「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「アラ探し」の結果~

2010年08月31日 | オーディオ談義

現在のオーディオ装置の音にそれほど不満を持っているわけでもないが、そうは言いつつも、一定期間が経つとつい「アラ探し」をしてしまうのが悪い癖。

これはおよそ40年間に亘って自然と身についた習慣のようなものだが、癖というよりもアタマがマンネリを嫌う面もあって、どうやら永久に治りそうもない。

「早くオーディオを卒業して音楽鑑賞に専念せねば」と分かってはいるもののまるで空念仏みたいになっている。

「音楽とオーディオ」の関係といえば結局「目的と手段」のようなもので、一般的にこの両者の”混同”は厳に慎むべきものだが、この場合に限っては「手段」の追求のほうにも
”魅力がありすぎる”のが難点!

さて、現在、我が家の装置で少しばかり気になっているのが音の”抜け”というか”爽やかさ”。

ちょっと言葉では表現しがたいが、あえて言えばピアニシモが静かに空間の中に次第に消えていく余韻の美しさとでも言おうか。

その辺をしっかり味わうことはオーディオの醍醐味のひとつといってもいいくらいだが、今でも十分だとは思うものの、もっと工夫して良くなる方法はないものかと考えるわけ。

つくづく「欲張りな人種」なのだろう。

具体的にこの辺を少しでも解決に導こうと思って、とりあえず中域用のSPユニット「アキシオム80」と高域用の「JBL075](「ツィーター」)の「つながり」に目を向けてみた。

以下、ちょっと専門的な話になるが悪しからず・・・。

現在、低域は専用ユニットを使い、中域~高域にかけてはSPユニット「アキシオム80」(アンプ:PX25シングル)、最高域を「JBL075」〔アンプ:2A3シングル)でカバーしている。


「アキシオム80」は本来フルレンジ・ユニットなのでこれだけで300ヘルツ〔周波数)~最高域を十分カバーできるのだが、ちょっとアキシオムの最高域が刺激的なので、高域部分を「羽毛」を使って音量をカットしたうえで、ツィーター専用の「075」を使用している。

今のところ、この「075」をコンデンサー(「スプラグ」のビタミンQ:0.2μF)で計算上「10万ヘルツ」でローカットしている。

通常、人間の耳は2万ヘルツ以上は聞こえないとされているので理論的にはとても考えられない周波数の「つなぎ方」だが、こういう場合はコンデンサーがアッテネーター〔減衰器)の役割をしている。

今回はこのコンデンサーをそっくり入れ替え実験してみようというわけ。

こういうときにオークションは便利がいい。覗いてみると探している数値のものがピタリとあった。

使用するコンデンサーの銘柄によっても音質がクルクル変わるが自分の場合は
「スプラグ」がお気に入り。その「スプラグ」にもいろんな種類があるが定評があるのは「ビタミンQ」とか「ブラックビューティ」など。

今回は「ビタミンQ」(0.39μF)と「ブラックビューティ」(1.0μF)をそれぞれペア(左右)で購入してみた。

               
         ブラックビューティ      ビタミンQ

接続は「075」のSPケーブルのプラス線に(コンデンサーを)挿入するだけなので実に簡単。とはいえ、ケーブルとコンデンサーの接続部の「ハンダ付け」は必須。

まず「ブラックビューティ」を先に試してみた。理論上は「2万ヘルツ」でローカットしている計算になって、一番自然なつながりの数値のはずだが実際に聴いてみるとヴァイオリンの音色がやや”きつく”なる。

ジャズの場合はシンバルが刺激的に鳴って相性が良さそうだが、クラシックの場合、長時間の試聴になるとどうも〔耳が)疲れてきそう。ジャズとクラシックのどちらを優先するかとなると当然後者。

次に、「ビタミンQ」を入れ替えて挿入。これだと計算上は「5万ヘルツ」のローカットになるが、出しゃばらず、引っ込みすぎず、丁度いい頃合になった。

これはこれで良しだが、実を言うと大いに期待していたのは「ブラックビューティ」(1.0μF)のほうだったので意外な結果と言わざるを得ない。

やはり最高域の処理は単純にはいかず改めて難しさを痛感した。結果的にはむしろツィーターを外して、アキシオムの最高域をうまく処理するほうがベターかもしれないなどと思った。

つまり「足し算」よりも「引き算」のほうが良いのかも。

とにかくオーディオは「理論と現象」が一致するのがベストだし目論見どおりいったときの快感は極まりないが、(自分の場合は)むしろうまくいかないケースが多いのが残念!


