「カブス」になり、カボスはその音転である説が一般的。




 


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「玉突き異動」 → 「一寸先は闇」 

2018年07月24日 | オーディオ談義

「玉突き異動」とは聞き慣れない言葉だが、組織で働いた経験のある人ならお馴染の言葉で、良かれあしかれ身につまされることが多いが、我が家のオーディオにおいても例外ではない。

「あんなに満足していたのに、また変えたのか!」とウンザリする向きもあろうが、たまたま起きた好奇心が「玉突き異動」に至るのだから(我が家のオーディオは)まったく「一寸先は闇」である(笑)。

経緯を記してみよう。

       

7月13日に続いて、17日にお見えになった
オーディオ仲間たち「2名」からも好評を博した「ワーフェデールの2ウェイ」だが、ツィーター「スーパー3」の素性の良さもさることながら、やはり自作のエンクロージャーが大きな役割を果たしているようにも思う。

何しろ板厚がたったの1.5センチンなのでユニットの背圧による振動の響き具合がドツボにはまったようでまさにグッド・リプロダクション。やはりイギリス系のSPユニットは板厚を薄くして箱鳴りをさせた方が向いていそうだ。

というわけで「AXIOM80」をこのエンクロージャーに収めたらもっと良くなるかもしれないなあ・・。たしか以前もトライしたことがあったような気もするが、あの頃とはアンプも含めて周辺機器が様変わりしているので試してみる価値はありそうだ。

思い立ったが吉日でさっそく行動に移った。なにしろ実験用の時間はたっぷりあるんだから~(笑)。

昨年(2017年)の2月、このエンクロージャーを作ったときに、こういうこともあろうかと入れ替え用のバッフルを2ペア分作っていたのであっという間にAXIOM80を取り付けた。

        

鬼目ナット付きなのでネジ(片チャン6個)の脱着による入れ替えは実に簡単、さっそく取り付けて試聴実験となったがまったくの予想だにしない「劇的な展開」
が待っていた!

この余白ではとうてい書き尽くせないほどのボリュームなので別途、稿を改めることにしよう。

その翌日のこと、今度は「AXIOM80」を取り除いたエンクロージャーにどのSPユニットを納めようかに関心が移った。つまりスピーカーの「玉突き異動」である。

候補は2つでJBLの「D123」とグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」でいずれも口径30センチのユニットである。とりあえず今回はJBLでいくことにした。

          

初期型タイプの「D123」(16Ω仕様:102db)である。やはりグレイタイプはブラックタイプに比べると品がいい。難なくバッフルにナット付きのネジで取り付けた。

それはさておき使用可能のネットワークが二つあってどちらを使用するか迷ってしまった。

一つはパイオニアの「クロス4000ヘルツ」用、もう一つはテクニクスの「クロス1200ヘルツ」用である。クロス1200ヘルツから使えるホーンツィーターとなると限られてくるのでテクニクスのホーン型ドライバー「EAS-25HH22」を引っ張り出してみた。

これで両方のネットワークを試してみた結果、「クロス1200ヘルツ」用のネットワークの方が歌手の口元や楽器が肥大化しない点で明らかに優れていた。

それにつけてもJBLのユニットをグッドマンの「ARU」(背圧調整器)入りの箱で聴くなんて、我が家だけかもしれないなあ(笑)。
                               

オーディオをやってて何が一番楽しいかというと、機器を入れ替えた時の最初の音出しにあると言っても過言ではないが、相性テストだとばかり真空管アンプ4台を動員してじっくりベストアンプを模索してみた。

するとSP側の能率が100db以上もあって非常に高いせいかいずれも甲乙つけ難しであまりアンプを選り好みしないのも大いに助かるが、強いて言えば「6A3シングル」がJBLの音とよくマッチしていた。

両者とも国籍はアメリカだがやっぱりお国柄を反映してかとても明るくてすっきり爽やかな音である。

結局、「玉突き異動」の結果、「一寸先は闇」からトンネルの出口に「明るい光」が待っていたことになる。これで丸1日ほど潰れたが、熱中のあまり猛暑をまったく感じなかったのはうれしい限り。

「心頭滅却すれば火もまた涼し!」かな?(笑)    


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オーディオ愛好家のご来訪~2018・7・13~

2018年07月20日 | オーディオ談義

音の良し悪しは別として、オーディオに対する熱意だけは誰にも負けないつもりだが、オーディオ仲間のKさんが相手となると、一考の余地がありそうだ。とにかく古典管の収集に関するたゆまぬ努力や、そのかけた年数などには頭が下がるほど。

そのKさんがこの13日(金)に我が家に試聴にお見えになった。前回は3月初旬だったので4か月ぶりのご来訪となったが、この間に我が家のアンプやスピーカーは激変したのでちょうどいい機会だった。