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読書コーナー~「世界の首脳・ジョークとユーモア集」

2010年08月28日 | 読書コーナー

欧米ではユーモアが紳士の大切な品質証明となっており、危機的状況になったときに機知を発揮したり、精神の余裕、フレキシビリティを持つことが深い意味を持っている。

そうした人間的なキャパシティの面からすると日本人は国際的にもうひとつといった感がある。

とはいえ、今度の民主党代表戦に向けて暗躍している顔ぶれを見ると「ブラック・ユーモア」の極致見たいな気がする。

「世界の首脳・ジョークとユーモア集」(2008.11、中公新書)  

              

著者の「おおば ともみつ」氏は元大蔵省国際金融局長、財務官として数多くの国際舞台に立たれた方でその辺の豊富な経験を生かした著作。そのうち、いくつか紹介。


☆ 「ご安心ください」

2004年初め、ワシントンで作られたのが次のジョーク。

米、仏、日の三人の首脳が、地中海の小島で余人を交えずに会議を開いていた。そのとき、米国土安全保障長官が「テロ」の危険度を最高レベルの「赤」にした。三人の首脳はテロリストに襲われることを恐れ、補佐官に助けを求めることにした。

米大統領は首席補佐官に電話した。補佐官は冷静に答えた。「大統領、ご安心ください。デルタ・フォースと海兵隊のヘリコプターを送りました。まもなく着くでしょう。ですから心配しないでください」。

仏大統領もパリの補佐官に電話した。補佐官が報告した。「大統領、ご安心ください。ワシントンで国土安全保障長官が「赤」を元に戻すよう、抗議の大デモ隊を組織しました。ですから心配しないでください」。

日本の首相も補佐官に電話した。補佐官が答えた。
「総理、ご安心ください。既に貴方の後任を用意しました。ですから心配しないでください」。

※それぞれのお国柄を反映していて面白いが一番的確なのは日本に関するジョークだと思う。来月〔9月)にまた替わってしまうと国際的な笑い物になってしまいそう。

☆ 「言い訳は日本人の美徳?」

「欧米人はジョークでスピーチを始める。日本人は言い訳でスピーチを始める」と言われる。

英国のチャールズ皇太子が「世界で一番古い職業は・・・」といって一呼吸おき、聴衆が皇太子の口から「売春」という言葉が出るのかと息をのんだときに、「わが王室もその一つですが」と続けた話はそれをよく表している。

日本の皇室では、さすがにこのようなスピーチはお目にかかれないだろう。

☆ 宮澤家の会話

宮澤喜一首相(故人)の令嬢は米国の外交官と結婚している。英語に堪能な宮澤家の人々の間で次のようなユーモアが創られたという。

双子の兄弟が生まれたとき、兄の名前をピーターにした。弟の名前をどうしたらいいか。
「リピーター」
にすればいい。

☆ 容易なる決断

自分の息子がどういう職業に向いているか知りたい男がいた。ある日、聖書と一ドル紙幣とリンゴ1個を置いた部屋に息子を閉じ込めた。帰ってきたときに、息子が聖書を読んでいれば聖職者にしよう、リンゴを食べていれば農夫にしよう、一ドル紙幣をもてあそんでいれば銀行家にしようと決めていた。

帰ってみると、息子は聖書を尻の下に敷き、一ドル紙幣をポケットに入れ、リンゴはほとんど食べ尽くしていた。

そこで親父は息子を「政治家」にすることにした。

 


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独り言~「夏の風物詩」~

2010年08月17日 | 独り言

お盆休みで娘が帰省したので「おばあちゃんも一緒に」というわけで、入院中の母(93歳)の外泊許可(3泊4日)をもらい久しぶりに自宅に連れて帰って一家団欒の食事のときのことだった。

丁度、テレビで「離婚した大阪の風俗嬢が幼い2児を置き去りにして餓死させた事件」を報じていた。

「どうせ遺伝子が悪いんだから、こんな子供は大きくなっても悪いことをするに決まってる。早く死んでくれたほうが国家のためにいいよ」と放言してみた。

近年、夢とも現実ともつかない、あらぬことを口走るようになった母なのであえて挑発してみたわけだが”ビックリしたような顔をしてマジマジとこちらを見つめてきた”。フー、これでひとまず安心!

さて、「夏の風物詩」といえば、「炎天下での甲子園」。

若人のひたむきなプレーにはいつも心を打たれるが、16日現在でベスト16が出揃い、いよいよ佳境に入る。

我が郷土のチームもエースが148kmの剛球投手とあって、大いに期待したがあえなく1回戦で敗退。

試合後の監督のコメントでエースが4月に肘を痛め、投げ込み不足でまだ復調途上だったそうで「将来がある選手なので無理はさせられない・・」と言ってたので納得。

「チームの勝利」と「個人の将来」を天秤にかけると、どちらを優先すべきか、これは明らか。

野球といえば、今年の大リーグ(MLB)は日本人選手にとって芳しくない話ばかり。

まずイチローは入団以来8年間続いたシーズン200本安打が今年はギリギリの状態だという。もう40歳に手が届こうかという年齢なのでボチボチ衰えが懸念されるが、それでもよく頑張っているほう。

情けないのはエンゼルスの松井。去年のワールドシリーズでMVPになったので、今年は一皮剥けて大活躍するかと期待していたが、例年にも増して、好不調の波が激しくサッパリ。打率2割5分前後、本塁打15本〔16日現在)という体たらくに「一体、何年野球をやってるんだ?」。今年は大事な年だったのに~。

この分だと、たった1年でエンゼルスからの放出は確実でMLBに留まるとすれば、大減俸のすえ弱小球団への移籍、あるいは日本の球団への出戻りも十分考えられる。

最悪の場合は年齢、古傷の膝の状態を考え合わせて「引退」の文字もチラホラといったところでそれほど追い詰められている状況。日本の長距離バッターがMLBで通用するかどうか、松井は大事な試金石だったが結果は完全にアウトだった。

ところで、日本では大人気の野球だが

「ヨーロッパではなぜ野球が盛んにならない」のだろうか?〔※再掲)

サッカーとかラグビーなんかの球技は非常に盛んだし、同じ西欧文明に属するアメリカでは国技とされているほどなのにである。

このことについて参考になる考察がある。

「随想集:偶然のめぐみ」(2007年、日本経済新聞社)       

本書の207頁~241頁にかけて鼎談(清岡卓行、清水哲男、平出隆)により、この辺の理由が述べられている。

1 野球の特殊性

サッカー、ラグビーは双方に陣地があってお互いに攻め合うか、いつ攻め返されるか分からないという対称性が常にある。一方、野球の場合は攻守ところを変えてという面はルールできちんと縛っておりある時間帯を区切って守るだけ、攻めるだけとなっている。

ヨーロッパの感覚では国境を越えたり、超えられたりという侵略意識といったものがうまく国民的なスポーツになっている。

一方、アメリカ、オーストラリア、日本など野球が盛んなところは歴史的にも国境という意識が希薄なところがあり、その部分に野球が根付いているという側面がある。

2 知的で人工的な野球

ヨーロッパは歴史的にみて哲学的ないし科学的な知性による仕事の蓄積と疲労が一番著しいところ。したがって、スポーツが知性とは対照的な位置づけにあり本能への遊び、慰め、楽しみである側面が大きく、ルールが単純明快、ポジションもそれほど個性的ではない気安いスポーツが受け入れられ普及している。