一緒に聴きながら「勉強させてもらいましょうかね」という感じ(笑)。

順に次のシステムを聴いていただいた。

1 「071シングル」+「AXIOM80」

2 「6A3シングル」+「ワーフェデールの2ウェイ」

3 「300Bシングル+171シングル」によるオールJBL(D130+175+味付け用の075)の2ウェイマルチシステム

今回は対話方式でポイントを整理しながら記録しておこう。

まず1から。

Kさん「071シングルの前段管バルボの「△△△」(バリウム昇華型フィラメント)にずっと興味がありましたが期待に違わない音でした。バリウム昇華型の球は音に艶があるというのか、とても品がいい音になりますね。」

自分「ハイ、この071アンプは出力がたかだか1ワット未満ですがバルボの△△△のμが高いのでAXIOM80を鳴らすのはこれで十分だと思います。AXIOM80のときはこのアンプの出番が一番多いですね。」

次に2について

Kさん「これは驚きました。解像力もいいし、レンジも申し分ないですね。前回のときに聴かせていただいたときはワーフェデールは左程とは思いませんでしたが、ツィーターが変わるだけでこんなに変わるものですか!やはりスーパー3の強力なマグネットのおかげでしょう。この音はAXIOM80よりも上を行っている気がします・・・。出力管6A3との組み合わせもとてもいいです。ただしこの球は1930年代前後の製造の刻印ものに限るようですよ。」

自分「そうなんです。実を言うとAXIOM80よりも気に入っています。アンプやユニット同士の相性もいいのでしょうが、それに加えてエンクロージャー(自作)の板厚が1.5センチなのでとても響き具合が繊細です。今のところ我が家ではNO.1でしょう。


次に3について

Kさん「これ1台あればオーケストラから小編成まで何でも聴けるという感じです。私の知人が弦もうまく鳴ってくれるということで、JBLの175をとても気に入っていましたがそのとおりですね。175や075をマルチでうまく鳴らそうと思ったらやはりアンプは71系に限るようですよ。」

自分「グッドマンのユニットから久しぶりに175に換えてみましたが、やはりそれなりの良さはありますね。通常、中高音域は175一発でいけるのでしょうが、我が家の場合は075で補強した方がいいようです。オークションで落札した175にどういうダイヤフラムが入っているのか未確認ですので、もしかすると純正ではないのかもしれません。JBLシステムはしばらくこの方式で行こうと思ってます。」

一段落したところで「ちょっと実験させてもらっていいですか。」「ハイ、もちろん構いませんよ。」ということでKさんご持参のモノラル・アンプの登場。テスト用として借り受けされたそうだ。

    

ちょっとピンボケで恐縮~。けっしてわざとではありませんからね(笑)。出力管はあのテレフンケンの「RE604」ですぞ!

とある専門家から伺った話だが「やれWE300BとかPX25とか言っているうちはまだまだですよ。ほんとうに音がいい球はテレフンケン(ドイツ)のRE604です。なにしろバリウム昇華型フィラメントの持ち主ですからね。ただし程度のいい球はほとんど残っていませんのでそこが大きなネックです。」

その「RE604」を聴かせてもらうのだからオーディオ冥利に尽きようというものだ。ただしモノラルなのでスピーカー1台による再生となる。

スピーカーはKさんのたってのご希望でワーフェデールの2ウェイを選択。モノラル再生なので、CD盤もモノラルの「サキソフォン コロッサス」(ソニーロリンズ:XRCD盤)を選んだ。

CDトラポは「ヴェルディ・ラ・スカラ」、DACは「エルガープラス」とdCSのコンビである。

さあ「1トラック」の「セント・トーマス」の冒頭のシンバルの一撃(マックス・ローチ)がどう鳴ってくれるのか興味津々だったがまったく見事な再生だった!

とても煌びやかで澄んだ音、まるで音響空間の中にキラキラと宝石を散りばめたようなという表現が適当かもしれない。

「いやあ、こんな見事なシンバルは聴いたことがありませんよ。RE604というのは聞きしに勝る球ですね。ツィーターのスーパー3もこれで本領発揮ですよ。」

「年内にはRE604のステレオアンプが完成の予定です。切り替えスイッチ付きでこれもバリウム昇華型フィラメントのPX4も聴けるようにしています。」と、Kさん。

ほう~、そうですか!完成の暁にはぜひ試聴させてください。

「聴かぬが花」かもしれないなあ、どうか浮気心が起きませんように~(笑)。



 


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オーディオに対する熱意とセンスの象徴は増幅系にあり!