これに対して野球はルールがとても複雑で知的かつ人工的。ヨーロッパ人にとって知的にわずらわしくて不自然で面白くないといった感覚がある。さらに一方では「ホームラン」というまるで試合の知的な要素すべてを一挙に吹き飛ばすような摩訶不思議なものがあり、ある意味不自然な印象を受ける。

およそ、以上のとおりだが以前読んだ「戦争」の研究家「石原莞爾」氏の著作で「ヨーロッパは古来、三度の飯より戦争が好きな連中の集まり」とあったが、国境の侵略意識と陣地争いがスポーツに投影されていると指摘してある点がなかなか面白い



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オーディオ談義~「20~2万ヘルツ」との戦い~

2010年08月13日 | オーディオ談義

最近、どうも「オーディオ」関係の記事が減少気味。

この猛暑のせいで日中、あまり音楽を聴く気がしないのがその理由の一つ。どうも暑さに弱くて毎年そうである。

秋口になって涼しくなると音楽を聴く機会が増え、それに伴ってオーディオに対する関心が増えてきて、それが投稿に反映されるという仕組み。

どうやらこの傾向は自分だけではないようで、全般的にみてオーディオ関係の人の行き来や機器の売り買いなども「秋から冬」が最盛期。読書や勉強も含めて室内作業は”すべからく”そうだと思うがどうだろうか。

そして、もう一つの理由は、現在の「オーディオ・システム」にほぼ満足していること。「これ以上、音にケチを付けたら罰(バチ)が当るかもしれない」なんて思うほどで、こういう心境になったのは久しぶり~。

というわけで「オーディオ」関係の記事に縁遠くなるばかりなので今回は久しぶりにちょっと無理して題材を探してみた。


題して「20~2万ヘルツ」との戦い。

スピーカーから出る音に対する判断基準にはいろんな尺度があって、周波数レンジ、音色、音の抜け、音像定位、音声信号に対する反応の速さなどいろいろある。

これらの判断基準のうち、何を重点的に取り組むかは各人の個性によってマチマチなのが「オーディオ」の面白いところだが、まずは「周波数レンジ」は真っ先に各人の念頭に浮かぶ事柄だろう。

一般的に人間の耳に聞こえる周波数レンジは低域は20ヘルツから高域は2万ヘルツまでとされる。

結局、オーディオとは周波数「20~2万ヘルツ」との戦いに尽きると思う。この帯域を厚過ぎず、薄過ぎずきちんと隙間なく再生できることが究極の目的といっていい。

これほどに大切な周波数帯域だがよくオーディオ雑誌なんかで、低域が充実してるとか、高域が伸びていないとか記載してあるが、厳密に低域とか高域がどの辺の周波数を指すのかといったことになると、意外と曖昧模糊としているのが実状。

オーディオは感性の世界と同時に自然科学〔物理)の世界でもあるので、この際、その辺をある程度数値的に明らかにしておくのも悪くはあるまい。

以下、具体的に記してみたが原典は知人からいただいたある老舗のオーディオ店の資料。ただし数字については厳密に固定化したものではなくてほぼその前後と考えてもらったほうがいい。

各人によって耳(脳も含む)の機能がマチマチなので定数化するのはあまり意味が無いのはもちろん。なお、カッコの中は「音色の感じ」である。

 最低音域〔深さ) → 20ヘルツ~70ヘルツ

 低音域〔重さ)  → 50ヘルツ~120ヘルツ

3 中低音域〔太さ) → 80ヘルツ~250ヘルツ

 中音域〔厚さ)  → 180ヘルツ~600ヘルツ

 中高音域〔明るさ) → 450ヘルツ~1050ヘルツ

 高音低域(堅さ) → 900ヘルツ~2200ヘルツ

 高音域〔鋭さ)  → 1800ヘルツ~5000ヘルツ

 高音高域(脆さ) → 3500ヘルツ~9000ヘルツ

 最高音域〔荒さ) → 7000ヘルツ~17000ヘルツ

高域といっても主に4つの区分があり、それも意外と低い周波数から始まっていることに驚かれる方が多いかも。とにかく実際に1万ヘルツも出れば上等の世界である。

よくCDは高域の上限を2万ヘルツでカットしているのでケシカラン、その点アナログ(レコード)では高域が際限なく伸びているので上等なんて話をときどき見聞するが、いろいろ論議はあろうが自分はナンセンスだと思っている。

人間の耳は実際にせいぜい聞えて1万5千ヘルツくらいだし、そもそもその辺の周波数以上をきちんと再生できるシステム〔特にツィーター)を使っている人ってどのくらいいるんだろうか?
 