2018年07月17日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

久しぶりに我が家のシステムに派手な動きがあった。いつもは古典管がどうしたこうしたという地味な話が中心だが、今回はスピーカー改革だ。

前回のブログで経緯を述べたように、ワーフェデールの「コーン型ツィーター」をJBLの「LE8T」の上に乗っけてみた。

          

楽屋裏を見せるのは「はしたない」し、「美のかけら」も感じられないのであまり気が進まないが、「百聞は一見に如かず」なので仕方がない。

   

結線の状況だがパイオニアのネットワーク「DN-8」を引っ張り出してきて「LE8T」を8000ヘルツでハイカット(-12db/oct)する。

次にワーフェデールの「コーン型ツィーター」をウェスタン製のオイル・コンデンサー「ブラック仕様」(2.4μF)を使って8000ヘルツあたりをローカット(-6db/oct)する。

これで「LE8T
+ワーフェデールのコーン型ツィーター」の2ウェイシステム(クロス:8000ヘルツ)の出来上がり~。かかった時間はものの10分程度と実に簡単(笑)。

もっと簡単にやろうとすればネットワークを使わずにLE8Tをフルレンジとして使い、その上にコーン型ツィーターをローカットして載せる方法もあるが、このやり方でこれまでうまくいった験しがない。

我が家ではこういう場合、フルレンジの高域部分はハイカットするのがポリシーである。

さあ、問題はどういう音で鳴ってくれるかである。狙いとすればJBLでありながらクラシックの弦がうまく鳴ってほしいというところかな。

組み合わせるアンプは初めに無難そのものの「PX25シングル」を選んだ。

流石にイギリス製だけあって、いつも艶やかな高音域に冴えを感じるが、これまで「LE8T」単独で鳴らしたときはJBL独特の高音域と反発し合い金属的でイヤ~な響きになってとても聴けたものではなかった。


はたして今回はと固唾をのんで耳を澄ましたところ、コーン型ツィーターの威力絶大で弦楽器が実に麗しくていい。たった8000ヘルツ以上を変えただけでクラシックがまともに聴けるとは嬉しい悲鳴。

これで、我が家の4系統のスピーカーがほぼ満足できる状況になって出そろった。

ここまでたどり着くのにおよそ50年近くかかったなあ。感無量、いや、決して大げさではなくて(笑)。

そいうわけで、一段落したので我が家のベストスピーカーとベストアンプの組み合わせを模索してみることにした。

   

上段左からPX25シングル、6A3シングル、下段左から071シングル、171Aプッシュプルで、これらはすべてインターステージトランス内蔵である。

ほかにもウェストミンスター用として高音域用に「171(トリタン・フィラメント)シングル」低音域用に「300Bシングル」(モノ×2台)があるが、いずれのアンプとも専門家のお力添えもあって改造に改造を重ねつつ良質の古典管を選抜してきたので、とても一朝一夕で簡単に出来上がる代物ではない。

まあ、この際だから日ごろに似ず(?)ブログ作成者の特権として「あからさま」に自慢させてもらうことにしよう(笑)。

周知のとおり、オーディオシステムのおおざっぱな流れは「変換系(CDやレコード機器) → 増幅系(アンプ) → 変換系(スピーカー)」となる。

この中で変換系のポイントといえば、(素人が簡単に改造できないという意味で)どういう機器を選ぶかという「選択眼」に尽きるが、増幅系のポイントとなると「選択眼」に加えて、さらに「血(お金)と汗(創意工夫)と涙(経験)」が必要ではないかと勝手に思っている。

つまり、オーディオに対する熱意とセンスの象徴は増幅系にあり!

ときどき「よそ様のブログ」を拝見することがあるが、「豪勢なスピーカーに比べて、肝心のアンプともなるとガッカリだなあ!」と思うことがたびたびあると言ったら「増長もいい加減にしろ!」と、お叱りを受けるかもねえ(笑)。

それはともかく、この際とばかり3系統のスピーカーと4台の真空管アンプとの相性テストをじっくりやってみることにした。





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魅惑のツィーター「スーパー3」の後日談

2018年07月14日 | オーディオ談義

ワーフェデールの「スーパー3」(最初期版)が我が家にやってきてからおよそ1か月半余り。

    

この巨大なマグネットに度肝を抜かれて、まるで夢遊病者のように(笑)オークションで落札したが、その後の経過を記してみよう。

そのまえに、「スーパー3」が出品されたときの解説を抜粋して「おさらい」しておくと、

「Wharfedale社の、3インチコーン・ツイーター、Super 3。2本での出品です。

Super 3は、Wharfedale社を代表するツイーターで、高級システムW70をはじめとして、数多くのシステムに使われておりました。また、Leak社のスピーカーシステムにも使われるなど、タイプは全く異なりますが、Peerless社のMT25と並んで、この時代のヨーロッパを代表するツイーターになっておりました。 