話は戻って、一部の帯域の強弱によっても聴感覚はいろいろと左右される。

1,2,3が強調されると「含んだ音」に、以下同様に4,5だと「肥えた音」に、6、7、8だと「硬い音」に、8,9だと「尖った音」に聞える。

一方、1,2,3が弱まると「軽い音」に、以下同様に4,5だと「やせた音」に、6,7,8だと「柔らかい音」に、8,9だと「丸い音」になる。

音楽を聴くときはこういった部分的な帯域の強弱とともに音量が千変万化しているので、オーディオ装置で音楽を聴く行為がそもそも一筋縄ではいかないのがよく分かる。

さ~て、「20~2万ヘルツとの戦い」といっても、通常、耳にする帯域は「ピラミッド型」として言い表されているように低音域~中音域がほとんど。

この辺りをいかに「生々しく」「解像力よく」「力強く」「奥行き感」を持って鳴らせるかがオーディオの第一関門になる。一番「血(お金)と汗と涙」を流すのもこの付近。帰するところやっぱりスピーカーの性能次第かなあ~。
       


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読書コーナー~「そっとしておきたい技術」

2010年08月11日 | 読書コーナー

                               

「測る技術」(2007年4月5日、ナツメ社刊)、「ものをはかるしくみ」(2007年7月25日、新星出版社)と相次いで、「測る」という事柄に焦点を当てた著書に巡りあった。

「測る」
作業は縁の下の力持ちのようなもので、日常あまり人の意識に登場することはないが「文明は測ることから始まった」そうだ。

はるか昔、住まいを建てたり農作物などを交換し始めた頃から発達してきた人間の知恵であり、現代の科学的計測技術も人類の永年にわたる叡智の結晶の一つ。

近年の日常生活においては、スーパーなどで見る包装されたパック販売のため「測る」という作業を具体的に目にすることが格段に減ってきたが、「必要は発明の母」のとおり必要性が生まれてくると、それまで測ることのできなかったものを測る方法が次々に考え出されている。

これは長さ、質量、密度、体積など全ての量にいえることで、化学、物理学、電気工学など様々な分野の研究を広げ、進歩の速さもさらに加速している。

おかげで最近では「人の心」を測ることさえ、少しずつではあるが現実のものとなりつつあるという。

「人の心」を読み取る鍵を握るのは、「人間の脳波」だそうだ。

脳には多くの神経細胞が存在し、細かな網のようなネットワークをつくりあげているのだが、脳が何らかの働きをすると、この神経細胞に電気信号が流れ、頭皮上に電位変化があらわれる。

これが「脳波」である。

人間がリラックスしているときに脳がα波を出すことはよく知られているが、脳波は人間の精神状態や喜怒哀楽といった感情によってある一定の変化を起こす。こうした脳波の変化を類型化していくと、脳波から感情の変化がわかり、その人の心の変化を読み取れるようになるという。

この、技術については、犯罪捜査やメンタルケアなどでの活用が期待されているようだが、使い方を間違えると、人間社会を混乱させることにもなりかねない危険性を孕んでいる。

古来、人の心の奥底は解明できない闇の部分として扱われている。人類が限りなく繰り返してきた実際の人間ドラマ、それに文学やオペラなど芸術のテーマともなっており、いわば数値では計測できないとされる最後の聖域でもある。