出品のSuper 3は、中でもとりわけ貴重な、初期型のアルニコ Gold マグネットを搭載したユニットで、Wharfedale社の最高級機SFB/3などに採用されていました。画像からもわかりますように、巨大なアルニコ・マグネットで、Red アルニコ時代のSuper 5のマグネットよりはるかに大きなものが使われています。(Wharfedale社のマグネットは、アルニコ Gold タイプ→アルニコ Red タイプ→フェライトタイプと変わっていきますが、Super 3についてはアルニコ Red タイプは存在しなかったようです。)
 
音質的には、重量級のマグネットの効果でしょうか、コーン型としては、反応が早く、切れのある音で、ホーン型に負けない音の強さがあります。フェライトタイプのSuper 3で時に感じられる「キツイ」という感じも、このアルニコタイプにはありませんので、ゆったりと、まさに優雅に音楽に浸ることができます。

また、上品で、透明度の高い音は、ジャーマン・ビンテージの高域に通ずるものがありますので、イギリス系のビンテージはもちろん、ジャーマン・ビンテージとの組み合わせも、よい結果が得られます。 
およそのサイズは、ラウンド径92.5mm。取り付け寸法が、ネジ穴対角で、およそ100mmになっています。
 
イングランド・トーンを愛する方、ジャーマン・ビンテージのファンの方、38μF程度のコンデンサーによるローカットでフルレンジの高域補正に、また、本格的なネットワークを使用しての2way構成にいかがでしょうか。」

以上のとおり(出品者の)機器への愛情が切に感じられる解説だが、当初は喜び勇んでクロス3000ヘルツにしてJBL「D130」の上に載せたのだが、聴き込むにつれD130とのハモリ具合がどうもイマイチなので外してしまった。

一番いいのはワーフェデールのユニット(口径30センチ)との純正コンビが理想だが、これには既存のツィーター(赤帯マグネット)があって、これが絶好調なので代えたくなかったが、変化も必要なのでようやく重い神輿をあげて一昨日(12日)入れ替えてみた。

    

ハラハラ・ドキドキ・ワクワクの緊張の一瞬だが耳を澄まして聴いてみると、これがまた素晴らしい!

クロスオーバーが4000ヘルツ(ー12db/oct)なので倍音成分を主体に担っているわけだが、これだけでこれほど音全体が変わるものだろうかというほどの変わりよう。

強力マグネットのおかげだろうか、音の立ち上がりがメチャ早く音場が一段とすっきり爽やかになり、見通しが良くて実に聴き心地がいい。とりわけスピーカーの後方へと奥深く残響がス~ッと消え去っていく音の余韻がたまらない。

これまでオーディオの成否は低音域の分解能の出来がカギを握っていると思ってきたが改めて倍音成分の表現力の大切さを思い知らされた。

したがって両者の重要性の比率はこれまで「7:3」ぐらいと決めつけてきたがこれからは「4:6」に変更するとしよう(笑)。


まさにコーン型としては、反応が早く、切れのある音で、ホーン型に負けない音の強さがあります。」
とは、解説のとおりだった。

我が家の数あるオーデイオ道具の中でワーフェデールのコーン型ツィーターは、評判とか仲間の口コミとはいっさい関係なく、自分の目と耳だけで発掘したという意味で最大級の収穫となった。

そして、はみ出した片方のツィーター(赤帯マグネット)は遊ばせておくのももったいないのでJBL「LE8T」の上に載せることにした。かねて「LE8T」の高音域には不満があったので、まったく「渡りに船」(笑)。

          

そのテスト結果は次回に~。







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オーディオ愛好家のご来訪~2018.6.30~

2018年07月12日 | オーディオ談義

このところブログのネタが目白押しで、搭載のタイミングが大幅にずれ込んでしまったが、いつぞやのブログで触れたように福岡から高校時代の同級生3名が6月30日(土)に我が家に試聴にやって来てくれた。

大学では「建築科」「機械科」「電気科」をそれぞれ専攻しており全員が大のクラシックファンである。自分の知る限り、理系人間に本格的なクラシックファンが多い。

丁度12時ごろに我が家に到着し、その後3時間半あまり次から次に3系統のシステムを聴いてもらった。

順番にいくと、

1 「AXIOM80」+「WE300Bシングルアンプ」

2 「ワーフェデール2ウェイ」+「PX25シングルアンプ」

3 「JBL(イン・ウェストミンスター)+グッドマンのユニット」の2ウェイマルチシステム

この中で一番長時間活躍したのは3で、「やっぱり音のゆとりが違うよねえ」が押しなべての感想だった。

使った音楽ソースはほとんど仲間が持参したCD
だったが、やたらにオーケストラなどの大編成が多かったのも一因だったろう。その中で取り分け「凄い録音だ!」と一同唸ったのがリンのCD(DISK2)だった。