よくいわれる「本音と建前」の使い分けにしても、コミュニケーションにおいて周囲との不必要な軋轢(あつれき)を避けるための高度な人間の知恵だろう。

これは人間だけに許された特徴のような気がするし、コンピューターがいずれ人間の知性を凌駕できたとしても、最後まで及ばない分野のように思う。

したがって、「人の心」を読み取る領域についてはできるだけ「そっとしておきたい技術」という気がするがどうだろうか。

最後に豆知識を一つ。

☆ マラソンの「距離」「タイム」はどのように測るのか。

まず距離の42.195kmの方は「自転車計測」が主流の計測方法になっている。その方法は、検定を受けた3台のメーター付き自転車に「自転車計測員」という人が乗り、道路の縁石から一定の距離の場所を走っていく。そして、この3台の計測結果の平均値を使用する。その誤差が、0.1%以内(つまり42m以内)であれば、公式のコースとして認められる。

次に、タイムだが靴にあらかじめ取り付けられた「チャンピオンチップ」というICタグによって行う。これは500円硬貨大のプラスチックで作られている、重さ数グラムの小型発信器チップで、靴にチップを装着したランナーがカーペット状のアンテナを通過すると、アンテナから発射された電波によってチップのナンバーをすばやく読み取り、その瞬間の時間をコンピューターに記録する。

このシステムの登場によって、従来計測されていなかったスタートラインの通過時間や5キロメートル、10キロメートルなど各地点の通過タイム(スプリットタイム)、フィニッシュタイムが瞬時に計測されるようになった。2007年2月に開催された東京マラソンでは大会事務局から貸し出されたICタグを選手が靴につけて走ることで3万人のタイムが精確に計測された。


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独り言~「タイヤの交換」~

2010年08月06日 | 独り言

忘れもしない昨年の7月19日(日)のこと。

猛暑の中での「釣行」で疲れ果てての帰途、現地の見通しの悪い交叉点で信号無視の車とガチャ~ン。結局、人身に被害はなかったものの目撃者不在により五分五分の過失割合となってしまった。ウ~ン、残念無念!

それはともかく、中古のクルマを買い直してからほぼ1年が経過し、走行距離も丁度1万kmぐらいに達してようやく事故のほとぼりも冷めて運転にも馴染んできた。

何ら不具合はないもののディーラーの案内により7月28日〔水)に12ヶ月点検を受けたところ唯一
「タイヤが随分ヘタってきてますよ」との指摘。

タイヤの故障は事故に直結する恐れがあるのでのでその足で馴染みのO市のタイヤ店に直行。店主と相談したところ今年の2月に発売されたばかりという
「エコピアEP100」を薦められた。燃費が飛躍的に伸びるという。

          

これまでのタイヤは以前の持ち主がつけていた「ダンロップのル・マン」だが可もなし不可もなし。「走行性能」と「燃費」のいずれを優先するか、迷うところだがもはや「交叉点グランプリ」に挑戦する歳でもないので、ブランドのミシュランの「パイロット・スポーツX」は諦めることにした。

注入する空気は窒素にするよう忘れずに注文して、40分ほどで交換終了。早速クルマに飛び乗って自宅めがけて走らせた。なかなかいい乗り心地でまるでクルマを乗り換えたようなフィーリング。まあ、タイヤが新しいうちだけかもしれないが。

ともあれ、あれからおよそ10日間ほど実際に乗ってみたところこのタイヤの性能は大いに期待できそうだと思った。

「エコピア EP100」のネット情報によると同社の従来の標準的なタイヤに比べて、転がり抵抗が30%低減、燃費で4.2%向上とある。

たしかに
走行中、前方の赤信号に向けてアクセルペダルを離してもどこまでも転がっていく感覚があるし、発進するときもクルマが随分軽く感じる。それかといって、コーナーリングとかストップするときも何ら違和感なし。

この調子だと以前の燃費が通常走行で8.0Km/ℓぐらいだったが、希望的観測も入って1割増の8.8km/ℓぐらいは伸びるかもしれない。

ちょっと”みみっちい”が実際に計算してみた。年間走行距離1万km、ハイオクガソリン145円/ℓとすると
0.8km/ℓ向上するだけで1年間でおよそ110リットルの節約となり、金額にすると1万6千円

これを押し広げて全国に当てはめてみよう。

ウェブで検索すると日本の車の台数は営業用、個人用を含めて現在
7千万万台といわれており驚異的な数字。

これら全てが燃費のいいタイヤにはきかえると、仮に0.8Km/ℓ向上(8.0→8.8の場合)
するだけでも全体では莫大な数値のガソリンが節約できる。

ざっと計算してみただけでも7千万台の車が1年間で仮に5千km走るとして、年間に
約400万kℓ
と信じられないほどのガソリンが節約できる勘定になる。

これは原子力発電所に換算すると何基ぐらいに相当するんだろう?

とにかくタイヤの省燃費はほんとうにバカにならない。スーパーのレジ袋などとはまるで次元が違う。

関連して、以前読んだ本に環境を守るためのタイヤの最新の開発事情が書いてあった。

ゴムはなぜ伸びる?」(2007.9.25、オーム社刊) 

著者の伊藤真義さんは東京理科大教授。

本書の第5章に
「驚きの性質をもつハイテク・ゴムたち」~二酸化炭素削減に協力するタイヤ~とある。やや理屈っぽいが概略次のとおり。

クルマが確実に「走る、曲がる、止まる」ができるのはタイヤと路面の間に摩擦力が発生するからだが、この摩擦力は燃費にも深く関っている。

つまり、摩擦力が大きいほど車の走りや制動の性能は良くなるが、逆に走行に使われるエネルギーの割合が少なくなり燃費の低下につながる。結局、高性能タイヤとは走りと制動が良い代わりに燃費は悪いという関係にある。

ところが、近年地球環境の問題が深刻化するにつれてタイヤに対する評価軸が完全に変わってきていて、いまや燃費性に優れた転がり抵抗の小さいタイヤが求められるようになった。

しかし、転がり抵抗を小さくすると逆に制動能力が下がって危険となるなど裏腹の関係にあるが、それを解決するのが
補強剤として使用するカーボンブラックの替わりにシリカを使用すること。

このシリカ入りタイヤ
は転がり抵抗をカーボンブラックを用いたタイヤより約20%を下げるにもかかわらず、制動能力は逆に5%程度増加する(理屈は長くなるので省略)、いわば夢の高性能タイヤ。ちなみに転がり抵抗を20%削減すると約17%の二酸化炭素削減につながるとのことでエコタイヤの研究開発は着実に進んでいるようで喜ばしい。

話は変わってタイヤを装着したその日の夜半のこと。

クルマは家庭用にもしばしば使われる公共(?)の持ち物。オーディオ機器とはまるで性質が違う。

乏しくなる一方の小遣いなので、この経費ばかりはせめて「折半にして欲しい」と必死の思いでカミさんとの
コワ~イ銭闘を展開したがまったく聞く耳をもたれず、とうとう押し切られてしまって全て自己負担に。

今回は根回しに時間がなくて口説きに失敗、ウ~ン残念!



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読書コーナー~「脳によく効く栄養学」~

2010年08月02日 | 読書コーナー

「音楽は耳で得た情報を脳で変換しながら聴いている」。

したがって音楽・オーディオ愛好家は日頃から脳の栄養状態に人一倍気を配って健全な状態にしておくことが肝心。

   

「脳によく効く栄養学」(朝日新聞社刊)   

副題に「ボケたくなければ肉を食え」とある本書は、この猛暑の時期の軽い不眠症状やうつ状態などを乗り切るのに有益な本。

コレステロール、砂糖、アラキドン酸など肥満や生活習慣病の”大敵”といわれるものを脳はなぜ「欲しがる」のか、を主要テーマに最先端の医学で最新脳栄養学に切り込んだ本である。

著者の高田明和氏は浜松医科大名誉教授でご専門は生理学・血液学。

この本の前提になっている考え方は次のとおり。

現在の私たちは脳の重さがおよそ1450gであり、これは体重の2%くらいに過ぎないが、このたった2%の脳が何と食べる全カロリーの24%を消費している。

したがって脳にきちんとした栄養素を与えなければ、脳の機能は阻害され老化も進むので食生活において脳の栄養をいかにきちんと摂るかがカギ。

以下、主要項目ごとに箇条書き。

”コレステロール”