   

楽器がまるで眼前で演奏されるような生々しい録音に一同唸った。

法律違反なのでコピーさせてほしいとはとうとう言い出せなかったが・・(?)(笑)。

それはともかく、この種の試聴会を開催するたびに事後になって「ああ、しまった」と思うことが必ず出てくる。

今回は「後悔先に立たず」となったポイントを2点ほど挙げてみよう。

まず第1点目はAXIOM80の試聴のときに使った「WE300Bシングル」である。わざわざ遠路はるばるお客さんが来るのだからできるだけ「ベストの音」を聴いてもらいたいというのが心情である。

ただし「いい音」は、この世にごまんとあるので目指すのは「感動できる音」である。

そういうわけで、日ごろは出力管に(WE300Bの代わりに)「6A3」を挿していたのだが、前日になって急に迷いが生じてしまった。

名管とされる「WE300B」(1951年製)の方がやっぱりいいかもしれないなあ・・・。そこでつい魔がさして挿し換えたところ、これが逆効果だった。

(「WE300B」は)なかなか繊細な音を出してはくれたものの、元々がとても神経質な「AXIOM80」だからどうも「6A3」のグラマラスな音の方が似合っていたようだ。

仲間たちは遠慮して「黙して語らず」だったが、雰囲気でおおよそ分かった(笑)。

まさに「先入観は罪、固定観念は悪なり」、いかに名管といえども我が家での環境下では「WE300Bは必要なし!」であることがはっきりした(笑)。

また、返す返すも惜しかったのはこの日に向けてバルボの「△△△」(前段管)が修繕から戻ってくるのが一歩遅かったこと。残念無念!

次に、2点目は使用したdCS(イギリス)のCDトランスポートとDAコンバーターとの接続方法がどうも拙かった。

はじめのうちはdCSのコンビで聴いていたのだが、途中からCDトラポを「CEC」に換えたところ見事に音の重心が下がった。「こちらの方が聴きやすいよねえ」という意見が大勢を占めた。

どうも腑に落ちない。何といっても天下のdCSなんだから~。翌日、dCSコンビの接続を「1394コード」から「BNCコード」(PADのケーブル)に取り換えたところ、見事に「CEC」のときのような音になった。

以前に「当初から付属の1394コードを高級なコードに換えるだけで音質が一変しますよ」とは専門家から聞いていたのだが何せ軽く10万円以上もするお値段なのでためらっていた(笑)。

日頃から、限りある予算枠の中で優先順位という切っ先をいつも喉元に突き付けられているが、希少な古典管と、たかがコード類とのどちらを優先するかとなると、もうわかりきってますよねえ(笑)。

いずれにしても「下手な1394コードを使うよりも上質のBNCコードの方がよっぽどいい。」

これも、もはや「後の祭り」だったが次回の試聴会に生かすとしよう。

まあ、逆の見方をすれば試聴会のたびに新たな発見があるわけだから結果的に音質向上に大いに貢献してくれていることになる。仲間たちに改めて感謝。


結局、今回の試聴会も「感動できる音」とは程遠かったが試聴中も例によって「談論風発」、ヴァイオリンとピアノの演奏のどちらが難しいかが話題になって「そりゃあ、ヴァイオリンの方が難しいんじゃない、なぜってピアノは鍵盤を押す部分が決まっているが、ヴァイオリンの場合、弦を指で押さえる部分はカンに頼るしかないからねえ。」という意見が出されて、一同成る程(笑)。

関連して次のような参考文献を思い出した。

女流ヴァイオリニスト高嶋ちさ子(俳優:高島忠夫の姪)さんの著書「ヴァイオリニストの音楽案内」(2005.10.31、PHP新書)を引用してみよう。

「ベートーヴェンのV協奏曲のオープニングのティンパニーが音を四つ叩き、それがちょっとでも狂っていると、その次の木管が出てきたときに 「ん?音程おかしくない?」とみんな頭をかしげ、その後3分30秒間ソリストはただひたすら音程が落ち着くのを待つ。

「って、こんなに待たせんなよ!」というのがソリストの言い分。待ってる間に指は冷え切って、そのあとにこのオクターブをひょこひょこ上がっていく。これが0.1ミリでも押さえるところが違った日には「死にたい・・・」となる。なんといっても
鬼門はこの出だし。」

何せ「0.1ミリの攻防」だから、そりゃあヴァイオリンの難しさといったらないですよねえ(笑)。

 


 


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おいおい、いまさらCDトラポかよ

2018年07月10日 | オーディオ談義

以前、「桐島、部活やめるってよ」(2012年)という映画があった。青春群像をテーマにした映画だったが、ユニークなタイトルが妙に印象に残っていて、「ひかりTV」で観た内容もなかなか共感できた。

第36回日本アカデミー賞で「最優秀作品賞」「最優秀監督賞」「最優秀編集賞」の3部門を独占したそうで納得。

今回はそのタイトルにあやかって、「おいおい、いまさらCDトラポかよ」(笑)。

   

とうとうCECのCDトランスポート「TL3 3.0」(以下、「TL3」)を購入してしまった。

何ともはや「ハイレゾ時代」に逆行する所業だが、古典管や古いスピーカーを愛好する前時代的な人間なので「パソコン」や「USBメモリ」などで音楽鑑賞をする気にさらさらならないので仕方がない(笑)。

しかも「お前はすでにdCSのCDトラポ「ラ・スカラ」を持っているじゃないか」と詰め寄られそうだが、このトラポは音はいいのだがトレイの開閉や読み込みにどうしても不安が残ってしまうのでこの際「精神安定剤」も兼ねて同時並行的に使うことにしたというわけ。

いつも利用するオークションではなくて「れっきとした新品」なので念のため(笑)。


このTL3の特徴は静粛さと安定性が売り物のダブルベルト・ドライブ方式で、やたらに故障の多さが目立つトレイの開閉が「手動方式」というところが大いに気に入った。

もちろん肝心の音質にも定評があるようだ。

関西の老舗のオーディオショップの店主がこのトラポの大ファンで、エソテリックのトラポと実際に比較試聴しながら「ほら、CECの方が断然いいでしょう。」と、言ってたよとオーディオ仲間から実際に聞いている。

我が家にはすでに2週間ほど前に到着して、以降ずっと「ラ・スカラ」と比較試聴しているがお値段のわりにはなかなかの善戦中。

この「TL3」はアップサンプリングとして「44.1」以外にも「88.2」「176.4」への切り替えが可能だが、接続しているDAC「エルガープラス」(dCS)は「176.4」は受け付けず「88.2」までだが、さすがに「44.1」とは月とスッポンのように音質に差がある。

さらに期待できるのが「スーパーリンク」方式で「マスタークロック」「ビットクロック」「LRクロック」「データ」を各1本、計4本のBNCコードで接続するというもので、これにはCECの専用DACが必要になる。そのうちぜひ何とかしたい。

その財源ともなると、ビンボー人なので不要になった機器をオークションに出品して補うしかないのがつらい(笑)。

今のところトレードの槍玉に挙がっているのは3つあって次のとおり。

まず、スペアとして保管しているがもはや使う見込みの立たない2ペアの「AXIOM80」、次に、出力管「6A3」(1935年製)の出現ですっかり面目を失った「WE300B」、そして「dCS」との競争に敗れて後塵を拝したままの「ワディアのDAC」といったところ。

期待通りの落札価格なら、きっと「お釣りがくるはず」だけどなあ~(笑)。

 

 


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日経新聞の「私の履歴書」

2018年07月07日 | 独り言

最新の「週刊ポスト」(7月13日号)の表紙の見出しが仰々しく読売新聞の広告欄に掲載されていた。

「日本の新聞信頼度ランキング」(英オックスフォード大発表)とあって、堂々の1位にランクされていたのが「日経新聞」。さすがだなあ!しかも、あの朝日新聞ともなると最下位だった(笑)。

ややお固いとされている、その日経新聞の紙面の中でかすかに憩いの場となっているのが「私の履歴書」だ。

いつも各界の「功成り名を遂げた」有名人の「生い立ちの記」が1か月にわたって連載されている。

興味のない人物が登場するときはいっさい読まないが、6月は作家の「阿刀田 高」さんだったので毎日興味深く読ませてもらった。

   

「阿刀田」さんといえば、ミステリーをはじめ学術的な分野まで幅広く手掛けられており、軽妙洒脱な作風が円満な人柄をしのばせるものがあり、文壇のいろんな役職を務められているのもよくわかる。

以前のブログでも「阿刀田」さんの本を題材にしたことがある。それは「順番への思惑」(2017.2.20)というタイトルだった。

要は、物事にはすべて順番というものがつきものだが、「2番目に質のいいものがそろっている、それはなぜか」というユニークなお話である。

このたびの6月30日の最終回に搭載された「私の履歴書」のタイトルは「花は散るために咲く」だった。結びのくだりがいかにも阿刀田さん(当年80歳)らしいので紹介しておこう。

「昨今は死を意識することも多く”花は散るために咲く”と勝手に箴言(しんげん)を創って座右に置いている。花は散るからこそ美しい。人も、私たちの営みはすべて死を意識することから中身を濃くしてきた。少なくとも文学はそうだ。AIは死ぬことができない。~ざまあみろ~