この本の冒頭から中程まで脳に必要な栄養ということでコレステロール(以下、「コレステ」と略)の功罪について延々と展開される。

とにかく健康上の問題でコレステほど議論のある物質も珍しいそうである。

ご存知のとおり、コレステ値は心筋梗塞などの心臓病にはたしかに大敵なのだが、脳の健康、老化防止にとっては実に大切なもので、不足するとうつ病による自殺と事故死の率が高くなるとのこと。具体的なデータをもとに論じられておりなかなか説得力がある。

コレステ値が下がると、うつ病による自殺と事故死の率が高くなる。つまり心筋梗塞は減るが、逆に自殺や事故死の比率が高まり、全体的な死亡率はむしろ上昇する。

コレステ値が高いと、認知症、アルツハイマー病になりにくいし、脳梗塞になった場合でも機能障害も少ないし、回復も順調

コレステ値は情動と結びつきがある脳内物質のセロトニン、ドーパミンと関係しており、高いヒトほど温厚で社会性がある。(米国ジョージア大学の研究)

”うつ病”

最近のうつ病の増加は驚くほど。うつと自殺の関係はまだ不透明の部分があるが日本では2005年の自殺者が3万3千人くらいとされ、人口比率では先進国中1位でアメリカの2.5倍。この解消は国民的課題。

情動を支配する脳内の神経伝達物質としてモノアミン、なかでもセロトニンが特に注目されている。

うつ病の治療薬はセロトニンの取り込みを優先した薬(SSRI)が使用されているが、その前にヒトはそもそも体内でセロトニンの量を食べ物から増やす必要がある。

セロトニンはトリプトファンという必須アミノ酸からしか生成されないので、多く含んだ食物を優先的に摂りいれる必要あり。

トリプトファンを効率よく摂るには大豆より肉。割合の含有量はブタ肉赤身がトップで0.24g/100g、次に牛肉赤身の0.21g/100g、その次はずっと離れて豆腐の0.1g/100gといったところ。

トリプトファンの摂取は即効性に特徴があり、たとえば朝摂取すると午後には影響が出る。

脳内に摂りこまれたトリプトファンからセロトニンへの合成は光、運動、睡眠、ストレスの排除などの環境因子の影響を受ける。

ヒトが能動的にできることとして、まず光(太陽)をよく浴びる、次に運動、その次が呼吸。息をゆっくり長く吐くことで血中の二酸化炭素の量を増やし、脳の縫線核部分の細胞を刺激するとセロトニンの活性が高まる。

”砂糖は脳に大事な栄養素”

脳のエネルギーはブドウ糖だけであり、ブドウ糖の摂取は脳機能を高める。

砂糖に代表される炭水化物は生存に絶対必要な栄養素であるために哺乳類は無意識にこれを好み確保しようとする。

”肥満と健康”

肥満は必ずしも寿命を縮めない

肥満になるような生活習慣が悪い

「小動き」にも運動の効果

運動抜きダイエットは疑問

運動していれば痩せなくても病気にならない

”脳が食べるものを決める”

ヒトの大きい脳は肉食のおかげ

炭水化物、脂肪、タンパク質の三大栄養素は脳が求めている

人間の感情は脳の栄養欲求に由来する

結局、冒頭に書いたコレステなどの生活習慣病の大敵をなぜ脳が「欲しがるのか」→ その回答は次のとおり。

ヒトの感情、喜びとか不安、精神の安定などは本来脳に必要な栄養素の摂取を可能にするための仕組みとして生まれてきたのではないかと考えられる。

喜びとか恐怖、不安が神経伝達物質により支配され、その物質が食べ物からしか供給されないことは食べ物が確保されない限り、不安とか恐怖などがなくならないことを示している。


なかなか回りくどい表現だがよく読むと含蓄のある内容である。

これからはある程度意識して時々「豚肉の赤身」を食べねばと思った次第。

この本は豊富なデータを駆使して医学的な専門知識のもとに書かれた内容のため学術的な色彩が強く気楽に読める本ではないが、それだけに論理的にしっかりしていて強い説得力を感じた。


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