ここにおいて人はAIより優れている。残された余生はこのあたりを考えよう。」

そういえば「私の履歴書」の最終回は作者の「死生観」で結ばれることが多い。

特に印象に残っているのは農業経済学の泰斗にして、政府の税制調査会長を務められた「東畑精一」氏の「カラスの一群は人生の縮図」で、これを紹介させてもらって終わりにしよう。

「昔から老馬知夜道と言われた。老馬は御者の案内がなくとも、夜道を知っており、行くべきところに無事に着くのである。その老練さを述べた言葉であろう。駿馬と老馬とどこが異なるかと聞かれても困るが、ただ重要の一点の相違がある。駿馬は夜道をかけることができないのだ。

現代、ことに政治や国際関係には昼間もあるが夜もある。それにもかかわらずチャキチャキの駿馬ばかりいて、老馬が少ないように思う。~略~。東洋の心は駿馬のみでは征せられない。

次に思い出すのはカラスのこと。

子供仲間が夕刻、遊びに疲れて屋敷のそばの石垣に腰をかけていると、カラスの一群が飛ぶのに飽いてねぐらに帰ってゆく。
それをながめながら、「後のカラス、先になれ、先のカラス、後になれ」と呼んでいると、ときどきその通りになり、われわれは快哉を叫んだものである。またいつでもはぐれカラスが一、二羽は後から飛んでいった。

この履歴書を書きつつ(※昭和54年)、過去を顧みると、どうもこのカラスの一群はわれわれの人生の一つの縮図のようにも思われる。小学校から大学まで、幾多の同級生、同窓生があるし、また社会に出ても共に仕事をした多数の人々がある。長い間のそれらの人々を思うと、わたしはカラスの一群の動きを思わざるを得ない。

幼少時代に頑健なもの必ずしも長命せず、かえって弱々しい男が今も健在である。俊秀のもの、卒業後数十年の後には凡骨と化しているのもある。鈍重なカラスが長年コツコツと仕事に励んでいて、見事な成果を挙げて真っ先のカラスとなっているのもある。

そうかといって、はぐれカラスがいつまでもそうではなくて、はぐれ仲間で立派なグループを作り、結構楽しんでいるのを見るのは愉快である。

どうしてこうなのか。

歳月は人間の生涯に対して黙々たる進行のあいだに猛烈な浄化や風化の作用や選択作用をなしているからだ。こう思うと、ある瞬間、ある年代だけを捕えて、むやみに他人や事態を評価したり判定したりすることの皮相なのに気がつく。

他人の先頭に立っていると思っている間に落伍者となっておるとか、その逆とかは日常しばしば見られることである。急いではいけない。静かにじっと見つめる要がある。ことに怱々忙々何十年を経てきた自分自らを凝視するのが大切である。

人生はただ一度限り、繰り返すことが出来ない。美人ならぬ老馬を天の一角に描きながら、また人生のカラスの大群をじっと見つめながら、腰痛をかかえて座しているのが昨今の私である。」


 


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オークション情報~AXIOM80・ダブルユニット~

2018年07月05日 | オークション情報

今回オークションに出品されていた物件ばかりは実に悩ましかった。

         

言わずと知れた「AXIOM80」が2個づつ入ったスピーカーシステムである。

めったに出ない代物で、しかも内蔵されているユニットが復刻版ではなく
オリジナルものだった。お値段の方もスタート時点で1000円だし、途中経過においてもそれほど伸びていない。

腐れ縁(?)の「ウェストミンスター」を持ってなければ入札するんだがなあと切歯扼腕しながら我が家のオーディオルームでは置き場所が無いのでとうとう諦めた。

そして落札結果はといえば「603,000円」(6月29日深夜)なり~。

想像以上の高値に所詮は「高嶺の花」だったのかとようやく止めが刺された感じ(笑)。

それにしても、「AXIOM80」の潜在的なファンって多いんですね~。

そして追い打ちをかけるように今度はペアのユニットが出品されており、こちらは落札価格が「274,000円」(6月30日)だった。ひところよりもさらに人気が上乗せされてきた印象を受けた。

          

この「じゃじゃ馬ユニット」はクラシックファン、それもボーカルと弦楽器を愛好される方なら必須だが、おそらくうまく鳴らすのにたいへんな手間と苦労を要することでしょう。これから購入される方は数年単位で「ひとかたならぬ覚悟」が要りますぞ(笑)。

また奇しくも諦めの遠因となったウェストミンスターがオークションに出品されており、6月27日に落札されていた。

          

その落札価格は「634,904円」なり。

このSPはまともに買うと軽く200万円以上はすると思うが、意外と人気が無い。「AXIOM80ダブル」とはスピーカーの格からいって相当開きがあると思うのだが、時価としてはほぼ同額なんですよねえ


おしなべて近年は大型スピーカーのお値段が伸び悩んでいるようだ。どうやら都会のマンション事情に一因があるようで、高層マンションの一室に大型スピーカーを運び入れるシーンがどうしても想像できないし、隣室に遠慮してあまり大きな音を出せないこともあるのだろう。

これから中小型スピーカーを比較的小さめの音で楽しむ傾向にますます拍車がかかって、オーディオがさらに「壺中の天地」化していくことだろうが、何だか「小ぶりの夢」一辺倒になるような気もして淋しい思いも禁じ得ない。

そもそもオーディオ人口が減っていく一方だから仕方がないが起死回生の妙手ってないものだろうか。

いっそのこと富裕層が多くなった中国あたりでオーディオ熱が爆発すればオーディオ機器の活況は一変するのだろうが、一党独裁の共産主義のもと厳重な言論統制が敷かれた中で「音楽を楽しむ=魂の開放、自由の謳歌」ともなるとちょっと無理だろうなあ(笑)。

 
 

 


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真空管バルボ「△△△」の後日談

2018年07月03日 | オーディオ談義

     

つい先日のブログ「半端ない欲望」(6月26日付)に搭載したように、奇跡的に手に入れたバルボ(ドイツ)の真空管「△△△」(画像左側2本)。

型番を「△△△」と匿名にした理由もその時に述べたが、何と挿しこんでから二日もしないうちにあえなくダウン。片方はノイズがするわ、片方はベースとガラスの部分が外れて音が出ないわで、あ~あ(笑)。

これだからちゃんとした測定結果の付いてない古典管は困る、こんなことなら買わなきゃよかったと思ったが、いつものように「北国の真空管博士」に泣きつくと、「ああいいですよ、診てあげましょう。」の一言でさっそく送付してまずは結果待ち。

無事到着の一報から翌日のこと、博士からさっそく次のようなメールが届いた。

「バルボの△△△修復完了しました。明日には発送の予定です。チューブテスタにてチェックしましたが極上品でした。 

もしかしたらノイズの原因はベースの接触不良だったのかもしれません。今回引き出し線をクリーニングして再半田しました。 

なお、△△△をアンプに装着した際のフィラメント電圧をご確認下さい。4V以上ですと寿命に著しく影響します。  

△△△に使われているバリウム昇華型フィラメントの性能はWE300Bのフィラメントを凌駕します。 

バリウム昇華型フィラメントの銘出力管RE604のフィラメントと比べてみましょう。 

WE300Bのフィラメントパワー5V×1.2A=6Wでエミッション300mA(1Wあたりのエミッション50mA) 

RE604のフィラメントパワー4V×0.65A=2.6Wでエミッション200mA(1Wあたりのエミッション77mA)  

WE300Bのフィラメントは酸化皮膜フィラメントの最高峰と言って良いと思います。 

そのフィラメントをバリウム昇華型フィラメントは軽々と上回っています。  

バリウム昇華型フィラメントの球は現存数が少ないためその価値を知る人は殆ど居ないのが現実です。今回△△△という球を通してバリウム昇華型フィラメントの真価を知っていただけたとすれば嬉しいことです。」

ほんとうに感謝感激で博士にお礼を述べるとともにさらに詳しく情報を収集したところ「バリウム昇華型フィラメント」は作るのにたいへんな手間と時間がかかるので自然と廃れていったとのこと。

悲しいかな真空管の歴史はコストダウンの歴史ともいえるようで、苦労に苦労を重ねて開発されたものの、大衆向けに供給する必要が生じてどうしても手抜きによる大量生産への方向に進んでしまう。

当然のごとく肝心の音質はなおざりにされ置き去られていくのが宿命である。マニアが最初期の真空管を血眼で探し求めるのもそういう理由からである。

なお、ドイツ系の真空管はツクリもさることながら全般的に材料の精錬度が抜きんでていて、それが音質にも反映されており他国製に比べると性能が一頭地を抜いているそうだ。

いずれにしても「バリウム昇華型フィラメント」といっても馴染が無くてピンとこない方が大半だろうが、これはむしろ波風を立てないという意味で「聴かぬが花」かもしれない。

昨日(2日)無事到着した「△△△」を改めて挿しこんで試聴したところ、すっかりノイズが消え去っており完璧な修理だった。しかも増幅率「μ(ミュー)=24」の威力とあいまって、音のリアル感が抜群!

何という魅力的な音だろう!

AXIOM80の潜在能力全開といったところ。いや、ホントだってば~(笑)。

「たかが前段管、されど前段管」、
今回は「バリウム昇華型フィラメント」の魅力の一端に触れた程度だが、その凄さをいったん味わうと「病膏肓(やまいこうこう)に入る」こと請け合い。

今後はぜひドイツ系の出力管を使ったアンプを手に入れたいと思わせるものがありますなあ(笑)。

 


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